ギギをめぐる冒険(5)より
114 名前:ギギをめぐる冒険 1/7 :2009/06/20(土) 11:07:41 ID:???
シーブック「ケネスさん、こいつら」
ケネス「ああ、分かっている。あれは間違いなく本物のΞガンダムだ」
ハサウェイ「キンケドゥ……狙いはなんだ?」

緊迫した空気が流れているちょうどその時、クェスはすでに研究所内に侵入していた。

クェス「ギギ・アンダルシア……」
クェス(あの娘は私からハサウェイを遠ざける……そんな気がする)

所内はマフティー&キンケドゥたちのせいで蜂の巣を叩いたような騒ぎとなっていた。
その中を悠々と進むクェス。
当然初めて来た場所だが、クェスには行くべき道がなんとなく分かった。
それは強力なNTであるクェスの力なのか、それともギギが呼び寄せているのか……。

クェス「ああ、ここにいたのか」
ギギ「あなたは……」
クェス「なにこれ?」

特に問題は無く、予想以上にあっさりと二人は出会った。
だがギギのいる部屋には流石に、職員が複数いた。
いたのだが……。

クェス「なんで全員倒れてんの?」
ギギ「双子のお兄さんの方が全員倒しちゃって」
クェス「ふうん。まぁいいけど、逃げましょ」
ギギ「あなたもマフティーだったのね」

その場にそぐわぬ軽い会話をしながら部屋を後にする。

115 名前:ギギをめぐる冒険 2/7 :2009/06/20(土) 11:08:54 ID:???
伯爵「ギギ!」
ギギ「……伯爵」

通路に出てすぐ、二人の少女の背後から声がかけられた。
振り向くと、そこには車いすに乗った老人がいた。

伯爵「ギギ……また私の元を去るのか……」
ギギ「ごめんなさい……伯爵にはとても感謝していますけど……」
クェス「…………」
伯爵「なぜだ……何が不満なのだギギ。お前には何一つ苦労をさせなかったはずだ……」
ギギ「ええ。苦労はありませんでした。でも、自由もありませんでした。
   伯爵の所に居た時、私は死んでいたの。それでも仕方ないと思ってたけど……今は……。
   今は、もう少し……生きていたいから……」
伯爵「……」
ギギ「……」
クェス「……行こう」
ギギ「……ええ。伯爵……今まで、ありがとうございました」

沈黙を破ったクェスがギギの手を引いて行った。

ギギ「……」
クェス「……ねえ」
ギギ「……え?」
クェス「あなた、ファザコン?」
ギギ「……そうなのかな……どうしたの?」

来た道は完璧に覚えているのか、クェスの足取りに迷いは無かったのだが、急に立ち止まったのだ。
クェス「こっちの部屋、何これ」
ギギ「研究中のMSが置いてあるって教えられたわ。NT用とか」
クェス「へえ……」
ギギ「?」

クェスが不敵に笑った。

116 名前:ギギをめぐる冒険 3/7 :2009/06/20(土) 11:10:19 ID:???
━━━━舞台は研究所外の森林地帯に移る。

デマー「白だ!白がいい!だからお米たべろ!」
ザビーネ「貴様ァ!まだ言うか!」

もはや何度目になるのか……交差する黒と白のMS。
ギィン!!
ザビーネ「!?」

X2に衝撃が走る。浅くだが脇腹を斬られたらしい。
ザビーネ(キンケドゥがあんなにも簡単に懐に潜り込まれるわけだ)

デマー「お前黒いな!!だがなあ、どうせなら黒一色になれよお。
    俺の純白のようにお前は純黒になる気合いが足りてないんだよお!」

ザビーネ「貴様とプリキュ……もといポーズを決めるつもりはない!!」
デマー「俺のMSは白一色でいい。そして武器はこのナイフ一本あればいい。
    無駄なものは持っててもしかたないんだ。身体が重くなるだけだからなあ!
    お前のようになあ黒い海賊うう!!」

ザビーネ「フン……余計なものをそいでいった結果がそのMSか……くだらんな!」
デマー「なに!?」

今度は先にザビーネが仕掛ける。だが、バルカン砲でも、ビームサーベルでもない。
ただの『突き蹴り』を放つ!

デマー「それでこちらの不意をついたつもりか!?」

118 名前:ギギをめぐる冒険 4/7 :2009/06/20(土) 11:13:00 ID:???
意表を突いた攻撃にもバックステップでかわすコルレルだったが……。
ザビーネ「ならば……これはどうだ!」

バシュウウ!!
デマー「うおおお!?」

X2の蹴り足の裏から飛び出たナイフがコルレルの片腕を落とした!

ザビーネ「お前の言うとおりだ。クロスボーンガンダムには隠された多くの武装がある。
     それは我々が全てを使いこなせるからなのだよ。無駄な武装など何一つない!」

デマー「ああああ俺のコルレルがあ、腕が焦げたああ白くない!」
ザビーネ「まだ片腕あるだろう?来い」
デマー「ううう、うおおおおおおおお!お米食べろおおおおお!!」

挑発に簡単に乗って、突進してくるデマーだったが……

ザビーネ「所詮貴様のライス主義は貴様の中だけのものにすぎないのだよ……
     私の朝パン主義は……世界を変える!!」

居合、一閃。X2のビームサーベルがコルレルを胴体から真っ二つにした。
デマー「真っ白に……燃え尽きた……」

コルレルが閃光に包まれる。

ザビーネ「フッ……白黒つけたぞ……」
デマー(その……決めゼリフは……ダサい)ガクッ

119 名前:ギギをめぐる冒険 5/7 :2009/06/20(土) 11:14:49 ID:???
一方、謎の攻撃に責められるトビアはの方は……。

ザアン!!大量の木々が一度に斬り落とされる。

ドゥエート「このブリトヴァから逃げてばかりじゃないか!?ええ!?」
トビア「くっ!」
ドゥエート「森の動物の為にお前を狩る!早く落ちろお!」
トビア「森林伐採してんのはアンタでしょ!」

動き続けるX3に向けてブリトヴァの腕がきらめく。

トビア「……そうか!これはワイヤーか!」
ドゥエート「気づいたかぁ?だが先生直伝のワイヤー攻撃!よけてみろ!」
確かに理解したからと言って避けれる攻撃ではない。

ドゥエート「お前を倒せばきっと先生に褒められる!」
トビア「何言ってるか分かんねえけど!それが女の子さらっていい理由になるのかあ!」
ドゥエート「なるさあ!褒められたらこの子猫を飼ってもらえる!」ニャアー
トビア「ふざけるなあ!」

X3が一気に間合いを詰める。
2本のワイヤーがX3に迫るのをトビアは、最小の動きだけでかわした。

ドゥエート「何!?」
トビア「産まれの地位とか、能力とか、ましてや他人の勝手な理由で!
    女の子泣かせさせて、たまるかぁぁ!!」

気迫とともにビームサーベルを振り抜き、ワイヤー先端のロケットモーターを破壊した。
ドゥエート「うおお!?ならばこれで!」

120 名前:ギギをめぐる冒険 6/7 :2009/06/20(土) 11:15:57 ID:???
突然、プリトヴァの巨大な両肩が開き、中から数発のミサイルがX3目がけて飛来する。
しかし。
トビア「うわああああああ!」
ドゥエート「なあにいいいっ!?弾頭だけを!?斬りおとしただと!?」
トビア「うわああああああ!」

グアアアアン!!
決着は一瞬だった……肩ごと両腕を落とされたブリトヴァが仰向けに倒れる。

トビア「ミンチに成りたくなければすぐ脱出しろ!」
その勧告に、意外にすんなりと敵は出てきた。

ドゥエート「……もう一人の僕は負けてしまったのか……でもそれでよかったんだ」
トビア「その機体から離れろ!すぐにも爆発するぞ!」
ドゥエート「海賊さん!この子をお願いします!」ニャアー
トビア「ええ!?」

ドゥエートは抱いていた子猫を地面に放すと、今にも爆発しそうなブリトヴァへと戻っていた。

トビア「ちょっと……!」
ドゥエート「もう間に合わない!その子を頼む!」
トビア「クッ!」
ドゥエート(ありがとうもう一人の僕。でもあの猫は僕には飼えない……敗者にはダメなんだ……そうですよねカラス先生)

トビアには、その直後に爆発したプリトヴァから子猫を守ることしかできなかった。

黒猫「にゃあ」
トビア「なんなんだよ……一体」
(続)

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最終更新:2013年12月27日 22:23