ロランはスーパー『カミオン』で買い物中、
店長のオリファーに手作りのチョコ菓子を渡していた。

ヒイロとキラ等が大量にチョコを貰った為、兄弟宅の押入れのスペースをも圧迫する程であり、
処理に困っていたのだが、ロランが機転を効かせ、大量に余っているチョコを材料に
お手製のチョコお菓子を作り近所の人達に配っていた。
食べ物を粗末にする事も無く、日頃何かと迷惑を掛けているご近所さん達への配慮にも繋がる。
自分の考えとは言え、中々の名案。と、ロランも思っていた……

オリファー「お!ありがとう。僕は甘いのは苦手なんだけどね、マーベットが喜ぶと思うよ」
ロラン「日頃、安くして貰っているお礼ですよ。あ、ネスさんもお一つどうです?」
ネス(レジ係り)「私もいいの?じゃ、一つ、貰っちゃおうかなぁ~~♪」

買い物に訪れていたスージィとウォレンも、
ロランが配っている美味しそうなお菓子に目が止まらない筈は無い。

スージィ「ロランさん!そのお菓子、私も欲しいなぁ………」
ロラン「いいですよ(微笑み)ウォレン君もどうぞ」
ウォレン「やったねぇ~~~!!」

二人共、その場で小踊りする。ロランの料理上手は知られていたし、
実際に目の前にあるチョコ菓子からは美味しそうなオーラが漂っていたからである。

「 (゚∀゚) ウマ━━━━━━!!」

ロランのお手製のチョコお菓子を食べた人達による、幸せの雄たけびが店内に響き渡る。

ロラン「食べた人に喜んで貰うと、お菓子も作り甲斐がありますね (*´∀`*) 」

ロランがみんなの笑顔を見た後に、店を出ると……
ズザザ━━━━━━━━ッ!!と、グエン卿登場。

ロラン「グ、グエン様……」
グエン「や、やぁ……偶然だね。ローラ…ゼェハァ…、ゼェハァ…」
ロラン「そうですね。グエン様?息を切らしてますけどお風邪でも引かれたんですか?」
グエン「そうじゃないよ…。ゼェハァ…健康の為に少々マラソンをね……それで偶々偶然!!(大声で協調)
マラソンの途中に…ゼェハァ…この店の前を通り掛かったら…ゼェハァ…ローラが居たと言う訳さ」
ロラン「へーそうなんですか」
グエン「処で……うっ!」

グエンの気持ちを知る由も無いロランは、無防備にも何気なく髪をかきあげる、
なんとも堪らない色香を辺りに放つロラン……。その仕草を見て言葉が詰るグエン。

ロラン「何です?」
グエン(イ、イカン……ここで正気を保たねば……)
「いやぁ、ほら、その……ローラがチョコ菓子を配ってると聞いてね……」

ロラン「え?ああ、これですか?(可愛くラッピングされたお菓子の包みをトートバックから出して)
宜しかったらグエン様もお一つ如何です?チョコが沢山余ってて、配るの大変なんですよ」

グエン「せっ、折角の好意は…素直に受けないとな……(グエンの心臓の音 ドキン!ドキン!)
ロ…、ローラの…て、手作り…か、菓子ぃ…貰っておくとしよう」

最後のギリギリ一線で、正気を保つのがやっとなのが、今のグエン卿の心境である。

ロラン「あ、グエン様。糸くずが……」

糸くずが付いてると思い、グエンの首筋の線を引っ張るロラン。が……
それはイヤホンの線であり、ロランが引っ張った事により、耳からイヤホンが抜け、
その線に繋がっていたカードラジオのようなモノが、グエン卿の内ポケットからズレ落ちてきた。

地面に落ちたカードラジオのようなモノから音が漏れる
「wwヘ√レvv~ホワイトドールはA-43ポイントに到達wwヘ√レvv~ホワイトドールはA-43ポイントに到達─wwヘ√レvv~─ 捕捉、間に合うか?」

ロラン「!?」

グエン「い、いやぁ~~!!こ、これはその……ラジオだよ!!そう!!ラジオさ!!ハハハハハァ
(慌てて、ラジオと思しき通信機のスイッチを切る)
それじゃあな!ローラ!!このお菓子、有り難く味合わせて貰う事にするよ!」と、走り去るグエン卿

ロラン「グエン様はいつも忙しい人だなー……あ、そろそろ帰らないと!」
商店街の街灯時計を見て、夕飯の準備に取り掛からねば、とスッカリ、主婦をしているロランだった。



グエン「*・゜゚・*:.。..。.:*ローラの手作りお菓子!! 。゚(゚´Д`゚)゚。。 存分に味あわせて貰う!!*・゜゚・*:.。..。.:*」
嬉しさの余り、商店街の街灯によじ登り、今、自分の受けている幸福を、全身で現すグエン卿。

通りかかったソシエは、そのグエン卿を見て
「グエン様は毎度、ローラ、ローラ、ローラ……って ┐(´ー`)┌  馬鹿じゃなかろうか?」

その日の夜。オリファーの家にて、

オリファーが居間で呑気にTVを見ていると
付き合って数年経ち、倦怠期に入っている半同棲中のマーベットが
テーブルに置いてある可愛くラッピングされたお菓子を見つける。

マーベット「(;゚Д゚) オリファー、これは?」

「ああ、それはお店の常連さんがくれたんだよ。大家族だからウチとしても大切なお客さんなんだ。
それをくれたのは、よく気の利く子でね……。欲しいのなら、マーベットが食べていいよ」
お菓子には感心が無いとばかり、TVを見るオリファー。
丁度、TVにはオリファーのお気に入りの若手漫才師コンビのブルーノとヤコップが出ていて、
そちらの方に集中しているみたいだ。

マーベット「そうなの……」

チョコ菓子を手に取り(このお菓子、手作り?)口に放りこむマーベット。
(何、このチョコ?美味しい……義理だって言ってたけどホントなの?……
付き合いが長いから勝手に安心してたけど……、オリファーって意外にモテルのかも……
趣酒隊の人達は遊びだとしても………この菓子を作った娘。強敵だわ……)

ロランを男だとは知らず、ロランに対して静かな敵対心を燃やすマーベットだった。

(終)


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最終更新:2018年10月30日 15:10