546 名前:我らローラ警備隊・その1 :2008/10/03(金) 00:03:10 ID:???
とある日曜日、ガンダム兄弟家は重大な問題に直面していた。
アムロ「うーん、まいったな」
セレーネ「こうも皆がかぶるとはねー」

 問題とは来週からのスケジュールである。アムロ、セレーネ、マイの社会人組は長期出張、シローは警察関係の合同演習、
ドモンはきたるガンダムファイト決勝戦に向けての強化合宿のため、一週間近く不在となるのであった。いつものならこの長兄長女の長期留守は珍しいことではない。
しかし今回は事情が違った。長兄組に加えて、高校生以下の学生組がそろって修学旅行のため、やはり一週間不在となるのである。

シロー「カミーユ、シーブックの高校生組からアル、シュウトにいたる小学生まで全員一緒に修学旅行か。
    普通ありえないだろ、こんなこと
マイ「全員が一貫教育の学園に通っていますからね。今年は予算削減のため小中高の合同旅行としたそうですよ」
アムロ「いつもは18人近くがひしめきあう我が家に一週間の間ほとんど人がいなくなるわけだ。想像するとかなり不気味だな」

アムロが「ほとんど」と言ったのにはわけがある。実はこの総勢不在状態の中でただ一人残る人物がいるのだ。
 月の通信教育を受けているため学校には通っていないロランである。そして彼の存在がこの問題の最も大きな原因であった。

アムロ「いいか。要するにだ。俺たちや学生組がそろって出かけたあと、まるまる一週間の間ロランだけがこの家に残るわけだ。
    つまりそれはその間シャアやグエンの変態組から、あいつをガードするやつがいなくなることを意味する。これはまずい、非常にまずい」
シロー「キャプテンはどうしたんだ?兄さん。こういう時のモビルシチズンだろ」
アムロ「・・・ああ、キャプテンはな・・・」
そう言うとアムロはじろりとある一角をにらみつけた。そこにはこっそり逃げ腰になっているセレーネがいる。
アムロ「誰かさんが興味本位でAIをいじってくれたおかげで肉球にしか興味のなくなったダメロボットと化したよ。
    昨日から会社で急ピッチで修理中だ。回復まで最低二週間はかかる」
シロー「セレーネ姉さん・・・」
マイ「非合理的ですね」
セレーネ「いやー、すぐに直るはずだったんだけどね」
セレーネがアハハと笑う。本人はたいして反省してなさそうだ。



547 名前:我らローラ警備隊・その2 :2008/10/03(金) 00:05:32 ID:???
アムロ「・・・まあ、その修理費等はセレーネに支払わせるとしてだ。キャプテンがいない今、家の警備は通常よりもかなり手薄状態だ。
    ヒイロや刹那がトラップをしかけているが、最近のあいつらはトラップ解除の技まで身につけてきている。
    直接制裁を加える奴が必要なんだ」
シロー「ロランをどこかに預けるとかは?あいつが給仕しているハイム家やいっそのことディアナ様の所なら・・・」
アムロ「それも考えたが、ロラン本人に拒絶された。あまりディアナ嬢やソシエ嬢に心配はかけたくないそうだ。
    加えてロランをよそに預けてもシャア達が襲ってくる可能性がなくなるわけじゃないし、警備が家ほど徹底していない分、危険は大きくなる。
    よそに預ける案は却下だ」
ドモン「ふん、情けない。見た目が女性的とは言えあいつも男だろう。男ならこの拳で己の身を守れなくてどうする」
アムロ「お前基準で物事を考えるな!世の中の男全てがガンダムファイターなわけじゃない」
セレーネ「そういえば、さっきから名前があがっていないけどコウはどうなの?」
アムロ「あいつなら一昨日からシーマにさらわれてサイド3へ婚前旅行中だ。たぶん俺たちと同じく一週間は帰ってこないな。
    シーマもこの旅行で勝負を決めると言っていたし・・・ぜひと成功して欲しいものだ」
そう言いつつアムロは遠い目をして窓から空を見上げた。
その目はいまだにチェリーである不憫な弟の童貞喪失を心から願う兄としての思いが満ち溢れている。
シロー「それならいっそのこと警備会社でも雇うとかどうだろ?」
アムロ「ダメだ。学生組の修学旅行の積立金で家は火の車だ。金銭的に雇っている余裕はない」
マイ「兄さん、こんなこともあろうかとヨーツンヘイム社で新しい警備MSを開発しました。その名もガード・ヅダ・・・」
アムロ「却下だ」
 全く解決にならないマイの提案を即効で拒否した長兄はため息をついた。
アムロ「こうなったらもうあれしかないな・・・」


548 名前:我らローラ警備隊・その3 :2008/10/03(金) 00:08:18 ID:???
翌日、月曜日の朝

ギンガナム「ふはははは!今日もローラの朝食で小生は絶好調である!」
キラ「うあ゙ぁあ ・゚・(´Д⊂ヽ・゚・ あ゙ぁあぁ゙ああぁぁうあ゙ぁあ゙ぁぁ」
シャギア「今朝はおかずが一品か。給料前になると食卓が寂しくなるものだな、オルバよ」
オルバ「そうだね兄さん」
ガロード「おまえら、文句言うなら食いにくるなよ!ただ飯ぐらいのくせして!」
 実に非日常的な光景だが、この家ではいつものことである。
いつもの闖入者の三人が兄弟たちと朝食を争う光景をみていたアムロは、食事後、この三人を呼び出した。

アムロ「ギンガナム、フロスト兄弟。ちょっとこっちに座れ」
ギンガナム「むむ、何用か?今月分の米味噌醤油はきっちりローラに手渡したぞ」
オルバ「変態組の退治もさっきすませたところだよ、ねえ兄さん」
シャギア「そうだね、オルバ・・・ってそれは私のセリフだ、オルバよ」
オルバ「たまにはいいじゃない。いつもセリフのはじめは兄さんなんだから、たまにはエクスキューズしてよ」
ギンガナム「エクスキューズは小生のセリフである!勝手に使用しないでもらおうか!」
アムロ「いいから聞け頼むから聞け」
ためいきをつきながら、アムロは今日から一週間のことを説明した。

ギンガナム「むう、どうりで兄弟たちが身支度をしていたわけだな」
シャギア「それで我々に用とは?」
アムロ「いいか、つまり一週間の間ロランをガードする奴が必要なわけだ。その役目をお前たち三人に任せる。
    むろんその礼は考えてある。金銭は出せないが・・・」
そう言うとアムロはギンガナムに向き合った。
アムロ「まずギンガナム。今までは朝食だけだったが、これから一週間朝昼夜おやつ全てロランの食事をとることを許可する。
    無論その分の経費はこちらがもってやる」
ギンガナム「おお!なんたる好待遇、このギンガナムその仕事引き受けたあ!」
アムロ「次にフロスト兄弟。最近仕事に困っているようだが、うちの会社でカテゴリーFのアルバイト枠を推薦しておいてやる。
    採用が決定してからだが、給料は相応に出すようブライトに進言しておく」
シャギア「フ・・・ついにニュータイプも我々兄弟の重要性を認識するようになったか」
オルバ「この条件呑むしかないね、兄さん」
アムロ「いいか!その代わり、今日から一週間ロランのことを徹底的に守りぬけ!
    敵は俺たちが留守にしていることは当に知っているだろうからいつ襲ってくるか分からない。
    日中夜問わずガードしろ!返事は!?」
ギム・シャギ・オル「サー、イエッサー!」
 終わりはまるで軍隊の訓示である。その光景を、他の兄弟たちは遠めに眺めていた。
カミーユ「兄さん、本気なのか?あいつらに頼むなんて」
ロラン「大袈裟だから僕はいいって言ったんですが・・・」
シーブック「まあでも確かに危険ではあるからなあ」
ジュドー「それにしても報酬がセコいな。ギンガナムのオッサンにいたってはメシだけかよ・・・」
ガロード「あのオッサンの場合は、金よりもよっぽどありがたい報酬だけどな」
キラ「僕は良かったよ。下手したら修学旅行先の朝食まで取られるような気がしてたから」
シン「それにしてもあいつらにまかせて本当に大丈夫なのか?」
 最後のシンのつぶやきはこれから一週間の不安を案じさせるものであった。
 続く

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最終更新:2013年09月21日 22:34