353 名前:こっちでも
変態兄弟は探偵だったっけ? 1/6 :2009/02/28(土) 06:14:01 ID:???
閑静な住宅街に一際目立つ巨大かつ黄金の館
カタロニア邸でその事件は起きた
ドロシー「皆様、今宵は私めのパーティにご参加頂きありがとうございます」
館の主人・ドロシー=カタロニア
リリーナ「あら、このムニエルとてもお上品だわ。こんど作ってみようしら」
ヒイロ「………ッ!」
招待客・リリーナ=
ドーリアンとその護衛ヒイロ=ユイ
アレンビー「うっひゃー……なんかアタシ達場違いな感じだねぇ」
パーラ「へ、ビビることはねーぜ。っていうかビビったらよけい場違いになっちまう」
ドロシーの学友・アレンビー=ビアズリーとパーラ=シス
イザーク「ふん。カタロニア財閥とは仲良くしなさいと母上が仰っていたからな。ところでディアッカはどうした?」
シホ「今日に限って 何 故 か 炒飯の出前が多くてバイトから抜け出せないそうですよ」
クライン社重役の息子・イザーク=ジュールと付き添いのシホ=ハーネンフース
ギュネイ「シャア社長はこういう席は俺に押し付けて、自分は
ガンダム家に入り浸っているんだぜ!」
クェス「アンタ、いつかシャアより上に行こうってんなら、シャアの代わりぐらいやってみせなさいよさ」
ネオ・ジオン社の社長代理・ギュネイ=ガスとクェス=パラヤ
グラハム「おお、あれがドロシー嬢が作らせた黄金の1/60サンドロック(と銅のマグアナック隊)像! ガンダァァァァム!!」
刹那「ガンダァァァァァム!!!」
ガンダム馬鹿・グラハム=エーカーと刹那=F=セイエイ
キャプテン「このワインの成熟度は98.5682%だ」
コマンビー「私達には縁のないものだがな」
仲良しモビルシチズン・キャプテンと
コマンダーサザビー
シャギア「そしていつの間にか紛れ込んでいた」
オルバ「僕たちフロスト兄弟!」
プルツー「おいコラ」
ハマーン「招かれざる招待客だぞ、お前達」
カトル「いえ、彼らは一応ウェイターですよ。それにしてもあの像は恥ずかしいなぁ……」
プル「この時、この会場にいる誰が予見できただろう。まさかあんな惨劇が起こってしまうとは……」
プルツー「姉さん!?」
プル「なーんちゃって」
学校の先生・ハマーン=カーンと、オマケ二人
そして主賓であるカトル=ラバーバ=ウィナー
――夜11時
シャギア「やれやれ、どうしてウェイターである私が掃除などしなければならないのだ……
この部屋だな、例の像がある部屋は。ふん、私に掃除を命じたのだ、ピカピカに削って…磨いてやろう
磨きすぎて小さくなっても怒られはしないだろう。どれ、これが部屋の鍵か」
ガチャ
シャギア「サンドロック、サンドロック……おかしいな? 見あたらんが……」
こうして黄金のサンドロック像盗難事件が始まったのである
グラハム「私が居ながらガンダム像を盗まれるとは……一生の不覚!!」
パーラ「いいから
仕事しろ、警察官」
偶然その場に居合わせた警察官であるグラハムによって関係者の事情聴取が行われた
354 名前:こっちでも変態兄弟は探偵だったっけ? 2/6 :2009/02/28(土) 06:16:51 ID:???
キャプテン「像を部屋に移したのが夜の9時。それは複数の人間が確認しているので間違いはない
シャギア=フロストが像が無いことを発見したのは11時であることから、この2時間の間に犯行が行われたということになる」
グラハム「その時間、会場から席を空けたのがココに集まって貰った君達だ」
リリーナ・ヒイロ・アレンビー・パーラ・イザーク・シホ・ギュネイ・クェス・刹那「………」
コマンビー「問題は犯行現場の状況だ。シャギア氏が入った時、部屋には鍵がかかっていた。これは窓の鍵も同様だ」
プルツー「つまり密室だったということか!?」
オルバ「そういうことになるね」
グラハム「この三階の部屋の窓は二つ。一つは扉と反対側にある人一人は余裕で通れる開き窓。
これには先述のように鍵がかかっていた。二つ目は上にあるはめ殺しの窓だ」
シャギア「ふむ。開き窓の方からは丁度厨房が見えるようだが」
ヒイロ「何が言いたい?」
ギュネイ「そういえば、ドーリアン外務次官は厨房に足を運んだって……」
リリーナ「その事はシェフの皆さんが証言してくれるはずです」
シャギア「ふむ。しかしドーリアン外務次官は否応無しに注目を集める方だ
その分、横の護衛にたいする注目は薄くなるのではないかな?」
アレンビー「馬鹿言っちゃいけないよ! 厨房は一階、ここは三階なんだよ!」
ハマーン(ヒイロやお前なら簡単によじ登れそうだが……)
シホ「でも窓には鍵がかかっていたんでしょう?」
シャギア「しかしこの窓枠は木製で年代モノだ。木というものは年が経つと乾燥して縮むものでね、木造建築の味だ」
オルバ「見たところ、枠の隙間は結構あるね。
これなら、例えば先にフック状に加工した針金を付けたテグスなど
を差し込んで鍵を開け閉めできるんじゃないかな?」
プル「なるほど~」
グラハム「いや、それはないだろう。もしその方法を使うとすれば、テグスの後が木に残る筈だ」
キャプテン「そのような形跡はスキャンの結果、見受けられない」
グラハム「それに……どうやらここの使用人はズボラと見たな」
ドロシー「手すりに誇りが! なんという事でしょう!」
シャギア「ふむ、窓から侵入したならば後が残る筈か。ならば犯人は一体どうやって侵入した?」
イザーク「合い鍵の類はないのか?」
ドロシー「マスターキーは爺やが管理しておりますわ。他には使用人が使う一つだけ」
クェス「犯行時間にその鍵を持ってたのって誰よ?」
シャギア「私だが?」
シャギア「私だが?」
刹那「………」
カトル「………」
パーラ「………」
クェス「ねぇ、もしかしてアンタが犯人なんじゃないの?」
オルバ「な、なんだと!」
イザーク「確かに、鍵がかかっていたという根拠ははコイツの証言だけだな」
ヒイロ「どうどうとドアから入っていって盗んだ。密室でもなんでもなかったという訳か」
アレンビー「そういや、アンタ達兄弟ってビンボーなんだって?」
ギュネイ「さすがクェスだな!」
シャギア「ま、まちたまえ君達。そんなやり方は私の美学に反するとは思わないか?」
グラハム「話なら署でゆっくりときこう」
オルバ「兄さん!!」
シャギア「冤罪だ! 私はやってない!」
オルバ「兄さぁぁぁぁぁん」
ファンファンファンファンファン
オルバ「兄さん……」
プルツー「オルバ……」
オルバ「兄さんはやってない。ツインズシンクロである僕には分かる
こうなったら僕が真犯人を見つけてやる! フロスト兄弟の名にかけて!」
シャギア『僕たちがだ、オルバよ。ツインズシンクロだから私も助言できるのだからな』
355 名前:こっちでも変態兄弟は探偵だったっけ? 2/6 :2009/02/28(土) 06:18:17 ID:???
グラハム「何? 現場を調査させろだと?」
プルツー(やっぱり駄目だよな……)
グラハム「私の監視している間ならいいだろう」
プルツー「いいのかよ!」
グラハム「別に犯人が見つかったという訳でもない
シャギア=フロストはあくまで重要参考人として連行しただけだからな
私としても犯人の手がかりが欲しい」
オルバ「ふん。それで、警察は何か手がかりを見つけたのか?」
グラハム「いや、キャプテンとコマンダーサザビーの科学捜査の結果
指紋も足跡もこの部屋から発見することはできなかった」
プルツー「あのマグアナック隊の並んでいる所に像はあったのか?」
グラハム「いや、サンドロックはマグアナック隊が置かれている隅のテーブルではなく、中央の台座に置かれていた」
オルバ「この中央に置かれた台座から、犯人は痕跡も残さずに像を奪ったのか……」
プルツー「羽でも生えてなきゃ無理だぞ、そんなこと」
オルバ「おい、ベタベタ台に触るな」
プルツー「なんだよ、見てるだけじゃ気付かないことだって……わっ!?」
グラハム「おっと、気をつけたまえ。この台座も九十万はするアンティークだ」
プルツー「この傷だらけのボロっちいのがか!?」
オルバ「この台座、固定されている訳ではないのか……見た目より随分と軽いな」
プルツー「この部屋とパーティ会場とを行き来するにはどれぐらいかかるんだ?」
グラハム「往復で15分というところだな」
オルバ「容疑者のアリバイは?」
グラハム「ヒイロ=ユイ、リリーナ=ドーリアンの両名は8時50分頃に会場を後にしている。
9時~9時30分には厨房は厨房の人間がアリバイを証言している
10分は会場と厨房の距離を考えればやや時間がかかっているがまず妥当な移動時間だろう
会場に戻ったのは10時。それから11時まではずっと会場にいた」
プルツー「30分も時間が空いているじゃないか!」
オルバ「ヤボだな」
プルツー「どういう意味だよ! 怪しいじゃないか」
オルバ「恋人同士なんだろう?」
プルツー「あ……そ、そうか」
グラハム「まあそういうことだ。もっとも恋人や家族の間には証言能力がないのだがな
しかし二人の逢瀬は後述するがクェス=パラヤに目撃されている。
アレンビー=ビアズリーとパーラ=シスは9時45分ごろ会場を出ている
10時20分には会場に戻った。本人達の話だと屋敷を探検してたそうだ」
プルツー「子供か」
オルバ「そんなことよりも、二人には35分も時間があったということだな」
グラハム「そうだ……と言いたいが、両名は館の外れにある塔の先で見廻りに来ていた使用人に目撃されている
時間は10時5分。会場から塔の頂上まで登るのにはどんなに急いでも10分はかかる
その上、事件があった部屋とは会場を挟んで反対方向にある」
オルバ「つまり塔から部屋までは25分かかる計算になる訳か」
プルツー「待て、確か塔は二つあった筈だ。事件のあった部屋の方角にも同じ高さの塔が
この塔と塔の間にロープを結んで移動すれば……」
オルバ「馬鹿か。反対側の塔にどうやってロープを結ぶんだ?」
プルツー「う…」
グラハム「次にイザーク=ジュールとシホ=ハーネンフースだが、イザーク君が誤ってお酒を口にして酔っぱらい
グラスタワーに顔から突っ込んで出血、治療の為に会場を後にしている。時間は10時40分~11時」
プルツー「ああ、それは私も覚えている。大騒ぎだった。怪我よりもあの男のクレームで」
グラハム「イザーク君が運ばれた部屋は事件のあった部屋の下、一階の客間だ」
オルバ(騒がしかったので会場から遠ざけたんだな……)
グラハム「10時45分~55分の間は医師が治療を行っていたのでアリバイは証言されている」
プルツー「前と後ろに空白の5分があるわけだな」
オルバ「イザークの怪我も会場を後にする口実と、アリバイ作りの為とも考えられるな」
シャギア『だが、どこに運ばれるかは流石に予測できる事ではない。彼らが事件の起きた部屋の下にいたのは偶然によるところだ』
オルバ「そうだね、兄さん」
グラハム「ギュネイ=ガスは会場でクェス=パラヤをしつこく口説いた結果、平手を返されたようだ。それが9時45分
その後、クェス=パラヤは会場の外でシャア=アズナブルと電話をしていたというが、目撃証言はない。
ただしシャア=アズナブル氏の証言、及び通話記録から電話をしていたことは確実だ」
プルツー「でも携帯なら移動しながらだって会話できる」
356 名前:こっちでも変態兄弟は探偵だったっけ? 4/6 :2009/02/28(土) 06:24:13 ID:???
グラハム「うむ。だがクェス=パラヤが外にいたという証言として9時55分に
ヒイロ=ユイとリリーナ=ドーリアンが庭の噴水の前に居たのを目撃している
さらに10時10分に起きたネオ・ジオン社ビルに
空中分解が突っ込んだ事件(9回目)を目撃している
そしてクェス君が会場に戻ったのが10時15分」
オルバ「ネオ・ジオン社ビルの方角は?」
グラハム「その壁の方向だ。つまりその時間にこの部屋にいたらその光景をみることはできない。庭も同上」
プルツー「でもクェスのいた場所によっては犯行は可能だよな」
オルバ「まあね。でもこんな密室トリックを思いつく犯人だ。曖昧なアリバイを用意するとは思えないな」
グラハム「一方のギュネイ君だが、居づらくなったのだろう、同じく9時45分に会場を出ている
遊戯室に顔を出したのが10時丁度。遊戯室までの距離を考えると15分もまあ妥当だろう
先客のジョニー=ライデン、アナベル=ガトー、ガディ=キンゼー、ランスロー=ダーウェルらと
11時までビリヤードに興じていたらしい。ちなみに惨敗だったそうだ」
シャギア『遊戯室の場所はこの部屋の向かいの建物の四階だったな』
オルバ「そうだね、あの部屋を窓から見下ろせる位置にあったと思ったよ」
グラハム「最後に少年――刹那=F=セイエイだが、10時に会場を出ている
いや、出たというのは正確ではないな。会場は四階建て相当の高さが吹き抜けになっているが
僅かだか二~四階部分に足場が存在していて四階から外のテラスに出られるようになっている
尤も、手間がかかる上に、広間の暖炉の煙突からでる煙のせいで誰も上がりたがらないそうだ
少年は一人になりたくてわざわざそんなところに登ったそうだ。会場に降りてきたのが10時30分」
プルツー「じゃあなんでパーティなんかに出たんだよ……」
グラハム「無論、ガンダムの像を見るためだ!」
プルツー「納得」
オルバ「時間帯からいって、刹那もヅダ突っ込み事件を目撃しているな?」
グラハム「ああ」
オルバ「これで容疑者全員のアリバイは分かったけど……」
シャギア『密室トリックを解かないことにはどうしようもないな』
プルツー「うーん……窓も駄目、扉はも駄目となると、あとは天窓ぐらいしかないぞ。入れないか?」
オルバ「お前みたいな貧相な身体なら通れるだろうさ」
プルツー「なにを!」
シャギア『小柄なヒイロ=ユイならば可能かも知れんな』
プルツー「じゃあ犯人は最初から部屋の中にいて、シャギアが部屋に入ったのを見計らって出たっていうのは?」
グラハム「いや、この扉は手前に引いて開くタイプだ。扉の裏に隠れることはできないし、
電気のスイッチも扉のスグ横にある。隠れていたらすぐ分かってしまうだろう」
プルツー「じゃあドライアイスのトリックとか? よくあるだろ」
グラハム「……厨房にいた二人なら所持できるが。
あと怪我をしたイザーク君の痛みを和らげる為に持っていったのを見たが」
ハワード「警視正! どうやら他にこの屋敷で盗まれたものがあるそうです」
グラハム「何!?」
ダリル「遊戯室にあった二対かぎ爪とロープ、塔の地下のワインセラーのワイン三本、中央階段にあった熊の毛皮一枚」
グラハム「無くなった時間は?」
ハワード「どうやら犯行時間より前のようです」
オルバ「かぎ爪、ワイン、毛皮……」
グラハム「事件と関係があるのか……いや、あるとみた!」
プルツー「うーん……」
シャギア『オルバよ、上を見たって答えが書いてある訳ではないのに、どうして人は考え事をすると上を見てしまうのだろうな』
オルバ「ふ……そうだね、兄さん。考えた所で、プルツーが見えるのは星だ…け……」
プルツー「フン、悪かったな……オルバ?」
オルバ「星がみえるね、兄さん」
シャギア『ああ、天窓からよく見えるな』
オルバ「手すりに埃が溜まっているような部屋の窓にくっきりと」
グラハム「オーバーフラッグ隊、フォーメーションCだ!」
プルツー「わ! こんなところで組み体操かよ!?」
グラハム「この天窓、動くぞ!」
オルバ「簡単に外れたのか」
グラハム「埃も溜まってないな。誰かが動かした形跡がある」
プルツー「やっぱり天窓から侵入したんだ!」
オルバ「だからな、ここから侵入できる小柄な奴はヒイロ=ユイぐらいだし
それに外から部屋に入れば足跡が残るだろう」
プルツー「それはそうか……」
オルバ「だがお前は今日、二回お手柄を上げた。お陰で事件が解決できそうだ」
357 名前:こっちでも変態兄弟は探偵だったっけ? 5/6 :2009/02/28(土) 06:26:32 ID:???
.
ハマーン「真犯人が見つかったそうだな」
プル「すごいやプルツー」
オルバ「解決したのは僕だ」
プルツー「私がいたから分かったんだろ」
カトル「それで、犯人は誰なんです?」
オルバ「ふ……いきなり犯人を挙げるのは僕たちの美学に反することなのでね
まずは犯人がどうやってこの密室から像を盗み出したのか、実証しよう」
グラハム「現在、この部屋は事件当時と同じ状況にしてある。
台座にはガンダム像の代わりにマグアナックを一体配置した
ハワード、やってくれ!」
ガシャ
ドロシー「天窓が開いた?」
グラハム「はめ殺しとはいっても、固定している訳ではなかったようだ。
ある程度の力を持った者なら外すことができる」
パーラ「ってことは女の子のアタシやリリーナさん、クェスやシホには無理ってことだよね」
アレンビー「アンタが女の子って似合わないわね。っていうかアタシは?」
クェス「ガンダムファイターが普通の女の子な訳ないじゃん」
シホ「見てください、天窓から何か……」
ドロシー「あれは遊戯室にあったかぎ爪?」
オルバ「その通り。このロープの両側にかぎ爪を付けて、台座の左右から食い込ませる
この古い台座には傷が多いから、かぎ爪の傷もそういう傷だと誰だって思う」
キャプテン「スキャンした結果、真新しい傷が二つ。金属で付けられた可能性99.04%」
オルバ「そして左右のロープをこうしてねじり合わせると一本になって強度も安定性も増す」
グラハム「ハワード、引き上げてくれ」
プル「おおー」
ハマーン「部屋に賊が侵入したのではなく、部屋から像が出て行ったのか」
オルバ「そういうことだよ。これなら足跡もつかないし、天窓より身体が大きくても問題ない。像は天窓より小さいからね」
イザーク「かぎ爪を使って上から引き上げたということは、犯人は……」
ギュネイ「おい、待てよ! 俺は犯人はない!」
オルバ「その通り。いくら何でも他人が見ている前で犯行はできないし、なにより遊戯室からこの部屋までじゃ、遠すぎる」
ヒイロ「では犯人は……」
オルバ「この三階の屋根に最も近かった人物がただ一人だけいる
それは四階のテラスにいた刹那=F=セイエイ、君だよ」
刹那「ッ!」
オルバ「君は四階のテラスから屋根伝いにこの部屋の真上まで来て、今の方法でガンダム像を盗んだんだ」
ヒイロ「しかし警察の検査でガンダム像は見つからなかった
刹那兄さんが盗んだとしたら、ガンダム像はどこに隠したというんだ」
オルバ「それは像が何でできているか考えればおのずとわかることさ」
プル「金?」
オルバ「そう、金だ。1064.2 ℃の熱で液化する金属」
パーラ「液化ァ?」
オルバ「逆を言えば……暖炉の火程度では形状が変わらないということさ」
刹那「ッ!」
グラハム「暖炉の中から黄金のガンダム像とかぎ爪が見つかった」
オルバ「多分、ロープも一緒に放り込んだんだろうね。そっちは燃えてしまったんだろうけど
テラスから暖炉の煙突はスグだ。ほとぼりが冷めたら回収するつもりだったんだろう」
プルツー「ワインと毛皮は?」
オルバ「捜査を攪乱させるために、というよりはロープとかぎ爪だけを盗んだらこのトリックに気付かれる可能性があったからだろうね
だけどそういう点ではロープとかぎ爪は処分しない方がよかったな。像と一緒にあったことで僕の推理は確信に変わったよ」
刹那「………」
358 名前:こっちでも変態兄弟は探偵だったっけ? 6/6 :2009/02/28(土) 06:35:03 ID:???
ヒイロ「刹那兄さんの見たヅダの証言は……」
オルバ「屋根の上からでも見えたろう。というより、テラスにいて本当に見えたのかな?
煙突の煙が間近でモクモクと吹いている視界の悪さの中で」
ヒイロ「し、しかし……」
刹那「もういい」
オルバ「………」
刹那「俺が犯人だ」
グラハム「少年、残念だ」
刹那「ガンダムを火の中に投げ込んだ罰があたったんだ……」
ヒイロ「兄さん……」
ファンファンファンファン
こうして事件の幕は下りた
だがこの事件をこうしてここに記しておこう
犯人の哀しい性と、その末路を忘れず、後世に伝える為に
そして今日もフロスト兄弟の探偵事務所の扉を叩く音が聞こえる
この扉の向こうにはどんな事件が待っているのであろうか
フロスト兄弟の事件ファイル ♯4 カタロニア邸盗難事件
シャギア「――というお話だったのさ」
子供「へー」
ガロード「子供に嘘を教えるなぁぁ!! 人の家族を勝手に犯罪者にするなぁぁ!!」
オルバ「本編でテロやってるのに比べれば窃盗ぐらいいいじゃないか」
ジュドー「罪に重いも軽いもないでしょうがぁ、この変態兄弟!」
シーブック(うう……)
刹那「で、そ、その黄金のガンダム像はドコにあるんだ……ワクワク」
ヒイロ「兄さん……」
プルツー「なんだコレは。これじゃあまるで私が馬鹿みたいじゃないか」
シャギア「いや、ホームズにおけるワトスンの役はなかなか務まるものではないぞ
常識力、正義感、そして愛嬌を兼ね揃えてなければワトスン役はできないのだ」
プルツー「あ、愛嬌……」
オルバ「まあ、そういう意味でもプルツーには務まりそうにないけどね」
プルツー「どういう意味だよ!」
子供「あーグラハムケイシセーだ! ケイシセー、変態兄弟に負けちゃ駄目だよー! ファイトッ!」
グラハム「む? なんのことか分からないが、応援されたからには頑張るぞ!!」
カミーユ「おまえら待てよ、
こんなことするから、子供が信じちゃうんだろ!!」
シャギア「わかった、わかった。ではドロシー嬢は被害届けを出してなかったということで刹那君は放免されたと付け加えて……」
シン「そういうこと言ってんじゃないんだよーー!!」
オルバ「ふ……どうやら事件ファイル♯5はガンダム兄弟からの逃走になりそうだね、兄さん」
シャギア「そのようだな、オルバよ」
おしまい
最終更新:2013年10月18日 18:22