大儀式魔術アイドレス > 提出アイドレス > 同乗猫

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西国人+猫妖精2+整備士2+同乗猫











1:同乗猫とは


 同乗猫。パイロット達にとっての、頼れる相棒である。
 同乗猫と言うからには、その全ては同乗するもの(コパイ担当)であり、その磨きぬかれた技量と卓越した知識は、過酷な戦場において、メインパイロットの強い助けとなった。
 機体の特徴だけでなく、個体差としての癖までも知り尽くし、パイロットと阿吽の呼吸を以って操縦をサポートする。
 その実力から、エースパイロットの連携によって最大の結果を生み出したが、新米パイロットに対する下士官としての役割をになう事も多く、
不慣れなパイロットを一人前になるまで守り、育てぬく人材として、非常に重宝されている。


 無名騎士藩国といえば、それはもう言うまでもない、歴史のあるI=D国家であり、
そしてその運用してきた兵器種別はといえば、陸戦I=Dから航空機、人型戦車、大型I=D、シールドシップにRBと、
ありとあらゆる機種と言って差し支えない程の幅広さを誇る。
 これらの背景に、長く続いた戦乱があった事は悲しい事実ではあるが、その戦いの日々の中で、
無名騎士藩国の戦士達が着実に成長していった事もまた、ゆるぎない事実と言えるだろう。

 積み重ねられた経験が、戦士を強くする。
 鍛え抜かれたパイロット達が多大な戦果を挙げるのと同じように、
歴戦のコパイ達は、機体とパイロットの潜在能力を最大限に引き出すのだ。
 それは、相棒の事を他の誰よりもよく知る存在であるからこそ、出来る芸当である。


 経験とは、何も戦場に出た回数の事を指すのではない。
 経験とは、戦場で得られたデータを持ち帰り、それをどれだけ以後に活かしたかを示す。
 過去に成功した運用論をいつまでも繰り返すだけの行いをして、歴戦とは呼べないし、
そんな経験だけで、ずっと生きていけるほど、戦場は甘くあってくれない。
 これまでの戦績から得られたデータは、より的確にコパイの仕事を果たすための指針になる。
 指針があるから、目標を持って自らを高める事が出来る。

 パイロットとの関係についても同じだ。
 全てのパイロットには違いがある。訓練課程で身に着いた癖、反応速度、そして性格。
 誰もが皆違う中で、コパイはその違いにアジャストしなければならない。
 勿論、癖があるのはコパイの方も同じ事なので、同調のための歩み寄りは相互に行なうべきものではあるのだが、機体操縦における主役はパイロット側である。
コパイ側が合わせる役回りを担当する部分は、少なくない。
 経験が長いという事は、それだけ多くのパイロットを見てきたという事でもある。
 多くの人に触れ合ってきた経験は、同乗猫が、さらに多くの人と触れ合うための、助けとなってくれるのだ。


 ところで、無名騎士藩国のコパイ職は、その大部分が猫であり、そしてそのほぼ全てが、整備士あがりである。
 そして、その中でも特に優れた者の事を、近年はマシンマイスターと呼んでいる。
 マイスターの名は伊達ではない。平時の機体管理は言わずもがな、作戦行動中の機体状況にだって当然詳しい。
 中でも特筆するべきなのは、乗機の個体差、つまり機体ごとの微妙な癖に至るまでを把握する事ができる点である。
 同機種同型機といえど、生産時期やパーツごとの精度違いは、マシンの性能を誤差レベルで歪ませる。
 この”癖”は、(設計段階でも当然計算しているので)本来無視してもよい物ではあるのだが、
真に熟達した操縦者は、機体を限界まで酷使する。そしてこの時、普段は気にならなかったはずの、
ほんの誤差レベルの性能の違いが、結果を左右する事もあり、優れたパイロットほど、自機の癖を掴む事には気を使うのだ。
 ここにマシンを知り尽くしたマイスターがサポートに入るという事は、
使用する言語がお互い異なるはずの、機械とパイロット間の対話の時、認識の齟齬を埋める通訳が入るという事に他ならない。
 真なる人機一体の境地を助けるそれが、パイロットにとってどれほど心強いかは、言うまでもない。


 同乗猫。パイロット達、そしてマシン達にとっての、最高の相棒である。


2:同乗猫と新人と整備


 機械油の匂いが漂い、機材の動作音が響く。
 幾つものI=Dが分解され、クレーンに吊るされ、整備を受けた後組み上げられていく。それが整備工場の日常風景である。
 整備士たちに紛れて、一匹の猫が厳しい目付きで機体の整備を行っている。

「ここにいたんですか!探してたんですよー!」
 パイロット服の女がツナギの上にエプロン、手袋を付け、わざわざ尻尾までしっかり仕舞っている整備士スタイルの猫を見つけ、声をかけた。
 猫は睨みつける様な目で声のする方向を見ると、
「なんだ、お前か。何のようだ」
 と、一瞬姿を見ただけで作業に戻った。
「お前か。じゃないですよー!シュミレーター演習が近いから相談しに来たのに、
なんでそんな格好までして、整備なんてしてるんですか!」
 女は駆け寄りながら、上官に文句をいう。
 上官である猫は、物言いに関してはあえてスルーすることに決め、
めんどくさそうに帽子を脱ぎ、
「整備くらいできないで、パイロットと言えるか。お前もパイロットの端くれなら、
機体の整備の一つくらいできるだろう。手伝え」
 と言いながら、部下である新人パイロット、レティに整備道具を渡した。
「え、わかりましたけど、えー」
 手渡された道具と猫の顔を交互に見つつ顔に困惑の色を浮かべるレティ。
「お前はパイロットだろう。戦闘中に不意の事態が起きて機体が故障したときの練習だ。
やるのか、やらないのか」
「はぁ……。やりますよー」
 レティは猫のとなりでどこか納得の行かない表情で整備を始める。
 しかし、それでも整備をはじめると先程までの態度が嘘のような集中力で作業に取り組む。
 それを見て、一瞬だけ笑みを浮かべながら作業を再開する猫。
時折、レティのミスを注意するのもどこか優しげであった。


 ある程度整備が一段落付いてきた頃、レティは尋ねた。
「というか上官。そもそも整備なんてなんでやってたんですか?
わざわざ服を着がえてまで」
 猫は作業の手を緩めることなく答えた。
「ん、ただ腕を錆びさせないようにと思ってな。
整備ができたからこそ生き残れた戦場は今まで幾つもあった。
今後もそんな戦場がないとは限らないからな」
「そんな戦場もあったんですか……」
 レティはこの猫の経歴を思い出した。

 この猫は歴戦の兵であった。
 様々な戦場でパイロットのサポートをし、多くの命を救った。
 それは同乗していたパイロットも例外ではない。
 機体が行動不能になった時も、彼の整備能力により急場をしのぎ、
命を落とすことなく戦場から帰ってきたパイロットが何人いただろうか。
 その腕を以て彼は同乗猫として多くの機体のコパイロットとして、
機体特性を理解した上での操縦を行ない、その技術を多くのパイロットに伝えてきた。
 彼女もまたその一人である。
 今は新人と言われる彼女であるが、後に藩国の、いやNWの防衛の大きな礎となるだろう。

 猫とレティの腕時計がなる。
 演習の時間が近い。
「そろそろ区切りもいい。演習に向かうぞ」
 猫は整備道具を片し、演習に向かう準備を進めた。
「わかりました!とりあえず、片付けはやっておくので着替えてきてください!」
 猫は自分の格好を見て、すこしだけ苦い顔をした。
「む、そうだな。演習についての相談は向かいながら行う。いいな?」
「はい!了解です!」
 猫は残りのほんの少しの作業を任せ、着替えに向かった。
 てくてくと歩いていく猫を見て、レティは思わず
「上官、やっぱりなんだかかわいいなぁ……。絶対、整備に夢中になって自分の格好のこと忘れてたよ……」
 とつぶやいてしまった。

3:同乗猫と新人と訓練


「さて今日は…… シミュレータ訓練が3件か。全く、やれやれだ」
全く最近の人間は人使いが荒い。 ……いや、猫使いか。
悪態をつきながら、首から掛けたゴーグルに前足をやる。それはえらく年季の入ったもので、所々煤けていたりする。
あれは初陣の頃、地上戦にI=Dのコパイロットで出撃した頃だったか。記念にとメインに搭乗していた戦友から貰ったもので、
「えらく長い付き合いになったな」
と、感傷に浸ってしまう程度には懐かしい思い出でもある。しかしその感情も、
「あのお……」
緊張感のない声で台なしである。まったく、最近の若いのは情緒を大事にしない。
見上げると、まだ少し幼さの残る少女が不安そうに見下ろしている。 ……大きいな。


「遅い。訓練開始だ。ほれ、乗れ」
下肢のバネを使い、跳躍。猫専用のコパイシートに潜り込む。程無く、先程の少女が潜り込んでくる気配がする。
「状況を確認する。戦場は宇宙。サイベリアンタイプの哨戒機に搭乗。射出後、3つマーカーを周回し、帰還。
 その間、トラブル等発生した場合には対処、以上。分かったら復唱」
おっかなびっくり復唱する少女を尻目に、慣れた前足つきでシミュレータの準備を始める。
訓練では成績上位だとのことだが、戦場慣れしていないのはまるわかりだ。 ……この歳でしていたら、それはそれで怖いものがあるが。

/*/

 スクリーンに明かりが灯る。眼下には青い星、すぐ側にはゴール地点となる乗艦が映し出されている。
「細かい動作はこちらに任せておけ。コースは覚えているな? さあ出発だ」
「了解です、猫教官」
 ……おい待て、誰が猫教官だ…… 等と考えているうちに加速が始まる。
重力を受けない分体を軋ませるあの感覚はないが、流れる星々がその速度を物語ってくれる。
「おお、これはすごいです、猫教官!」
「喋る前に前足を動かせ。レーダーは確認しているな? 空で位置をロストしたらその瞬間から迷子だぞ」
おっかなびっくりの声とは違い、操縦には迷いもムダも少ない。成程、成績上位も頷ける話である。
1つ、2つ目のマーカーを巡り、今や3つ目に差し掛かろうというところまで着ている。このあたりのはずだが……
「ね、猫教官! レーダーに不審な影が3つ! ね、熱源!?」
「落ち着け。アステロイドを盾にして退避。行けるな?」
応答の声はないが動作が反応している。まだマシな方か。
「次、石を盾にして敵オブジェクトに反撃。止まるなよ、狙われるぞ」
戦場では足を止めてはいけない。俺も新人の頃にしこたま叩き込まれたものだ。
「左足に被弾。誤差修正はこっちでしてやる。まずは動け。動いて生き残れ!」
シミュレータを導入してから練度の向上は目覚しい。そしてそれはまあ、概ね喜ばしいことだ。
本物の戦場に出る前に生き残る術をしこたま叩き込んでやることができるからな。

/*/

「被弾2、撃墜2。まあ、初めてにしては上出来な方か」
シミュレータを降りて一息。新人の方は…… バテバテか。眼鏡がズリ落ちかけている
「まあ、実戦からは程遠いがな」
「はひ…… ありがとうございます。と、ところで猫教官?」
まだ言うか。嘆息しつつ、顎で促す。
「教官は、まだ戦場にも出られるのですか?」
言うに事欠いてロートル扱いか。 ……少々腹に据えかねる。
「平時は仕事が無いからな、先任士官は感覚を失わんいい機会だ。
 それに覚えておけ」
一息。

「俺は、まだ若い」

4:同乗猫と新人とコクピット

「無名騎士藩国の機体といえば何だ、答えて見ろ」
 次のシミュレーションルームの道すがら問うてみる。
仮にもここまで来れているのだから、流石に意地悪が過ぎるだろうか……
「えっと、アビシニアンとか、人形のヘリオドールとか……?」
自身がなさげに見える。 ……おい、それだけか、それだけなのか?
「それくらいー…… ですね。お父さんから聞いたんですけど、アビシニアンは凄かったって」

 嗚呼嘆かわしい。思わず前足キックが出てしまう。
「きゅう……」
「かわいい声を上げても無駄だ。まったく、他にもあるだろう
 わざわざ挙げん。あとで自分で調べておけ」
 嘆息ひとつ付いたところでどうやら着いたようだ。

「というわけで今回は人型戦車タイプのシミュだ。I=Dとは勝手が違うが驚くなよ?」
「了解しました猫教官!」
 だから猫教官はやめいというに……

/*/

「むぎゅ、狭いー!?」
 複座型の戦車内を模したシミュレーターの内部。前方に座らせて動きを学ぶ段階なのだが……
「うわあ揺れるー!?」
「はっはっは、実戦はこんなモノじゃない! ほうら前方に障害物、飛ばんとぶつかるぞ」
 宇宙とは違い強烈なGが掛かる。狭いコクピット内であちこちぶつけている。舌は噛んでいないようだが、全く器用な……
「頼むから此処で吐くなよ! さあ、あと3km、駆け抜けるぞ!」

 ……テンションが上がりすぎているのか、まあやはり地に足をつけ、重力を感じているほうが落ち着くものだな、としみじみ思うところである。


/*/

 余談ではあるが、彼女はなんとか吐かずに住んでいる。初体験者の7割程が吐く事を考えれば、まだ適性がある方だろうか

5:同乗猫とパイロットと死神

 昔、俺は自分がやっていることはただ若い命を散らすために、死神が待つ場所へ先導しているだけなのではないかと考えていた。
 だから、もしも俺が死んだら、その時は必ず生かしてお前を戦場から帰してやる。
 そんなことをかつて、部下に言ったことがある。
 その時、普段笑ってばかりのあの娘が目を腫らしながら、真剣に俺に説教をしてきた。

 曰く、私はそんな風にあなたのことを思ったことはない。
 私はあなたに生きる術を教えてもらっている。
 多くの人を守りながら、自分の命も守ることができるようになるために。
 それに、私たちは上司と部下だけれど、それ以上にパートナー。死ぬ時も生きる時も一緒なんだから、だから、そんな淋しいことは二度と言わないで、と。


 あの時、俺はあの娘に大事なことを気付かされた。
 俺は同乗猫だ。死すべき時も生きる時もパイロットと同じだ。けれど、パイロットは俺と違って無限に広がる未来を持つだろう。だから、彼女は生き残らなければならない。
 けれど、もし俺があの娘を生かすために死んだのならば彼女はきっと泣くだろう。
そして、俺はあの泣き顔を見ながら死んでいくことになる。そんなのは御免だ。部下の泣き顔を見たいやつがいるか。
 だから、俺達は二人一緒に生き残っていく必要がある。戦場から二人一緒に帰ってこなければいけない。
 そう、俺達は戦い抜いて、人々を守るとともに生き残らねばならない。二人一緒に。どちらも欠けることもなく。
 そのために、俺は戦い方を教えているんだ。死神の向かう場所に先導しているんじゃない。死神を倒す術を教えているんだと。彼女にそう気付かされた。



 同乗猫を呼ぶ女の声が聞こえる。
 彼は声のする方に振り向き、女の笑顔を見て笑う。
「お前はいつも笑っているな」
 そうですか?とやはり笑いながら聞き返してくる女。
「そうだよ。行くぞ。今日は指導演習か。こちらからの授業といえど、学ぶことはある。気を引き締めていけよ」
 はい、と元気のいい声が返ってくる。
 そうだ、猫だろうと人間だろうとどこで何に気づか、学ぶかなんてわからん。そう、お前が俺に大切な事を気づかせてくれたように。


6:要点


L:西国人+猫妖精2+整備士2+同乗猫={
 t:名称 = 西国人+猫妖精2+整備士2+同乗猫
 t:高位西国人 = ゆったりした服装,灰色の髪,装飾品 ←高位西国人より継承
 t:高位西国人の周辺環境 = 王宮,ソファ,大きな団扇 ←高位西国人より継承
 t:猫妖精2の要点 = 猫耳,尻尾
 t:猫妖精2の周辺環境 = なし
 t:整備士2の要点 = 整備道具,手袋,ツナギ
 t:整備士2の周辺環境 = 整備工場
 t:同乗猫の要点 = ゴーグル,歴戦の,猫
 t:同乗猫の周辺環境 = 戦車内


7:スタッフ

33-00166-01:利根坂 凪巳
33-00232-02:赤峯
33-00750-01:黒野無明

イラスト

33-00243-02:朝子
33-00652-01:冴月

設定協力

33-00647-01:GENZ

ページ作成

33-00750-01:黒野無明
最終更新:2011年01月20日 23:50