937 名前:ゼリー再び① :2012/11/23(金) 00:59:38.62 ID:???
ネーナ「ふー………よし。これで終わり」
 テーブルその他諸々の片づけを終え、ようやく仕事終わりを迎える。ふと、背後でコトンと乾いた音がした。
ギリ「お疲れ」
 当店の誇る名コックがテーブルに置いたのは、アイスキャラメルラテ。仕事終わりの労いというところか。このコックは様々鈍い代わりにこういうところは無駄に気がきく。
ネーナ「ありがと」
マリナ「今日はたくさんお客さんが来ましたね」
ギリ「………まあ、いろいろ濃いのもいたけどな」
 そう、今日は確かに来客数だけを見ればまず繁盛という部類には入るだろう。だが、妹魂の襲撃(ネーナの目耳鼻発動で撃退)から始まって、
メタル刹那の暴走(原因マリナ)にグラハム先生の愉快なガンダム講座、炭酸先生の恋愛講義(ネーナもギリも何故か止めない謎)など、店内での騒動には本当に事欠かなかった。
 それすらも「いつものこと」で済ませてしまうあたり、もう色々と毒されているのかもしれないが。
ギリ「さて。明日のことだが………」
 シフト表に目を通そうと、店の脇に目を………奪われた。
ギリ「………!?」
ネーナ「あ!?」
 そこにあるのは、一つの小型冷蔵庫。普通と違うことと言えば、物々しいという他ない南京錠の存在、だ。
 そこに安置されているのは一つのゼリー。商品名「ジェロ・ショット」。
ネオロシア出身者を中心に地味な人気を誇るゼリーだが、このゼリーがかつて巻き起こした騒動のためにその存在は厳重に管理され、他の商品との混同を避けるためこのような措置が取られていた。
 その騒動の当事者となったギリとネーナは、いつもこの冷蔵庫が目に入るたびに目をそらし、顔を赤らめていたのだが………
 その南京錠が外れているとなれば、話は別だ。
ギリ「誰だ!!この冷蔵庫開けたのは!!」
マリナ「え?ガンダム家の人が予約の商品取りに来たから………」
 下手人は割れた。ギリはすぐに伝票と予約表の照会を開始。ネーナがそれに追従し、自身たちが把握していないその予約が本当に正規のものかの洗い出しが始まった。
 そして、その結果。割り出された結論は、あまりにも予想どおりなものだった。
ギリ「予約ミスだ!!チェック欄はこっち、ブルーベリーゼリーになってる!!」
マリナ「ええ!?そ、それじゃあ………」
ネーナ「ガンダム家へ急行します!!!」
ギリ「同じく!!」
 二つの人影が疾風となりて駆けだす。その手には本来の商品を。
 受取時間から見てかなり際どい。だが、間に合わなければ………

938 名前:ゼリー再び② :2012/11/23(金) 01:00:00.13 ID:???
ギリ「………遅かった」
ネーナ「………うん。遅かった」
 双方ともに、すでに顔面はシャア専用。
 二人がガンダム家に到着した時、その末路は窓から確認できるものだった。

ガロード『ティ、ティティティ、ティファ!?お、落ちついれ………』
ティファ『………ガロードぉ………?///』
アムロ『カメラ!!カメラ回せええええええええ!!!』
ロラン『妄言吐いてないで手伝ってください!!ああ、そっちも!!』
シロ―『アアアアアアアアアアアイナ!!!!?』
アイナ『シロー………///』
ドモン『ロラン!!こっちも手伝ってくれ!!』
ウッソ『くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」………』
ロラン『ちょ!!袋!!袋!!』

 ………よりにもよって来客用だったとは。
 ギリもネーナも、その混沌に突撃する勇気は無かった。こんなもの、どっかの団体に武力介入でも依頼しない限り解決できるとは思えない。
ギリ「………帰ろう、か」
ネーナ「………うん」
 最早赤面を隠す余裕も無く、二人は夕焼けの中を歩きだす。向こうの空にアプサラスの姿も確認できた、これ以上は危険だろう。
 次の来店時にはどんなお詫びをするべきか。
 そんな事を考えながら、過去の記憶を出来るだけ想起しない努力をする二人があった。

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最終更新:2015年11月24日 21:23