私はここで何をしているんだろう?

エリシャ=クランスキーは隣りに立っている妹のマルチナを見つめて、溜め息をつく。
本当にここまで来ちゃったけど…別に今日じゃなくてもいいのに…
私だけなら、こんな事はしないだろう。と

姉のエリシャと妹のマルチナのクランスキー姉妹は
ご近所では俗にこう呼ばれている…有名な『ガンダム兄弟宅』の玄関の前に立っていた。

「やっぱり…明日にしましょうよ…」
私がそれを言い終わらないうちに、妹のマルチナは機関銃の如く言葉を並べたてる。

「姉さん、ここまで来て何いってんの!アレは男子のインボーでしょ。絶対に!
ウッソは年下だからオデロさんの言いなりだし、それを黙って見てるトーマシュ部長も
信用出来ないわよ。もう、ウッソを直接説得するしかないんだから!」

「けど…夜にお邪魔するなんて…ねえ?」
なだめすかす様に言ってみたけど、どうやら効果はなかったみたい。
妹は今にも玄関を蹴破り、中へと飛び込みそうな姿勢を崩さないし
こんな調子だから、私が妹の付き添って来たことが、正解だったのか、失敗だったのか、判断に迷ってしまう。

常々、妹のマルチナには大胆さや行動力では叶わないとは思っていたけど
今回は面倒なことが起りそうな、そんな予感が少しあって
妹のことを放ってはおけないけれど、私としては勘弁して欲しいのよね、という気分だった。


143 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:08 ID:???
私の妹、マルチナ=クランスキーの怒りは放課後の些細な出来事が発端だった。

私達、クランスキー姉妹は小学校から高校までの一貫教育が売りの私立学園に通い
学園では園芸部リガミリティアに所属している。
その日の放課後、園芸部が使っている温室の片付けから戻ってきた妹のマルチナが
部室の壁に掛けられている当番表を見た事が、そもそもの始まりだ。

真新しくプリントされた当番表を見たマルチナは一言。
「何、これ!?」と言ったかと思うや、部室から飛び出して
園芸部の男子部員を探したが、誰1人として捕まらない。男子は全員、帰宅した後だった。

男子部員を捕まえ損ねたマルチナの怒りは収まらなくって
「これからウッソの家に理由を聞きに行く!」と、独りで息巻いている。

その場に居たマルチナよりも歳下の女子部員、スージィ=リレーンは
妹の迫力に押されっぱなしで、声も出せずに、ただ、オロオロするばかりだし

同じく女子部員のシャクティ=カリン。この子はマルチナとは歳が近いけれど
大人しいというか、年齢の割に怖い位に落ち着いている子なのよね。
そのシャクティが「明日、話を聞いてみたら…」とか言う言葉にも妹は耳を貸さなかった。

妹のマルチナは頭に血が昇りやすい性質で一旦、怒ると
自分の気が済むまでは誰の話も聞こうとしないんだから…。
この妹に対して姉の私はどうしたらいいのだろう?

私としては、このままマルチナを独りでウッソ君の家へと行かせたら
何か揉め事が起きそうで、そうなると向こうの家にも迷惑がかかるだろうし、とか
頭の中を不安が駆け巡って、結局のところ、私は妹に付き添う事にした。

私が一緒に付き添って、途中で話か何かを聞いてあげれば
それで妹の、マルチナの気も晴れるかもしれないし
妹は気分屋なところがあるからって、そんな甘い考えもあったりもした。

…が、現実はそんなに簡単じゃなかった。

日が暮れて、辺りが暗くなっている時間帯に
私は妹のマルチナに引き摺られる形で『ガンダム兄弟宅』の玄関の前に立ってる訳だし
隣りで妹が玄関の戸を叩いているのを止められないんだもの。


144 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:11 ID:???
妹が玄関の戸を叩くと、この家の兄弟…確か十男だか、十一男だか、の
ジュドー=アーシタが姿を見せて私達姉妹を迎えてくれた。

ちなみに、この『ガンダム兄弟』は全員で十三人も男ばかり居る、最初にその話をウッソ君から聞いた時
私は悪い冗談で私のことを担ごうとしているのかな?と思ってしまった程だ。
そんな話、有り得ないでしょ?今時ねぇ…。

「あれ?エリシャさんに…マルチナまで?どうしたの?」

「御免なさいね。夜遅くて…」
「ウッソに話があるの!ウッソを呼んできてよ!」

マルチナは私の言葉を遮ると、噛み付くような眼つきでジュドー君の事を見ている。
この子の行動を見てると我が妹ながらも呆れてしまう。
私はこれから起るだろうアレコレを考えるだけで頭が痛くなった。

「マルチナ?なに、怒ってるんだ?」

ジュドー君は妹の態度に驚いてる。
そりゃ、不機嫌そうな顔をした妹が夜、家まで訪ねてきて…ウッソに会わせろ!とか
怒鳴ってるんだから当然よね。

やっぱり、ここで引き返すべきかもしれない…そう思うと私は妹に対して最後の説得を試みた。

「あ、ジュドー君。この子の事は気にしなくでね…え~っと、やっぱり帰りましょうか?マルチナ?」
「駄目!今、ウッソに話があるんだから。帰らないわよ!帰るなら姉さん独りで帰ったら?」

「なんでそう…アナタは頑固なの?」
「そういう姉さんはウッソの作った当番表には賛成なの?アレで良いの?」

「良いとは思っていないけれど…」

「あの、何があったか知らないけれどさ…いいから上がんなよ。ウッソに話あるんだろ?」

玄関先で痴話ケンカをしてしまった私達姉妹をジュドー君は家へと上げてくれるそうだ。
こうなったら仕方ない、と
私は渋々、兄弟宅の玄関の敷居を跨ぐことにした。破れかぶれの心境だ。


145 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:13 ID:???
居間へと通された私と妹のマルチナは

「俺がウッソを呼んできてやるからさ、クランスキー姉妹はこの居間で待っててよ」

と、言い残して階段を上がっていくジュドー君を『ガンダム兄弟宅』の居間で待つ事にした。

それはまぁ、いいとして…問題なのは私達姉妹が居る…この居間には
他の『ガンダム兄弟』達も居て、各々が私達の存在を無視するかのように寛いでいる事だ。
これが男所帯のむさ苦しさ…というかな?
非常に居心地が悪くて、私は落ち着きも無くソワソワと周りを見回してしまう。

あ、あの寝転がってTV見ている人って…あれ?
もしかして……厭だ、サイテー
鼻に指を入れて何を穿ってるんだか…けど、あの人は確か…

オデロ君とか、男子達が園芸部の部室にスポーツ新聞を持ち込んで読んでいる時に
チボデーの殺人パンチは打撃最強だ。とか、
アルゴのパワーは技術論を超えるものがある。とか
男子が騒いでる格闘技か、何かで有名な人だったわよね?

そうそう、確か、ドモン=カッシュさんだ。
それは兎も角…私達の前で鼻の穴を穿るのは止めて欲しいんですけど。

端の方で座ってるのはヒイロ=ユイ。
ヒイロ君は何時もタンクトップに短パン姿だけどこの時期、寒くないのかしら?
今も無線機みたいなのをずーっと弄ってる。私は彼と喋った記憶が無い。
ヒイロ君自身、無口なタイプで何考えてるか分からないし
根暗なイメージがあって取っ付き難くてね。少し苦手かも

私が『ガンダム兄弟達』を観察して、ジュドー君が戻るまでの時間を潰していると
背中を向けて寝転び、雑誌を読んでいたガロード=ランが急にこっちを振り向いたものだから
私とガロード君は目が合ってしまった。


146 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:15 ID:???
私とガロード君は学年も近いから授業が一緒になる事も多い。
ただ、同じ授業を選択しいても、ガロード君が教室で一日じっとしている事は少なくって
気付いたら、姿を消していたりする。
その場合、殆どはジュドー君とつるんで何か悪さをしているみたいなんだけど。
要するに落ち着きがないのよね。

ガロード君が物珍しそうな顔付きでこっちを見て、話し掛けてきた。
「アレ?来てたんだ…。珍しいねえ?」
「何が珍しいの?」

「クランスキー姉妹だけでウチに来るのは珍しいじゃん。今日はアイツ等が一緒じゃないのかよ?」
「アイツ等…って?」

「ほら、何時もツルんでるさぁ…ひょろっとしたのと、人相の悪いの。二人が居るだろ?」

隣りで大人しくしていた妹のマルチナが頬っぺたを膨らまして答える。
「ウォレンとオデロさんの事?あたし達は別にツルんでないわよ!」

「そうかぁ?何時も一緒にいるのに…」
「それは、あの人達が勝手に付いて来るだけです!知らないわよ!あんな人達!!」

「をを、こぇ~なぁ…そうかい、分かったよ」
ガロード君はマルチナの機嫌の悪さを察したようでやれやれ、と首を傾けると
さっきと同じように寝転んで雑誌を読みだした。

ああ、もうマルチナってば!! 人様の家にお邪魔しているのに、この態度は…
私は妹に耳打ちをして、少し釘を刺すことにした。

「マルチナ…今の、良くないわよ」
「だってぇ、姉さん?別に私はウォレンと付き合ってる訳でも何でもないのよ。
姉さんだって、オデロさんとは付き合ってないんでしょう?」

「それは…そうだけど…ね、それでも…」
「周りから誤解されるのはもうウンザリなの。それに…男子がみんなして、あの当番表を決めたのよ!
そんな人達、こっちで御免だわ!」

「確かに誤解されるのは困るわ…けど、私が言いたいのはそういう事じゃなくてアナタの態度が…」


「あぁぁ!!!何でチャンネルを変える!?」
私はビックリして思わず大声の方を見ると
さっきまで寝転がってTVを見ていたドモンさんが立ち上がって、騒いでいる姿があった。


147 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:17 ID:???
どうやらドモンさんが騒いでいるのはTVのチャンネルの事らしい。

「ヒイロ!!俺は今、突撃プリペンダー!を見てたんだ!
いいか?これからプリペンダー達がなぁ。敵のアジトに乗り込んで大暴れする処なんだよ!早くチャンネルを戻せ!!」
「駄目だ。今はこのニュースを録画をしている」

「ニュース!?なんでそんなの録画する必要ある?今、プリペンダーが大変なんだぞ!
そっちの方が大事だろ?いいから!チャンネルを戻せよぉ!!」
「駄目だ」

「そうか…なら、力づくでもチャンネルを替えさせて貰うぞ、いいのか?」
「…仕方ない」

嫌だ、なんだか雰囲気が怪しくなってきた。ドモンさんは拳を強く握ってる。
この人、プロの格闘家なのよね?それなのに本気で弟を殴る気なのかな…。
ヒイロ君の方は、あれは…ピストル!?銃に弾を装填してるみたい。
まさか、本物じゃないでしょ?…モ、モデルガンか、何かよね?

TVのチャンネル争い程度で兄弟の喧嘩…っていうより決闘に近い雰囲気かも。
なんでこんな事で一々喧嘩するのかしら?
お互いにもう少し譲り合えばいいのに

ドモンさんは年上なのに少し子供っぽい人みたい。引かないヒイロ君もヒイロ君だけど…。
ああ、今日はタイミング悪いのかなぁ…目の前で喧嘩なんて見たくないのに。


148 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:19 ID:???
ドモンさんとヒイロ君の二人の間には、張り詰めた空気が流れていた。
それを見たガロード君が二人の間に割って入る。仲裁するらしい。
良かった。目の前で喧嘩されちゃ堪らないわよ。

「まぁ、まぁ…二人ともさぁ…冷静になろうぜ?なぁ?ヒイロ。ドモンの兄貴もさ…
大体、なんでヒイロは突然ニュース番組の録画なんかをさ、しだしたんだよ?」
「……」

ガロード君の言う通りだ。私はこの喧嘩の原因になっているニュース映像を見たけど
ブラウン菅に流れてるニュース映像はピースクラフト財団とか、なんとかの
チャリティセレモニーのニュースが流れているだけだった。

!?…ヒイロ君が固執するニュース映像って、チャリティイベントの模様を映したモノ?…

「……アレレ?これって、リリーナさんが出てるじゃん?そうだよね?ドモンの兄貴」
「ああ、そうだな。何かの式典のニュース映像らしいが…」

「ハハァ~ン…それでニュース番組を録画したりとかしてんのかぁ~ヒイロは」
「そうなのか?…でも、なんでこの時間に流されるのが分かったんだ。ヒイロ?」
「…さっき、アマチュア無線仲間からリリーナの情報を傍受した」

「へぇ~流石、ヒイロ。ラジオライフの愛読者だけあるなぁ」
「録画完了……。済まなかった…ドモン…兄さん」
「あ、いや…いいんだよ。俺も大人げなかった…ハハハハッ。それならそうと最初から言ってくれればなぁ?
ガロードもそう思うだろ?ヒイロは本当に…」

どうやら喧嘩は終わったみたい。
ドモンさんがヒイロ君とガロード君の肩を抱いて三人で和やかに笑ってる。
い、いちおう…仲直りした。という事よね?…喧嘩する程仲が良いって奴?
全く私には訳が分からない。理解不能だ。

暫くしてジュドー君が居間へと戻ってきた。
「ごめん、ごめん。待たせちゃって…ウッソは部屋に居なかったよ」


149 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:22 ID:???
ジュドー君の言葉に私は途惑ってしまった。

「え?…居ないの?」
「それがさぁ…他の部屋も探したんだけど、何処にも居ないんだよね。外に出かけたのかも?
シャクティの家にでも行ってるのかな?…」

隣りに座る妹はそれじゃ納得しない、という顔してる。
私としては、マルチナがウッソ君を問詰める場面を見なくて済むんだから、良い事なんだけど
妹はそうじゃなみたい。けど、ウッソ君が居ないんだから仕方ないでしょ?

これで今日は何も起きない。良かった…。安心してこれで帰れるかな。
「ウッソ君が居ないんじゃ、仕方ないわね…マルチナ、さぁ、帰りましょう」

「ウッソ達なら今、お風呂に入っているとこですよ」
エプロン姿のロラン=セアックがヤカンを片手に居間に現れて、私と妹にお茶を勧めてくれた。

ロラン君は学校も定時制のクラスに通っているから、私とは余り面識が無いけど
彼のことは尊敬している。この家の『ガンダム兄弟達』の家事を全て1人で引き受けているらしい。
13人もの大家族の面倒をみるなんて、そんなこと、私には真似できないから。

「ウッソはもうすぐお風呂から上がると思います。よかったら少し待ってて下さいね。
大したお構いもできませんけど、どうぞ…。
あ、この甘栗は今日、キエルお嬢さんから頂いたモノなんですよ」

「戴きまぁ~すぅ!」
「あ、こら。マルチナったら…ロラン君。こちらこそ、夜分遅くに突然お邪魔して御免なさいね」

結局、ロラン君と私達姉妹は甘栗を食べてながら、ウッソ君がお風呂から上がるのを待つ事になってしまった。
折角のチャンスだったのに帰り損ねたのだから私としては失敗したことになる。
ロラン君の好意からのおもてなしも、今の私にはあまり有り難くなかった。

今日はつくづくタイミングが悪い日なのかも。


150 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:24 ID:???
「で、ウッソに話って何です?」

私と妹とロラン君は甘栗を剥きながらお喋りを始めた。
どうやらロラン君は弟のウッソ君がお風呂から上がるまでの間、私達の話し相手を勤めてくれるようだ。

「それが、園芸部の事なんだけど…」
「ウッソは毎月、校舎内の公園の管理スケジュールを立ててるんです。それが酷いの!」

「はぁ…」

「先月もそうだけど…今月なんか、女子の休みの日の当番は全部で7日もあるんです!
男子は1日しかないのに!これ、おかしいと思いません?」
「マルチナ、少し抑えて…ロラン君、御免なさい。この子、カッカ来てるみたいで」

「いえ、良いんですよ。僕も聞きたいですから。で、その園芸部の当番は…」

ロラン君はマルチナの話を嫌がらず聞いてくれようとしている。
それなら…と、私はこの時点で妹のことをもう止めない事にした。
ロラン君が間に入って、弟のウッソ君とマルチナの話を取り成してくれれば
なんとかなりそうだな。と、思えたからだ。
あとは私がどれだけ心配してもどうにかなる話でもない訳だし、これで少し、肩の荷が下りたのかも。

身体の力が抜けた私が、ぼんやりと甘栗を頬張っていると
廊下の奥からドアの開く音がして、同時に聞きなれた声が聞こえてきた。これはウッソ君の声!

「ロラン兄さん。洗濯物、ここに出しておきますからね!」

脱衣所のドアはそのまま開きっぱなしになっているみたいで
風呂場ではしゃいでる声、というモノが廊下を通して居間の方へと
微かに伝わって…いや、ハッキリと、ハッキリと聞こえてきた。

「アル!風呂場で遊ぶの、いい加減に止めろよ!」
「イヤだよ!」
「シーブック兄さん、石鹸取って貰えます?」
「ウッソ、ホラ」
「ありがとうございます」
「アル、カミーユの言う通りだぞ。風呂場は滑るから危ないんだよ。静かにしてろって」

風呂場の声。これ、ウッソ君以外の、複数の人の声が聞こえてくるんだけど…何で!?


151 名前:エリシャと投稿日:03/10/18 02:26 ID:???
明らかに風呂場からは複数の声が漏れている。
私は少し躊躇いながらも、妹の話を遮ってロラン君に質問をしてみた。

「あの…ロラン君。いいかしら?…えーと、その…
今、お風呂に入ってるのは、ウッソ君以外の…その、ご兄弟も入っているのかしら?」
「はい、そうですけど。ウッソと、シーブックに、カミーユと、アルも、ですから…4人になりますね」

「よ、4人、一緒?…」
「そうですよ。何か可笑しいことでもあります?」

「え?…」
妹のマルチナは目を丸くして驚いている。私もだ。
そんなの…兄弟だからって、今時、一緒にお風呂を?…しかも4人で入っている?
私とマルチナでさえ、もう何年も前に一緒にお風呂に入るのは止めているのに。

「今でも兄弟でお風呂に入ってるのが…ちょっと驚いちゃって…小さい頃とかなら別かもしれないけど」

ロラン君は珍しいモノを見ているような表情を顔に浮かべて、私のことを見ている。
それはその場に居た他の『ガンダム兄弟達』も同じだった。

「驚くような事かな?」ガロード君は可笑しいのはお前等の方だろ?という風な顔で私の事を見ている。
「さぁ?普通でしょ」ジュドー君は私が何を驚いているのか?分からないみたい。
「ああ、普通のことだ」ドモンさんも同じ意見のみたい。
「…風呂はみんなで入るものだ」無口なヒイロ君までも…

「家族ならみんな、一緒にお風呂に入るのは普通だと思いますけど…クランスキー家は違うんですか?」
ロラン君はソレがあたかも正常で、普通の行為であるかのような顔をしている。

「え?…あ、そ、そうよね…そう、その通り。別に可笑しくないわよね…。御免なさい。
私、変なことを言っちゃって…気にしないで」
私は苦笑いしながら、今のは失礼に当らなかったかしら?と、その場を取り繕った。

どうやら…『ガンダム兄弟達』の反応を見る限り、この一家はお風呂は皆で入るのが常識らしい、と分かったからだ。
13人家族と言えばかなりの大家族だ。お風呂に使う水道代金も馬鹿にならないだろうから
大家族ならではの倹約方法。生活の知恵なのかもしれない。と、私は納得する事にした。

あまり他所様の人の家の事とか、どうこう言うモノでもないし……。


link_anchor plugin error : 画像もしくは文字列を必ずどちらかを入力してください。このページにつけられたタグ
エリシャと エリシャ・クランスキー ガンダム一家 ガンダム家 シリーズ マルチナ・クランスキー 長編

+ タグ編集
  • タグ:
  • シリーズ
  • 長編
  • エリシャ・クランスキー
  • ガンダム一家
  • ガンダム家
  • エリシャと
  • マルチナ・クランスキー
最終更新:2018年12月03日 11:53