107 名前:コウに捧げるバラード1/7 :2011/04/26(火) 17:55:06.02 ID:???
流れ無視でKY投下、ごめんなさい。


もうすぐGW。連休の予定はいかがでしょうか。
え?……暇?せっかくの休日、何もないって?
でも心配ありません。そんなあなたと同じく、休日に予定のない男が
ガンダム家にも一人、おりました……

~5月某日、快晴~

コウ「この家は、地獄だ……!」

そうつぶやきながら一人、広いリビングで遅めの朝御飯を食べるのは
ガンダム家の五男、コウ・ウラキでありました。

コウ「ゴールデンウィーク、黄金週間ね……あーあ、
この世からなくなればいいのになぁ」

そんなコウが思い出しているのは、昨日、兄弟達に言われた言葉。
アムロ「会社のみんなと慰安旅行さ。留守番を頼むぞコウ」
セレーネ「スウェンに誘われてね、泊まりがけで星を見に行くわ」
マイ「私もヨーツンヘイム社の皆さんと旅行です」
シロー「連休は事故が起きやすいからな。しばらく休みがない」
ドモン「修行だ。今回はレインも付いてくるそうだ」
カミーユ「ファ達と買い物に」
シーブック「カロッゾさん、休みくれないんだもんなぁ……
セシリーが一緒だから構わないけど」
ロラン「ディアナ様にお誘いを頂いたので、ちょっと月まで
キラ「僕はホントは家にいたいんだけど、アスランが外に出ろって」
シン「マユとステラと一緒に(ry」
刹那「ガンダムと(ry」
ヒイロ「連休中の警備任務だ」
ガロード「どこで露店開くかな~稼ぎ時だもんね!」
ジュドー「ごめんガロード兄!俺、ハマーン先生の補習あるんだ……」
アル「バーニィが遊園地に連れてってくれるって!シュウトも一緒に」

108 名前:コウに捧げるバラード2/7 :2011/04/26(火) 17:58:02.21 ID:???
そうやって兄弟は皆、朝早くから出かけて行きました。
普段は兄弟達で騒がしいリビングも静まりかえっており
いつもより広く感じられます。

コウ「……キャプテンがいたと思えばメンテナンスでいないし、ウッソは
その前日に酒楽のお姉さん方に強制連行……うらやましい……」

静かな空間に響くコウの独り言……
喋れば喋るほど、コウの心には『孤独』の感情が広がっていきます。

『なんだコウ。せっかくの休みなのに出かけないのか』
『あんたそういえば、彼女とかいないんだっけ、ウフフ』
『コウ兄さん、出かける友達もいないんですか?アハハハ』

そんなこと言われてもいないのに、コウには兄弟達の蔑みの目が
浮かぶようでした。

コウ「……くっ!俺だって友人くらい……!けどキースもモーラと旅行、
ラグビーも休みだし、バニングコーチも奥さんと過ごすって……」

コウは朝食を済ませると部屋に戻り、ベッドにバタンと
倒れました。どうやらもう一度寝るようです。

コウ「……眠れん」

コウ「仕方ない……MSのメンテでもするか」

コウは作業服に着替え、家のMS格納庫へと足を運びました。


~兄弟家の格納庫~

コッコッコッ……

格納庫に響くコウの足音。
いつもは何機かあるはずの格納庫でさえ、今は隅のスペースに
コウのガンダムがちょこんとあるだけ。

コウ「ふぅ……コックピット異常なし、マニピュレーター左右ともに
異常なし……と」

コウの愛機であるフルバーニアン、ステイメンも、心なしか
泣いているように見えました。

109 名前:コウに捧げるバラード3/7 :2011/04/26(火) 18:00:59.61 ID:???
ピンポーン

コウ「……ん?玄関のチャイムの音……誰だろう?」

ガチャ
コウ「はい、どちら様……」
ネーナ「せっちゃ~ん!あ・そ・ぼ!」
コウ「あ……ああ、ネーナちゃんか、刹那なら出かけてるよ」
ネーナ「えーっ!つまんない。お邪魔しました~」バタン

コウ「なんだ……刹那のやつ、デートじゃなかったのか……」

格納庫へ戻り、機体の整備を続けるコウ

……ピンポーン!

コウ「またか……今度は誰だ?」ガチャ
ティファ「こんにちは……あの」
コウ「あれ?ティファちゃんじゃないか。ガロードと一緒じゃないの?」
ティファ「ガロード、いませんか……?」
コウ「ガロードは出かけてるよ。てっきり、ティファちゃんと
デートかと思ってたよ」
ティファ「ガロードと……デート……///」
コウ「そういえば、露店開くとか言ってたな……どこかは分からないけど」
ティファ「そうですか……ありがとうございます」ペコリ
コウ「あ、いえこちらこそ」ペコリ
ティファ「お邪魔しました」
コウ「気をつけてね」


コウ「意外とみんな、女の子と一緒にいるわけじゃないんだな……
ちょっと安心した……さて、あと少しでメンテ終了だ」


……ピンポーン!

コウ「またか!?なんで今日に限って来客が多いんだ?
いいや、居留守ってことにしよう……」

ピンポーン!ピンポーン!
コウ「……居留守です」

ピンポーン!ピンポピンポーン!

コウ「……あぁもう、うるさいなぁ……分かりました!出ますよ!」


コウ「……はい、どなた!?」ガチャン!

ガッ!!
『あいたっ!』

コウ「……えっ?」

110 名前:コウに捧げるバラード4/7 :2011/04/26(火) 18:04:28.08 ID:???
~兄弟家の居間~


シーマ「あいたたた……来客に向かって、いきなり
ドアを開ける奴がいるかねぇ」
コウ「ごごごごめんなさいシーマさん!その……
あんなドアのそばにいるとは思わなかったので……」
シーマ「おかげで、このシーマ・ガラハウとあろう者が
鼻血を流しちまったよ……どうしてくれるんだいコウ」
コウ「本ッ当に申し訳ありませんでした!その、とりあえずティッシュを」
シーマ「まあ、本当に留守なのかとドアノブ開けようとした
あたしも悪いんだけどね」

兄弟家の玄関にいたのはなんとシーマ様ことシーマ・ガラハウ。
とんでもない相手に傷をつけてしまったコウ・ウラキですが……

コウ「……どうですか、治まりました?」
シーマ「まだ血は止まらないよ。
しかし随分と荒れてるみたいじゃないか。よほど苛ついたことが
あったのかい?」
コウ「え?いえ、そんなことは……」
シーマ「コウの顔に書いてあったんだよ」
コウ「……いや、俺はただ……」
シーマ「……まあいいさ。そうだねぇ……あたしを傷つけた罰として
膝枕を頼もうか」
コウ「え!?ひざまくら?」
シーマ「鼻血が治まるまでコウの膝を借りようってのさ。早くしな!」
コウ「ハッハイ!」

112 名前:コウに捧げるバラード5/7 :2011/04/26(火) 18:06:53.92 ID:???
コウ「こう……ですか?」
シーマ「そう、あ、良い感じだね」
コウ「すみません、こんなことしたことないもんで……」
シーマ「そりゃそうだろうさ。普通は女の子にしてもらうもんさね」
コウ「アハハ……されたこともないです」


シーマ「……コウ、今日は一人なんだろう?
いつも騒がしい兄弟がいないね」
コウ「そうなんですよ。みんな出かけちゃって……」
シーマ「さては、それで荒れていたのかい?」
コウ「えっ」
シーマ「なるほどねぇ……みんな同僚や友人、彼女と出かけた。
そんな中、誰とも過ごす予定がなく、家で一人っきり……」
コウ「……」
シーマ「そりゃあ苛ついて荒れもするさ。独り身は自分だけ」

コウ「……シーマさんに何が分かるんですか」

コウ「シーマさんには俺の気持ちなんか分かりっこないんだ!
周りのみんなは仲がいい人と楽しく過ごし、俺は一人ぼっちで
静かに家で留守番……
そんな俺の気持ちが、シーマさんには……!」

シーマ「……分かるのさ」

コウ「えっ?」
シーマ「分かるのさ。あたしにはね……コウの気持ちが良く分かるよ」

シーマ「あたしは今まで、ずっと独りで生きてきた。一人で生きて
いけると思っていた。実際、今も独りぼっちさ」
コウ「シーマさん……」
シーマ「でもねコウ。人間ってのはそんなに強くない。
……もし強い人間がいるとしたら、それは強がってるだけさ」

113 名前:コウに捧げるバラード6/7 :2011/04/26(火) 18:08:37.62 ID:???
シーマ「今まで独りで生きてきたあたしは、ただ強がってるだけだと
気付いた。そしてそれに気付いた途端、寂しさが湧いてきた。
あたしも結局、強いように見えるだけで、弱い人間なのさ」
コウ「……シーマさんも……?」
シーマ「そんな時に出会ったのが……コウ。あたしと同じく、
寂しさを抱えている人間だった」 

シーマ「あたしはね、あんたと分かり合いたい。そう思ったのさ。
このシーマ様が、コウみたいな男に心奪われちまったんだ。
……笑っとくれ」

コウ「……シーマさん、すみませんでした……あなたの気持ちを
分かっていなかったのは、俺の方でした……」
シーマ「何言ってんだい、コウらしくないじゃないか。
あたしは、いつものコウが好きなのさ。強がっているコウがね」

シーマ「……お、ようやく鼻血が止まったみたいだね。
これで外に出ても恥かかないで済むよ」
コウ「大丈夫ですか?」
シーマ「もう心配いらないよ。心は弱いかも知れないが、身体は頑丈さね」


コウ「それで、今日は何の用で来たんですか?」
シーマ「そうだった、この茶菓子を届けにね」
コウ「あ、ありがとうございます」

シーマ「……それに、言っただろう?あたしもコウと同じ人間なのさ」
コウ「あ……!」


シーマ「どれ、コウ。あんた女の子の膝枕を知らないって言ってたね。
あたしが教えてやるよ」
コウ「え」


114 名前:コウに捧げるバラード7/7 :2011/04/26(火) 18:11:06.76 ID:???
~そして夕暮れ時~

ガチャッ
ウッソ「ただいま帰りました~」
ヒイロ「家に無事帰宅。任務完了」
シーブック「ただいま~」
カミーユ「ただいま」
ガロード「ただいま!今日はガッポリ稼いだぜ!ティファにも会えたし」
ジュドー「はぁ~、もう補習は勘弁してよ……」
アル「ただいまー!遊園地面白かったぁ!」
シュウト「ただいまー!」
キラ「ふぅ……もうサッカーなんてやめてよね」
シン「ん!?俺の服にアイスクリームの跡が!ステラがこぼした時か?」
シロー「あぁ疲れた、早く冷たいビールが飲みたいな……」

『あれ!?』

シーマ「騒がしいね。邪魔してるよ」
コウ「あ……あぁみんな、おかえり」

外出から帰ってきた兄弟達が見たものは、シーマ姉さんに膝枕される
ガンダム家、五男の図。

ジュドー「コウ兄さんとシーマさん!?」
シロー「コウ!一体なにがあった!?」
シン「しかも、膝枕!?」
ウッソ「おかしいですよコウ兄さん!」
キラ「まだ明るいうちからやめてよね」
カミーユ「……エロい」
シーブック「なんとぉっー!」
アル「お腹すいたね」
シュウト「うん」
ヒイロ「出前でも取るか」

コウ「あはは……はは」
シーマ「たまには、静かなのもいいものだろう?コウ」
コウ「ええ、そうですね」
こうして、静かだった兄弟家は再び騒がしくなりましたとさ。


シン「……ところで刹那は?泊まりじゃなかったはずだよな」
コウ「そういえば……昼にネーナちゃんが来たな。
刹那を探してたみたいだけど」
シーブック「まぁ刹那なら大丈夫だろう。心配いらないさ」
コウ「そうだな」


おしまい!
流れ止めてすみませんでしたm(_ _)m

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最終更新:2015年02月16日 20:19