955 名前:アムロと愉快な奇人たち01 :2012/10/28(日) 01:13:48.21 ID:???
673さんのネタで書きすすめてみようとしたら、風邪と仕事でこんなに遅くなったよちくせう!
(他プロ混入ネタ。風邪脳クオリティ注意)


 久々の休日。その言葉は、学問に励む者であれ労働に励む者であれ、皆一様に心を躍らせる魔力を秘めている。
 ある者は恋人との予定を、ある者は自己鍛錬を、ある者は趣味を、ある者は想い人を………と様々な中。

 当の長兄は、休日の朝から自身の愛用の携帯電話と、ひいてはその向こう側にいる人間と壮絶な戦いを繰り広げることになった。



 朝の9時。平日ならば特に街も慌ただしい時間帯だろうが、日曜日にそんな者は関係ない。
 逆に別の理由で慌ただしく出かけていく恋人持ちの実弟や、拉致されていく実弟、補修に出かける実弟などを見送ったアムロは、TVニュースを見ながら一時の休養を満喫していた。

TV『連日続いたゲッター線は低下し、永井市も平穏を取り戻しそうとの見方です。続いて、府呂務市のコジマ予報です………』

アムロ「やれやれ。人は休めど、街は休まずか」
ロラン「そんなものですよ。兄さん、コーヒーのお代わりは?」
アムロ「ああ、貰うよ」
 この場にいるのは、休日のアムロ、主夫のロラン、そして菜園にいるウッソと引きこもりのキラだけ。
 随分残っていると思ってしまうが、普段のガンダム家からすればかなり静かな方だ。
アムロ「そういえばロラン、この間のサツマイモなんだが………」

愛、震える愛、それは、別れ歌~♪

アムロ「?着信か」
 愛用の携帯の着信に、一時話を中断してそれを手に取る。
 仕事の電話が休日にかかってくること自体少なくない。ロランも大して気にせず、コーヒーを淹れ

 バキリッと、陶器の割れる音で振り向いた。
 空のコーヒーカップの取っ手を握りつぶす長兄の目は、それこそ一寸の狂いもなくその携帯電話に注がれていた。そのまま最高速のヅダの如き速度で通話を開始する。顔がマジのまま。


956 名前:アムロと愉快な奇人たち02 :2012/10/28(日) 01:15:02.52 ID:ieqJFkA6
アムロ「ああ、久しぶりだな。どうした、ニュースだと随分とやらかしていたみたいだが………ああ、そうだな。こっちは変わらないよ。で、このタイミングで君から電話ってことは、どうせ碌な事じゃないんだろう?」
 口調こそまともだが、すでにその身に纏ってる何かが普通じゃない。ロランは殺意のなんとかみたいなものを纏う長兄を眺めながら、一応コーヒーを淹れていく。
アムロ「手伝え!?冗談じゃない!そっちのアレコレはこっちのMSで手に負える代物じゃないだろうが!仮になんとかできてもこっちの体に影響出るのは確定じゃないか!
………えぇい、わかった!シャアあたりを騙くらかして送りつけるからそれでなんとかしろ!間違ってもストナーの流れ弾なんか飛ばすなよ!?」
 言い切って音速で通話を切る。その表情はすでに憔悴しきっていて、女絡み以外で白目剥きそうな長兄は久々に見た気がする。
ロラン「コーヒーどうぞ」
アムロ「あ、ああ………すまない」
ロラン「ご友人ですか?」
アムロ「古い知人だよ。別の街にいるんだ。最近ニュースでドンパチやってるのは知ってたが………」
 話の流れからして恐らくシャア宛てであろうメールを打ちながら、「こっちにインベーダー持ち込むなよ………」とか呟いている。何故だろう、怖い。
アムロ「よし、と。シャアには悪いがこれでようやく、いつもの休日が………」

愛、震える愛、それは、別れ歌~♪

アムロ「………また竜馬君か?」
 言いながら携帯のサブディスプレイを覗き込む。
 と、今度は何やら安堵した表情で、ゆったりとコーヒーを片手に通話を始める。全く忙しい長兄だ。
アムロ「ああ、久しぶりだね。うん、こっちはなんとかやってる。そっちこそどうだい?まあ君のことだ、またアキト君を追いかけて………」
 瞬間。
 長兄の顔が狂相に逆戻りしたのを、ロラン・セアック・ガンダムは見た。
アムロ「………そうかい、わかった。僕は動けないから兄弟の一人を向かわせるよ。うん。じゃあ、また」
 そう言って電話を切った瞬間、今度は無表情のまま、指を人としてあってはいけない速度で動かしている。耳に電話を当てたところを見ると誰かにつないだようだ。
アムロ「ああ、刹那か?うん、休みの時に悪いな。実はな、地伊辺玖市で暴れまわってる火星のなんたらって奴らがいるらしんだ。そいつらはな、ガンダムじゃない。そう、決してガンダムじゃない奴らなんだ。
そう、だからお前はその歪みをしっかり修正してきてくれ。ああ、頼んだ」
 そう言って通話を切る。そのままうなだれ、
アムロ「………そうだった、あの娘はそういう娘だった。会話のボソンジャンプとはよく言ったものだ………」
 意味のわからない単語を羅列し始めた。うん、怖い。


957 名前:アムロと愉快な奇人たち03 :2012/10/28(日) 01:16:24.58 ID:ieqJFkA6
ロラン「また知らないところで修羅場要因増やしてるんですか?」
アムロ「違う!断じて違う!それにどっちかっていうとこっちは彼女の被害………」

愛、震える愛、それは、別れ歌~♪

 もはや見ないことにした。音速で携帯電話を操作するその音だけで十分だ。

アムロ「ああ、君か。………うん、ごめん。少し疲れていてね。急用じゃなければ………」
 あぁ、ダメだったか。
アムロ「ああ、わかった。君も大変なんだなぁ、うん(棒)。分かった、僕は動けないから弟に頼むよ。」
 そして、再びの音速操作。誰が犠牲になるのかなんて考えたくも無い。通話という手段をとってるうちは、ここにいる自分には無害なはずなのだから。
アムロ「キラ。部屋にいるんだろう?ああ、ちょっと頼みたいことがあってな」
 まさかの家屋内通話だった。
アムロ「鵺市に飛んで、飛びまわってる謎の生命体とやらを殲滅してきてほしい。そう、殲滅だ。………そう言うと思った。ああ、今度うちの会社で製作したOS搭載のPCが出るんだが、
先行でってことで………ああ。助かるよ。それが終わったらアイドルのライブでも見てくるといい。きっと銀河級の歌姫二人が最高のライブを見せてくれるはずだからさ」
 電話を切って、再び沈み込む兄。なんだろう、今日の兄は呪われているのではないだろうか。耳を澄ませてみると「疲れたよ、僕はどうすればいいんだ、ララァ」とか呟いてる。末期だ。
ロラン「兄さん、もう今日は携帯の電源を切ったらどうです?」
アムロ「そうしたいのは山々なんだが………なんせ、仕事の電話が」

愛、震える愛、それry

 兄の挙動を見て見ぬふりをして、ロランは思う。
 きっと兄は愛されているんだ。愛されているからこそ、これだけ多方面からの電話がかかってくるんだ。これは交友関係の広さを誇るべきことなんだ。
 そうやって自分を納得させつつ、どうやって兄を落ち着かせるか模索していた時。椅子が粉砕されるんじゃないかという勢いで音を立て、兄の姿が亜光速で玄関へ消えていくのを弟は見た。
アムロ「また貴様か赤い巨神んんんあああぁぁぁぁ!!!!!」
 トミノオオオオォォォォォとか聞こえる。きっと気のせいだ。
 最後の最後は自分自身が出陣することになるとは、なんとも因果なものだ。そもそもあの兄はどこでそんなに知人奇人を作ってくるのだろうか。
 のそのそと部屋から降りてきたキラに声をかけ送り出し、一人となったロランはぼやく。
ロラン「………一人で何しよう」
 結局家事で終わることになるその日一日を、ロランは過労が懸念される兄への労いを考えながら過ごした。





珍文失礼しました。自爆してお詫びします

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最終更新:2015年11月13日 18:40