986 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/11/27(日) 13:45:01.62 ID:???
某3姉妹漫画とここのスレを読んでたら頭ン中が大変なことになった・・・
この物語は今から10年前の
ガンダム兄弟の平凡な日常をたんたんと描くものです。
過度な期待はしないでください。
アムロ(19)「コウ、ちょっと買い物を頼まれてくれないか」
コウ(9)「えー、今忙しいよ」
セレーネ(18)「忙しいってあんた、
ガンプラ作ってるだけじゃない!
うちにはチビ達がいっぱいいるんだから、ちゃんとお手伝いしなさいよ、お兄ちゃんでしょ」
コウ「うーっ」
アムロ「ほら、おつりでお菓子買ってきていいから。メモ通りにしっかり買ってこいよ」
コウ「はぁい」
アムロに渡された財布からメモを取り出してスーパーを歩くコウ。
コウ「じゃがいも、たまねぎ、お肉、人参・・・今日はカレーかなあ」
メモに書かれた食材を見つけることは小学生のコウにも難しいことではなかった。
かごの中に次々と入れられる食材。
コウ「この人参、なかった事にできないかな・・・」
メモの中にある人参。
コウは人参が嫌いだった。
なぜ嫌いかはコウにもはっきりわからないけれど、独特の甘みとか匂いとか全く受け付けなくて
配膳の際に「ニンジンいらないよ!」と兄たちにいうのだけれど、
「そんな事じゃ大きくなれない」とか「好き嫌いはするな!」とか叱られてばかりだった。
コウ「でも、メモ通りに買ってかないと怒られるし、なあ」
野菜売り場に「特売!」とポップの付けられた人参を見上げてコウは深いため息をつく。
普段は優しい兄や姉が、怒ると怖いのは知っている。
よく兄弟の面倒を見てくれるおとなりのマッケンジー夫妻や、長兄の友人だというシャアなどは幼い兄弟に甘かったが
今日は彼らがいないから、兄たちのお小言が待っているだろう。
コウ「うう・・・ニンジン、いらないよ」
コウがそうやって悩んでいると、大きな影が横に並ぶのが分った。
コウ(あれは・・・ガンダムの妖精さんだ)
見上げた先の大男。
金色の巻き毛にスラっと伸びた体躯、幼いコウにも見覚えのある顔つき。
名前は知らないけれど、ホビーコーナーでよく見る人間だ。
ガンプラを前にして「抱きしめたいなあ!ガンダム!」とか「会いたかったぞ、ガンダム!」などと
大声でガンダムへの愛を叫ぶさまは幼いコウにはとても異様に、そして同じようにガンダム好きのコウにとっては堂々と愛を語るさまが少し(ほんの少しだけ)かっこよく見えたのだ
おそらく、この
日登町の住人であることは間違いないはずなのだが、ガンプラコーナーでしか見かけることができないからコウはその金髪の大男のことを「ガンダムの妖精さん」と呼ぶことにした。
987 名前:通常の名無しさんの3倍 :2011/11/27(日) 13:45:19.50 ID:???
ガンダムの妖精さん「愛、か・・・」
ガンダムの妖精はコウのとなりでニンジンを一袋取り、それを自らの顔の近くまで持ち上げた。
妖精「色彩の乏しい和食を鮮やかに彩る。しかし見た目ばかりではない。
大切な栄養をたっぷりと備えている。
今まで見落としていたが、あえて言わせてもらおう、ニンジンは素晴らしい!」
コウ「!?」
突然ひとりごとにしては大きな声でニンジンについて語りだすガンダムの妖精にコウは驚いたような顔でその様子を見上げる。
いままでこの妖精はガンダムについて愛を語ることはあったけれど。
妖精「そうか、これには、愛が溢れているな!ガンダム!
一袋いただこう」
コウ「愛・・・・」
ガンダムの妖精の語りに圧倒されてコウも嫌いなはずのニンジンを一袋手に取った。
10にも満たないコウには「愛」なんてよくわからないけれど、
前にニンジンが嫌だと喚いたときに
嫌いな物を無理に食べろとは言わんがね、コウくん。作った者の感情を人は忘れてはいけないんだ。
この人参1つにしても、人参を作った人の愛が、そして料理には君のお兄さんたちの愛が詰まっているのだからな。」
しかる兄らをよそに優しく頭を撫でてちょうど
ガンダム家に遊びに来ていたシャアがそんな「愛」を説いていたことをふと思い出した。
その時のコウは今よりももっと幼くて「でも、やっぱり人参いらないよぉ」といって結局食べなかったのだけれど。
コウ「愛か・・・・ うう・・・いただこう」
コウもガンダムの妖精を真似て、人参を取ると買い物かごのなかに入れた。
兄たちのように怒らなかったシャアも、ガンダムの妖精も人参には愛があるといっていた。
まだ子供だからそんな難しいことはわからないけれど、自分の一目おくガンダムの妖精が言っているんだ。
人参を食べれば、ガンダムの妖精のように堂々とガンダムについて愛を語り、ガンプラをうまく作れるようになるかもしれない。
そう思ってアムロから渡されたメモ通りに買い物を済ませ、重い荷物をもって帰宅の途についたのだった。
翌日
アムロ「シャア!聞いてくれ!」
シャア「どうした、アムロ、君の方から珍しい」
アムロ「あの人参嫌いなコウがカレーに入れた人参を全部食べたんだよ!こんなに嬉しいことはない!」
シャア「ふむ、コウくんにわたしが人参の素晴らしさ(特に赤い部分)を説いたおかげかな」
アムロ「いや、君のおかげじゃないらしい。カンダムの妖精が何とかとか言っているんだよ」
シャア「妖精?君の弟は能力者だったかい?」
アムロ「そんなはずはないと思うが、コウにはララァは見えないようだし。
ええい!妖精なんてどうでもいいんだよ、シャア!コウが人参を克服するチャンスなんだ!
今日の夕飯は人参三昧といこうと思ってだ、何かいいレシピはないかな」
シャア「まて!アムロ!それは焦燥すぎる!階段はゆっくり、一段ずつが基本だろう!
そんなことをすればまた、コウくんに人参嫌いの冬が来るぞ!」
アムロ「人のセリフをとるなシャア!今なら、コウの人参きらいが直せる絶好の機会なんだ」
シャア「それはエゴだとなぜわからん!」
結局、シャアの助言を聞かずに人参三昧の夕食を出したところ、コウの人参きらいがすぐにとびでてしまったんだってさ。
最終更新:2015年05月01日 22:15