263 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:30:38 ID:???
――旧全シャア板が泣いた――
――兄弟スレ発、超大作――
シン 「……俺なんて、キラ兄に比べたらさ……」
ルナマリア「シン……」
優秀な兄に対して劣等感を抱く少年、シン。
キラ 「どうして、戦争はなくならないんだろう……」
ラクス 「キラ……」
争いの消えぬ社会に対して、悲しみと怒りを抱く少年、キラ。
二人の少年が『デストロイガンダム・テロ』と呼ばれる事件に遭遇したことから、物語は幕を開ける。
シン 「クッ……ひどいな、町がメチャクチャ……!? こ、この子は!?」
ステラ 「……」
テロ事件の現場となった街中で、身も心も傷ついた少女と出会うシン。
彼女が病院が行くことを怖がったため、シンは仕方なく家へと連れ帰る。
――ステラと名乗ったその少女は、名前以外の記憶を全て失っていた。
シン 「……で、記憶が戻るまでは家においておきたいんだけど」
アムロ 「ふむ……まあいいだろう。だが……」
シン 「だが?」
アムロ 「避妊はしろよ?」
シン 「しないよ! い、いや、避妊をってことじゃなくて、そもそもそういう行為を」
アムロ 「いや、ちょっとした冗談に、そこまで反応されてもな……」
ステラ 「ひにんってなに?」
シン 「……!」
こうして、ステラは無事
ガンダム兄弟家に迎えられることとなった。
ステラ 「うー」
アル 「うわぁ、そこはトイレだよステラお姉ちゃん!」
シュウト 「洗面所はこっち!」
ウッソ (顔面汚物塗れのステラさん……)
カミーユ 「ウッソ、妄想が電波に出てるぞ……」
常識知らずなステラに振り回されつつも、ますます楽しさを増していく兄弟家。
そんな中、一人キラだけは浮かない顔を浮かべている。
彼はテロ事件に遭遇した際、目の前で一人の少女を殺されていたのだ。
キラ 「……目の前でエルちゃんが殺されたのに、僕は何も出来なかったんだ……」
ラクス 「キラ……」
キラ 「ラクス……君の力を貸してくれ。
必ず、あのデストロイガンダムに乗っていたパイロットを捕まえて、罪を償わせてみせる!」
フリーダムガンダムを駆り、非道なテロ組織に対して正義の鉄槌を振るわんとするキラ。
一方、楽しい日々の中で、ステラは夜毎悪夢にうなされていた。
ステラ 「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
シン 「大丈夫だから、ステラは俺が守るから!」
震えるステラを抱きしめながら、シンは彼女を「何か」から守っていくと誓う。
それは、キラに対して劣等感を抱き、卑屈さの殻に閉じこもっていた自分との決別でもあった。
264 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:31:45 ID:???
シン 「ドモン兄さん、俺を鍛えてくれ! ステラを守れるぐらいに、強くなりたいんだ!」
ドモン 「よく言った、シン! 俺は、お前がそう言い出すのをずっと待っていた! さあ、全力で向かってこい!」
シン 「うおおおおおおおっ!」
そんなシンの姿を見て、ステラもまた、自分も何かしなければという前向きな想いを抱き始める。
ステラ 「……」
ロラン 「ん、どうしたんですか、ステラさん?」
ステラ 「……お手伝い、したい」
ロラン 「……そうですか。それじゃあ、ちょっと、買い物に行ってきてもらえますか?」
バーニィ 「お、買い物かい?」
ステラ 「……うん」
バーニィ 「気をつけろよー、油断するとすぐ
ミンチになるからな、この辺は!」
マユ 「そうそう」
ギンガナム「ハハハハハッ、この私が守っているのだぞ、そんなことはあり得ん!」
カロッゾ 「ふははははは……頼もしかろう!」
ステラ 「……バグパン20個ください……」
ステラ 「……お皿も洗う……」
ロラン 「あはは、ありがとうございます、ステラさん。それじゃあ、ちょっとお願いしますね。僕はテーブル拭いてきますから」
ステラ 「うん……あ(ガチャン)」
シン 「……で、怒られるのが怖くて隠しちゃったのか……」
ステラ 「うん……」
シン 「ダメだぞー、悪いことしたら、ちゃんと謝らなくちゃ」
ステラ 「……謝る?」
シン 「そう。じゃないと、もっと悪い子になっちゃうからな……俺も一緒に謝ってあげるからさ、ロラン兄のとこ行こうよ、な?」
ステラ 「……うん」
それぞれが、それぞれの思い描く未来に向かって歩き始める中……黒い影は、確実に迫りつつあった。
ステラ 「……」
シーブック「ん、どうしたんだ、ステラ? 何か、不安そうだけど」
ステラ 「……ステラ、何か、とても悪いことをしてたような気がする……
こんな楽しいところにいても、いいの……?」
シーブック「……いいんだよ。ステラは、ここにいてもいいんだ……」
ロラン 「大切な人が、安心して眠るために……頑張らなきゃね、シン」
シン 「……ああ、分かってるよ。必ず、この手でステラを守ってみせる……!」
キラ 「……この施設にも、デストロイガンダムのパイロットに関する情報はなしか……」
ラクス 「ま、待ってください、キラ。このデータ……!」
キラ 「これは……パイロットリスト!? ……こ、この女の子は、まさか……!」
ついにキラが真相に辿りついたとき……穏やかな日々は、突如として終わりを告げる。
夜半、クライン家所属の私設MS部隊が町に降下、兄弟家を包囲する。
シン 「な、なんだあんたたち……!」
ヒルダ 「この娘か……おい、連れて行け」
マーズ 「はっ」
ステラ 「いやっ……離して……っ! シン、シンーッ!」
シン 「やめろ、ステラを離せっ……!? キラ兄!?」
キラ 「シン、彼女はデストロイガンダムのパイロット……犯罪者だったんだ。このまま放っておくわけにはいかない」
シン 「いきなり出てきて……あんたって人はぁぁぁぁぁっ!」
大切な人を守りたいという想いと想いが、激しくぶつかり合う。
一方、他の兄弟達も、シン達を救うべくそれぞれに行動を開始していた。
265 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:32:54 ID:???
アムロ 「……すまないな、シャア」
シャア 「気にするな……あのテロ事件の背後関係に関しては、私も気になっていたところだ。
今回は旧友として協力させてもらう」
アムロ 「ああ、コネでもなんでも活用して、なんとしてでも黒幕を引きずり出してやるぞ……!」
マイ 「僕の同僚たちも協力してくれるそうです。あの組織の行動は、非論理的ですからね」
カスペン 「待たせたな、ヒヨッ子ども!」
ホルバイン「事件の中心にエントリィィィィィィィッ!」
アムロ 「……逆に不安になるのは何故だ」
コウ 「すみません、シーマさん……ガトーも」
シーマ 「ふふん、いいさ。あたしとしても、あの連中にはイライラしてたところさね」
ガトー 「その通りだ。
呉越同舟という言葉もある。協力させてもらうぞ、ウラキ」
ディアナ 「ハリー、兄弟家への協力……よしなにな」
ハリー 「ハッ、心得ております、ディアナさま!」
ロラン 「ありがとうございます!」
グエン 「無論私も協力するぞ、ローラ! 君のために!」
ロラン 「……ええと、なんだか素直に喜べないんですが……」
カミーユ 「学生って立場じゃ、出来ることは少ないか……」
ロザミア 「でも、何もできないわけじゃないわ」
フォウ 「そう……カミーユは、その想いを表現してくれる友人を持っている」
ファ 「だから……ね、カミーユ」
カミーユ 「そうだな……ありがとう、みんな」
ウッソ 「ネットでも情報を漁ってみますよ」
アル 「僕らも手伝う!」
シュウト 「あれ、ウッソ兄ちゃん、このお気に入りに入ってる『お姉さん』ってフォルダ、なに?」
ウッソ 「だ、ダメだよ変なとこ見ちゃ!」
キャプテン『未成年者の閲覧が禁止されているファイルである確率は100%。健全な精神育成のために削除削除……』
ウッソ 「ノォォォォォォォォォッ!」
兄弟たちの元に、次々と協力者が集まり始める。
一方で、シンは己の無力を噛み締めていた。
シン 「俺は、俺はぁぁぁぁっ!」
ドモン 「甘ったれるんじゃない! いいかシン、動くにも時機というものがある。
今はただ静かに、力を蓄えながら時を待て。必ず、彼女を救い出すべき好機は、来る!」
シン 「クッ……ステラ……!」
ヒイロ 「トレーズ……我が家を襲撃したクライン家の部隊には、
クシュリナーダ財団の者も混じっていたようだが……どういうつもりだ?」
トレーズ 「ヒイロ……家族の愛情はとても素晴らしいものだが、
罪は罪として、自らの意志により償わなければならない。違うかね?」
ヒイロ 「……」
シロー 「クソッ、警官という立場のために、弟達のために動けないなんて……!」
アイナ 「シロー……」
シロー 「何が、兄弟のためなら戦えるだ……! 俺は、無力だ……!」
キラ 「……僕は、これでいいんだろうか……大切な家族を傷つけてまで……」
ラクス 「キラ……わたしは、あなたが正しいことをしていると思います」
キラ 「……ありがとう、ラクス」
深まる苦悩と葛藤をよそに、事態は動き出す。
266 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:34:39 ID:???
モンド 「見つけたぜ、ジュドー!」
キッド 「ほら、ここがシンのお姫様の居場所だ!」
ジュドー 「この監獄か……!」
ガロード 「よく見つけたな、お前ら!」
ビーチャ 「へっ、ジャンク屋魂をなめんなよ!」
パーラ 「そうそう、その気になれば、ドブだろうが肥溜めの中だろうが躊躇なく侵入してやるってもんさ!」
ガロード 「……いや、お前は躊躇しとけよ。一応女の子なんだし……」
ギニアス 「……これを受け取れ」
シロー 「こ、この資料は……テロ組織、ファントム・ペイン!?」
ギニアス 「……昔、アプサラスの研究をしていたころ、そんな連中が接触してきたことがあったのでな……」
シロー 「間違いない……! これが、一連の事件の黒幕だ……! ありがとうございます、ギニアスさん!」
ギニアス 「だがアイナは嫁にはやらんぞ!」
シロー 「えぇっ!?」
アイナ 「お兄様ったら……!」
シン 「あ、あんたは……!?」
キンケドゥ「……選択肢は二つだ、このまま我らに全てを任せ、貝のように口を噤むか……
それとも、世界を敵に回してでも、彼女を救うために戦うのか……」
シン 「……俺は、ステラを守る! そう約束したんだ!」
ベラ 「クロスボーン・バンガードへようこそ、シン! 私達は、あなたを歓迎します!」
突撃、そして激突。
キラ 「シン……! いくら弟でも、君が前に立ちふさがるのなら、僕は……!」
シン 「いつまでも弱いままだと思うなよ、キラ兄っ!
俺のこの手が怒りに燃える! 運命変えろと輝き猛る!
消し飛べ! 必殺! ディスティニィィィィィィィ……フィンガァァァァァッ!」
キラ 「そ、その技は――っ!?」
怒りの拳にてキラのフリーダムガンダムを撃破し、シンはついにステラを救出することに成功する。
狭まる警戒網の中を、彼らは周囲の人々の助けを借りて逃げ回る。
ヒルダ 「おのれ、隠し立てするとロクなことにならんぞ、パン屋ぁっ!」
カロッゾ 「女というのものはつくづく度し難いな……! パン屋のすることを疑うのはよくない」
ドレル 「さあ、店の裏口から逃げたまえ」
シン 「す、すみません……」
ステラ 「ありがとう……」
ドレル 「なに、気にするな……わたしは、情のない機械などになるつもりはないのだからな」
マーズ 「な、なんだ、MS輸送のトラックが数台で道をふさいで……!」
バーニィ 「いやー、すみませんねえ、ちょっとエンストしちゃって!」
マーズ 「ええい、このトラックの向こうにあの子供らがいるというのに……! す、隙間はないのか……!」
ガルシア 「すいやせーん、重油が漏れ出して危険なんで近づかないでもらえますかー」
マーズ 「くおおおおおおっ!」
ミーシャ 「……これでいいんだろ、バーニィよ」
バーニィ 「すみません……」
ミーシャ 「なーに、いいってことよ。お前は
ミンチになりがちだがいい奴だからな……そん代わり……」
バーニィ 「そ、その代わり?」
ミーシャ 「あとで一杯奢ってもらうぜ……とびきり上等な酒をな!」
ヘルベルト「な、なんだ、何故こんな道の真ん中で格闘技大会が……!?」
サイサイシー「へい、どうだい、兄ちゃんも飛び入りで参加しない?」
モンド 「行けーっ、ギンガナムさーん!」
ビーチャ 「メリケン野郎をぶっ飛ばせーっ!」
チボデー 「ちょ、あんた本当にガンダムファイターじゃないのかよ!?」
ギンガナム「ハハハハハハッ、シミュレーションよりもこっちの方が面白いなぁっ!」
チボデー 「人の話を聞けっつーのに!」
267 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:36:07 ID:???
シン 「……みんな、ありがとう……!」
ステラ 「……どうしてみんな、助けてくれるの……?」
シン 「それは……ステラがいい子だからだよ」
ステラ 「……ちがう。ステラ、悪いことした……悪い子」
シン 「ステラのせいじゃないだろ!」
ステラ 「……でも、悪いことしたら謝りなさいって、シンが言った……そうしないと、もっと悪い子……」
シン 「ステラ……」
こうして彼らは、なんとか追っ手から逃れることに成功する。
しかし、警察に追い詰められたテロ組織ファントムペインの長、ジブリールの行動により、事態は急変する。
シロー 「追い詰めたぞ、ジブリール!」
ユウ 「……大人しくしていれば、危害は加えん」
ジブリール「クッ……かくなる上は……!」
シロー 「貴様ぁっ、今何をしたっ! そのスイッチはなんだ!?」
ジブリール「ククッ……バカめ! あの娘は、このスイッチ一つで破壊衝動を抑えられなくなる!
デストロイガンダムに乗らざるを得ないほどになぁっ!
そして、デストロイガンダムは、あの娘の呼びかけに応じて、すぐ彼女の周辺に現れるようになっているのだ……!」
シロー 「卑劣な真似を……!」
サンダース「最後の悪あがきというわけか……!」
ユウ 「……行け、シロー」
シロー 「ユウ!?」
ユウ 「……この男は、俺が必ず電気椅子送りにしてやる……ここは任せろ」
シロー 「……ありがとう。みんな、聞け! 俺は警察を辞める!」
ミケル 「ええっ!?」
シロー 「気付いたんだ……家族以上に大切なものはないとな! 必ず、シンを助けてみせる……!」
ジュドー 「クライン家の連中が動き出したみたいだぜ……!」
ガロード 「シン兄たちの居場所がばれたんだな……よーしみんな、準備はいいか!?」
ウィッツ 「おうよ!」
ロアビィ 「この日のために、ぶっ壊れてもいいMS大量に用意したんだよねえ」
エル 「その通り! 倒れても倒れても立ち向かって、必ず敵を食い止めるんだよ!」
デュバル 「立ち並ぶヅダ……! 実に壮観な眺めだな!」
ワシヤ (何機分解せずに帰還できるんだろうな……)
マイ 「何の違和感もなくジャンクMSに混じっているのが実に悲しいな……」
ガロード 「まあまあ、細かいことは言いっこなし!」
ジュドー 「さあ、俺たちのジャンク屋魂の結晶……この『鉄くず防衛線』、抜けるもんなら抜いてみろ、キラ兄っ!」
町の住人達とクライン家私設部隊の間で、激しい戦闘が巻き起こる。
キラ 「……どうしてだ! どうしてみんな、僕らの邪魔をするんだ……!
僕らは、正しいことをしているはずなのに……!」
ラクス (……キラは迷っている……でも、私も、あなたが間違ったことをしているとは思いません。
だから、私に出来ることはただ一つ……)
キラ 「……ラクス? こ、このモビルスーツは……!?」
ラクス 「キラ……どうか、迷わず、あなたの信じる道を……!」
空を駆けるストライクフリーダム、待ち受けるディティニーガンダム。
シン 「きたか、キラ兄っ!」
キラ 「シン……まだ立ちふさがるのなら……!」
シン 「あんたは一体なんなんだぁぁぁぁぁぁぁっ!」
再び激しくぶつかりあう、自由と運命。
一方、その近くの建物に隠れていたステラの体に、異変が発生しつつあった。
268 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:36:50 ID:???
ステラ 「う……うぅ……っ! なに、これ……! 物を壊したい、人を殺したいっていう気持ちが……!
ダメ、ダメ……! やだ、助けて、シン……ッ!」
トレーズ 「……君は、それでいいのかね?」
ステラ 「!! だ、誰ッ……!?」
トレーズ 「確かに、時には愛する者に助けを求めるのもいいだろう……本当に苦しいときならばな。
だが、いかなる時でもその調子では、君の意志は全く無意味なものになってしまう。
人は生きている限り、自分の足で立って歩かなければならないのだよ……そうだろう、
ステラ・ルーシェ。
君はこの数ヶ月……あの兄弟の家で、確かにそのことを学んだはずだ。
自分の意志で道を選び、歩いていくということをね」
ステラ 「……自分の、意志……」
トレーズ 「……そう。彼らがそうしているようにね」
ステラ 「……シン……」
……いつしか、戦闘は終わりを告げていた。
ジャンク屋たちがかき集めたMSは予想以上に時間を稼いだものの、そのことごとくが撃破されていたのである。
そして……ぶつかりあった二人の兄弟も、また。
シン 「クソッ、動けっ、動けよッ!」
キラ 「……シン……ディスティニーはもう終わりだ。投降、して……」
シン 「……っ!」
キラ 「君だって気付いているはずだ! 彼女がやったことは、許されることじゃない! 罪は罪なんだ、償わなくちゃならないんだ!」
シン 「黙れ! あんたはそうやって、いつだって正論を振りかざして……!
こっちの言うことを聞いちゃくれない、こっちの気持ちなんか少しも分かっちゃくれない!
そうだよ、あんたはいつだって正しいよ! でもなぁ、本当に、正しいってことがそんなに大事なのか!?
あんな可哀想な女の子を追い掛け回して、怖がらせて……そんなのが、本当に……!」
キラ 「……僕は、僕は……!」
シンの叫びに、キラは答えることが出来ない。そんな二人の前に、彼女が姿を現す。
ステラ 「やめてっ!」
シン 「ステラ……っ!?」
ステラ 「……シン……お兄ちゃんと、喧嘩しちゃダメ……悲しいの、ダメ……」
シン 「でも、このままじゃステラが……」
ステラ 「……いいの、シン……ステラ、逃げてただけだった」
シン 「……ステラ?」
ステラ 「頑張ったら、ちゃんと抑えられたの。だから、たくさんの人を傷つけたのは、やっぱりステラのせい」
シン 「何を、何を言ってるんだ?」
ステラ 「全部、シンのおかげ。強くなれたのも、自分の意志で歩けるようになったのも。
だから、ありがとう……さようなら」
シンが呆然と見守る中、ステラはキラの前に立ち、彼の顔を真っ直ぐに見上げて言う。
ステラ 「わたしは、罪を償います」
こうして、全てが終わりを告げた。
269 名前:劇場版兄弟家投稿日:2008/01/31(木) 23:38:12 ID:???
モンド 「あーあ、俺らの負けかあ……」
エル 「あんなに頑張ったのに……」
バーニィ 「いや……負けてなんかないさ」
アル 「どういうこと、バーニィ?」
バーニィ 「俺たちは、彼女を戦闘から遠ざけて……自分と戦う時間を稼いだんだ。だから、作戦は成功なんだ」
カミーユ 「……そうだな。うん、きっとそうだ……」
シーブック「……とりあえず、ここを片付けて帰ろうか」
コウ 「うわぁ……どれだけかかるんだ、こんな数の残骸を片付けるのに……」
シュウト 「よーっし、頑張ろう、キャプテン!」
キャプテン『了解』
ソンネン 「へっへっへ、ヒルドルブのショベルで全部どかしてやるぜ!」
マイ 「そんな使い方して抵抗ないんですか?」
ヒイロ 「……トレーズ、あの女の処遇はどうなる?」
トレーズ 「悪いようにはしない。いろいろと、彼女の有利になる証拠も揃っているのでね。安心したまえ」
ヒイロ 「そうか」
トレーズ 「だが、彼女の戦いは死ぬまで続くだろう。罪悪感は消えずに残るだろうからね」
ヒイロ 「……」
トレーズ 「なに、彼女は強い娘だ……いや、そうなったと言うべきか。
あの強い意志があれば、乗り越えていけるだろうと信じている」
ヒイロ 「……世話になった」
トレーズ 「気にするな、我が友……また会おう、さらばだ」
少女は罪を償うために彼方へと去り、残された少年は慟哭を上げる。
シン 「……俺、ステラを、守るって……そう決めたのに……」
ドモン 「……お前は、十分に彼女を守った」
シロー 「そうだな……だからこそ、彼女も成長できたんだ」
ウッソ 「胸を張ってくださいよ、シン兄さん!」
ロラン 「きっと、また会えるよ」
シン 「……そうだな。いや、俺のほうから会いに行くさ、待っててくれ、ステラ!」
キラ 「……」
ラクス 「キラ……」
アムロ 「落ち込むことはないさ。お前は立派にやったよ、キラ」
キラ 「……そう、かな」
アムロ 「そうだ。間違いは間違いとして認めて、また歩き出せばいい。それが、意志を持つ人間ってものだろ?」
キラ 「……うん」
アムロ 「……さあ、行くぞキラ。ここを綺麗に片付けて、それから……」
―家に、帰ろう―
旧シャア板にて、未公開予定。
270 名前:通常の名無しさんの3倍投稿日:2008/01/31(木) 23:39:03 ID:???
……というネタを考えていた時期が、僕にもありました。
長すぎて断念したんだけど、折角だから映画予告風にさらしてみようと思ったら
単なるダイジェスト版になっちゃったZE!
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ガンダム一家 中編 劇場版 嘘予告
最終更新:2019年05月18日 20:46