蠱毒の玉座にて、その咆哮は誰がために

数多の獲物が研がれ、整えられる音で目が覚める。
どうやら、僅かばかりの時間微睡んでいたようだ。

「ふふっ……これから『祭』とやらが始まるというのに、随分と悠長なことだ」

自嘲を込めて薄ら笑いを浮かべ、独り呟く。

そういえば、とても懐かしい夢を見た気がする。
あの頃はただひたすらに、幸せだった。
生きてさえいれば、いつか僕(やつがれ)も、『あの場所』に還ることができるだろう。
そう思い、開かれていくゲートをくぐる。

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幻想は、脆く、儚く、崩れ去った。

血と肉の宴。
誰もが生き残るのに必死だった。

何処からか肉を裂く音が聞こえる。何処からか骨を砕く音が聞こえる。
そして、絶え間なく聞こえる苦痛に満ちた叫び声。

「……ハハッ、ンなこたァ知るかァ……よッ!!!!」

竜の牙で咬み裂き、竜の爪で切り裂き、竜の形相で狂い裂く。
裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて裂いて狂って裂いて裂いて狂って裂いて狂って狂って狂って狂って狂って狂って狂って狂って狂って、
そして、だぁれもいなくなって、
堆く積まれた肉のと骨の玉座に、蠱毒の王が佇む。

沈黙が、流れ、


「この『蠱毒』を制したのはッ、竜人のッ、フィーーーーーッ!!!!」

アナウンスに、会場が、沸く。





「________________ッ!!!!」

天を仰ぎ、傍から見れば勝利の雄叫びとも思えるような咆哮を上げる。

嗚呼、僕は貴方の元へ帰ることができるのかな____________



























________________兄様。

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最終更新:2018年08月18日 17:23