487 名前:参加してみた・後編 1/4 :2009/06/05(金) 07:50:48 ID:???
ソーマ「正直に言えば、その、慕われて、悪い気は、しな…いんだ」
ティファ「…」ニコニコ
フェルト「~~~!!」(////)
ソーマ「奴に、マリーと呼ばれても、そんなに嫌じゃない。
    いや、本当を言うと、少し、その…胸が…
    胸が………ときめくことがある」ギュッ!
 近くにあった犬のぬいぐるみを抱きしめるソーマ。
 すべてを許すような優しい笑顔で年上の友人を見守るティファと、
 思わぬ告白に顔をトマト色に染めて聞き入るフェルト。
ソーマ「だが、奴は、私をマリーと呼ぶ。
    …本当は、奴の言う通り、私はマリーと言う名前の存在だったのかもしれない」
ティファ「………」
フェルト「………」
ソーマ「でも、奴の思いに応えてしまったら、中佐や、店のみんな…
    頂武で私を信頼してくれた仲間を裏切ることになる。
    私はマリーではない。 ソーマ・ピーリスだ。
    奴の思いに応えて、マリーになってしまったら…
    私は…ソーマ・ピーリスはどこへ行ってしまうんだ?
    私は…それが、恐ろしい………」ギュゥゥ…
 そっ…
 ぬいぐるみを抱く手に、小さな手が重ねられる。
 白く、繊細で、少し油の匂いがするその手は温かく。
ソーマ「ティファ…」
ティファ「自分が変わることを、恐れないでください。
     変わること。 変わりたいと思うこと。
     それが、人と人が出会うと言うこと。
     人が人を好きになると言うこと」
フェルト「そ、そうです! ソーマさんって、最初はちょっと、怖かったけど…
     最近はよく笑ってくれるし…」
ソーマ「む…そう、なのか?」
ティファ「ええ。 変化はずっと前から始まっていたんです。
     だから、恐れないでください。
     ソーマさんが、よりソーマさんであるために」
フェルト「わた、私も、応援します! …私なんかで何ができるのか分かりませんけど」ギュッ!
ティファ「私たちはずっと、ここにいます。 ソーマさんが変わっても。
     ソーマさんが望んでくれる限り、私たちは、ここにいます」
ソーマ「ティファ…フェルト…ありがとう…
    あなたたちに出会えた事を、今日ほど感謝したことはない…」


488 名前:参加してみた・後編 2/4 :2009/06/05(金) 07:52:44 ID:???
???「神様への感謝の言葉よ」
????「感謝…何に感謝するの?」
???「決まっているじゃない。 生きていることによ!」

ソーマ「!! アレルヤ…」
アレルヤ「呼んだ?」ヒョイ
ソーマ「んなあっっっ!!」バキッ!
アレルヤ「へぶっ!」キリキリキリ…ドシャアァ…
ソーマ「い、いきなり出てくるなっ!」
アレルヤ「そんな…何度も声をかけたのに…」ダクダク
ソーマ「う…そ、そうなのか?」
フェルト「…」コクコク
ティファ「大丈夫…ですか?」
アレルヤ「う、うん… 慣れてるからね…」ハハハ…
ソーマ「ふ、ふん! いったい私に何の用だ!」
アレルヤ「うん、えっと… そのぬいぐるみ、気に入ったの?」
ソーマ「えっ?」
 しっかり。 っ【犬ぐるみ】
ソーマ「う、あ、い、いや、その、こ、これは…」(////)
 慌てて他のぬいぐるみの列に戻すソーマ。
アレルヤ「これ、いくら?」
ティファ「大きいのは○○○○円です」
アレルヤ「じゃあ…はい」
ティファ「はい、確かに」
フェルト「えっと、包む?」
アレルヤ「いいよ。 このまま渡すから。 はい」 つ【犬ぐるみ】
ソーマ「えっ?」
アレルヤ「気に入ってたみたいだから… その、いつも迷惑をかけてるお詫び?」
ソーマ「え、う… だ、だが…」
アレルヤ「持って帰ってもスメラギさん…同僚が、良くて枕にするくらいだから…
     受け取ってもらえると助かるんだけど」
ティファ「…」ニコニコ
フェルト「…」キラキラ
ソーマ「そ、そうまで言うなら仕方がない。 う、受け取ってやる」
アレルヤ「ありがとうマリー! …あ」ミガマエッ
ソーマ「ふん! 他に用が無いならさっさと帰れ! 店先に陣取られると邪魔だ!」
アレルヤ「う、うん。 …あれ?」
ティファ「…」ニコニコ
フェルト「…」ニヤニヤ
ソーマ「な、なにか?」
フェルト「ううん♪」ニヤニヤ
ティファ「…」ニコニコ
ソーマ「せ、折角ティファが作ったものを、邪魔者にされるのは、嫌だからな。
    それだけ…それだけだぞ!」

ガロード「1ポイント取得ってカンジ?」ニヤニヤ
セルゲイ「む… 礼儀正しい青年だとは思うが…むう…」
ガロード「うはは(お父さんも大変だ)」


489 名前:参加してみた・後編 3/4 :2009/06/05(金) 07:54:59 ID:???
 やがて陽も西の空に傾き、売買を終えた客やディーラーたちも
 三々五々、帰路へとつく姿が目立ち始めた。
ティファ「はい」 っ【猫ぐるみ】
女の子「うわあ」キラキラ
母親「ほら、お姉ちゃんにありがとうは?」
女の子「ありがとう! お姉ちゃん!!」
フェルト「よかったね」ニッコリ
ソーマ「これで、完売…か」
 彼女たちの目の前もきれいさっぱり片が付き、そこはかとない物悲しさが漂う。
 ちなみに、巨大熊は通りがかったミネバ・ザビにねだられたドズル・ザビ氏がお買い上げ。
 それをうらやましそうに見つめる影があったりもしたが、
 ともあれ乙女たちのフリマ初参加は大成功に終わった。

ガロード「おつかれさん」
ティファ「ガロードもお疲れ様」
ソーマ「そちらの調子はどうだったんだ?」
ガロード「おかげさんでウチも完売! ジュドーん所もまずまずだったみたいだぜ」
セルゲイ「流石だな。 ところでこの後、慰労の席を用意してあるのだが…
     君もどうかね? 大した物ではないんだが…」
ガロード「ご厚意はありがたいってヤツだけど。
     この後、何件か配達に廻らないといけないからさ」
 何しろ大物家電ばかりである。 ポケットに入れて、と言う訳には行かないのだから、
 ガロードの「仕事」はまだ終わっていない。
 もちろん、そちらはちゃっかり別料金である。
セルゲイ「そうか…それは残念だな」
ソーマ「………」チラリ
フェルト「うん」コクッ
ティファ「?」
セルゲイ「?」
 ソーマの目配せを受け、フェルトが大振りのバッグを持ち出す。
フェルト「ガロード」
ガロード「ほい?」
ソーマ「ならば、せめてこれを受け取ってほしい」 っ【ティファぐるみ】
ティファ「えっ? 私にも?」
フェルト「ん…」 っ【ガロードぐるみ】
 二人が差し出したのは60cmはある、抱きでのありそうなぬいぐるみである。
 誰がデザインしたのか、なかなかそれぞれの特徴を捉えていた。
ティファ「いつのまに…」


490 名前:参加してみた・後編 4/4 :2009/06/05(金) 07:56:56 ID:???
ソーマ「今回のことだけではない。
    この町に来てからというもの、君たちには世話になりっぱなしだからな」
フェルト「二人には、ずっと一緒でいてほしいから」
ティファ「フェルト…ソーマさん…」ギュッ
 うれしそうにガロードぐるみを受け取るティファと、
ガロード「あー…」
 流石に躊躇するガロード。
 ミン辺りが知れば止めていただろうが、ぬいぐるみを受け取ると言う行為が、
 中学生男子にどれだけのプレッシャーを与えるのか…二人の乙女には知る由もなし。
ガロード「えっと…」ポリポリ
 かと言って、まるで隠そうとしない二人の好意を拒絶するのも忍びない。
 自己表現の苦手な二人――ティファもあまり得意とは言えないが――が示す、
 精一杯の親愛のカタチである。
ガロード「じゃぁ…」
 受け取ったガロードは、そしてそのままティファに差し出す。
ティファ「えっ?」
ガロード「えっと…ぬいぐるみは、会いたくなったからって自分じゃ歩いて行けないだろ?」
 この辺が、少年にとっては限界だったようだ。
 夕日以外のもので真っ赤になった少年に微笑むと、
 ティファは両手で二つのぬいぐるみを抱きしめた。




 その日の夜。
ソーマ「…よし、お前の名前は『アレルヤ』だ」
 丁寧な縫い目のぬいぐるみを前に、ソーマは宣言する。
ソーマ「いつまでも、人を番号で呼ぶのは、良くないからな。
    すまんが、練習台になってもらうぞ、アレルヤ」


 この日を境に、セルゲイ・スミルノフ以下荒熊従業員たちによる
 ソーマへのぬいぐるみプレゼント攻勢――パチンコやキャッチャーの景品、
 手作り、市販品などなど――が続き、あっという間にソーマ・ピーリスの
 殺風景な部屋を埋め尽くすことになるのだが…
 これはあくまで余談である。



おわり


506 名前::通常の名無しさんの3倍 :2009/06/05(金) 20:01:31 ID:???
490
後日、保育園では・・・
ヤエル「“ふりーまーけっと”でね、かってもらったの~」っ>>489【猫ぐるみ】
マリナ「あら、可愛いネコさんね」 っナデナデ
ヤエル「えへへ♪マリナせんせいにもおみやげ!」 っ>>483【エクシアぐるみ】
マリナ「先生にも?ヤエルありがとう♪」 っナデナデ
ヤエル「どういたしまして~♪」 ニコニコ

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最終更新:2013年12月25日 18:35