264 名前:劇場版
機動ライダーステイメン(後) :2012/12/01(土) 23:06:07.68 ID:???
黒ラクス「さようなら、忌々しい戦士」
大きなクレーターの出来たスタジアム。その中心では、まだ煙が巻き上がっている。
ガトーとシーマが、クレーターの淵に駆け寄る!
黒ラクス「ふふ、次は貴方達ですわ」
ガトー「くっ……!」
コウ「貴様、の間違いだろ?」
消えゆく煙の中から、無傷のステイメンが現れる!
黒ラクス「な……!?あれを食らって、生きているはずが……!!」
コウ「ラクスちゃんは俺に、バルトフェルドさんに『助けて』と叫んだ!
独りよがりな力で……俺達を倒せると思うな!」
どこからとも無く現れたバイク「オーキス」に乗るコウ。そのまま、激昂したストフリの攻撃を華麗に避けてゆく!
ベルト「Over the Maximum Brightness……!」
黒ラクス「そんな攻撃、当たりませんわ!」
ラクス『いいえ、当たるのです』
黒ラクス「黙れ!!」
コウ「ラクスちゃんは貴様とは違う!自らの闇を引き裂く為に、痛みを覚える道を選んだんだ!!」
ベルト「DENDROBIUM FULL-VERNIAN!!」
前方にニンジン状のオーラを展開したオーキスが、一瞬でストフリを貫く!
黒ラクス「ぐっ……!」
コウはすかさずバイクからジャンプする!その手には、ニンジン状のオーラが生まれている!!
コウ「本物のラクスちゃんを引き剥がす!!」
ネオ「引き剥がす?2人のラクスは一心同体だ。今それを当てたら、ラクスは死んでしまうぞ?」
コウの脳裏を、リョウとの悲しい別れの光景が掠める。
コウ「あの時……俺は助ける事ができなかった!
だから特訓したんだ!その答えが、この一撃だ!!」
ベルト「Maximum Brightness……DEEP STRIKER!」
必殺のトライ、ディープストライカーでストフリを爆散させるコウ!
空から降り立つその両腕には、ラクスがしっかりと抱きとめられていたのだった!!
265 名前:劇場版機動ライダーステイメン(中) :2012/12/01(土) 23:09:57.31 ID:???
コウは目の覚めたラクスを優しく地面に降ろす。
ラクス「……ありがとうございます」
コウ「礼ならいらないよ。心の闇に飲み込まれそうになるのは、誰だってある事さ。
でも、そこから戻ってこれたのは君自身の強さだろう?」
ラクス「私の、強さ……」
ネオ「まさか、あれがやられるなんて……お守りは完璧だったんだけどな」
コウ「道具なんかで人の心は操れない。まして優しい女の子に、人を傷つけさせるなんて!」
ネオを囲むコウ達。
バルトフェルド「幾ら仮面を被ってもその声で分かる。お前の負けだ、
ムウ・ラ・フラガ」
ムウ(ネオ)「ははは……負け?何を言っているんだ?ここからが本番だぜ?」
そう言うと、ネオはストライクっぽい怪人に変身する!
すると、ストフリの影が再び生まれ、ストライクに吸収された!そして全身から黒い光を放つ、ストフリっぽい怪人が誕生する!
ガトー「黒い光の力が上がっている!?」
シーマ「切り離された純粋な黒い光を纏ったんだ……そりゃこうもなるさ」
ラクス「黒さんが言っていました。
黒さんは自分を創ってくれたネオさんに忠誠を誓っていると……!」
コウ「善人を装い、自分の傀儡に世界を支配させようというのか!」
ムウ「その通り。もし万が一計画の途中でラクスが倒されれば、俺がラクスの闇を吸収し更なるパワーを得るだけなのさ!
さあ行こう、慎ましくな」
そう言いながらムウは宙に浮かび上がり、無数のドラグーンでコウ達を襲う!
ガトー「くっ……!この攻撃のどこが慎ましいのだ!?」
ムウ「機動ライダー、お前の仲間と戦う心の強さは見せてもらった。だが、それは俺も同じだぜ。
俺と合体したラクスの闇が俺に力を与えてくれる!
後は貴様達を倒し、俺の中のラクスの魂を、もう1度ラクスの体に入れるだけさ!
そうなりゃ、本物のラクスの魂は潰れ、俺の創ったラクスが本物になる!!」
そう言うと、ドラグーンの全ての照準がコウへと向けられた。
266 名前:劇場版機動ライダーステイメン(中) :2012/12/01(土) 23:11:41.89 ID:???
コウ「違う……貴様と一緒にするな!!」
コウの凄まじい威圧が、ドラグーンを吹き飛ばす!
コウ「貴様は自分に都合のいい魂を創り出し、それを仲間と言い張っているだけだ!
生身の心の光を……俺達の輝きを……今、見せてやる!!」
コウの叫びに反応し、青い光がコウを包みこむ!
ベルト(CV:デュオ)「機動RIDER STAMEN BLOSSOM!!」
ステイメンの白いボディの各部に青いボディが生まれ、シルエットも変わる。
そう!コウは誰よりも優しい心を持ちながら、誰よりも激しい怒りと悲しみによって目覚めた戦士!
機動ライダーステイメン・ブロッサムへと変身したのだ!!
コウ「覚えておけ!ニンジンと困った人が待つ限り、俺は貴様を許しはしない!!とうっ!」
ステイメンはジャンプすると、エフェクトを残しながら空中を駆け、ストフリに強烈な連続攻撃を仕掛ける!
ムウ「くっ!?俺のスピードに付いてくるのか!?」
コウ「ムウ・ラ・フラガ!貴様は自分の為に、他人の心の光を弄んだ!
貴様の生んだ闇と共に……その罪を償え!!」
ステイメンの空中アッパーでストフリが吹き飛ぶ!
それをステイメンの残像が超高速で追い、再び強烈な一撃を加え吹き飛ばす!
そして!残像は更に残像を生み、終わらない攻撃を繰り返してゆく!!
コウ「消え去れ!貴様達の闇を……ラクスちゃんの悪夢も!!」
残像が1箇所に集まり、足にスパークを生じた、ニンジン状のオーラを纏ったステイメン・ブロッサムの実体が姿を現す!!
その姿に、ラクスは祈る様に両手を握りしめた。
ベルト「Over the Maximum Brightness……
ZEPHYRANTHES FULL-VERNIAN!」
そして必殺のドリルキック!ゼフィランサス・フルバーニアンがムウを倒したのだった!!
267 名前:劇場版機動ライダーステイメン(後) :2012/12/01(土) 23:13:59.75 ID:???
全てが終わったスタジアムに、コウ達が立っている。
ラクス「マネージャー……ごめんなさい。私、デビューの時に掛けられた言葉を忘れて……
売れれば良いと、スターになれれば良いと……」
バルトフェルド「いいんだ。俺達の考えしか伝えずにお前と一緒に歩けなかった、俺だって悪いんだからな」
ラクス「もう1度、私のマネージャーをしてくださいますか……?
もう1度、『売れなくてもいいから、ファンと寄り添いあうアイドルに』してくださいますか……?」
バルトフェルド「ああ。俺の方こそ、よろしくな……」
スタジアムに、光の粒が舞い降りてくる。
ラクス「あ……綺麗……」
シーマ「吸収された観客の心の光さね。もう暫くしたら、皆元通りさ」
ガトー「ならば、我々は去るとしようか。何せ、チケット無しで入場している」
コウ「ああ。そうだな」
ラクス「待って……最後に……!」
コウ「ん?」
ラクス「この事……貴方達の戦いは……きっと誰にも言えない、秘密だと思うんです。
ですけど……貴方達の事、ずっと覚えていてもいいですか?」
コウ「……ああ。もちろんだよ」
そう言いながら、コウ達は光の降るスタジアムを去っていった。
光は雪へと変わり、街の場面。
あの騒動からしばらく経ち、ラクス達の意向もあって彼女の人気は再び衰えた。
そんな中、何の宣伝も無くラクスの新曲が発売された。
CDショップの「ら行」にひっそりと追加されたその曲を、コウは手に取る。
コウが家に帰ると、ラクス達から小包が1つ届いていた。
中身はあの曲のCDと、感謝の言葉が書かれた手紙。
コウはCDが被った事に苦笑しながら、その内の1枚をプレーヤーに掛ける。
ラクスがコウとすれ違ってからのラクス自身や、コウがあのスタジアムで叫んだ言葉の散りばめられた曲が、
側で語りかける様な優しい曲調で、暖かい部屋に流れていた……
(エンディング…もちろん例の曲)
268 名前:劇場版機動ライダーステイメン(後) :2012/12/01(土) 23:15:05.56 ID:???
舞台裏…
ラクス「ヒタイダーに続き機動ライダーの曲まで……光栄ですわ」
アムロ「いや、俺達だってトップアイドルを起用できて本当に良かったよ」
キラ「ラクス、お疲れ様」
ラクス「キラも……毎日来てくれて本当に感謝しています」
キラ「か、勘違いしないでよね!
コウ兄さんやバルトフェルドさんを見に来ただけなんだからさ!」
ウッソ「キラ兄さん、緊張しすぎてツンデレになってますよ」
ブライト「それにしても悪役も、しっかりとはまっていたな」
ラクス「こんな悪い台詞を言う事ができるのか不安でしたけど……
シーマさんに教えてもらって頑張りました」
シーマ「ふふふ、悪役は得意だからね」
ムウ「ちぇっ、不可能を可能には出来なかったか」
バルトフェルド「戦えただけまだマシだ。俺は嫌なマネージャーで変身もサイコガンも出来なかった」
シーマ「それに比べて、おっさん連中は不満の様だね」
ブライト「ラゴゥかガイアガンダムに変身する案もあったんだがな。勿論、その時はアクターもしてもらうが」
バルトフェルド「という事はあの姿勢で……いや、最後は俺も報われて本当に良かった」
ムウ「あっ、汚ねえぞ!?」
ブライト「さあ、そろそろ舞台挨拶だ。敵も味方も仲良く頼むぞ」
一同「「はーい」」
おわり…支援ありがとうございました
最終更新:2015年01月29日 20:39