160通常の名無しさんの3倍2019/06/30(日) 11:01:26.46ID:E+LmVGtR0
 闇の中、ある人物が舞台にある椅子に座っている。そこにちょうどスポットライトが当たった。
その人物が光に照らし出された。
Gガンダムのストーカーだ。

ストーカー「皆さん、怒るのは嫌なものです。
      怒るのはすごくエネルギーを使う行為ですし、
      怒られるのは誰だって嫌に決まっています。
      今日はこの街のある人物がある人に対して本気で怒るという話です。
      人間怒る時はあります。もう一回言いますが怒るのは嫌なものです。
      しかし私はこうも思うのです」

 そこまで語るとストーカーは言葉を選ぶようにゆっくりと発言した。

ストーカー「なぜそんなにその人が怒るのか考えることで
      その人物が歩んできた人生や持っている背景が見えてくることがあるのではないかと。
      今回はガンダムファイトはありません。そんな話です」

 ある日、フレイとミリアリアがいつものガンダム兄弟の家に現れた。
目的は取材とその付き添いである。

アムロ「2人ともどうしたんだ?」
ミリアリア「今日はアムロさんの取材です……、ってシャアさん!」
シャア「やあ、こんにちは」

 アムロ達の家にいてミリアリアにあいさつしたのはシャアである。
兄弟達やシャアの他にもハサウェイやクェス、ギュネイがいて
楽しそうに笑いながら世間話をしている。

ミリアリア「実はアムロさんの他にシャアさんにも取材をしたかったんですよ!」
シャア「私に?」
ミリアリア「はい! これはチャンスなんで2人にインタビューと写真撮影お願いできますか!?」

161通常の名無しさんの3倍2019/06/30(日) 11:03:44.92ID:E+LmVGtR0
 シャアは快諾した。

シャア「いいだろう」
アムロ「俺もいいぞ。シャアと取材か。いったいどういう話を俺達がすればいいんだ?」
ミリアリア「あのですねー……」

 ミリアリアは事細かに話し始めた。生い立ちや2人のライバル関係について改めて聞きたいと。
アムロもシャアもそれに応じる。なごやかな雰囲気でインタビューや写真撮影は進んでいった。

アムロ「……というわけだ」
シャア「ああ、そうそうその時は……」
ミリアリア「なるほど」

 ミリアリアが聞いた話を手帳に書いてまとめている。
その横では兄弟達がいて思い思いの行動をしている。
家事をするもの、身体のトレーニングをするもの、
自爆しようとして止められるもの、さまざまだ。
さらにそばではハサウェイやクェス、ギュネイが会話を続けている。

クェス「……でね、家ではそうだったの!」
ハサウェイ「あー、そうなんだ」
ギュネイ「ふーん」

アムロ「……ということもあったな」
シャア「ああ、あったな。それは」
ミリアリア「なるほど」
フレイ「……」

クェス「……というわけよ、本当に腹が立つ」
フレイ「……」
アムロ「……と、こういうこともあった!」
シャア「あったな!」
ミリアリア「なるほど」

クェス「……本当に頭にくる!」
フレイ「……」
クェス「……あんな奴、いなくなればいいのに!」
フレイ「……! クェス、いい加減にしなさいよ!」
クェス「何!? 自分のお父さんのことを悪く言っちゃ悪いの!?」

162通常の名無しさんの3倍2019/06/30(日) 11:06:10.59ID:E+LmVGtR0
 フレイがすごい形相でクェスに怒っている。

フレイ「ミリアリアがこの家で取材している横でそんな話聞かされたらダメって言うわよ!」
クェス「何よ、それ!」
フレイ「何で自分の父親のことをそんなに悪く言うのよ!?」

クェス「だから何よ? 何でフレイが怒るのよ?
    ああ、そうかフレイは家に帰れば大好きなお父さんがいるからね」
フレイ「そうよ、大好きよ。パパのこと大好きよ」
クェス「このファザコン!」

 2人が口でケンカを始めたので他の者が止めに入った。

シャア「クェス、ケンカはやめるんだ」
ハサウェイ「そうだよ」
ギュネイ「そうだ」
アムロ「フレイもケンカはやめるんだ」
ミリアリア「取材の付き添いで来てもらってなんだけど、この場所でケンカって何考えてるのよ!?」

フレイ「もう一回言うわ。ここで自分の父親をそういう風に言うのはやめなさい」
クェス「だからなんでフレイにそんなこと言われなきゃならないのよ!?
    そんなにお父さんのことが大好きなの!?」
フレイ「そうよ! パパ、大好き!」
クェス「それはよかったわね。私のお父さんはまた女をつくったかもしれないのよ。
    そんな父親でもいいと思う!? フレイとこっちの家は違うのよ!」

アムロ「アデナウアーさんか……」
シャア「クェスの言うこともわかるが……」

 フレイは先ほどと変わらず怒った表情で話しかけた。
クェスも同じく怒っている。

フレイ「そういうことで怒っているんじゃないわ!」
クェス「じゃあ何!?」
フレイ「人間には相性があるから、合わない人間がいるかもしれない。
    クェスの家族がそうなのかもしれない。でもねここでそんなことを言っちゃダメ!
    ここはね!」

 フレイはさらに大きい声で叫んだ。

フレイ「ここは、このガンダム兄弟の家は父親がいないのよ! 母親もいない!
    それなのに父親がいなくなればいい? いい加減にしなさいよ!」

163通常の名無しさんの3倍2019/06/30(日) 11:08:26.48ID:E+LmVGtR0
 アムロは大声を出した。

アムロ「俺達のこと!?」

フレイ「パパがいなくなったら、私だったら絶対おかしくなっちゃうわ。
    それなのにね、ここの家族達、兄弟達はみんな頑張っているのよ」
クェス「それは…」

アムロ「フレイ、俺達はもうそんなこと気にしていないし、
    少なくとも俺はもう気にしてないから」
フレイ「もうって何よ!? もうって!
    ここの家族達が両親いないことクェスは知ってるでしょ!?
    それなのにここで、よりによってここで自分の父親いなくなれって言うなんて……!」

 なおも怒ってクェスにつめ寄ろうとするフレイを兄弟達は羽交い絞めにした。
クェスもまたシャアやハサウェイ、ギュネイ達に羽交い絞めにされる。

フレイ「前に行けない……!」
クェス「3人ともやめてよ……!」

 しばらく後、フレイとクェスはこの家の別室に座っていた。
アムロとシャアが穏やかに話しかけた。
その様子を部屋のドアの向こうからミリアリアや他の兄弟達が見ている。

アムロ「頭が冷えて冷静になったか」
シャア「2人ともさっきはすごい剣幕だったぞ」

164通常の名無しさんの3倍2019/06/30(日) 11:10:47.15ID:E+LmVGtR0
フレイ「はい、すみません」
クェス「はい」
フレイ「クェス、さっきは……」
クェス「ううん、私の方こそここでそういう風に思ったことなかったし、
    そう怒られたこともなかった。
    ここでああいうことを言うのはやめようかな……」

アムロ「……フレイ、さっきは俺達のことで怒ってたんだな。
    ケンカはダメだが、その、なんだ、理由が俺達のことというのは少し嬉しい」
フレイ「はい」

シャア「クェス、私の部下の者に今調べさせたんだが……」
クェス「はい」
シャア「以前はともかく、少なくとも今回のアデナウアーさんの疑いはシロだぞ」
クェス「えっ?」
シャア「だからアデナウアーさんに女は今いない。
    またつくるかもしれないし、よりを戻すかもしれないが……」

 クェスはそれを聞くと立ち上がって急いで部屋を出た。
ドアの向こう側にいた兄弟達が追おうとしたがハサウェイやギュネイがそれを手で制して止めた。

ギュネイ「行かせてやれ」
ハサウェイ「ギュネイと意見が合ったね」

アムロ「さて、どこに行ったのかな」
シャア「アムロ、本気で言ってるのか?
    クェスがどこ行ったのかニュータイプじゃなくても誰でもわかるぞ」
アムロ「冗談だ」

 そう言うとアムロとシャアはお互いに笑った。


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最終更新:2023年02月21日 12:12