64オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/01(金) 20:34:54.07ID:zxlKtEJE0
 AM 06:50 警察署内:地下ボイラー室

ギニアス「フハ、フハハハハハ! どうしたどうした逃げるばかりかシロー・アマダ!!」

 真・アプサラス……もといグランドマスターガンダムはその圧倒的な火力でシローたち4人を徐々に追い詰めていく。

イオ「クソッ! この狭いところでバカスカバカスカ撃ちやがって!」
三日月「自分の攻撃で自滅が怖くないわけ?」
シーブック「DG細胞には自己再生能力がある。撃ちあいになっても分があると思ってるんだろうさ」

 仕方なしに柱の影にいったん隠れ、彼らは反撃の隙をうかがう。
 そこでシローが小さく息を吐いた。

シロー「ギニアスさん……やはりあなたがフロンタルの同志なのか?」
イオ「同志? ああ、ベルリたちがシャア(一年戦争)から聞いた最後の協力者ってヤツか」
シーブック「最後の協力者は俺たちのよく知る人物……確かに条件は当てはまるな」
シロー「確かにここ数日、お兄さんが姿を消したとアイナも言っていた。だが……」
三日月「今はそんなこと言ってる場合じゃないでしょ」
イオ「三日月?」
三日月「来るよ、アイツ」
シーブック「√! グランドマスターガンダムがこっちに突っ込んでくる! みんな、回避を!」
ギニアス「いつまで隠れているつもりだシロー・アマダァァァァァ!!」

 三日月の野生の勘とシーブックの直感通り、柱を破壊しながらグランドマスターガンダムが突っ込んでくる!
 ギリギリのところでその突撃を回避したイオは、忌々しそうに巨体を睨んだ。

イオ「三日月の言う通りだ。今は協力者が誰だとか考えてる場合じゃねえ。おい!」
三日月「なに?」
イオ「逃げてばっかりじゃつまんねえよな、次はこっちから仕掛けるぞ!」
三日月「わかった」
シロー「待て二人とも! バラバラに仕掛けるな!」
イオ「連携すりゃいいんだろ! 俺がけん制する、その隙に懐へ突っ込め三日月!」

 そう言いながらイオは増加装甲内にあるミサイルを一斉発射し、弾幕を張った。
 その隙に三日月のバルバトスが床を這うように近づき、
 両手のレクスネイルと腕部200mm砲、テイルブレードで超接近戦を仕掛けるも……

ギニアス「この真・アプサラスを舐めるなガンダム兄弟!!」
三日月「! MSが突然目の前に……!」
シロー「あれはウォルターガンダム!?」
シーブック「しっぽを切り離したのか!?」

 三日月の目前にに突如現れたのはデビルガンダム四天王の一機、ウォルターガンダム。
 接近戦を察したギニアスが尾を自切し、変形させたのだ。
 ウォルターガンダムは顔面と足を格納し球状に丸まると、バルバトスに向けて強烈な突撃を仕掛ける!
 真正面から直撃を受けて、バルバトスは成す術なく壁に叩きつけられた。

65オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/01(金) 20:38:12.23ID:zxlKtEJE0
三日月「ぐうっ……!」
イオ「三日月!」
三日月「俺は大丈夫。だけど……」
ギニアス「くはは、この天才である私が、お前たちのやってくることを予想しないとでも?」

 グランドマスターガンダムのコクピットでギニアスは勝ち誇った。
 そのままウォルターガンダムを手元に戻すと、再び合体する。

ギニアス「この真・アプサラスは、自在にパーツを分離・再合体できるよう調整してある。あらゆるレンジ戦に対応できるようにな。つまり、死角はない!!」
シーブック「分離・再合体って、そんな機能原作のグランドマスターガンダムになかったでしょ!」
ギニアス「グランドマスターガンダムではない! 真・アプサラスだ! いい加減覚えろ小僧!」
イオ「糞! ただのヤラレメカの分際で厄介なことしやがって!」

 悪態をつくイオ。だがその内心は焦っていた。
 あまりここで時間を取られてはいけない。屋上では、今頃セイとセカイがデビルガンダム本体と戦っているのだ。
 一刻もはやく目の前の敵を倒し、彼らに合流しなければ……

イオ「おいシロー! なんかねえかコイツをすぐにぶっ倒すいいアイデアはよ!」
シロー「あのグランドマスターガンダムはデビルガンダム四天王4体の力を一つにしている。ならば、俺たちも一つになるんだ!」
イオ「俺たちも……」
シーブック「一つに……!?」
三日月「いや、それはムリでしょ。だって俺たち別々の人間だし」

 だがシローの勇気ある提案は、三日月によってアッサリと否定された。

三日月「それとも俺たちの機体って、俺が知らないだけで合体とかできるんだっけ?」
シロー「いや、それはそうなんだが、俺が言いたいのは気持ち的な部分で一つになるってことでな……」
イオ「こんなときもクールだねえ三日月は」
シーブック「! いや、それだ三日月!!」
シロー「シーブック?」
シーブック「俺たちは別々の人間だ。一つにはなれない。だけど一つになった相手を倒すにはどうすればいいか」

 何かに気づいたシーブックはクロスボーンガンダムX1を駆り、グランドマスターガンダムに迫る。

ギニアス「次は海賊ガンダムか。だが真・アプサラスには近づけまい!」
シーブック「木星の高重力にも負けない、このクロスボーンガンダムの機動性を舐めるな!」

 グランドホーンから放たれる電撃やヘブンズトルネードを掻い潜り、
 クロスボーンガンダムはグランドマスターガンダムへと肉薄した。
 そしてビーム・ザンバーを抜き放ち、グランドマスターガンダムの尻尾を切断する!

ギニアス「馬鹿め、この真・アプサラスには再合体機能があることを忘れたか! こんな傷、すぐに修復して……」
シーブック「いや、これでいいんだ!」

 すぐさまグランドマスターガンダムの尻尾はウォルターガンダムへと変形した。
 クロスボーンガンダムはそれを追尾し、ヒートダガー、ブランド・マーカー、スクリュー・ウェッブで
 ウォルターガンダムに連続攻撃を仕掛ける!

66オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/01(金) 20:44:02.63ID:zxlKtEJE0
ウォルターガンダム「!!?」
シーブック「高機動戦闘もショートレンジもクロスボーンガンダムの十八番だ!」

 息もつかせぬ攻撃の前に翻弄されるウォルターガンダム。
 たまらず距離を離そうとビーム砲を乱射するも、
 ビームは全て装備したABCマントによって散らされてしまう。
 蒸発していくマントの破片の奥にウォルターガンダムが見たのは――ライフルを構えるガンダムの姿。

シーブック「逃がさん!!」

 クロスボーンガンダムが構えたザンバスターの一撃は、正確にウォルターガンダムの額を撃ち抜く!
 再生する間もなく、ウォルターガンダムは粉々に爆発四散した。

ギニアス「なんだと!?」
シーブック「これが答えだ、みんな!」
イオ「! そうか、その手があったかよ!」
三日月「……!」

 続いてイオと三日月が動いた。
 シーブックの戦いを見て何かを察した彼らは、
 未だ困惑しているギニアスの隙を突き、グランドマスターガンダムの背中の翼を切断した。
 翼は自動的に再変形し、同じくデビルガンダム四天王であるガンダムヘブンズソードへと変わる。

イオ「あの鳥は俺がやる! 三日月、お前はデカブツを頼むぜ!」
三日月「わかった。あっさりやられないでねイオ兄さん」
イオ「ヘッ、俺を誰だと思ってやがる!」

 ガンダムヘブンズソードはMFから鳥形形態へと変形すると、
 高速で飛行しながらフルアーマーガンダムに攻撃を加えていく。
 だがフルアーマーガンダムは、全ての攻撃をその重装甲で防いだ。

イオ「それで終わりか鳥野郎。お前程度の攻撃なんてな、俺のガンダムには効かねーんだよ!」

 そして照準をヘブンズソードへと合わせ、残り全ての武装を敵に向けて一斉発射する!

イオ「パーティーももうすぐ終わりだ。派手にやろうぜええええ!!」
ガンダムヘブンズソード「!!!」

 圧倒的な火力を受けて爆散するガンダムヘブンズソード。
 その光景を、ギニアスは呆気に取られて見ていた。

67オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/01(金) 20:45:15.75ID:zxlKtEJE0>>69
ギニアス「馬鹿な……この真・アプサラスのパーツが立て続けに二体も破壊されるなど……!」
三日月「どこみてんの?」
ギニアス「なにっ?」
三日月「その下のデカいヤツ、邪魔だから潰すよ」

 いつの間にかグランドマスターガンダムの懐深く入り込んでいたガンダムバルバトス。

三日月「よい……しょっと」

 徐々に傾いていく巨体。
 三日月は、エイハブ・リアクター二基の高出力をフルに使い、グランドマスターガンダムを地面にひっくり返す。

ギニアス「なっ!? たかがMS一機にアプサラスが押し倒され……ハッ!」

 愕然とするギニアスの視界に映ったのは、MSの二倍ほどもサイズの超巨大メイスを構えた、ガンダムバルバトスの姿だった。
 逆光の中、黒いシルエットにカメラアイだけが真っ赤に輝くその姿は、まるで悪魔そのものだ。

三日月「シーブックの戦い方を見てさ、気づいたんだよね」

 その禍々しい姿には似つかわしくない、のんびりとした口調で三日月は呟く。

三日月「一つになった相手に、バラバラの俺たちがどうやって戦えばいいのかって」
ギニアス「なんだと、貴様、何を言って」
三日月「簡単な話だった。『こっちがバラバラなら、相手もバラバラに解体しちゃえばいい』それだけなんだ」

 そう言いながら、三日月はまるで体操でもするような気軽さで巨大メイスを振り上げる。

ギニアス「! や、やめろぉぉぉぉ!!」

 だがその懇願もむなしく、メイスはグランドマスターガンダムに振り下ろされた。

ギニアス「が、がハアっ……」

 コクピットに伝わる衝撃に吐血するギニアス。
 しかし三日月はそんなことなどお構いなく、立て続けにメイスを振り下ろしていく。
 たまらず、ギニアスは自らマスターガンダムとグランドガンダムの接続部を切り離した。
 直後、何発目かの直撃を受けて残されたグランドガンダムは成すすべなく爆発した。

ギニアス「ありえん……ありえんぞ! この私が、アプサラスがこうもたやすく……!」

 愕然とコクピットで呟くギニアス。その彼の名を、誰かが呼んだ。

シロー「ギニアス・サハリン!!」
ギニアス「シロー……シロー・アマダァァァァァ!!」

68オールアムロVSシャア軍団VSガンダム兄弟2021/01/01(金) 20:52:27.58ID:zxlKtEJE0
シーブック「後は任せたよシロー兄さん!」
イオ「ついでだ! そいつとの因縁、ここで終わらせな!」

 ギニアスの駆るマスターガンダムは真っ直ぐにシローへと向かっていく。
 その勢いのまま、マスターガンダムはEz-8へ組み付いた。

ギニアス「シロー・アマダ……貴様さえ、貴様さえいなければ!!」

 そしてEz-8を壁に押し付けると、憎悪に任せて一方的に殴りつける!

ギニアス「アイナも、ノリスも! 貴様が現れたせいで私のもとから離れていった! 貴様さえいなければ!!」
シロー「……!」
ギニアス「貴様のせいで私は一人になった! 貴様のせいで……私には、もうアプサラスしか残されていない!!」
シロー「ふざけるな……!」
ギニアス「なんだと?」
シロー「あんたは何もわかっちゃいない。アイナやノリスさんがどれだけあんたを大切に思っているか」
ギニアス「!」
シロー「知らないんだろうな。あんたが姿を消して、アイナがどれだけ心配したかも。この危険な町の中を、ノリスさんが今もあんたを探して走り回っていることも!」
ギニアス「でたらめだ! そうやって私を動揺させるつもりか」
シロー「いい加減にしろ!! いつまでそうやって拗ねてるつもりだ!」
ギニアス「!!」
シロー「はっきり言っておく。ギニアス・サハリン、俺はあんたのことが大嫌いだ」
ギニアス「な、何をいまさら。私とて貴様のことなど……」
シロー「だけど、それ以上にあんたはアイナにとって大切な家族なんだ! だから!」
三日月「? シロー兄さん何やってんの?」
イオ「Ez-8が……マスターガンダムをハグした?」

 イオたちが驚くのも無理はない。
 マスターガンダムに殴られていたはずのEz-8は、反撃するでもなく突如敵を抱きしめたのだ。
 そして困惑しているのは彼らだけではない。

ギニアス「なっ! なにをするッ!? 離せ、離せ貴様!!」
シロー「俺は、俺はアイナと添い遂げる! アイナと俺は! これから家族になる!!」
ギニアス「気色悪い! そんな家族ごっこは私のいないところで勝手に……!」
シロー「イヤだ! 俺とアイナが家族である以上、アイナの兄弟であるあんたも、俺の家族になるんだ!」
ギニアス「なっ……!」
シロー「俺は……俺はなにがあっても家族は見捨てない! だからあんたのことも絶対に見捨てない! たとえ、今どれほど嫌いでもだ!!」
ギニアス「!!?」
シロー「だから……ケンカの続きは、直接顔を見てやりましょう。“お義兄さん”!」

 Ez-8はハグをしたまま頭部、そして胸部に搭載されたバルカン砲を乱射した。
 完全ゼロ距離での接射を受けて、見る間にボロボロになっていくマスターガンダム。
 それは発射しているEz-8も同様だが、それでもシローは決してギニアスを離さない。

ギニアス「う、うおおおおお!」

 そして破壊されたマスターガンダムのコクピットに腕を突っ込み、ギニアス・サハリンを救出する。
 Ez-8の掌の上で、怒りを込めた、しかしどこか複雑そうな表情で睨みつけるギニアス。
 そんな彼をシローはできる限りの笑顔で迎え入れる。

シロー「一緒に帰りましょう、お義兄さん。アイナが……俺たちの家族が待ってます」


警察署内:ボイラー室での戦闘結果

ガンダムEz-8……中破
フルアーマーガンダム……小破、ただし追加装甲の大部分が破損。武装の7割が弾切れ
クロスボーンガンダムX1……小破、ただしABCマントは消滅
ガンダムバルバトスルプスレクス……小破
グランドマスターガンダム(真・アプサラス)……完全破壊


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最終更新:2023年05月09日 12:27