ウッソ「あれ?どうしたんですかコーラサワーさん。
夕暮れの土手で体育座りなんて恋愛マイスターらしくもない」
コラ沢「お前は
ガンダム兄弟の。いや、な……。
俺は恋愛マイスターでスペシャルなんだよ」
ウッソ「知ってますよ」
コラ沢「なのになぜ本命の大佐はつれない態度なんだって考えたらちょっとな。
やっぱ俺がスペシャルでもてすぎるのがいけないのかなぁ」
ウッソ「その気持ち、わかります。僕も以前そうでしたから」
コラ沢「えっお前も?」
ウッソ「はい。恋愛事ではないんですけど。うち、兄弟が多いの知ってますよね」
コラ沢「この町で知らないやつがいたら天然記念物だぜ」
ウッソ「ですよね。…僕は、いわゆる『いい子』だったんですよ。
一度教えられれば大抵のことは一人ですぐにできるようになった。
コーラサワーさんみたいにスペシャルなんて呼ばれたりもしました。
だから上の兄さん達は、自然と僕より小さい弟や
問題児の兄さん達にばかり掛かりきりになった」
コラ沢「兄貴達に嫌われたくなくて、構ってほしくて『いい子』なのにな」
ウッソ「はい。ジレンマです。そんなとき酒楽のお姉さん達が優しくしてくれたんです」
コラ沢「酒楽ってあの酒場かよ。お前にはちょっと早いんじゃねーか?」
ウッソ「兄さん達もそう思ったみたいで、大慌てで向かえにきました。
で、家に帰って怒られましたよ。
『子供のくせにあんなところに出入りするなんて』って」
コラ沢「理不尽じゃねーか!自分達がほったらかしにしたくせに!!」
ウッソ「でも僕は嬉しかったんです」
コラ沢「へっ?」
ウッソ「それまで怒られたこともほとんどなかった。でもその時は
他の誰が呼んでも後回しにして、僕を怒ってくれたんです」
コラ沢「ウッソ、お前…」ウッソ「僕はその時学んだんです。お利口さんより面倒なやつのほうが
構ってもらえる、可愛がってもらえると。
すなわち、お姉さんです!」
コラ沢「………はっ?」
ウッソ「己の欲望に正直になる!するとお姉さん達と仲良くできるうえに
兄さん達に構ってもらえる!まさに一石二鳥です!コーラサワーさんも
相手の迷惑なんて考えずにおせおせで行くべきですよ。
これは、スペシャルにのみ与えられた特権です!
あっ僕今日撮ったデータ編集しなきゃいけないでこれで」
コラ沢「行っちまった…。途中まではいい話だったのにな。しかし、うん、
お利口さんより面倒なやつ、これはそうだよな。よし俺もいっちょやるか」