392 名前:ギギをめぐる冒険 1/6 :2009/06/25(木) 19:38:55 ID:???
シャクティ「ウッソ見て、ヤナギランの花が咲いてる」
ウッソ「本当だ……シャクティ、元気になったの?」
シャクティ「うん、皆とピクニックできて楽しいわ」
ウッソ「ならいいんだけど」

飛行機襲撃から数週間、そしてNT研究所襲撃から数日がたとうとしていた。

ミライ「チェーミン!危ないわよ」
チェーミン「大丈夫だよ。ねー?カルルマン?高い高ーい」
シャクティ「ふふ、カルルマンも喜んでる」
ブライト「チェーミンもちょっと前までこんなだったのになあ……」
ウッソ「ブライトさん、すいません。家族水入らずの旅行だったんでしょう?」
ミライ「気にしないで。アムロの家族は私の家族のようなものよ?」
ブライト「はは、一気に大家族になったな」

ハサウェイの明るさが戻ってきたので、チェーミンの提案通り、ノア家のピクニックが決まった。
せっかくなのでテロに関わってしまい、塞ぎがちだったというシャクティと一緒にウッソも誘うことにしたのだ。
もちろんクェスとギュネイも付いてきている。
ここまでは、分かるのだが……。

カロッゾ「ふはははは!うまかろう!」
ザビーネ「ピクニックにはサンドイッチと相場は決まっているな」
ベルナデット「あーもう!ブラックロー待ちなさい!」
ブラックロー「ニャー」
フランダース「わん!」
トビア「あー!ブラックロー!それは皆の昼ごはん!」

なぜかカロッゾパン&運送屋の少年少女たちもその場にいたのだ。

シーブック「いや、本当に」
セシリー「すいません」
ブライト「気にするなって……というか君たちも、ピクニックでここに来たんだろ?」
ミライ「すごい偶然ね」
オルバ「しかし、無料で作りたてのパンがいただけるのだ。ありがたいと思わなくてはな?オルバよ」
シャギア「そうだね兄さん。ミライ夫人のお袋の味も最高だしね」
ブライト「お前たちはなんでいる」

そんなわけで、ピクニックの会場はちょっとしたカオス状態になっていた。
しかし……。

393 名前:ギギをめぐる冒険 2/6 :2009/06/25(木) 19:40:28 ID:???
クェス「……でも、ギギたちいないじゃん」
ギュネイ「……そりゃ、彼らがもともとこの町に来たのは旅行で来ただけだからな」
クェス「ハサウェイはそれでよかったの?」
ハサウェイ「まぁ仕方ないじゃない」
クェス「ふーん」


━━━━ギギを連れてNT研究所を後にしたとき、これからどうするか尋ねた。
ギギは町にあるホテルの名前を出して、そこに連れて行ってほしいと言った。
そこで待っている人がいるはずだと。
言われるがまま、指定されたホテルに行き、しばらく待っていると……。

ケネス「ギギ!」
ギギ「ケネス!よかった!」
ハサウェイ「ケネスさん……無事だったのか!」

二人の感動の再会を邪魔しないよう、マフティ―たちはこっそりとその場を後にした。
それ以来彼らには会っていない。
ギギは自分たちの秘密は誰にも言わないと約束してくれた。
もう、会わないほうがお互いのためだろう……。

重くなる雰囲気を感じて、ハサウェイは話題を変えた。

ハサウェイ「……フラッシュシステムのビットMSはどこにやったの?」
クェス「私の秘密部屋に隠してるわよ。あれ面白いから、また機会があったら使ってみる」
ギュネイ「13機のMSを同時に動かして面白いか。クェスはやっぱすごいな」

━━━━クェスによって囲まれたガブルが落とされるのに、さして時間はかからなかった。
死を恐れぬ、12機のクェスの人形たちが、超至近距離からビーム・サーベルを突き立てていった。
まるで大量の蜂に襲われるがごとく、なすすべもなく蹂躙される敵のMS。
それを見たハサウェイとギュネイは、あらためてクェスという少女に尊敬と畏怖の念を抱いた。


ハサウェイ「流石のキンケドゥたちもちょっと引いてたよ」
クェス「二人がビビりすぎたんだよ。別にでかくなかったじゃん敵のMS」
ハサウェイ「それはアレだ!」
ギュネイ「しかし!あれだけ大量のMSをいただいちまうとはね!キンケドゥたちもびっくりだろうな!」
ハサウェイ「ほんとほんと!!そうだ!!秘密部屋ってどこ!?」
クェス「内緒……ていうか、なに?無理やり話そらそうとしてんの?」

マフティーたちが到底秘密の会話とは思えないようなやり取りをしていた横では。

394 名前:ギギをめぐる冒険 3/6 :2009/06/25(木) 19:43:08 ID:???
シーブック「……今、向こうからキンケドゥって聞こえなかった?」
セシリー「そう?気のせいじゃない?」
トビア「それにしても、今回の仕事、これでよかったんですか?」
シーブック「ケネスさんがアレでいいって言ったんだし良かったんじゃないかな?」

ザビーネ「ギギとかいうNTとは再会できたようだしな」
トビア「うーん……でも、まだギギさんを狙ってるやつらはいる気がするんです……」
セシリー「そうね、今回の件であのNT研究所は懲りただろうけど」
シーブック「世界中にはまだまだNTを利用してやろうって輩は沢山いるしな」
ザビーネ「だからと言って我々が全てを相手するわけにもいくまい?」
トビア「……ええ。せめて僕らの目の届く所にいてくれればなあ……」

……キンケドゥはキンケドゥで今回の事件を振り返っていた。

ブライト「あいつら、何コソコソしてるんだ?」
ミライ「若い子たちは若い子たちで話が合うのよ」
シャギア「何をおっしゃいます。奥さんも十分お若い」
オルバ「ええ、あの伝説の『木馬』の関係者とは思えない」
ミライ「あら」
ブライト「……おいおい。ところで君たちはいつまでフラフラしてるつもりだ?なんなら仕事の面倒見てもいいが」

シャギア「ありがたい申し出ですが、お断りしますよ」
オルバ「誰かの元に付くって言うのは、僕らの美学に反するからね兄さん」
シャギア「それに今は、『こいつ』のおかげでしばらく金には困りそうにありませんので」

そう言って、シャギアは懐から、一枚のフロッピーディスクを取り出した。

オルバ(ギギ・アンダルシアに関する全てのデータが無くなってると知ったら、あのNT研究所の所長どんな顔したかな?)
シャギア(さぞ見ものだったろうな……だが諦めが悪いのも奴らだ)
オルバ(また、変な動きを見せたら……これで脅してやればいいね)
シャギア(少なくともこれでこの町のNTたちに手を出そうなどとは考えないだろう)

この町のNTたち。
例えば、永遠のライバルの少年の、愛しい愛しい彼女とか。
自分たちにパフェをご馳走させる不届きな双子の姉妹とか。

オルバ(前までは……二人いれば世界は完成すると思っていたはずなのにね)
シャギア(ふっ……オルバよ、人生は長い。もうしばらくこのステージを楽しむとしよう)
オルバ(そうだね。兄さん)

双子の間だけの会話は、そこで終わった。

396 名前:ギギをめぐる冒険 4/6 :2009/06/25(木) 19:46:15 ID:???
クェス「……『インチキ医者』に届いたリーク情報の提供者ってさ、まだ分かんないの?」
ハサウェイ「僕は何も聞いてないけど」
クェス「もしかしたらあの双子かも」
ギュネイ「なに?」
クェス「ギギがそれっぽいことを言ってた」
ハサウェイ「本当かな……」
ギギ「本当よ」
ギュネイ「……だったらキンケドゥとカチ合ったのもあいつらのせいか?」
ギギ「それは分かんないな……」

ハサウェイ「ん?」

あまりに自然に会話に参加したので、その違和感に気づくのに遅れた。

ハサウェイ「ギギーー!?」
ギギ「久しぶり」
クェス「アンタ帰ったんじゃなかったの?」
ギギ「帰ったわ。でもやっぱり向こうでケネスの職が見つからなかったから、こっちに引っ越してきたの」
ギュネイ「はああ!?」


ケネス「と、いうわけで久しぶり」
シーブック「ケ、ケネスさん!?」
カロッゾ「パンを食うか!?」
セシリー「な、なんでこちらに!?」
ケネス「いや、色々考えてこっちの町の方が安全かと思ってさ。
    そろそろフラフラせずに腰を下ろして、また君たちと一緒に仕事したいと思ってね」

カロッゾ「仕事?」
ザビーネ「カロッゾさま、ノア夫妻にもこちらの新作パンを試食してもらっては」
カロッゾ「ん?そうだな。うーむ、新しい顔は実に馴染むなあ」

シーブック「……で、どういうことです」
ケネス「今、言ったとおりだよ。この前一緒に仕事させて貰って、オレワクワクしてきてな」
セシリー「ワクワクされても。こっちはドキドキです。裏稼業より先に表稼業見つけてください」
トビア「じゃあ、ギギさんも僕たちの仲間に?」
ケネス「……残念ながら『幸運の女神』はあちらにほほ笑んだ様でね」

ケネスは苦笑しながら、4人組へと目をやった。

397 名前:ギギをめぐる冒険 5/6 :2009/06/25(木) 19:49:16 ID:???
ギギ「秘密を知ってしまった以上、私もマフティーの仲間になるしかないわね」
クェス「別にならなくてもいいわよ。言いふらしても気にしないし」
ギュネイ「いやいやいやいや」
ハサウェイ(『幸運の女神』……クェスといい、どうして僕の回りには……)


ブライト「ン……なんだ、ハサウェイのやつ。クェスと違う女の子と話してるぞ」
ミライ「意外とやるわねあの子も。誰に似たのかしら」
ブライト「たぶんミライ……いやなんでもない」

チェーミン「ベルナデット、カルルマン、ブラックロー、フランダース。お兄ちゃん達の所に行きましょー」
ベルナデット「はーい」
カルルマン「キャハハハ!」
ブラックロー「にゃあ」
フランダース「くーん」
ブライト「こっちはすっかりお姉さん気どりだな」
ミライ「チェーミンはお兄ちゃんっ子だけどね。面倒見もいいのよ」


クェス「で?マフティーのリーダーさん?どうするの?」
ギュネイ「うおーい!そんなはっきりと言うなよ」
ハサウェイ「怒っちゃいけないよクェス……それじゃ可愛い顔が台無しだよ」
ギュネイ「お前も何口説いてんだよ」
クェス「で、どうするの」
ハサウェイ「ン……」

ハサウェイ(シャアさんとかアムロさんならこう言う時うまい具合にするんだろうなあ……父さんなら、どうするかな?)

ギギ「自信を持ってよ」
ハサウェイ「え?」
ギギ「あなたには、ニュータイプになれる星があるのに」
ハサウェイ「……そうかな……よし」



━━━━その後、ギギとケネスは無事、日昇町の住人となった。
NT研究所は、すっかりと規模が小さくなってしまったようだ。

新しい住人が増えても、この町の日々はさほど変わらない……。

ただ、マフティー・ナビーユ・エリンに新しいメンバーが加わったという噂が、町を賑わしていた。
(終)

398 名前:ギギをめぐる冒険 6/6 :2009/06/25(木) 19:52:53 ID:???
というわけで終わりです。
色々広げた風呂敷を畳めてないですが、終わりです。
長いことgdgdとしてうち切りENDみたいで申し訳ない。
特にMSの大きさと重量を見誤ってたのは俺のミスだあ!

閃光のハサウェイ読んで
  • ギギは『幸運の女神』=運が良いNT少女
  • ケネスは奥さんと別れて、恋人に逃げられ、職にも付いてないマダオ。でもキンケドゥの創始者のひとりのナイスガイ。
っていうネタで膨らませてみようと思ったのが、全ての始まりです。
後は「割と幸せなノア家の風景で終わる」ってことを目指していました。一応。

とりあえず何が言いたかったかっていうと
マイナーキャラたちにも愛の手をっていうことでひとつ。
と言いつつレーンゴメンね。フォローなし。

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最終更新:2014年01月04日 22:40