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さて、グラハム家でのガンダムの上映会(グラハム曰く「世界のガンダムショー」)のあと、ヒイロは刹那たちと別行動を取っていた。
ヒイロ「任務完了」
アムロ「お疲れさん。どうやったんだ?」
ヒイロ「…上映会でグラハム警視正のカメラの方向を確認した。あとは客が帰って寝静まってから俺が計算した角度だけカメラを動かしただけだ」
アムロ「そうか。じゃああとはソレスタルビーイングに情報を流して、警察にプレッシャーをかけてもらうようにするんだな」
ヒイロ「
リリーナ・ピースクラフト次官にもやってもらうのはどうだろうか」
アムロ「…リリーナ君を説得できるか?」
ヒイロ「任務了解」
グラハム家でのガンダムの上映会が終わってしばらくたったある日、
グラハムは
ハロ長官に呼ばれた。
グラハム「グラハム・エーカー警視正、参りました」
ハロ長官「うん。まあ座って」
ハロ長官はグラハムにハロ型の椅子を勧めた。椅子以外も、彼の執務室にはハログッズであふれている。
グラハム「はっ」
座ろうとすると、ハロ型椅子が「ハロ」と言って後ろにずれたので、座る姿勢でいたグラハムはそのまま尻餅をついた。
ハロ長官「やあい引っかかった引っかかった」
グラハム「ハッハッハ、長官もお人が悪い…とお約束はこれぐらいとして、御用とは何でしょうか」
ハロ長官「君のここに着任してからの骨身を惜しまない働きには感謝しているよ。現場の士気も上がっているしね」
そこでハロ長官は真顔になった。
ハロ長官「で、プライベートの話なんだが、君はガンダム兄弟の近所に家を借りているね。実はそのことで確認したいことがあるんだ」
グラハム「はい」
ハロ長官「ガンダム兄弟一家を監視するカメラを仕掛けていると市民からの複数通報や問い合わせがあった。…事実かい?」
グラハム「カメラを仕掛けているのは事実だと認めましょう。しかし目的は違います。私が録りたいのはガンダムです。中の人ではなく!」
ハロ長官「だろうね。しかしどちらにせよ一家の私有地を録っているのには違いない。私人としての行動なら、プライバシーの侵害だ。
公人としての行動だとしても、警察が捜査礼状の出ていない民間人の私生活を監視する権限はない。君の行動は適切とはいえないね」
グラハム「……」
ハロ長官「そして君の弁解が認められなくなるような事実がある。私がハロッと調べに行ってビデオディスクも拝借してきたのだが…。
カメラのいくつかは一家の家の中を撮影する方向に向いていた」
グラハム「馬鹿なっ。私はカメラを設置するときにちゃんと計算しました!角度とか」
ハロ長官「出来てないのもあったんだよ。ほら見てごらん。これなんかあそこの末っ子のシュウト君が風呂に入る様子を追って録ってあるよ」
グラハム「あの前髪にツインアンテナキャプチャーが反応したのか?!確かに実にガンダムな少年だが」
ハロ長官「グラハム警視正、引き返すなら今のうちだと思わないかい?警官が法を犯していると報道されたらバッシングがひどくなるし、
その上この映像がばれたら君にショタコンという濡れ衣まで着せられかねない。そうでなくても出世の早すぎる君をねたむ者も多いんだ」
グラハム「つまり自重しろ、と長官はおっしゃる。わかりました、私も男です。あのようなこそこそとした撮影はやめましょう。
代わりにカメラ背負って堂々と撮影させていただく!」
ハロ長官「君の阿修羅をも凌駕するガンダム愛はわかったけど、自重することも覚えて欲しいんだよね。…仕方ない、ちょっと反省室行こうか」
ハロ長官が指を鳴らすと、ハロのオブジェが動き出した。ハロオブジェは機械腕と足のスロットを開いて人間のような手足を露わにすると、
ハロ?「兄ちゃん子供のようなこといつまでも言うてたらアカン。あきらめが肝心やで」
と大阪の中年
オヤジっぽい口調で語りながらでグラハムを羽交い絞めにして引きずって行った。
目覚めるとグラハムは拘束衣を着せられて白一色の部屋にいることに気づいた。
ハロ長官「しまっちゃうよー」
グラハム「ハロ長官…?!」
目にしたのは、「しまっちゃうよー」と一小節歌うたびに倍倍に増殖していき、
「ハーロんハーロんハーロんハーロんハロハロハロハロ」とコーラスしながらラインダンスを踊る無数のハロ長官。そこでグラハムの意識は途切れた。
ハロ長官「さあ、ガンダム撮影はしまっちゃおうねー」
(完)
兄弟スレでのソレスタルビーイングの役割は特に決まってないと思いますが、ここではNPOや市民オンブズマンみたいなものと思ってください。
最終更新:2013年09月27日 21:55