755 : Top Mobile(前編)2016/04/17(日) 22:28:36.19 ID:eokPNDGW0
ぱちぱちぱち
ゼクス「我々MS乗りにとって最大の敵がいる」
ノリス「うむ」
ゼクス「安全の名の下につまらないデザインを推奨し、姑息な点数稼ぎで税金からボーナスを吸い上げる彼らだ」
リヴァイヴ「警察ですね!」
ゼクス「だから私達はコテンパンにしてやろうと、決闘を申し込んだのだ」
リヴァイヴ「それで、結果は!?」
ゼクス「シロー、グラハム、リディを出してきた」
ノリス「……困った事になったな」
リヴァイヴ「……ええ」
ゼクス「
主人公にライバルに主人公の鏡像だぞ。ラスボスがいないだけ幸運とはいえ、厳しすぎる」
ノリス「どの組み合わせでも勝てる気がせんな……コテンパンにされる」
リヴァイヴ「全国のMSファンに情けない姿を晒してしまう……土下座して謝って許してもらいましょう」
ゼクス「土下座は勝負が付いてからでも遅くは
無い!やるしかないのだ、私達は!!」
対決の日
シロー「予定の時間になりましたが、来ませんね」
リディ「逃げてしまったのでしょうか。せっかく好きな番組に出られると思ったのに」
グラハム「恋人を気取ったか、焦らす作戦か……恐らくは後者だ」
リディ「あっ、あれは!?」
シロー「ヅダ!?」
リディ「しかもただのヅダじゃない!EMS-04!」
グラハム「警察官との戦いに改善命令を出したMSで来るとは、粋な事をする!!」
ゼクス「すまないな、ドーバー海峡が渋滞していた」
ノリス「この木星エンジンならば40分早く着く予定だったのだがな」
リヴァイヴ「ヅダの電子制御は最高ですよ。ヴェーダにも劣りません」
ゼクス「改めて、私達の挑戦を受けてくれた事に感謝する」
グラハム「良い勝負をしよう」
ゼクス「正々堂々、全ての力を出し切り堂々と勝負する事を誓おう」
リヴァイヴ「最初の勝負はトリオシート・ファイト。3人で1つの機体を操縦します」
シロー「胴体、右手足、左手足。ただし味方は声だけしか聞こえない。チームワークが重要になるな」
ノリス「我々の力を教えてやろう」
リディ「機体同士の連携は自信があるけど、こういうのは……」
グラハム「フ、今の我々は三位一体。日頃の訓練を信じれば恐れる事は無い」
756 : Top Mobile(前編)2016/04/17(日) 22:29:09.90 ID:eokPNDGW0
審判「レディ・ゴー!」
ゼクス「何故私が胴体ではなく左手なのだ!?」
ノリス「スピード中毒では相手にぶつかる事しかしないからな!」
リヴァイヴ「自爆装置を渡す訳にはいきませんからね。胴体の私がしっかり握っています」
ゼクス「だが、ヒートロッドは良い選択だ」ブンブン
シロー「右手にヒートワイヤー、左手にヒートロッド。なんてバランスの悪い構成なんだ……」
ノリス「撓る武器は浪漫だからな!」ブンブン
リヴァイヴ「2人とも振り回さないで下さい!ふらふらして危険ですよ!?」
シロー「相手の動きはちぐはぐだ。吶喊します!」
グラハム「私は左手で防御を担当する。リディ、攻めは任せた!」
リディ「分かりました!この番組に出演出来るなんて、こんなに嬉しい事は無い……!」
リヴァイヴ「くっ……向こうはなんであんなに簡単に動かせるんですか!?」
ゼクス「行くぞ!」
ノリス「怯えろ!竦め!MSの性能を活かせぬまま死んでゆけ!」
リヴァイヴ「絡まってる!?」
シロー「自爆だ。パイロットの性能を全く活かせていない!」
リディ「決めます!」
リヴァイヴ「くっ!」
グラハム「避けたか、なかなかやる!」
ゼクス「長期戦になっては不利だな。ノリス、リヴァイヴ!あれをやるぞ!」
ノリス「任せろ!」
リヴァイヴ「あれって何ですか!?」
ぐるぐるぐるぐる
シロー「ゴッドスラッシュタイフーン!?」
ノリス「高速で回転すれば最適解が出るのは伝統なのでな!」
グラハム「円谷超人世界の伝統を持ち出すとは!」
リヴァイヴ「目が、目が回る!」
リディ「くっ、側面からでは効果が薄い!シロー警部、上へ!」
ノリス「フハハハ、弱点など狙わせる訳が無かろう!」
シロー「的確に角度を合わせてくる!しかも……速い!」
リヴァイヴ「ああああああ~~~」
グラハム「落ち着け!あの操縦はパイロットに負荷が掛かる。距離を取る事を優先し……
ゼクス「無駄だな!」スポン
グサッ、とな
シロー「直撃!?そのまま投げたヒートロッドが直撃したのか!?」
ノリス「それだけではない!」スポン
シロー「同じ場所にヒートワイヤーが刺さった!?」
ノリス「これぞダブル大回転魔球」
グラハム「我々の作戦負けか……切腹に値する!」
リディ「爆発します!」
ちゅどーん
757 : Top Mobile(前編)2016/04/17(日) 22:29:39.33 ID:eokPNDGW0
ゼクス「悪を滅ぼした私達だが、ダーティー・ポリスはものの1分で
ミンチから回復してきた」
ノリス「しかも2回戦で提示してきたのは、公務員らしいつまらない競技だ」
グラハム「ジャスト・スピード・マイル(JSM)。1マイル先のポイントをメーターを見ずに特定の速度で通過する。
3人の合計の誤差が少ない方の勝ちだ」
ゼクス「いかにも取り締まり屋の考えそうな遊びだな。それに勝者への見積もりも甘すぎる」
グラハム「無論、普通の
ルールでは君達にも我々にも簡単すぎる競技。つまりルールの追加が必要だ」
シロー「電子機器は全て死んでいます。メーターも、モニターですら速度を証明する物は何も無い」
ゼクス「自分の感覚に頼るしか無いという事か。暴走MSを自ら推奨するとは」
リディ「ポイントを通過したら自動で停止誘導が掛かるので問題は有りません。
それと、公平になる様MSは番組側が整備したドム6機を使います」
ノリス「なるほど、それなら良い勝負になりそうだな。だが、肝心な事がまだ知らされていない。速度だ」
シロー「警察の訓練基準速度は160キロ」
ゼクス「遅いな。300キロが良い」
リディ「幾らなんでも速すぎますよ」
ノリス「では、間を取って230キロだ」
グラハム「決まりだな」
グラハム「私が先陣を切る。良く見ておくように」
シロー・リディ「「はい」」
ゼクス「つまらん操縦だな」
ノリス「順調すぎる……ゴールか」
グラハム「231.4キロか、心眼を鍛えたと思っていたが、精進が必要だな」
ゼクス「次はMS酔いから復帰したリヴァイヴ」
リヴァイヴ「227.0、ですか。このコンディションだと、まあまあですね」
ノリス「無様だな。ここまで差が開いては我々もカバーできん可能性が出てきたぞ」
シロー「俺か……行けるか……」
ノリス「フッ、フハハハハ!220.3だ!10キロ間違えたな!」
シロー「くそっ、慎重になりすぎた!」
ノリス「私だな。
ドムはMSにホバーの楽しさを与えた名機だ。この重力を感じつつも無重力の宇宙を滑る感覚は初代にして極められたと言っていいだろう。
1マイル?1000マイルでも私は乗っていられる」
グラハム「230.2!?」
リディ「あれだけ喋りながら……ニュータイプか!?プレッシャーが……!」
グラハム「リディ巡査、落ち着いてベストを尽くせば良い」
リディ「やってやる!ハイライトにさせるものか!」
ゼクス「……ダメだな、速すぎる」
グラハム「246.5キロ……」
758 : Top Mobile(前編)2016/04/17(日) 22:30:14.24 ID:eokPNDGW0
ノリス「ここまで合計して我々は3.2キロの誤差。警察官は27.6キロの誤差」
ゼクス「つまり、私には20キロ以上のズレが許されている」
リヴァイヴ「2連勝は確実ですね」
ノリス「警察官が自分の速度も分からないとはお笑いだな」
グラハム「これは始末書ものだな……」
ゼクス「では、私の勝者への道をご覧頂こう」
ゼクス「こういう時、普通は徐々にスピードを上げ安定させる。
だが、この方法は外が見える普段の状況下に効果を発揮するのであって、今回の様な場面では十分に使えないというのが私の持論だ」
ゼクス「特に今回の試走は短かった。機体とパイロットのマッチングには不十分すぎる。
だから、私はパイロット側のマッチングを最小限に抑える方法を選んだのだ。即ち……」
ゼクス「最初にフルスロットル!!」
ゼクス「そしてアクセルを離す!」
ゼクス「試走で加速力とエンジンブレーキさえ把握すれば私のパイロットの経験が必要なアクセル秒数を計算してくれる!」
ゼクス「完璧だ」
ゼクス「どうだったかな?」
ノリス「……」
リヴァイヴ「……ゼクス?」
シロー「……230キロって数字は覚えてますよね?」
ゼクス「マイルと誤る様な失態は犯していないな」
グラハム「なら、これは事情聴取が必要な様だ」
リディ「……325.5キロ」
ゼクス「本当か?スピードメーターが壊れているのではないのか?」
ノリス「いや、明らかに速かった。ドラッグレースだと疑ったな」
リヴァイヴ「スピード狂が……とうとう感覚までダメになりましたか」
シロー「最初にゼクスが言った速度だとしても負けているし、330キロと間違えたとしか……」
リディ「そもそもあのドムでそこまで出せるのが……」
グラハム「本来なら免停を言い渡したい所だが、ここは公道ではない。私達の1勝、と言う訳だ」
リヴァイヴ「ゼクスの失態でイーブンに。しかし、すぐに汚名挽回の機会が訪れます」
ゼクス「ここからは個人戦。しかも直前の勝負の敗者の指定したルールで戦える。私が戦士である事の証明をすぐに果たしてみせよう」
ノリス「最後に戦うリディはもう帰って15キロオーバーの取り締まりに戻った方が良い」
リディ「どういう事ですか?俺はセット撤収まで居座るつもりですよ」
ゼクス「私とノリスで2連勝、以上だ」
リヴァイヴ「私の仕事はあなた方を煽る事だけです」
759 : Top Mobile(前編)2016/04/17(日) 22:31:01.74 ID:eokPNDGW0
ゼクス「私がシロー相手に提示した戦いはドッグ・チェイス。時速100kmを切ると問答無用で自爆だ。私は愛機トールギスで迎え撃つ」
シロー「かなり不利な条件だな。だけど、やるしかない!警視正、借りますよ!」
グラハム「その旨を良しとする」
ゼクス「ブレイヴの一般販売モデル。トールギスに追従する性能を選ぶ判断は正しい。だが、それ以外のチョイスは失敗だ」
ゼクス「まず1つ、LEIFのセーフティリミッターは変形時に障害物を確認すれば簡単に減速する」
ゼクス「そしてもう1つ、警察仕様と市販機は中身が全く別物だ」
ゼクス「最大の問題は……GNドライヴに不慣れなパイロットは慣性制御で独特の挙動を無理に抑えようとして『ジュピター・グラビティ』に陥りがちな事だ!
今の貴様のようにな!だが溺れる事はこの戦いでは死を意味するのだ!」
グラハム「なんと!?GNドライヴ搭載機は減速要素が多すぎるのか!」
シロー「くっ……!」
ゼクス「ドッグ・チェイスは元々地上で戦うもの。伝統を無視して私がこの機体を選んだ理由を知っているか?
このルールに不向きなブレイヴに確実に乗せる為だ!」
リヴァイヴ「流石策士!」
ノリス「正々堂々と搦め手を使うとはな!」
シロー「本音はリーオーじゃあ俺の
ガンダムに勝てる気がしなかったからだろ?」
ゼクス「当然だろう。何故プロの愛用品を勝負の場に引き出す必要がある?」
シロー「だったら、俺が慣れる前に終わらせた方が良いんじゃないのか?」
ゼクス「何とか避けているだけの男に言われるとは……その期待に応えたくなるではないか!」
グイーン
ゼクス「ドッグ・チェイスで正対するのはマナー違反だ。しかし『悪法のエリート』には構わん!」
ゼクス「正面からぶつかれば、パワー差で貴様が減速する。私の勝利だ」
ゼクス「行くぞ!」
シロー「させるか……
トランザム!」
ゼクス「何!?避けられた!?」
シロー「それだけじゃあない!!」
ゼクス「な、何なのだこの空転感は……まさか!!」
グラハム「なんと!?回避と同時にスーパーバーニアだけを破壊したというのか!?」
ノリス「フッ、さすがはアイナ様の想い人、やってくれる!」
リディ「しかも速度を保ったまま急ターンして追走している!?」
リヴァイヴ「あの回り込むスマートな動きは相当の訓練を積んでいますよ!」
シロー「警察官は人生で1秒の動作の為に何時間も鍛える!これがその成果だ!!」ドウッ
ゼクス「くっ、謀ったな!?」
シロー「残りのバーニアも破壊した!ゼクス、釣られたお前の負けだ!」
最終更新:2016年05月19日 11:30