571 : Top Mobile2016/03/06(日) 20:11:18.81 ID:itoPqdbf0
ぱちぱちぱち
ゼクス「こんばんは。ところで皆さん、この機体をご存知だろうか?」
ノリス「ジェガンか」
ゼクス「改めて説明する必要も無いが、ジェガンはラー・カイラムの所謂『ロンド・ベル・デザイン』の長男だ」
リヴァイヴ「黎明期のラー・カイラムを支えた弟想いの傑作ですね」
ノリス「次男リ・ガズィ、3男ν
ガンダムと共にラー・カイラム製MSの代名詞にもなっているな」
ゼクス「来月、ジェガンがマイナーチェンジを果たす。もう何度目か分からないが、フルモデルチェンジが無いのは確かな基礎設計の賜物だと言えるだろう」
リヴァイヴ「新型には高性能機ジェスタのデータがフィードバックされているとも聞きました」
ノリス「アムロとは別系統の技術だな。しかしジェガンも変わった。前はアムロの乗る量産機、がコンセプトの高性能大衆機だったのに、今ではユニバーサル・モデルだ」
ゼクス「そう。だから1番良いモデルを我々が決める必要があるのだ」
――――――
ノリス「極秘の試験場に我々3人が中古で買った歴代のジェガンが集められた。古江山と伊野辺井戸の間にあるMBS所有の土地だ」
ゼクス「これは4代目の高性能型。初代のエース仕様を再現したエディションだ。型落ちでも値が下がらないから状態は良くないが、十分使える」
ノリス「2代目だ。エース機から一転、ウィークエンド・パイロットからベテランまで幅広い腕に追従する万能機だ。ジェガンの真の歴史はここから始まったと言って良い」
ゼクス「よくそんな骨董品が動くものだ」
ノリス「ジェガンは優秀だ。耐久性は年数ではなく造りが粗雑か否かである事をどのMSよりも教えてくれる。
そちらも相場よりかなり安いが、いたいけな少女を
ミンチにした曰く付きでは無いだろうな?」
ゼクス「令嬢とダンスを踊った栄誉の機体だ。それより……リヴァイヴがまだだな」
ノリス「道に迷うのはいつもの事だが……」
ゼクス「バカは来る!」
ノリス「フッ、フハハハハハ!5代目だ!『袋小路』だぞ!」
ゼクス「電子制御の高度化だけで選んだな!」
リヴァイヴ「このモデルはνガンダムで培った電子制御技術を初めて量産機に導入しました。
何故すぐに制御を退化させた6代目がデビューしたのか、そして状態の良い物が安いのかは分かりませんね」
ゼクス「あの電子制御とは誰も友人になれないからだ!」
ノリス「当時のラー・カイラムはイ○ブイをブースタ○に進化させてしまった気持ちだろうな!
そしてリセットしてサンダースに進化させた!」
ゼクス「確かに6代目は速い!大衆機に過剰な制御など不要と訴えたのがあのモデルだ!」
リヴァイヴ「ノリス!伏字を忘れていますよ!?」
ノリス「アイナ様の婚約者の同僚の名を言って何の問題があろう!?」
572 : Top Mobile2016/03/06(日) 20:12:57.82 ID:itoPqdbf0
ノリス「さて、ここに指令書がある。第1の指令は、ラー・カイラムの本社の前まで行って戻ってくる事」
リヴァイヴ「私とノリスはスムーズにスタート」
ゼクス「今日は寒いからな、火の入り方が悪い様だ」
ノリス「名機2代目ジェガンを語るにはラー・カイラムを語らねばならない。
そもそもラー・カイラムとはファン・コントロール・パイロットの為のMSを造るというコンセプトで設立された会社」
ノリス「当時からトップパイロットだったアムロ・レイが認めたMSに我々は期待した。だが、第1号量産機である初代ジェガンに乗ってそれは失望に変わった。
何故かと言えば、『アムロのプロデュースしたエース仕様機』以外の魅力が無かったからだ」
ノリス「軽くて良く動き故障も少ない、ありふれた特徴を持つ量産型の高性能量産機。
そのレベルを求めるMS乗りならば、パイロットでMSを買う理由は無かった」
ノリス「そこでラー・カイラムはジェガンの方向転換を行う。ウィークエンド・パイロットでもアムロの操縦に浸れる様な操作性と安全性、そして信頼性だ」
ノリス「それがこの2代目。アムロとカツが全く同じ挙動を行うCMは衝撃だった」
ノリス「価格も一新し、ライトユーザー全てに英知を授けるMSになったのだ」
ノリス「素人整備でも劣化しにくい構造、大きな燃料タンクと燃費の良さ、バーニアとスティックはどの速度域でも適度な軽さを保ち続ける……」
ノリス「エース機の魅力は完全に捨てられたが、20年履き続けたGパンの様な信頼性がある。
パイロットに合わせた性能を満たした物を高性能と呼ぶならば、これは間違いなく大衆用高性能機だ」
リヴァイヴ「5代目は高性能AI化の時代背景に導かれた、高い安全と操作性を4代目に追加したモデルとして発売されました。コンセプトは『ユニバーサル・νガンダム』」
リヴァイヴ「その目的通り、アムロとνガンダムが熟成させた電子制御技術をフィードバック。
基本性能はそのままに全てのガンダムの平均値であるνガンダムのバランスを持っています」
リヴァイヴ「しかし、これには2つほど欠点が……」
リヴァイヴ「1つ目はあまりにアムロのνガンダムでありすぎた事。私は好きですが、電子制御に組み込まれたアムロの挙動、悪く言えば独特のクセが強いのです」
リヴァイヴ「もう1つは値段です。販売価格は4万2000ギラ。電子部品の高性能化と当時の風潮である高価格化に伴い値上げしました。
しかし以前は3万9000ギラ。つまり4万ギラでおつりが来る、というジェガンのイメージを崩してしまったのです」
リヴァイヴ「『変わらぬMS』として時代を牽引してきたジェガン、大衆機の時代を創ってきたジェガンが、時代の流れに乗ってしまった。
ジェガン・ファミリーを失望させるには十分な理由でした。
そこで、ラー・カイラムは早期の新型開発を行い、再びAI簡素化の時代を創っていきました」
573 : Top Mobile2016/03/06(日) 20:14:22.31 ID:itoPqdbf0
ノリス「『要修理品』が追いついた様だな」
リヴァイヴ「赤ランプのMSを連れていないとは珍しいですね」
ゼクス「私は自爆以外の交通違反を犯さんからな」
ゼクス「この4代目『エース・チューン』は軽く、良く動くという初代のジェガンを再現したエディションだ。
他のジェガンが熟練度の低いパイロットの乗り心地を求めたものに対し、これはその逆を行く物だ」
ゼクス「何故、エースとは友人になれなかったジェガンがこの系譜を開発したのか……その答えを彼だけで語るのは無理があるだろう」
ゼクス「謂わば、試作品だ」
ゼクス「ラー・カイラムは高性能ジェガンという鐘をもう1度鳴らそうとしていた。
だが、エース機として造った初代ジェガンは単なるエース機でしかなかった為南極に墜落する事となった」
ゼクス「そこでラー・カイラムは、高性能のジェガン部隊に赤い利益の彗星が再び襲来するのか確かめる為に、これを造った」
ゼクス「結果は……見事退けた」
ゼクス「バーニアの軽さとバルカン1つ当たれば航行不能になりそうな感覚は将に初代だ。その上で、信頼性を保持している」
ゼクス「後に発売されたD型が急遽ベースを4代目にしたという噂も頷けるな」
ゼクス「だが、それだけに元が高価で中古でも値の下がりは鈍い。
予算で買えた彼のモニターは所々死んでいるし、どこが壊れるかは運次第だ」
ノリス「我々はラー・カイラムの周りを1周し、帰路に着いた」
リヴァイヴ「私達を待ち受けていたのは厳しいテストでした。ディレクターから指令書が届きます」
ゼクス「ジェガンは誰でも使えるMSだ。よって不慣れなパイロットにコースを走ってもらう」
ノリス「つまり、君がウィークエンド・パイロットの代表と言う訳か」
サイ「はい」
ノリス「まずは私のジェガンか。戦果を期待する」
リヴァイヴ「さて、ノリス機は何事も無く終わったので省きます。ゼクス機のテストが始まりましたが、驚くほど順調ですね」
ノリス「慣れていないから慎重になるのだろう。ゼクスがやるよりタイムは良さそうだな」
リヴァイヴ「ゼクスなら壊れてしまいますからね」
ぼふん
ノリス「……」
リヴァイヴ「……」
574 : Top Mobile2016/03/06(日) 20:14:58.87 ID:itoPqdbf0
ゼクス「原因はメインブースター接続部の故障だった」
ノリス「やはり事故機では無いのか?」
ゼクス「前のオーナーが少々手荒に使っていただけだ」
サイ「ご、ごめんなさい!」
ゼクス「いや、あれは誰が使おうと壊れる運命だった。私の点検が甘かっただけだな」
リヴァイヴ「では、次は私のジェガンですね、頼みましたよ、アンドレイ」
サイ「中の人違いですよ、それは」
ゼクス「ほう」
ノリス「意外だな、かなりスムーズだ」
ゼクス「あの制御が合っていたとはな」
ノリス「素人には余計な癖があると思っていたが……」
リヴァイヴ「やった、これなら最高スコアですよ!」
リヴァイヴ「スコアは私、ノリス、ゼクスの順番でした」
リヴァイヴ「更に『ポンコツ』を選んだゼクスに
追い討ちが掛かります」
ゼクス「次のテストは……何という事だ!?」
ノリス「何々……?」
ゼクス「ジェガンは経済的なMSである。よってこれまでのコストを計算する。低い者が勝利」
ノリス「私は9200ギラで購入した。燃費を合わせると、1万1200ポイントだな」
リヴァイヴ「私は9800ギラ。燃費を足して1万800ポイント」
ゼクス「私は8700ギラだ。燃費も含めて1万ポイントだ」
ノリス「だが、スタートに手間取ったし、故障もした」
ゼクス「査定外だ」
リヴァイヴ「人件費は高いですよ。1万ポイント追加」
ノリス「快適なドライブが出来ないのでは話になりませんな。更に1万ポイント」
ゼクス「横暴だな。しかしそうでなくては私は戦士になりきれない」
リヴァイヴ「悪い見せ場しかないゼクスに、戦士になる唯一のチャンスが訪れます」
ノリス「最後のチャレンジだが、ジェガンの良さは戦闘にも表れる。3機で戦って勝者を決める」
ゼクス「望む所だな」
リヴァイヴ「ここでハンデを付けます。それぞれの成績に応じて、我々に制限が掛かります」
ノリス「スキー手袋で操縦しろと?」
ゼクス「この仮面は視界が悪いし、昔の宇宙服を着ているようだ。その上腹に妊婦体験教材(メタボリックスーツ)とは」
リヴァイヴ「私にはハンデ無し。こんな事しなくても5代目が最高のジェガンである事は明白です」
ノリス「では、始めよう」
575 : Top Mobile2016/03/06(日) 20:15:51.82 ID:itoPqdbf0
ゼクス「私はまだ、このジェガンを弱者と認めていない!」
リヴァイヴ「満身創痍で万全の弟に勝とうなどと!」
ゼクス「兄に勝る弟はいない!トールギスがそうだった様にな!」
リヴァイヴ「その理論が罷り通るならサーペントは生まれていない筈!」
ゼクス「撫で斬りされるだけのMSがリーオーより上だと思っているのか!?」
ノリス「2人は派手にやっているな。ところで、2代目にはステレオが付いている」
アラシノーナカデカガヤイーテ♪
ノリス「今となっては決して良い音とは言えない、青春の品質だな」
ノリス「鵠沼に向かう渋滞の中、動かぬ機内でチープなサウンドを聴いた記憶が蘇る」
リヴァイヴ「くっ……何故そのオンボロでここまで互角に!?」
ゼクス「貴様の負け運の見積もりが甘かったようだな!全ての偶然が私に有利に働いているのだ!」
リヴァイヴ「それにしても、あれだけ制限があればここまで普段の様な操縦は出来ないはず……まさか!?」
ゼクス「私を縛るものは全て脱がせて貰った!」
リヴァイヴ「ハンデの意味分かってるんですか!?」
ゼクス「脱ぐなとは言っていないし、私は脱ぐリスクがハンデだと解釈した!」
リヴァイヴ「いつもながら卑怯ですよ!」
ゼクス「知力を絞り、抜け穴を探し、泥の中に潜み勝利を得るのは正々堂々とした戦士の姿なのだ!」
ノリス「さて、そろそろ渋滞から抜ける頃だ。前のオーナーが改造し取り付けたこのグレネードランチャーでな」ボフッ
リヴァイヴ「え?」
ゼクス「何!?」
ちゅどーん
ノリス「ほう、この威力はリガズィから持ってきたのか」
――――――
ぱちぱちぱち
ノリス「つまり最も優れたジェガンは2代目。ジェガンの真の始まりにしてジェガンの中のジェガン。その証明がされたのだ」
ゼクス「……納得いかんな」
リヴァイヴ「タナボタでしょう?」
ノリス「2人で固まっているのが悪い」
ゼクス「(`~´)」
リヴァイヴ「(>~<)」
ノリス「さて、この結果をラー・カイラムに伝えた所、次のような回答が帰ってきた」
ブライト「新型ジェガンは貸してやらないからな」
アムロ「次は俺も混ぜてくれ」
ゼクス「会社がバラバラではないか」
リヴァイヴ「でも大丈夫、新型ジェガンは個人的に注文していますからね」
ノリス「悪い知らせだ。先行予約の名簿からリヴァイヴ・リバイバルの名前が消えたらしい」
リヴァイヴ「何ですって!?」
ノリス「では今日はこの辺りで。またお会いしましょう」
ぱちぱちぱち
最終更新:2016年05月18日 14:15