69 名前:フロスト兄弟の事件簿 1/5 :2009/05/06(水) 18:59:46 ID:???
ガロード「いやー、太っ腹な人もいたもんだぜ」
ウッソ「"MGになってないMSの会"、企画者は不明ですが、既存のキットを組み立てるだけでバイト代も出るんですからね」
刹那「ガンダムだ
シロー「へー。不思議なこともあるんだな」
シーブック「誰なんだろうな。MGになってないMSのパイロットで金持ちっていうとそう多くはないけど」

絹江『次のニュースです。本日未明、クラーツ=シェルビィ邸宅からクリスタルローズが盗難されるという事件が起きました。
    犯行現場には怪盗キンケドゥのカードが残されており、警察はキンケドゥの犯行とみて捜査を開始しているとの事です』

シーブック「なんとーー!?」
シロー「キンケドゥだと!?馬鹿な!予告状も無しにか?」




トビア「お二人は探偵をやっていると聞きました」
シャギア「ふむ。どうやら内密かつ穏便に済ませたい用件らしいな」
トビア「わ、分かるんですか!?」
オルバ「当然だよ。プルツー、なんだこの紅茶は。とても飲めたもんじゃないぞ」
プルツー「だったら自分で淹れろ!どうして私が……」
オルバ「漫画を持ち込んで、家の冷蔵庫を買ってにあさってお菓子を食べているのはお前だろう。それぐらい働け」
プルツー「ぐ……」
シャギア「ここのスレではホーク姉妹は普通の学生だからな」
トビア「あの……」
シャギア「ふむ。では我々を信頼していただく為に、種明かしをしよう。探偵はマジシャンではないからな
      種は隠すものではなく、明かすものだ」
オルバ「まず、この町には四つの探偵事務所……まあ実体は何でも屋に近かったりするんだけれども、がある。
     北のマッケンジー探偵社は今は主が不在で、バイトのラスティ君が一人守っているから対象外
     東のKPSA探偵事務所は、正直同業者とは言いたくないほど荒事専門で、まあその分裏の筋には詳しいんだけどね
     西のサーペントテールは大手だし、依頼人に対する守秘義務も当然守っているけど、
     そもそもそこに足を運んだという事実自体を知られたくない場合はどうしようもない」
シャギア「かくて南にひっそりと立っている我が探偵事務所に君は足を運んだという訳だ」
トビア「その通りです。どうか、僕がここに来たことは内密に……」
シャギア「それは内容によるな。……悪党を見逃す訳にはいかないからな」
トビア(……ゴクッ)
オルバ「大方、偽キンケドゥの事だろうけどね」
プルツー「偽キンケドゥ?」
オルバ「ああ、クラーツ=シェルビィ邸に忍び込んだキンケドゥは偽物さ。
     怪盗キンケドゥは予告状無しに仕事をしないし、来るときは正面からやってくる
     怪盗なのに正面からやってくるのはどうかと思うけどね。怪盗じゃなくて強盗になってしまう」
トビア「う……」
シャギア「もちろん、餅は餅屋という話で、キンケドゥをよく知るものなら皆そう考えるだろう
      ガンダム家の熱血刑事とか、ガンダムマニアの武士道刑事とかがね」
オルバ「尤も、だからといって偽キンケドゥと断定する証拠がないから、その捜査方針で警察は動けないでいる」
トビア「……真犯人を捜して貰えますか?」
オルバ「キンケドゥの名誉の為に……かな?」
トビア「いえ、盗まれたクリスタルローズの為です。このままではクラーツさんが可哀想ですから」
シャギア「ふむ。ではこの依頼、お受けしよう」

70 名前:フロスト兄弟の事件簿 2/5 :2009/05/06(水) 19:00:46 ID:???
アリー「オラ、とっととゲロっちまないな。こっちはネタが挙がってるんだ
     テメェはこの曜日には警備の仕事をサボって人に言えない博打やってるってこたぁよぉ!
     これ以上痛い目にあうのは賢くないぜ」
OZ下士官「う…ぅ……」
シャギア「やれやれ、先を越されていたか」
オルバ「捜査の基本は足というわけだね、同業者さん」
プルツー「喉潰して殴っているのにどうやって喋れっていうんだ、あの男」
アリー「おっと、つい興奮しちまってな」
シャギア「興奮している顔には見えないがね」
アリー「はんっ、これ以上同業者に飯の種はやれねぇな。おい、こっち来い」
プルツー「いいのか?あの男、連れて行かれるぞ」
オルバ「ま、先客は先客。僕たちは現場に行ってみるとしようか」



シャギア「ふむ、こちらにも先客か」
劾「………」
ロッシュ「なんだ貴様等は!」
オルバ「君こそ誰だい?」
ロッシュ「私はクラーツと同じ星屑の三騎士であるロッシュ=ナトゥーノ。
      今回の犯人を捜すべくサーペントテールに依頼をしている」
シャギア「我々はフロスト兄弟。探偵だ」
オルバ「依頼人は明かせないけどね」
シャギア「それで、どこまで掴んでいる?」
劾「他人に明かすことではない。が、教えておこう」
ガコッ
プルツー「床にトンネルが?」
オルバ「こういう貴族趣味の家だ、珍しくもない……が、これは新しいな。どこへ続いていた?」
劾「それが分かれば苦労はしない」
オルバ「ダイナマイトか何かでトンネルは封鎖された後か。ま、当然か」
プルツー「このトンネルを使って地下から忍び込んで、宝を盗み出していったんだな!」
シャギア「忍び込んで……か」
オルバ「問題はどこに通じているか、だね、兄さん」
プルツー「そうか……難しいな」
劾「いや、ある程度は絞る事ができる」
プルツー「ええ!?」
シャギア「南か西か……」
プルツー「な、なんでだよ!?北や東かも知れないだろ!」
オルバ「それは無理なのさ。北には道路を挟んでジャンク屋フリーデンⅢやボランティア団体CBの基地がある
     東にはこれまた無駄に凝った家がある。南は空き地で西は小山だ」
プルツー「だから?」
オルバ「わからないかい?地下でトンネル掘っていたら、流石に住人は気付くだろ」
プルツー「ああ、そうか」
イライジャ「劾、リードからの情報だ。西面の山、昔はあそこのわき水を井戸に引いていたらしい
       ……ん?げ、フロスト兄弟」
オルバ「情報提供どうもありがとう」
イライジャ「く……俺としたことが……」
ロッシュ「ということは盗人の掘ったトンネルは南に伸びているということだな!
      よし、いざ征かん!私が成敗してくれる!!」
プルツー「行っちゃったぞ。いいのか、私達もグズグズしてられないぞ」
シャギア「オルバよ、このトンネルの入り口の床、どう思う?」
オルバ「どうって縁周りも綺麗だし、やっぱり最近作られた……そうか、確かにそうだね、兄さん」
プルツー「?」
オルバ「でも、だとすると犯人は……」
シャギア「ああ、だが、そうだとしても宝物のありかは……」
プルツー「おまえら私にも分かるように説明しろよ!」
オルバ「少し黙っててくれないか、プルツー。後でパフェを奢ってやるから」
プルツー「私を姉さんと一緒にするな!」

71 名前:フロスト兄弟の事件簿 3/5 :2009/05/06(水) 19:03:05 ID:???
プルプルプルプル♪
ジュドー『もしもし?プルツーか?ガロード兄さん知らない』
プルツー『いや、知らないけど。何かあったのか?』
ジュドー『昨日、ガロード兄さんがジャンク屋の留守番の日、実はサボってたんだよ!
      "MGになってないMSの会"とかいうバイトしてたって訳。だから捕まえて
     サボってた分、そのバイト代から差っ引こうって話なのよね!』
シャギア「"MGになってないMSの会"……か」
ジュドー『あれ?変態兄弟?プルツー、いまアイツらと一緒にいるの?』
シャギア「その会、無論ウッソ=エヴィンや刹那=F=セイエイも参加したのだろうな?」
ジュドー『え?ああ、刹那兄さんが教えてくれたんだけど』
シャギア「なるほど、な。感謝しよう。これで謎は解けた」
ジュドー『はい?謎?』
オルバ「ふふ……犯人はどうやらコナンの尻尾のようだね」
プルツー「コナン?マネキン大佐のことか?」



????「………!」
ガサゴソ…ガサゴソ……
????「無い? 馬鹿な、確かにココに……」
シャギア「真夜中の捜し物なら、明かりを付けた方がよいと思うがね。
????「ッ!?」
シャギア「お節介かも知れないが、お探しの物はこれかな?」
オルバ「探すのは簡単だったよ。本来なら片手で持てる程度の大きさの物だけど
     汚さないよう、壊さないよう、大事に何重にも絹で包まれてあったからね」
プルツー「こんなに大きくなると見つかるに決まっているだろ」
????「ッ!」
ロッシュ「こいつが犯人か」
オルバ「そう。そしてここがトンネルの終着点、屋敷から北に進んだ所にあるOZ所有の乗馬場」
劾「トンネルは北に伸びていたのか。だが、何故……」
シャギア「赤毛連盟だ」
プルツー「なんだそれ?」
シャギア「シャーロック=ホームズの有名な作品だ」
劾「なるほどな」
プルツー「赤毛連盟……赤毛……まさか犯人は探偵のアリー=アル=サーシェス!?」
オルバ「違う。赤毛連盟っていうのは、質屋の主人が赤毛の人だけに高額のバイト料が出るっていう美味い仕事をしていたら
     急に打ち切られて、ホームズに真相を解明して貰おうとやってくるところから始まるのさ。
     この事件の犯人はどうしても主人が店にいては困るんだ。だから高額のバイトをでっち上げた。
     なぜ困るかというと単純明快だ。質屋の裏には銀行があって、銀行に忍び込むのに質屋の地下にトンネルを造っていたからだ」
プルツー「トンネル!」
シャギア「そうトンネルだ。そうだろう?クラーツ邸からフリーデンⅢ、CBの地下を通ってここにクリスタルローズを運んだ犯人……」
オルバ「クラーツ=シェルビィ、犯人は君だ!!」
クラーツ「!!」
ロッシュ「ば、馬鹿な……!?」
クラーツ「そ、そうですよ。私は偶々、乗馬をしたくなってここに足を運んだだけです。ここはOZの乗馬場ですしね」
プルツー「こんな夜中にか?」
クラーツ「そんな気分だったのですよ。第一、どうして私が我が家の家宝を盗まなくてはならないのです」
オルバ「犯罪者の心理なんて分かりたくもないけど、犯人が内部犯なのは分かっているんだ」
シャギア「トンネルの入り口が綺麗だったからな。もしトンネルから屋敷に侵入したならば、縁に土ぐらい付いていていいものだろう?」
オルバ「それが綺麗だったのは、トンネルは出るときにしか使ってないからさ」
クラーツ「だが、それなら家の使用人達にもできることだ」
オルバ「なら何故、会員制のこの乗馬場をゴールにしたんだい?僕だったらジャンク屋の方を選ぶね
     ジャンクが積み重なっているから出口を作ってもばれない可能性が高いし
     宝物もジャンクの中に隠して、後日、その客を装ってそのジャンクを買い取ればいいことだ」
プルツー「なるほど」
オルバ「ここがゴールなのは、ここが犯人にとって安心して回収できる場所だからさ」
クラーツ「ちっ……認めればいいのでしょう、私が犯人だと」
ロッシュ「クラーツ、何故?」
クラーツ「ちょっとしたゲームですよ。警察や探偵と私とのね」
ロッシュ「そんなことの為に世間を騒がせたというのか!それが星屑の三騎士としての振る舞いか!恥を知れ!」

72 名前:フロスト兄弟の事件簿 4/5 :2009/05/06(水) 19:04:57 ID:???
クラーツ「なんとでも言いなさい。さ、それは私に返して貰いますよ。我が家の家宝なのですから」
シャギア「それはよいのだが、私の所にこのような予告状がきてね」

――クリスタルローズ、頂きに参上いたします 怪盗キンケドゥ

クラーツ「何?」
プルツー「あ、あれ?宝物がない!さっきまでここにあったのに!?」
ザビーネ「ふはははははははは!!」
キンケドゥ「怪盗キンケドゥ、見参!」
ロッシュ「アイツ、宝を持っているぞ!」
ザビーネ「そこの男の言うとおり、怪盗キンケドゥを騙り、あまつさえ自分の楽しみの為に自作自演の盗難を行うとは
       貴族にあるまじき行為だな、クラーツ=シェルビィ!!そういう奴は、私達が制裁を加える!!」
キンケドゥ「南無三!」
グシャッ!
クラーツ「わ、我が家の家宝が~~~~~~!!」
キンケドゥ「では名探偵の諸君、さらばだ!」
プルツー「待て!!」
ロッシュ「逃がすか!いや、先に警察に連絡を……」
シャギア「警察に連絡しても恥をかくだけだと思うがな」
ロッシュ「何を言う!キンケドゥによってクラーツの家の家宝が壊されたのだぞ!」
クラーツ「そうです!立派な器物破損です!」
シャギア「ふ……まあ、家に戻って本当にクリスタルローズが無くなっているか、確かめてみるのだな」
オルバ「そうだね、兄さん」




プルツー「あの後、クリスタルローズはクラーツ邸にキンケドゥの書き置きと一緒にあったが、
      私達が見たのは何だったんだ?キンケドゥは確かに宝を壊した筈なのに……」
オルバ「やれやれ、そんなことも分からないとはね」
プルツー「む……」
オルバ「ここに取り出しますはプルツーの淹れた不味い紅茶が入っていたカップであります」
プルツー「飲み干した後に言うな!」
オルバ「これに種も仕掛けもない新聞紙をかぶせます。おっと、もちろん机の方にも仕掛けは御座いません
     カップを持ち上げておきますので存分にお調べ下さい……調べましたね?ではカップを机において……はっ!」
グシャ!
プルツー「あーー」
オルバ「カップが消えてしまいましたとさ」
プルツー「一体どうなってるんだ!?」
劾「机を調べている間にカップを抜き取っていたんだ。新聞紙はカップの形が残っているから、新聞紙の中にカップがあると人は錯覚してしまう」
シャギア「ほう、もしやサーペントテールが我々に依頼かな?」
劾「いや、俺は依頼を受けてここにきた。ロッシュ=ナトゥーノのからのお前達への礼金だ」
オルバ「アイツが?」
劾「謎を解いてくれた礼だそうだ。あとは仲間の不始末の口止め料も入っているかもな」
シャギア「貰えるものならいただいておこう」
オルバ「僕たちはいつだって金欠だからね」
シャギア「人は砂糖のみでは生きてゆけないからな」
プルツー「威張って言うことか……」
オルバ「ふ……プルツーには僕たちの美学が分からないのさ」





こうして事件の幕は下りた
社会の裏で人を憎まず悪を裁く我らがフロスト兄弟!
だがフロスト兄弟に安寧の時はない。なぜならば人の欲望がある限り、事件はなくならないからだ
戦えフロスト兄弟!世間の平和と己の美学の為に!!

73 名前:フロスト兄弟の事件簿 5/5 :2009/05/06(水) 19:07:09 ID:???
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シャギア「……というお話だったのさ」
オルバ「今日の紙芝居はこれで終わりだよ」
子供A「面白かったー」
子供B「流石だな、オルバよ」
子供C「オルバよーー」
子供D「フロストのオジサン、飴ちょうだーい」
シャギア「飴は紙芝居の前にあげただろう。あと私はオジサンと呼ばれる年齢ではない」
オルバ「次回は怪盗キンケドゥvsフロスト兄弟vsミスター・ブシドー~海底大決戦~だよ」
子供E「スゲーーーー!!」


ガロード「おまえら何処へ行きたいんだよ……」

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最終更新:2014年02月01日 20:57