261 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/29(木) 10:02:19 ID:???
パラレルパラレルルルルルルー

何とか完走が見えてまいりました。
長々とお付き合いありがとうございます。
本日のイケニエはキラ&シンで…


キラ「シン、ちょっといいかい?」
シン「んあ? …珍しいな、アンタの方から…」
キラ「君に、聞いてもらいたいものがあるんだ」
シン「俺に? ますます珍しいな…なんだよ」
キラ「これなんだけど…」つ【DAP】
シン「む…(いい機種使いやがって)…
   なんだ? ポップスの…カラオケ?
   へぇ、いいノリじゃん、なんて曲……う」
 不意に眉をひそめるシンに、キラがため息をこぼす。
キラ「サビのところ?」
シン「なんだ?この音……」
キラ「ラクスのアルバムから、サックスの音をサンプリングして合成したんだけど…
   ラクスもミーアさんも、アスランも、そこが気になるって…」
シン「まあ、そうだろうなぁ………って、これ、キラが作ったのか!?」
キラ「うん………ラクスがね、どうしても、って………」
シン「はいはい、あついねー(棒読み)
   まあ、曲はいいんじゃないの?
   ………って、ひょっとしてメジャーデビューなわけ?これって!」
キラ「うん………」
シン「なんだよ、すっきりしない顔して。
   本番はプロのミュージシャンが演奏してくれるんだろ?
   少しくらい音が変でも…」
キラ「その、シーゲルさんが…」
シン「シャッチョーサンが?」
キラ「この曲のバックは、全部僕が作って欲しいって…」
シン「………全部“打ち込み”でやるの? なんでまた?」
キラ「よく判らないけど…なにか、アイディアがあるらしいんだ」
シン「あの人も、善人そーな顔して、腹じゃ何考えてるかわかんないからなぁ…
   アムロ兄ぃも、よくあんな狐や狸相手にして仕事やってるよな…」
キラ「うん………それで、そのアムロ兄さんにアドバイス貰おうと思って聞いてもらったら、
   シンの意見を聞けって…」
シン「……アムロ兄ぃも、なに企んでるんだか…」

262 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/29(木) 10:04:06 ID:???
 シンは立ち上がると、押入れからプラスチックのケースを取り出す。
シン「ま、百聞は一見にしかず、って言うしな。この場合は案ずるより、かな?」
 薄い“竹べら”のようなリードを口に咥えて湿らせながら、手早くサックスを組み上げた。
キラ「何か、判ったの?」
シン「判ったっつーか、知ってるっつーか…今が昼間でよかったぜ」
 リードをマウスピースに固定し、そのままウォームアップの為に鳴らし始める。
キラ「…大変だね、楽器って」
シン「ちょっと練習サボると、覿面に音が悪くなるしな。
   まあ、だからこそ、面白いんだけど」
キラ「そういうものなんだ…」
シン「そういうものなの」
 マウスピースを本体に繋いで、さらにウォームアップ。
 ロングトーンから、キーの動きを確かめるように順音階、逆音階を繰り貸す。
 黙々と準備を続けるシンと、そして、なにをするでもなく、
 壁際に腰を下ろしてシンを眺めるキラ。
シン「………んだよ、見てておもしろいモンでもねーだろ?」
キラ「ん…そうでも無いけどね…」
 さらにしばらくして…
シン「んじゃ、そろそろ始めるか。確か、こんな感じで…」
 サックスパートを完璧にコピーしてみせるシン。
キラ「すごい…一回聞いただけで…」
シン「まあ、言い方は悪いけど、所詮歌謡曲ってヤツ?コード進行そのものは単純だからな。
   さてお立会い」
キラ「ん」
シン「もう一回、奏ってみる。今度のは、サックスプレイヤー、シン・アスカの演奏だ」
キラ「えっ?」
 テンポもリズムも、メロディーラインも変わらない。
 だが…
キラ「僕のと、ぜんぜん違う…」
シン「違いがわかったんなら、まだ腐っちゃいねーな」
キラ「……なんで?どうしてそんなに違うんだ…」
シン「…あー、今から、こっぱずかしい事を言うから、笑うなよ?」
キラ「えっ? あ、う、うん」
シン「あんな、楽器ってのは、『音が出る道具』じゃないんだ。
   特に、管楽器ってのは、『歌う』」

263 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/29(木) 10:05:25 ID:???
キラ「楽器が…歌う?」
シン「そ。 言葉じゃないけど、メロディーを歌う。
   ボタンを押せば音が出る機械じゃないんだ。
   モニターに『好きだ』って表示するのと、声に出して『好きだ』って言うんじゃ
   伝わるものが違うだろ?」
キラ「そうか…僕は、言葉の一部を切り取って、気持が伝えられてるつもりだったんだね…」
シン「“打ち込み”の功罪ってヤツだな。
   電子楽器は簡単に音が出せるけど、使い手が音その物に無頓着になりやすいんだ。
   ピアノの音ならピアノの音としか捉えて無くて、『どんな』ピアノの音まで考えてない。
   まあ、そこまで聞き分けるのは、真面目に音楽やってる連中くらいだけど…」
キラ「そっか…すごいんだね、シン」
シン「うぇっ!な、なんだよ!」
キラ「ちゃんと音楽のことがわかってて、楽器が出来て…」
シン「………お~い、大丈夫か~?」
キラ「正直、ラクスに頼まれた時には簡単な事だって思った。
   でも、音楽って、こんなにすごいものだったんだね」
シン「…でなきゃ、ラクス・クラインに熱狂する連中があんなにいるわけねーだろ。
   あんたの歌姫さんは、顔がいいだけのお人形じゃねーんだから」
キラ「うん、そうだね。
   ありがとう、もう一度、音作りからやりなおしてみるよ」
シン「ん」
キラ「シン…」
シン「ん?」
キラ「新しい曲が出来たら、また聞いてもらっていいかな?」
シン「おう、それくらいならいくらでもいいぜ」
キラ「ありがとう」


264 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/05/29(木) 10:06:29 ID:???
 夜になって…
ハロ「(サイセイチュウ、サイセイチュウ)」
アムロ「…ふむ、なんとか仲良くなってくれたようだな」
ロラン「んーー、元々仲が悪いわけじゃないと思いますけどねぇ」
アムロ「うん? まあ、これで明日の朝飯はゆっくり食えそうだな」
ロラン「さーて、それはどうでしょー」クスクス


 そして、明けた翌日。
ギンガナム「この玉子焼き美味いよ!さすがはロラン!ガンダム家のお母さん!」
キラ「うあ゛ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゛ぁあぁ゛ああぁぁうあ゛ぁあ゛ぁぁ
シン「俺の飯を取るなああああああ!!」

ガロ・ジュド「「退避ー!退避ー!」」
 抜群のコンビネーションでちゃぶ台を移動させる二人。
アムロ「いつもと変わらんじゃないか!」
ロラン「だって、仲が悪くてケンカしてるんじゃ無いですから。
    ん、今日のは上手く出来た♪」
シュウト「たまごやきー♪たまごやきー♪」
アル「おいしー♪」

おわり

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最終更新:2013年09月16日 22:34