664 名前:621続き :2012/10/17(水) 22:18:35.68 ID:???
流れぶった切って長編?投下。
ビール様の力を借りて書きあげたはいいものの、1時間クオリティの支離滅裂捏造設定中身薄誰得で無駄に長いので注意。
規制対策で少しずつ分けて投下します。ところで、焼き芋美味いよね



TV『………連日のゲッター線が未だやまない永井市からの中継でした。続きまして、鵺市に出現した大量のヴァジュラについて続報が………』

シロー「………相変わらず、あちこち物騒だなぁ。おちおち出歩けもしない」
久しぶりの非番。時刻は11時になろうかという頃、シローはあちこちの物騒なニュースを聞きながらコーヒーをゆっくりと味わっていた。
実はこの日、兄弟は揃って各々の用事で出かけ、早くても夕方までは帰ってこない。ロランまで外出とは珍しいこともあるものだ。
久しぶりの非番に家族が揃って外出中というのは何とも寂しい話ではあるものの、逆にだからこそのゆっくりとした一服なのだ。皮肉なものだが。
と、そんな休息の中、聞きなれたチャイムの音。
この時間の来客………最早嫌な予感しかしないが、それでも出ない訳にもいくまい。最低限警戒色を残しながら、玄関に足を運ぶ。と、そこで、珍しくも嫌な予感は外れたことを確認した。
しかしその面子は、シローの脳内にあったガンダム家襲撃常習の変態衆ではなかったものの、また面食らうような珍しい組み合わせであった。
シロー「ウッソに………マスターアジアさん?」
 玄関先に立っていたのは、実弟であるウッソと、同じく実弟であるドモンの師・マスターアジアこと東方不敗の姿だった。
ウッソ「ただいまー」
東方不敗「失礼するぞ」
シロ―「ああ、おかえり。どうも、お久しぶりです………って、どうしたんだ?今日は夕方まで帰ってこないはずだったんじゃ?」


665 名前:東方不敗と秋の味覚02 :2012/10/17(水) 22:20:38.24 ID:/9PGe5A6
ウッソ「それが酷いものなんですよ、シロ―兄さん。買い物に行こうと思ってた町で何だかトラブルがあったみたいで。鉄の城がなんとか………で、すっかり萎えちゃって帰ろうと思ってたんですけど、駅前でマスターアジアさんに会って」
東方不敗「うむ、わしはちとドモンに野暮用があったのだがな。おらんと聞いて、帰るつもりだったのだが………」
 話の流れが見えてこない。それでどうしてこの二人が一緒に行動する理由に繋がるのか。
ウッソ「ほら、覚えてます?この間収穫した『アレ』」
シロー「あれ………?あぁ、『アレ』か」
 その言葉に、シロ―は心当たりがあった。
 数日前だったか。ウッソが自慢の家庭菜園から満面の笑みで収穫してきた『アレ』は。
ウッソ「で、アレってどう考えても量が多いじゃないですか。それで、マスターアジアさんにお裾分けできればって」
シロ―「そうだな。わざわざ来ていただいてすみません。どうぞ、あがってお待ちください。今お茶を用意します」
東方不敗「そう気を遣わんでくれ。こちらこそありがたい」
ウッソ「じゃあ僕は早速持ってきますね」


(※ 前の投下のタイトルは「東方不敗と秋の味覚01」でおねがいします誤字った)

666 名前:東方不敗と秋の味覚03 :2012/10/17(水) 22:22:10.56 ID:/9PGe5A6
結論として。
 ウッソが言っていた『アレ』とは、サツマイモのことだった。
 家庭菜園に最近熱が入ってきていたのと、天候に恵まれたせいか今年は予想外の収穫量で、兄弟だけでも消費できるにはできるが流石に多すぎるといった豊作だったのだ。
 しかもその出来たるや、もはや『青果V2』でも開店した方がいいのではないかという会心の出来。それには東方不敗もまた感嘆の声を上げるほか無かった。
東方不敗「ほほぉ………これは見事だ。そこいらで売っているものが霞んで見えるわ。ウッソ君、君の努力の結晶と言ったところか」
ウッソ「ありがとうございます。お好きなだけ持って行って下さい」
東方不敗「ありがたい。しかし、何分わしも今は独り身でな。そう多くは………」
シロー「ウッソ、ちょっといいか。マスターアジアさん、これからのご予定は?」
 お茶とお茶請けを用意してさがっていたシロ―。その姿は何故か玄関からのものだった。
東方不敗「むぅ?いや、ドモンがおらなんだ時点で何も無いが………」
シロー「そうですか。では少し、秋ならではの余興なんていかがですか?」
 今度は東方不敗とウッソが首をかしげる番だ。シロ―は珍しくしたり顔で、一言ほのめかした。
シロ―「今、庭の落ち葉を集め終わったんだ」
ウッソ「………あ!なるほど!」
東方不敗「ははぁ、なかなかに趣深い。どれ、お供させていただくとしようか」
 得心がいったという表情のマスターアジアと、笑顔爛漫のウッソ。
 秋、サツマイモ、そして落ち葉。この3つの単語は、これからの催し物を容易に想像させた。
シロ―「じゃあ、まずは新聞紙で着火するぞ。ウッソ、離れてな」
 そう、秋の風物詩………焼き芋、だ。
ウッソ「芋はまだ入れないんですか?」
東方不敗「そうか、ウッソ君は知らんのか。焼き芋はな、落ち葉を燃やした落ち火でやる物なのだよ」
シロ―「そうそう。だから、少し火に当たって暖でもとろう。最近少し肌寒いしな」
 いつの間に用意したのか、シロ―の手には少し大きめの魔法瓶と湯呑。それを東方不敗とウッソに手渡し、湯気の立ち上る茶を注ぎいれた。
東方不敗「何から何までかたじけない」
シロ―「気にしないでください。俺もこうしてゆっくりできるのが嬉しいですし、やはり秋らしいことの一つでもしてみたくなりますよ」
ウッソ「いない皆には悪いけどね」
シロ―「どうせまだまだ余ってるんだ。今度皆でやればいい」


667 名前:東方不敗と秋の味覚04 :2012/10/17(水) 22:24:34.64 ID:/9PGe5A6
 そんな他愛も無い会話をしているうちに、庭に散乱していた落ち葉は一か所で燃え尽きていく。丁度頃愛と判断したのは、歳の甲というか、東方不敗その人だった。
東方不敗「ふむ、丁度よかろう。では、芋を入れるとしよう」
シロ―「あ、俺がやりますよ」
東方不敗「このくらいはさせてくれぃ。それに、わしとて秋の風流という物をこの手で体感したいものよ」
 言いながら火の中に芋を入れていく東方不敗。それが終わると、再び湯呑を手にして茶の香気を堪能し始めた。
東方不敗「ところで、シロ―君。君はどうなのかね」
シロ―「はぁ、どう、とは?」
東方不敗「君には恋人がいると聞いている。上手くいっているのかね」
 町の平和を守る刑事も、こういった方面からの突然の、しかも兄弟以外からの質問には弱いらしい。思わず湯呑を取り落としそうになるが、なんとか持ちこたえた。あまり入っていなかったのが幸いだろう。
シロ―「い、いやぁ、まぁ。なんとか二人の時間を作りたいと思っているのですが………」
東方不敗「その辺の事情も、少しは聞き及んでおる。恋人殿の兄も、聞けば聞くほどに嘆息する愚兄ではあるが………シロ―君。君にも問題があるのではないのかね」
シロー「え?」
東方不敗「人の恋路を邪魔する者は馬に蹴られて………とは言うが。馬が居らぬならば己自身で蹴り飛ばしてくれればよい。確かに兄の偏執とやらは大きな障害であろう。
だが、一つの障害も無い道程の、何が漢の道か!すでに恋仲となっておることに慢心するからこその逃避、妥協。ならば!その先にある物は、如何にして掴みとる!」
シロ―「………その先に、ある物………」
東方不敗「それこそ未来よ!明日よ!現状を甘受するだけで飼い慣らされたか!」
シロ―「違う!断じて違う!俺は、アイナと添い遂げる!」
東方不敗「意気や良ぉし!ならばこれよりは漢の道ぞ!漢の戦ぞ!添い遂げるという未来をより重く掴みとるためにこそ、シロー・アマダ・ガンダム!貴様の心の拳にて、いかなる障害、悪鬼羅刹をも撃ち破れぇい!」
シロ―「俺はぁ!ギニアスを、妹魂を撃ち破り!アイナと、添い遂げるぅああああああああああ!!!」
 すっかり流派東方不敗熱に侵されたシロ―、それを激励する東方不敗。
 このままドモン亜種の誕生かという状況下、熱き魂の絶叫の傍で小さくクスクスと笑う人影が一つ。
東方不敗「むぅ?ウッソ君、なにやらおかしかったかね」
ウッソ「だって………」
 柔らかい秋の日差しそのままに、ウッソは微笑みと共に素直な言葉を漏らした。
ウッソ「二人がなんだか、親子に見えちゃって」
 そのままクスクス笑っているウッソ。東方不敗とシロ―は先程の熱もどこへやら、顔を見合わせ、
東方不敗「フフフ………ハハハハハ………そうか、親子か」
シロー「確かに。異議なしだ」
 そのまま二人して、天を仰ぎ笑う。まるで秋風の如く、淀みなく。


668 名前:東方不敗と秋の味覚05 :2012/10/17(水) 22:27:16.70 ID:/9PGe5A6
東方不敗「もしわしに息子がおって、ドモンのようにGFにしておらなんだら、シロ―君のようになっておったやもしれんな」
シロ―「ははっ。大歓迎ですよ………と、そろそろ、芋もいい感じかな」
 本来の目的を危うく忘れそうになっていた。まだ生焼けの物も残っているが、小さい物から徐々に焼き上がっていく形だ。焼き上がった物を、用意した皿の上に乗せていく。
東方不敗「ほれ、ウッソ君。熱いぞ、火傷せぬようにな」
ウッソ「はい、ありがとうございます」
 芋を割れば、ふわりと立ち上がる湯気。その湯気から更に流れ来る、天然の甘い香り。濃厚でされど鼻につかないその香りは、3人の食欲をそそるのに十分過ぎる威力だった。
 冷めぬうちに、されど火傷せぬように、秋の実りを口に運ぶ。
シロ―「ほふ、ほふ………美味いな。ウッソの言う通り、今年は傑作だな」
東方不敗「うむ、美味い。自然が、地球の大地が生み出した自然な甘味だ。我らは皆、こうして大地の恩恵を受け生きていると実感させられるわい」
 しみじみと、何かを懐かしむように感嘆する東方不敗。その目は優しいまま、この秋の実りを生んだ功労者に目を向けた。
東方不敗「美味いかね、ウッソ君」
ウッソ「はい!やっぱり今年は最高の出来です!」
東方不敗「それは君が汗水流して、己の心をぶつけて育て上げたからこそだ。誇りなさい、胸を張りなさい、ウッソ君。君が君自身の想いで創り上げた掛け替えのない結晶だ」
 満面の笑みのウッソの頭に、その掌を置く。
 幾度の修練と激闘で傷つき鍛えられたその武骨な掌。されどその温かみは、自身が手にしている自身の努力の結晶に勝るものとウッソは感じ得た。
ウッソ「来年は、もっといい出来にして見せます!」
東方不敗「その意気や良し。その時は、またこうして味わわせてもらえるかね」
ウッソ「もちろんです!」
 その様子を焼き芋片手に眺めていたシロ―。その胸に去来する物もまた、温かいものだった。
シロ―「俺とマスターアジアさんが親子なら、ウッソとマスターアジアさんはどうなりますかね」
東方不敗「ふむ、そうよな………わしもこんな歳になった。ウッソ君のような孫が欲しい時期よな」
シロ―「いやいやいやいや、流石にまだそんなお歳じゃないでしょう」
 確か前にドモンに聞いた時はまだ49歳とのことだった(全員茶を吹きだしていた)。だがその目は、まぎれも無く孫を慈しむ祖父のそれだ。
ウッソ「じゃあ、おじいちゃんって呼ばないとですね」
東方不敗「はっはっは!ああ、それでいい。シロ―君の言う通り少し早いだろうが、よい孫が出来た気分よ」
 シロ―が東方不敗を父と呼んでみたら、らしくないにやけ顔で馬鹿息子がぁと言われてみたり。ドモンとの修業時代の話、若き日の東方不敗の武勇伝を聞いてみたり。逆に兄弟の話で花を咲かせたり。
 秋の実りと緑茶片手の団欒は、日が茜色に染まるまで続いた。


669 名前:東方不敗と秋の味覚06 :2012/10/17(水) 22:27:56.44 ID:/9PGe5A6
東方不敗「すっかり長居してしまったな。本当にかたじけない」
シロ―「いえ、久々にのんびり過ごせましたから。こちらこそありがとうございます。また来てください」
ウッソ「今度は七輪でも用意して、サンマかキノコでも焼いてみますか?」
東方不敗「それはいい。ぜひとも、ウッソ君謹製の野菜もお願いしたいところだ」
ウッソ「はい。これからは漬物が美味しくなりますので、それもぜひ」
 では、と東方不敗が踵を返そうとした時。
??「し、師匠!?どうしたんですか、一体!」
シロー「あ、ドモン」
ウッソ「おかえりなさい………って、何とバトッてきたんですかまた」
 玄関先まで小走りでやってきたのは、今帰宅したのであろうドモンだった。その姿は、今まで何をしていたのかを3人に特定させるのに容易過ぎる。
東方不敗「この馬鹿弟子がぁ!一体今の今まで何をしておった!」
ドモン「実は、修業先を変えてみようと鵺市にまで足を伸ばしまして。適当な場を探そうとしたら、謎の生物の襲撃を受け、迎撃していました」
 シロ―の脳裏に、昼前のニュースがよぎる。ああこいつ、また人外っぷりを発揮したのかと。もういつものことではあるが、市外でやられるのはちょっと困りものだ。
東方不敗「全く、貴様に野暮用ができて来てみれば………まあ、その野暮用はもうよい。わしも長居してしまったのでな。そろそろお暇させてもらうところだ」
シロ―「そうだ。なんでしたら、このまま夕飯を御一緒にいかがですか?ロランももうすぐ帰ってきますし、歓迎しますよ」
東方不敗「いやいや、流石にそこまで世話になるわけにはいかぬわ。本当にありがとう。わしも今日は帰って、明日の野試合に備えねばならん」
 そんな予定が組み込まれてる時点で割とアレなのだが、実際何度か見ているし、この街でそんな事を気にする人間は(シン除く)いないだろう。
東方不敗「シロ―君。何かあったら相談に乗ろう。これからも道に励め。ウッソ君、このサツマイモはありがたく頂くよ。今度はわし謹製の香港料理を御馳走しよう。その時、よければ君の野菜を使わせてくれ」
シロ―「ありがとうございます」
ウッソ「是非とも」
 一人話についていけない愛弟子。そんなドモンの頭を軽く小突きながら、
東方不敗「明日の野試合、貴様も見にくるといい。なんならその場でもう一度鍛え直してやろう。謎の生命体程度に時間をかけるようでは、まだまだ未熟というものだ」
ドモン「は、はい!ありがとうございます師匠!」
東方不敗「そのためにも、だ。」
 背を向けたまま微笑んで振り向き、
東方不敗「今日の貴様の家の夕餉をしっかりたいらげておけ。ウッソ君の想いの結晶だ。味はわしが心から保障しよう」
ドモン「は、はぁ」
東方不敗「では、またな。ごちそうさまだった」
シロ―「またお越しください」
ドモン「師匠、それでは!」
 振り向き直して会釈、そしてまた振り向いて去っていく。
 その武道家の背を見ながら、頭の上に電球でも出そうないい顔をした少年が一人。
 息を吸い込み、
ウッソ「またね、おじいちゃん!」
 ドモンが口から石破天驚拳ばりに吹きだし、シロ―が苦笑する。
 東方不敗の振り向き顔は、武道家の顔では無く、孫を慈しむ顔そのままに、夕陽に染まっていた。


670 名前:東方不敗と秋の味覚ラスト :2012/10/17(水) 22:30:25.39 ID:???
ドモン「ということがあってな」
シン「いなくてよかった!絶ッッッッッ対、突っ込み疲れて廃人になってる!」
 その日の食卓。焼き芋が鎮座する食卓を囲んでのそれは一種の報告会の様相を兼ねていた。
ロラン「伝説のGFにおじいちゃん、ですか………けど、この芋は確かにすばらしい出来ですね。大学芋とかよりも、素直に天ぷらなんかであっさり仕上げてみますか」
ジュドー「明日の夕食、天ぷらに決っまりぃ!」
アムロ「しかし、今度は全員揃ってる時に招待したいものだな。是非俺からもお礼を言いたい」
セレーネ「つか、考えてみると凄い構図よね。あたしだったら部屋に逃げるかも」
刹那「東方不敗、マスターアジア………まさしく、ガンダムだ!」
シン「どこに反応したの!?」
キラ「気にするだけ無駄だって。いいから食べようよ、この芋美味しいから食べないならもらうよ?」
アル「今度は僕もその場にいたいな」
シュウト「あ、それ僕も」
シロー「ははは、マスターアジアさんも孫が増えて大変だ」
マイ「うん、おいしい。明日、少しモニクに分けてあげてもいいですか?」
アムロ「むしろお前ごと差し出してこい!」
ガロード「はいはい、いいからいいから。あ、ウッソ。ティファにもいいか?」
シーブック「セシリーにも持っていきたい」
ウッソ「あはは、案外、早めに無くなりそうですね」


このしばらく後、再びガンダム家を訪れた東方不敗が、ウッソ・アル・シュウトの三人に「おじいちゃん」と出迎えられ破顔一笑するのは、また別のお話。




連投失礼しました。ええ、突如受信したおじいちゃんアジアと孫ウッソという電波に季節と好物を合わせただけなんです。
他プロネタ混入他、おかしい部分多々あると思いますが、生温かい目でみてやってください

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最終更新:2015年11月11日 18:05