692 名前:兄と弟と投稿日:04/12/11 03:47:15 ID:???
どうしたアル。こんな時間に。
何?コウが
ガンプラを作っていて溶剤臭くて眠れない?
仕方のないヤツだ。今夜はここで眠るといい。
───
せっかくだから何か話を聞かせてよ。
そうだな、それじゃ修行時代の話でも・・・
───たまには違う話も聞きたいよ。
うーん、じゃあ俺が今一番ファイトしてみたい人の事を話してやろう。
実はそれはシロー兄さんなんだ。
───えっ?どうして?
それはな・・・あれはお前たちが学校へ行っている時間の事だ。
兄さんが非番の時は決まってアイナさん家のノリスが決闘を申し込んで来るんだ。
これまでは何とか勝利を収めて、交際を認めさせていた。
だがその日はアイナさんのお兄さんが帰ってきていたんだ。
───アイナさん、お兄さんがいたんだ。
仕事が忙しくて、滅多に帰ってこれないらしい。
そしてノリスの代わりにお兄さんのギニアスが決闘を申し込んできた。
ところがその前日に大捕り物があって、犯人一味は逮捕できたものの兄さんのEz-8は大破していたんだ。
───誰かのMSを借りればいいじゃんか。
その日はみんな仕事や学校に行っていただろう?
警官が勝手に人の機体を持ち出して決闘に使うのはどうかと思うぞ。
とにかく残っていたのは俺だけだったんだ。
「頼むドモン!俺にシャイニングガンダムを貸してくれ!」
シャイニングは大事な機体だが、最近は使う機会が少なくなっていたのも事実だ。
それにシロー兄さんの頼みだ。断る理由などない。
問題があるとすれば兄さんがシャイニングを使いこなせるかどうかだったが・・・
兄さんは大量の重火器を装備して出撃していった。
そんなシャイニングの姿を見るのは正直複雑だったな。
693 名前:兄と弟と投稿日:04/12/11 03:48:25 ID:???
「
ギニアス・サハリン!貴様を倒して、俺はアイナと添い遂げる!」
「愛など粘膜が生んだ妄想だという事を思い知るがいい!」
そして町外れの採石場で決闘が始まった。
俺もこの闘いを見届ける為にその場に来ていた。
ギニアスの機体はアプサラスIII。強力なビーム兵器を搭載した恐ろしいMAだ。
拡散させたビームが光の雨のように降り注いだ。
だがシロー兄さんは初めて乗るはずのシャイニングでこれをかわし続けた。
───すごいやシロー兄ちゃん。
俺達ファイター程ではないが、警官も体は鍛えているだろ。
思った通りの動きができるモビルトレースシステムが有効に働いたんだろうな。
それに兄さんのEz-8もシャイニングも陸戦用の機体だ。相性も良かったのかもしれない。
ビームをかわしながらライフルにマシンガン、キャノン砲やロケットランチャーを叩き込んでいった。
これにはさすがのアプサラスIIIもボロボロになっていった。
だがヤツは・・・ギニアスはアイナさんのお兄さんとは思えないほど非道い男だった。
「武器を捨てろシロー・アマダ!この機体にはアイナが乗っている!」
なんとギニアスは無理矢理アイナさんを同乗させていたんだ。
これには兄さんも従うほかなかった。だが・・・
「シロー!私の事は構いません!兄を倒して下さい!」
「何を言うんだアイナ!君を傷つける訳にはいかない!」
「さあ、武器を取って!」
「おとなしく武器を拾わせるものか!」
再びビームの雨が降り注ぎ、なんとかかわしたものの武器は完全に破壊されてしまっていた。
狂ったように吐き出されるビームが付近に被害を及ぼし始めた。
通りすがりの女の子が巻き添えになって
ミンチになり、腕しか残らなかった。
「さあ、おとなしく私の夢を受け取るがいい!・・・なにをする!」
「今です、シロー!」
アプサラスIIIの動きが止まった。アイナさんが必死の抵抗をしたらしい。
だがシャイニングは丸腰だ。
ファイターではないシロー兄さんにはどうする事もできないはずだっだ。
694 名前:兄と弟と(実は激しく
中の人ネタ)投稿日:04/12/11 03:50:38 ID:???
「俺にはアイナを傷つける事はできない・・・ならば、方法はこれしかない!」
シャイニングの右手が輝き始めた。シャイニングフィンガーを使う気だ。
しかしファイターではないシロー兄さんには大した威力は出せないはずだ。
いや、威力があればアイナさんはミンチより酷い事になってしまう。
シャイニングの右手はそれ以上には輝かなかった。
これではとてもシャイニングフィンガーとは呼べない。
やはり無理だったか・・・俺はそう思ってあきらめかけていたのだが・・・
「シャイ、ニング、フィンガー!」
何と左手も輝き始めたではないか。
「オレハアイナトソイトゲル・・・・」
呪文のように呟きながら両手を組むと、その輝きは激増し本来のシャイニングフィンガーに劣らぬものになった。
「な、何だ!?」
「はああああぁぁぁっ!!」
そのままスラスターを吹かしながら突進、アイナさんの囚われているブロックへ叩き込んだ。
「ふんっ!」
そしてコックピットブロックを抜き取ってしまった。
「シロー・・・!」
アイナさんが顔を出す。無事だったんだ。
「おのれ・・・!」
「俺はお兄さんを倒す!ここまでやられて黙っていられない!」
「ハイ!」
そして拳を振り下ろした。
「光になれぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」
シャイニングフィンガーソードとはまた違った光の鉄槌。
アプサラスIIIは光の粒子と化し、ギニアスはミンチよりも酷い事になった。
シャイニングの全身が輝いている。
怒りのスーパーモードでもなければ、明鏡止水のスーパーモードでもない。
愛だ。愛のスーパーモードだ。
俺のシャイニングにはまだあんな力があったんだ。
それはまるで金色の破壊神だった。
アル・・・?眠ったのか。
おやすみアル。
この続きはまた今度な。
最終更新:2018年12月30日 23:52