855 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/01/08(火) 17:17:24 ID:???
バケツをひっくり返したような雨が降っていた。
雨がひどいのにわざわざ外に出て行く必要はない。
ロランは一人で家の掃除をしていた。
他の兄弟たちはみんな雨が降る前に外出していた。ロランが掃除をするにはいい機会だった。

「あれ? 何かある」
居間の隅に一冊のノートが落ちていた。ロランはノートを手にとる。

そこにアムロが帰ってきた。
「いやあ、ひどい雨だ。ガンダムが派手に壊れてね。まず頭が無いし。まったくシャアは……」
「おかえりなさい。今は掃除をしているところなんですよ」

「掃除か……。俺も手伝おうかな。ところでロランが持っているノートは何だい?」
「さあ? 誰のノートでしょう。ガンダムのマニュアル……なんてことはないですよね」
ロランとアムロはノートを開いた。

『ガトー。お前が忘れていても俺は忘れはしない……』
「これはコウの日記だな」
「他のページも同じようなことが書かれていますね。
 ガトーさんに出し抜かれたとかこんなことがあって俺は忘れはしないとか」
「忘れはしないって書いてあるが思いっきりこのノートのことを忘れてるじゃないか。
 どうして居間にこれが置いてあるんだ。普通は自分の部屋にあるはずのものだろう」
「しかもこのノートは途中までしか書いてないですね。三日坊主?」

856 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/01/08(火) 17:18:44 ID:???
コウの日記を読み終えたロランはアムロに言った。
「そろそろ他の部屋の掃除をしましょう。他のみんなはいませんから今がチャンスです。
 兄弟の部屋も今のうちに徹底的にやりましょう」
「わかった」

コウが使っている部屋の掃除を始めるやいなや
ロランはさっき見つけたものと同じようなノートを見つけた。少し見てみる。
「これも日記じゃないですか?」
「本当だ。これもコウの日記だな。表紙に03と書いてある。3冊目ということか……?
 なるほど。このページを見るとどうやら1冊目はなくしてしまったと思っているようだな」

「人の日記を見るのもなかなか面白いですね。他の人の日記も探してみましょう」
「おいおい。いいのか?」
「でも本当は見たいんでしょう。それにみんながいない今がチャンスです」
「まあな。掃除をした後に他の日記をゆっくり見るとするか」


857 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/01/08(火) 17:21:34 ID:???
すべての部屋の掃除を終えたロランとアムロは居間に戻ってきた。
他の部屋から持ってきた日記らしい本を何冊か開いてみる。

「うわあ。このページはザクの話ばっかりだな」
「アムロ兄さん。それってどうせアルの日記なんでしょう。何を今さら」
「いや。アルの日記はもうざっと読んだ。
 これはシンの日記だな。赤いザクと白いザクの話ばっかりだな」

「僕が読んでいる日記にもザクのことが出てきますよ。ほら、ここに」
「これはシローの日記だな。
 ギニアスさんやアイナさんに話を合わせるためにザクの勉強をしているのか」

他の日記を読んでいるうちにロランが感心した顔になった。
「へええ」
「どうしたんだ?」
「これはドモン兄さんのノートなんですけど。
 ドーピング違反にならないように薬はこれとこれだけって書いてあるんです。
 おそらくレインさんの指示だとは思うんですけど。
 しかしガンダムファイトもドーピングで問題になるようになったんですね。何だかなあ……」

「こっちも面白い事が書いてあるぞ。シーブックの日記だが」
「どうせパンの作り方が書いてあるだけじゃないですか?」
「いや。それが違うんだ」
「へえ……。何かすごいことが? 裏で何かみんなのためになることをしているとか」

「アンナマリーさんがシーブックに相談していることが書かれているな。
 ザビーネさんとケンカして……、ちゃんとよりを戻すまでが書かれている。
 なかなか勉強になるな」

858 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/01/08(火) 17:25:27 ID:???
「まだまだ見てないページがたくさんある。これはジュドーのか。
 持っているガンダムを売るといくらになるか計算しているな。
 この費用というのは何だろう? ガンダムを売っても足りない……?」

「彼女に何か買ってあげるとか?」
「彼女とはルーのことか。ロランはカンがさえているな。
 ジュドーの奴はそれほどまでルーのことを……」
「僕もジュドーを応援しますよ。燃え上がーれ、燃え上がーれ、燃え上がーれ、ジュドー。
 こっちもガンダムを売ったらいくらになるか計算してますよ。これはガロー……」

その時ロランはいつの間にか兄弟がみんな帰ってきていることに気付いた。
もちろんみんな怒っている。

「ん? どうしたロラン?」
気が付いていないアムロは不思議な表情でロランを見た。
「アムロ兄さん、振り向かないで下さい! 振り向くと地獄ですから!」
そう言われて思わずアムロが振り向くと顔が凍りついた。そこにはみんながいた。

「俺の友達は言った。うかつな動きは死につながると」
「師匠から聞いた話では男は涙を見せぬものらしいな。一回殴って試してみるか」
「いや、これはロランが……。うわぁ!」

あれほど降っていた雨がやむ。しばらくしてハイム家のお嬢さんたちが遊びに来た。
「こんにちはー。雨がやんだから遊びに来たの……ってどうしたのその顔!?」
「どうしたのソシエ? 大きな声を出して……。ロラン!? 顔がまるで別人じゃない!?」
「はは。2人とも思いっきりみんなから殴られてしまって。
 雨がやんだのはよかったけどこっちの方は水に流してもらえなかったみたいで。
 いえいえ、こっちのことです。……それにしてもジュドーは本当に彼女が好きなんだなあ」

おわり


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最終更新:2019年05月14日 15:43