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  • 一話【黎明:死灰復燃】

いかづち邸

一話【黎明:死灰復燃】

最終更新:2024年01月31日 02:12

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一話【黎明:死灰復燃(しかいふくねん)】


 遥か昔、魔法や超能力と呼ばれた物があった。
 それはいつの日からか一般的になり、国や都市の繁栄の一助となった。
 そして二十年──無色事変と呼ばれる事件によって世界は混乱の世へと移り変わった。
 無色事変は無事解決したが、その傷跡は深々と残り続ける。
 なによりこの世界と別の異世界との繋がりは断てず、異世界から現れる魔獣や人工生命体の侵攻は続いていた。

「という事で……どうか協力して頂けますよね? 燎火(かがりび)シエンさん」
「はぁ……何度来たって断るだけだよ」

 ここは俺が開いている事務所の一室。
 テーブルを挟んで目の前のソファに座る、鮮やかな紫色の髪を黒いリボンで髪を一つ縛りに纏めた軍服の少女はキキョウ。
 そして、そんな華やかな印象を持つ彼女の対面にあるソファに座るだらしない大人の一人である俺は何でも屋の燎火シエン。
 事の始まりは一週間前のこと、彼女は突然事務所にやってきた。
 政府の運営する対異世界防衛機関、通称ADPという組織に属するキキョウは噂を辿って俺の元までやってきたとのことだった。
 さて、話を戻そう。

「何度来たって俺はもう戦わねえよ。協力する理由も無い」
「いいえ。貴方は戦う理由があるはずです」

 というような問答をずっと続けている。
 かれこれ一週間、俺も彼女も飽きないものだと思いながら俺は断り続けて彼女は頼み続ける。
 根比べに負けた方がまた明日と告げて次の日に持ち越す、なんて少し奇妙な関係性になってきた。
 そんな日々も、まあ悪くない気はするが、それでも俺は協力することは出来ないだろう。

「異世界からの侵攻は止まることを知りません……この先に何があるかわからない以上、今は一人でも多くの人手が欲しいんです。だからどうか……」
「一緒に戦うねぇ……俺にそんな資格は無いんだよ」

 キキョウの言葉を遮りながらそんな言葉を呟く。
 彼女の真剣な言葉や思いは伝わってくるが、それでもこれは変えられない。

「人は勝手に助かって勝手に生きて行くものだ。俺は助けないし、助かりもしない……俺よりもっとマシな奴でも探した方がよっぽど良いと思うぜ」

 俺はソファから立ち上がり、玄関扉まで歩いて扉を開ける。今日はキキョウに帰れと伝えるように視線を投げかけよう。
 キキョウもここまでかと言いたげに息を漏らして立ち上がる。
 彼女は玄関扉の前で軽く頭を下げ、一言だけ告げて去っていく。

「私は諦めません。貴方は必ず人の為に戦ってくれる……そんなお人です」

 キキョウの方を見る事もせず、足音が遠くなっていくのを聞くだけ。
 俺は静かに扉を閉めながら、キキョウの言葉をなんとか飲み込もうと考え込む。

「……俺が、人の為に……いや、そんなの……無理に決まってるじゃねえか……ははっ……」

 事実は事実として、歯痒く感じながらもその結論を受け止める。己を嘲笑しながら扉の前で崩れる。
 今でも思い出すのは二十年前の思い出。
 俺はあの時、人の為に事を成すというのを止めたのだから。

■

「シエンさん!」
「なんだ!」
「一緒に戦いますよね!」
「嫌だ!」
「頑固者!」

 今日も今日とて問答を繰り返す。
 テーブルを挟んで立ち上がり、対面しながら変わらない日々をまた重ねる。
 この問答には意味は無い、そんな風に見えるがキキョウは変わらずここに来る。
 ──一度だけ問い掛けた事があった。
 キキョウに対して『いつまで続けるのか』と。
 キキョウは俺のその言葉に『頷くまで諦めるつもりは無い』と、断言した。
 少し、表情が綻ぶような気分だ。

「……頑固者はどっちなんだかな」
「おや? どうかしましたか?」
「いいや……今日はコーヒーでも出してやろうかと思ってな」

 安物ではあるがコーヒーでも淹れてやろうと俺は立ち上がってキキョウにコーヒーを飲むか問う。
 たまには年長者らしく労おうじゃないかと考えた。しかし、それならいつも年長者らしくありたい所ではあるが。
 キキョウはその言葉を聞けば喜ぶように笑顔を浮かべて言葉を重ねる。しかし一瞬苦しそうに顔を歪め、元の笑顔を浮かべれば口を開く。

「いいですね。是非ともご馳走になりたい所で……っ! ……いえ、今日は……この辺りで帰りましょうかね」
「……どうしたんだ、いつもより元気が無いぞ……あぁ、どうせ依頼なんて無いし、ソファで横になっててもいいぞ」

 一瞬歪めた表情が気になった。
 それだけの事ではあるが、ソファに横になる事を勧めておくことにした。
 異世界のモノと戦う組織に所属している以上、日頃の疲れも溜まっているだろう。体調が悪いならばという善意であるがと考えていれば、キキョウはゆっくり話し出す。

「……いえ、平気ですよ。ちょっと目眩がしただけです」
「それなら、余計に休んだ方が良くないか?」
「私、枕が変わると寝られないんですよね」
「いや、どんな理由だよ」

 元気に振る舞うキキョウを見ながら、少し心配になってしまうがここは素直に見送って早めに休むようにだけ言っておく事にしようかと考える。

「キキョウ」
「はい? なんでしょう」

 一先ず『今日は早く帰って休め』と言おうと口を開いた時だ。
 ──外の方、それも少し遠くから爆発の音が聞こえた。俺とキキョウは揃って音の方角を見る。
 室内からではよくわからず、何事かとすぐに玄関扉まで走って扉を開ける。

「……」
「……街が燃えて……まさか、魔獣の……!」

 キキョウは遠くで燃える町並みを見ればすぐに走り出す。
 それを止めようと俺は手を伸ばして止めようとするが、その手は届かずキキョウは真っ直ぐ走って行く。

「……キキョウ……」

 俺は、その場で立ち止まったままだ。
 キキョウが去り、俺がその場で立ち止まったまま暫く経った頃、まだ外からは燃える音が聞こえる。
 足が竦んで動けないなんて訳でもない。動きたいのに動けない訳でもない。
 誰かを守る資格が無いから動けない。
 俺が動かないのはそんな理由でしか無かった。
 情けない、と自分でも感じる。
 しかし、覆す事の出来ない事実が俺を縛り付ける。
 重い重い鎖が纏わりつくような、そんな身体を動かそうとするのは大変なんだ。
 だから、俺はここで立ち尽くし続ける。

「ああ、あわよくば、このまま朽ちて行くのも良いのかもしれない」

 そんな言葉を呟いて己を嘲笑う。
 そして目を閉じる。

『貴方は必ず人の為に戦ってくれる……そんなお人です』

 キキョウの言葉が脳裏に蘇る。
 眩しく輝くような、そんな言葉が視界を開く。
 ──あぁ、そうだ。

「俺に誰かを守る資格は無いな……けど、それで人を守らない理由にしたらいけない、よなぁ……」

 真っ直ぐ被害の元へと走り出したキキョウを思い出す。
 そうだ、人を助ける事に理由はいらない。
 誰かに偽善だと罵られても、俺が俺である為に必要なことだろう。
 ──それならば、この扉を開いて走り出すだけ。

「……俺は、燎火シエンだ……もう、今までの俺とは違う」

 俺は懐からバンダナを取り出して額に巻き付け、しっかりと後頭部で結べば正面を見据える。

「早く行かねえと……魔獣の被害は広がってるよな……」

 真っ直ぐとドアノブに手を伸ばす。
 扉を開けて、俺は誰かを守るために走り出す。

■

 燃える街を己の足で走り出し、被害が拡がって行く横で逃げ遅れた人々がいないか見ながら、足を止めずに進む。
 先に此方に向かったキキョウの姿も探しながら走り続け、街の中心へと向かっていく。

「誰か! まだいないか! キキョウ! 何処だ!」

 大きな声で声掛けをしながら被害の確認を続ける。幸いにも付近に逃げ遅れた人はいない様子だ。
 それと同時に不安なのは燃え盛る街の被害が大きなものになるだろうということ。
 これ以上、被害が増える前に魔獣を討伐するべきだろうと焦る気持ちがある。
 肝心の魔獣は街の中心へと向かったのだろうか付近には見当たらない。それがまた焦る気持ちを加速させる。

「キキョウもあっちに行ったのか……?」

 大通りに出て、街の中心へと走り出そうと一歩足を踏み出す。しかし、大通りから中心へ続く道とは反対の道が視界に入れば前に出した足を引っ込めてそちらへと走り出す。
 ──逃げ遅れたであろう子供の姿が見えたからだ。

「おい、大丈夫か」
「あ……」
「逃げ遅れか……」

 子供は少年のようだが足を怪我しているらしく、道の端から動けずにいるようだった。

「今安全な所に連れてく……と言ってもここら辺の避難場所はどこだっけ……」

 心配した俺が駆け寄りながら声を掛けるが、少年は首を振って声を荒げる。

「き、来ちゃ駄目だ!」
「……えっ?」

 その声が聞こえた瞬間に風を切るような音と共に上空から何かが飛び降りる音が聞こえた。
 すぐに上を確認すれば、正体がわからずも少年を庇いながら正面に飛び込むように転がる。

「危なっ……クソ! 大丈夫か?」
「お、俺は平気……そ、それより、前……前……!」
「……ガキを餌に誘き寄せて狩りとは……随分狡猾な魔獣だな……」

 正面を背に庇いながら、飛び降りて来たライオン型の魔獣の姿を確認して警戒を強める。その表情は罠に掛かった獲物を見る獅子の姿その物に見えた。
 俺は立ち上がり、一度少年を見る。
 足を怪我していてこの場から逃げるのは困難に見えた。そこまで計算しているというのかこの魔獣は。
 長く戦って来なかった為に、この場をどう切り抜けるか不安になるが、警戒したまま姿勢を低くして対面する魔獣を見据える。

「……時間は稼ぐ……なんとか逃げれるか? ……なんて、難しいか……」

 そうなれば目の前の魔獣を倒して一緒に避難するか、魔獣の気を引いて別の場所に連れていくかのどちらかしか無いと考える。
 どちらにせよ、魔獣とある程度は渡り合える力が無ければならない。

「……っ」

 今、俺の顔を見れば苦虫を噛み潰したような顔をしていることだろう。
 過去の栄光に縋るのはごめんである。
 だからこそ、やるしか無いと気合いを入れて両手の拳を握り締めて、ライオン型の魔獣と渡り合うつもりで睨み付ける。

「グ、ガラァァァ!」
「……っ! 来い!」

 魔獣の雄叫びに一瞬怯みながらも動きを見定める。
 魔獣が此方に走り込む。それと同じく俺も魔獣に向かって走り出す。
 肉薄する勢いで近付けば魔獣はその手を振り上げ、肉を引き裂く勢いで引っ掻くような攻撃を繰り出す。
 俺は魔獣の腕をすれすれで左に反れるようにして避けながら、魔獣の身体に勢いを付けて拳を叩き込む。
 ──しかしその一撃は大したダメージにはなっていないようで、すぐにまた空いている手を振り上げて凶悪な引っ掻き攻撃を繰り返す。
 俺もまた、その攻撃を避けて、拳を打って、避けて、打ってを繰り返す。
 やはりと言うべきか、俺の一撃一撃はそこまで驚異にはなっていないようだった。

「ぐっ……!」

 遂に魔獣の爪は俺を捉える。咄嗟に身体を庇うように前に出した右腕を引っ掻かれる。
 血が吹き出て辺りに飛び散り、激痛が身体を走る。
 傷は浅く無いのは明白で、後方へ飛び退きながらも右腕を押さえながらその傷を見る。
 深々と引っ掻かれた傷がそこにしっかりと刻まれていた。

「が……はっ……!」
「グルル……」

 漸く獲物を捉えた事で、魔獣は自信に満ちているのが分かる。
 それに引き換え、俺は怪我を負ったことでより動きが鈍くなるのが分かった。
 ──意を決して人を助ける事を決めたくせに、一人も助けられずに終わる。
 そんな結末が見えて身体が揺れる。

「……ははっ……これも運命って、奴かなぁ……クソッ……」

 魔獣に壁際へと追い込まれ、ここで最後かと魔獣を見る。獲物を狩る準備は出来たと言いたげな表情に笑いが溢れる。
 こんなところで終わってしまうなんて、本当に最悪だと俺自身も笑ってしまう。
 ──ああ、過去に縛られず、出し惜しみなんてするんじゃなかったと、ここで後悔する。
 せめて、少年を助けたかった。街は平気だろうか。
 ──キキョウは無事だろうか。
 そんな事を考えながら、終幕に応じて目を閉じた。

「シエンさん!」

 エンディングかと思われた幕を、切り裂くような軽やかな声がその場に響く。聞き覚えのあるその声に目を開いて、上空へと視線を向ける。
 彼女の身長よりも大きく、冷たく光るも、その洗練された刃を輝かせる鎌を持ったキキョウがライオン型の魔獣に目掛けて落ちてくる所だった。

「お、おまっ!?」
「えーいっ!」

 俺が驚いている隙に、キキョウは鎌を振り下ろして魔獣を両断する。魔獣は鋭い雄叫びを上げながらその命を途切れさせた。
 キキョウは仕事は完了したと言わんばかりに魔獣の亡骸の上に立って、額の汗を拭っていた。
 しかしその姿の所々に切り傷や出血があるようで、なんとなく空元気に見えてしまった。
 それでもキキョウは平気そうに俺を見て話し掛ける。

「良かったです、シエンさん。無事そうですね……深々~な怪我はあるみたいですが」
「あ、ああ……俺は平気だよ……それよりキキョウこそボロボロじゃねえか……」
「私は平気です! これくら……いてて……」

 陽気を気取ってはいるが、鎌を落として左腕を押さえる仕草をする。よく見れば服の切れ目から血塗れの包帯が見える。
 事務所で顔を歪めた理由はこれかと考え、慌ててキキョウに駆け寄る。

「俺よりよっぽど酷い怪我じゃねえか……手当て……いやそれより避難か……?」
「大袈裟ですよ……それより、逃げ遅れた子がいるんですよね?」

 キキョウは怪我をした少年を見ながら俺に告げる。
 少年は魔獣が倒されたのを見て一安心しているようだった。
 しかし、それとこれとは話が違うとキキョウに詰め寄る。

「確かに怪我人はいるが、俺もお前も怪我人だろうが」
「そうですね。でも私はまだ戦えます。シエンさんはあの子と一緒に……」
「怪我の酷さはお前が一番だよ!?」

 そこまで言えばキキョウは拗ねるように頬を膨らませる。

「しかしシエンさん、さっきろくに戦えて無かったでしょう? 魔獣、大して傷もありませんでしたよ」
「そ、それは……そのぅ……」

 俺は頬を掻くようにして目を逸らす。
 しかし問題はそこでは無かったようで、続けてキキョウは口を開く。

「……戦えないならすぐ逃げてください……大物は残ってます」
「……大物?」
「はい。多分そろそろ……来ます」

 キキョウは鎌を持ち直し、空を見る。俺は釣られて空を見上げる。
 暫く空を見上げていれば、暗い影が辺りを覆い尽くす。
 その発生源は──大きな羽を持ったドラゴン型の魔獣であった。
 その大きさに俺は息を飲む。その大きさに気圧される勢いがあった。
 キキョウは物怖じせずにドラゴンを見上げる。
 しかし、傷は深いようで時折苦痛を見せていた。

「……早く、シエンさんは彼を連れて逃げてください」
「……」

 ドラゴンが羽を羽ばたかせる度に強風が吹く。その風にもまた気圧される勢いがあるように思えた。
 だからこそ、だからこそ俺は。

「──情けねえ……」
「えっ?」
「──俺は、俺が情けねえよ」

 キキョウは見る限りまだ学生の齢だろう。
 そんな彼女が身を挺して魔獣と戦うというのに俺は過去の出来事を理由に本気で立ち向かわなかった。
 その事実が、とても情けなく感じた。
 俺はキキョウに近付いて声を掛ける。

「少年連れて……そうだな、建物の陰にでもいてくれ」
「えっ? ……ち、ちょっと、シエンさ……」

 俺はキキョウの言葉を聞かずにそのまま前に出る。
 風が俺の身体を強く打ち付けて来る。
 それでも逃げずにまた一歩前に出る。
 対面、とは行かないがドラゴンと対峙して見上げる。

「ふう……使うまいと思ったけど……誰かを助けるなら、使うべきだよな」

 俺は魔獣に向けて左腕を上げる。魔獣はその動作だけで察したのか警戒を強めていく。
 俺は左腕の先に全神経を集中させる。燃える炎を左手に集めるように意識を続ける。

「俺の炎は──全てを燃やし尽くす」
「グガァァァ!」

 その言葉と共にドラゴン型の魔獣は雄叫びを上げる。
 キキョウは戸惑いながらも少年を連れて建物の陰に隠れたようだ。これで俺も少し本気を出せると考えて、息を吐き出す。
 魔獣に向けて上げていた左手の先から特大の火柱が上がる。その火柱は魔獣に向かって勢い良く燃やし尽くすつもりで飛び掛かる。
 魔獣も抵抗するように炎の息を吐き出して炎同士が拮抗する。
 しかしその時間も束の間で、此方の炎が圧倒して魔獣を焦がす。

「グルガァ!」

 炎を避けるように魔獣は身を翻すが、俺はその動きを許さぬように地面と壁を蹴って魔獣の元へと飛び上がる。

「逃がす……かっ!」

 飛び上がって魔獣の元へと近付けば、右足に炎を集めて魔獣の腹を蹴り上げ、そのままビルに勢い良くぶつける。
 窓が割れてビルも崩れていくが、魔獣はすぐに体勢を立て直して此方に向かって飛び掛かる。
 魔獣の飛び掛かりの勢いのまま俺は大きく飛ばされ、建物の上を跳ねるように転がる。魔獣は俺を追いかけるように羽ばたきながら、俺に向けて炎を吐き出す。
 すぐさま起き上がり、魔獣の炎を避けるように建物と建物の間を跳び跳ねて誘導する──キキョウと少年がこの隙に逃げれるようにと考えて。
 そして元いた場所から距離を取ったならば、適当なビルの上で立ち止まり、魔獣を見据える。
 魔獣は俺を捕捉すれば息を吸い込んで特大の火炎をお見舞いしようと溜め込む動作をする。

「今度は本気も本気だ」

 俺は、ドラゴンに向けてまたとびっきりの火炎をぶつけるつもりで左腕を上げる。
 今度は格好よく決めさせてくれよ。
 左腕に全神経を集中、炎の力を集めて魔獣へと撃ち出す。

「──『英雄の火炎(ヒーローフレイム)』」

 爆発のような大きな音を立てて炎が魔獣に向けて迸る。
 火炎は空気を、床を、空を、空間を焦がすように燃やし尽くす。魔獣はその火炎に抵抗も出来ずに、身体を燃やされていく。
 辛うじて動けるようで、燃える身体を羽ばたかせてふらふらと遠くへ翔んでいくのが分かった。
 追いかけてもいずれはその命は尽きると理解して俺はその場で倒れる。

「やべえ……つ、疲れた……」

 一先ず、一度休むことにしよう。

■

 あれから数日後、街は復興を行いながら平和な日々を過ごしている。
 キキョウの所属する組織の協力もあってこの付近にまた魔獣が現れる心配は無くなったらしい。
 とはいえ、完璧な仕組みでは無いとかで必要に応じて討伐や点検が必須とのこと。
 さて、そんな日常でまたキキョウが俺の事務所へと訪れた。

「シエンさん!」
「なんだ!」
「協力してください!」

 あれから数日経って、キキョウは充分な休息も取れて体調や怪我もある程度、万全になったようだ。
 そんな俺自身も治療の甲斐あって、怪我はほとんど治った。
 そのため、いつものような問答を繰り返す。
 だからこそ、今回も同じように答えよう。

「──いいぞ」
「え~、なんでで……なんでですか!?」
「おっ、珍しく驚いてるな」
「当然です! ずっと断ってきたのに……」

 そりゃそうか、と考えながら笑う。そんな態度にキキョウは不服そうに頬を膨らます。
 少し申し訳ないので謝りながら理由を説明することにした。

「悪い悪い……いや、お前が俺に言ったんだろ? 俺は人の為に戦ってくれるって」
「それは……確かに言いましたね?」
「それがさ、多分そのとおり……だと思ったからだな」

 この前の一件で、俺は誰かの為に戦えると分かった。
 そして──その力があると分かった。
 だから。

「俺は戦うよ。人の為に、誰かの為に」
「……そう、ですか……」

 キキョウはそれを聞けば黙り込んで考える。
 しかし、すぐに笑顔になって俺を見る。

「それは良かったです! それでは、早速機関の方に案内しましょうか?」
「行動が早いな……まあ、いいや。そりゃ勿論、歓迎されるぜ」
「ありがとうございます。シエンさん……いえ、『焔の英雄』燎火シエンさん」
「……それは……慣れないから止めてくれねえかなぁ……」

 俺は立ち上がって未来への一歩を歩む。
 誰かの為に、人の為に戦う俺になる為に。

■

 燃え尽きた竜は山の奥の洞窟に倒れていた。
 静寂に包まれた洞窟の中でこれも全て、あの火炎の男のせいだと竜は想う。
 今は鋭気を養って復讐するのだと竜は思考する。
 いつか必ず、竜は復讐をとげるのだ、と考えて凍結した。
 ──洞窟は突然氷に包まれた。
 パキリと洞窟に踏み入れる足音が聞こえる。
 洞窟に厚着をした髪の青い大柄の男と魔法使いのような服装をして杖を持つ橙色の髪の小柄な少女が踏み入れる。

「うぅー……寒いねぇー……」
「トウジが寒がりなだけよ……あと、この氷はトウジのせい……」
「そうだけどー……は、はっくしょん! ……まあ、いいやー。リサ、転ばないように気を付けてねー」

 二人の男女は洞窟の奥で凍った竜の元まで歩く。
 男が興味深そうに凍った竜を見れば、軽くつついて見せる。
 その瞬間、ピキッとヒビが入って凍った竜は凍りとなって割れる。

「う~ん、この程度だったかー……残念だー」
「まあ、手負いだし……ここまで燃やしたのは例の元英雄さん……だけど」
「そうらしいねー……でも……」

 男はこの場に用は無くなったと言いたげに踵を返して歩き出す。
 少女は呆れた様子で男の背を追いかける。

「おれの方が強いでしょー」
「当然よ、だってトウジは『規格外』だもの」

 二人の姿はいなくなり、こうして洞窟は再び静寂へと戻るのであった。
「一話【黎明:死灰復燃】」をウィキ内検索
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