216さよなら、スレッタ?
垢版 | 大砲
2023/06/26(月) 02:17:30.09ID:mnhFj2wZ0
ある日の買い物からの帰り道
アルレット「ふ~買った買った。大満足だわ~」
セレーネ「たまには悪くないわね。こうやって姉妹だけで出かけるのも」
リタ「ふふ、そうだね」
死神「同感同感」
セレーネ「うん、アンタを家族に数えていいかは若干審議が別れるところだけどね」
スレッタ「セレーネ姉さん誰と話してるんですか?」
リタ「う~ん。一部しか知らない、
ガンダム家秘密の住人とかな」
スレッタ「??」
アルレット「まあそれはともかく。リタちゃんとスレッタが加わるまで、最近は姉妹だけで出かけるなんて滅多になかったからね」
スレッタ「そうなんですか?」
セレーネ「そうねえ。昔ならともかく、ここ数年は私も仕事で忙しかったしねえ」
アルレット「そうなのよ。私だって妹に服とか見繕ってあげたいのに。最近はクリスも忙しいとかでよく断るし」
リタ「(それは多分また別の問題な気がするな)」
死神「(まあアルレットのセンスじゃあねえ)」
アルレット「だからこうして、スレッタが水星から帰ってきてくれて私たちとっても嬉しいのよ」
スレッタ「わ、わたしも嬉しいです! こうやって、お姉さんたちと出かけるのずっと憧れでしたから」
セレーネ「確かアンタが育った水星の採掘基地って、子供はスレッタだけなんだっけ?」
スレッタ「はい。わたしの面倒を見てくれていた人以外はみんなお年寄りの方ばっかりで…もちろんお店とかもありませんでしたし」
リタ「そうかあ。だから買い物中、いろんなお店の前で立ち止まってたんだね」
スレッタ「ご、ごめんなさい。アニメや漫画で見たようなお店が目の前にあると思ったら、なんだか感動しちゃって」
リタ「ふふ、大丈夫だよ謝らなくて」
アルレット「ああ~大人になってすっかり擦れちゃったセレーネちゃんとはまるで違うその反応。姉さんキュンとくるわ~」
セレーネ「はいはい、どうせ私はもうとっくに可愛くありませんよ」
死神「いい年して拗ねない拗ねない」
スレッタ「あ、あの! 今日は買い物に誘ってくれてありがとうございました! 服も色々買ってもらって…」
セレーネ「まあアル姉さんの見立てだから、どれだけ外で着られるかはわかんないけどね」
アルレット「セレーネ? あとで姉さんと二人きりでお話ししようか?」
スレッタ「ほ、本当に楽しかったです。そ、それにこの手首につけるアクセサリー、なんて言いましたっけ。ミ、ミ…」
アルレット「ミサンガね。今、ナウなヤングに馬鹿ウケ!のマストアイテムなんだから!」
セレーネ「うん、未だにミサンガにその認識を抱いてるの、
日登町でもアル姉さん一人だと思うよ?」
スレッタ「でも、これを自然に切れるまで大事にしてると、願いが叶うんですよね? だったらわたし、そうします!」
リタ「ちなみに、そのスレッタの願いってなに? よかったら聞かせてくれない?」
スレッタ「ええっと、水星に学校を作りたい、友達と放課後お茶したい、ス、素敵な人とデートしてみたい、それと…」
死神「純朴に見えて、意外と欲張りねこの子」
スレッタ「図書館で勉強したい、それから…家族と、ずっと一緒にいられたらいいなって」
アルレット「スレッタ…」
リタ「素敵な願いだね」
セレーネ「まったく…そんなことわざわざ願う必要ないでしょ。とくに最後のヤツ」
スレッタ「え?」
セレーネ「アンタが一緒にいたいと思ったら、好きなだけいていいの。願わなくてもね。家族って、そういうものなんだから」
スレッタ「セレーネ姉さん…」
セレーネ「まあそんな殊勝なこと思ってられるのも今の内だけだと思うけどね!?
ウチの家族、なにかと干渉してくるヤツも多いからウザくて自分から出ていきたくなっちゃうかも!
とくにアムロ兄さんなんかやれ彼氏を作れだの生活はちゃんとしろだのうざったいことこのうえないし…」
リタ「セレーネ、真っ赤になってなんかまくしたててる…」
死神「自分がクサいこと言ったことに気づいて耐えられなくなっちゃったのね」
セレーネ「ゴホンゴホン! あーお腹すいちゃった!今日のごはんはなにかしら!」
217さよなら、スレッタ?
垢版 | 大砲
2023/06/26(月) 02:19:56.63ID:mnhFj2wZ0
リタ「あれ? 家の前にだれかいるね。仮面をつけた女の人?」
アルレット「仮面のつけた人間は多いけど、女性は珍しいわね。ていうか見たことない顔だけど。ウチに何の用かしら」
スレッタ「! あ、あの人って!!」
セレーネ「ちょっとスレッタ! どうしたの急に走り出して!」
スレッタ「あの人なんです! さっき話した、水星で私の面倒を見てくれていた人って!」
セレーネ「ええ!?」
プロスペラ「スレッタ! 久しぶり、元気だった?」
スレッタ「うん!私もエアリアルも元気だよ!」
プロスペラ「そう、良かった。心配してたのよ、ずっと水星にいたあなたがこっちに馴染めてるか」
スレッタ「あはは、大丈夫だよ。みんないい人ばっかりだから。友達も沢山できたんだよ」
アルレット「珍しい…あのスレッタがあんなにハキハキと喋るなんて」
リタ「私たちにだってまだ完璧には敬語が抜けてないのにね」
死神「あのプロスペラって女、スレッタ・マーキュリーにとっては随分大切な存在みたいね?」
セレーネ「…………」
プロスペラ「実は今度アスティカシア高専近くで仕事をすることになってね。その前にスレッタに会いに来たのよ。大事な話もあったしね」
スレッタ「そうなんだ! …大事な話って?」
プロスペラ「あなたの将来に関わる話よ」
ガンダム家茶の間
アムロ「スレッタを…養子にしたい!?」
ヨナ「ちょ、ちょっと待ってください。突然そんな話をされてもこっちだって困ります」
アルレット「そうよ。スレッタは水星から戻ってきたばかりなのよ? それなのに今更養子になって水星で暮らせとか」
プロスペラ「あら、水星で暮らすとは一言も言っておりませんわ。
私、今度アスティカシア高専のすぐ近くのフロントで新事業を立ち上げますの。スレッタとはそこで暮らします」
アムロ「だけどあなたは水星で面倒をみていたスレッタを、一度は手放したわけでしょう? なぜ今になってそんなことを」
プロスペラ「手放すなんて、まるであの子を物みたいに言うのね?」
アムロ「うっ…!」
プロスペラ「それに『急に』ではないんですよ。スレッタを養子にしようというのは、ずっと前から考えていたことですから」
アルレット「じゃ、じゃあなんでスレッタを日登町に送り出したりしたのよ」
プロスペラ「それがあの子のためだと思ったからです」
ヨナ「スレッタの…ため?」
プロスペラ「ええ。あの子はずっと学校に行きたがっていた。だけど水星には学校は無い。
子供にちゃんとした教育を与えるのは保護者として当然の義務でしょう?」
ヨナ「それは…確かにそうですけど」
プロスペラ「でもこちらに来てみて驚きました。あの子、この町の高校じゃなくわざわざアスティカシア高専に通っているんですもの。
しかも寮に入るわけでもなく、毎朝あんなに遠くまで通学して!」
アルレット「で、でもそれは学校に行きたい、でも家族とは離れたくないってスレッタの望みを叶えるためで…」
プロスペラ「それであの子の望むままにさせたと? それで却ってあの子が苦労することも承知の上で?
失礼ですが、ガンダム家というのは随分放任主義というか、子供に無関心な家庭ですのね」
イオ「おいアンタ! 黙って聞いてりゃさっきから随分言いたい放題…!」
シロー「落ち着けイオ! お前が口を挟むと余計話がこじれるから!」
プロスペラ「気を悪くさせたならごめんなさい。ただ、理解してほしいのは、私は100パーセントあの子の将来を考えているということです」
ヨナ「スレッタの…将来」
プロスペラ「学生時代の時間がとても貴重なものだとはあなた方もわかっているでしょう?
とくに、スレッタのように大きな夢を持っている子供には。私は、あの子の将来のため、1分1秒も無駄にさせたくないんです」
アルレット「それは…わかるけれども!」
アムロ「すみません、プロスペラさん。俺たちも今日初めて話を聞かされて、すぐに決めるのは難しいです。
ことは重大だ。納得いく結論を出せるよう家族で話し合いたいので、今日のところはお引き取り願えませんか?」
プロスペラ「ええ、もちろん。大切なことですもの、じっくり話し合ってください。でも忘れないでくださいね、スレッタの時間は有限だってことを」
218さよなら、スレッタ?
垢版 | 大砲
2023/06/26(月) 02:21:58.99ID:mnhFj2wZ0
キオ「スレッタ姉ちゃんが…別の人の養子になる!?」
アル「養子って…スレッタ姉ちゃん、僕たちと姉弟じゃなくなっちゃうの!?」
ウッソ「落ち着いてアル。たとえそうなったとしても、僕たちが姉弟であることに変わりはないよ」
アル「でも、本当に養子になったら、また僕らとは離れて暮らすんだよね?」
シュウト「せっかく仲良くなったのに、そんなのイヤだな…」
バナージ「それで、兄さんたちはどうしてる?」
キラ「ハロで盗聴してみたけど、まだ
家族会議の真っ最中みたいだね」
ガロード「ていうかほとんどケンカ? さっきイオ兄とシロー兄が意見で揉めて殴り合ってたし」
ジュドー「それを仲裁しようとしたヨナ兄が巻き添えでぶん殴られて、今リタ義姉に看病されてるよ」
カミーユ「まったく! 家族の一大事だってのにどうして協力できないんだうちの兄貴たちは!」
ベルリ「家族で一番血の気が多いカミーユが言えた義理じゃないでしょ」
キラ「まあアムロ兄さんはスレッタの意思を尊重すべきだって言ってるし、他の兄さんたちも概ねそれに賛同してるっぽいけどね」
アセム「最終的な決定は本人次第ってことか」
シーブック「我が家らしいといえば我が家らしいけれど」
アル「でも、結局スレッタ姉ちゃんが出ていくって決めたらそれに従うってことだよね!?」
「…………」
フリット「それで、肝心のスレッタ姉さんは?」
ヒイロ「先ほど、外の空気を吸いたいといって散歩に出ていったが」
刹那「エアリアルも共にな」
コウ「大丈夫かな…スレッタ」
219さよなら、スレッタ?
垢版 | 大砲
2023/06/26(月) 02:25:36.02ID:mnhFj2wZ0
日登町の川辺
スレッタ「ねえエアリアル…わたしどうしたらいいのかな」
スレッタ「久しぶりに会えたと思ったら、まさか
こんなことになるなんて」
スレッタ「それは、確かにプロスペラさんがお母さんになってくれたらいいなって、水星にいたころは何度も思ったけど」
スレッタ「そうだよね、離れたくないよね。せっかく、家族の一員になれたのに。だけど」
プロスペラ「やっぱりここにいたのねスレッタ」
スレッタ「あ! プ、プロスペラ…さん。帰ったんじゃなかったんですか?」
プロスペラ「エアリアルが飛んでいるのが見えたからね。ちょっと後を付けてみたの」
スレッタ「そうだった…んですか」
プロスペラ「やあねえ。どうしたの急に他人行儀になって。何か悩んでいるなら相談して? それとも、養子の件がショックだったの?」
スレッタ「それは……え、ええと、そうです」
プロスペラ「わかっているわ。急に言われてビックリしちゃったのよね」
スレッタ「プ、プロスペラさんのことが嫌いなわけじゃないんです。むしろ本当のお母さん以上に大好きで、尊敬してて」
プロスペラ「うん」
スレッタ「で、でも。今は同じくらい、家族のみんなのことも大好きで。だから、どっちかを選べとか、そういうのは…」
プロスペラ「“逃げれば一つ。進めば二つ”」
スレッタ「!」
プロスペラ「私が水星でいつもあなたに言っていた言葉よね?」
スレッタ「は、はい。わたしにとって、一番大切な言葉です。この言葉のおかげで、わたしはミオリネさんやほかのみんなとも友達になれた…」
プロスペラ「考えてみてスレッタ。ここでの生活を選べばあなたは家族とずっと一緒に暮らせる。それはそれでとても素晴らしいことよ」
スレッタ「うん……」
プロスペラ「でもね、私はあなたに学ぶ環境を与えられる。それで手に入るのは学業成績だけじゃないわ。
学校で学んだことは将来、水星に学校を作るというあなたの夢を叶える力になる。つまり二つ手に入るのよ」
スレッタ「!!」
プロスペラ「本当はもうわかってるんでしょう? どちらを選ぶべきなのか。スレッタ、あなたは進める子だもの。ね?」
スレッタ「うん…進める。進んで、きた…!」
スレッタ・プロスペラ「「逃げれば一つ、進めば二つ…!」」
プロスペラ「じゃあ、一緒にガンダム家にもどって話しましょうか」
スレッタ「うん! わたし、みんなに伝えるね。逃げずに進むって…!」
セレーネ「気に喰わないわね」
プロスペラ「あら…?」
スレッタ「セ、セレーネ姉さん!?」
プロスペラ「あなた、どうしてここに? ガンダム家は今家族会議の真っ最中じゃなかったの?」
セレーネ「馬鹿馬鹿しいから抜け出してきたのよ。ウチのアホども、みんなスレッタの意思を尊重すべきだ~なんて物わかりのいいこと抜かしてるから!」
スレッタ「あ、あのねセレーネ姉さん。わたしもう決めたよ。寂しいけど、逃げずに進むって…」
セレーネ「は? あんたの意思なんて知らないし何を決めたかなんて聞くつもりもないから」
スレッタ「え?」
セレーネ「ていうかわたし、アンタに用があって来たのよレディ・プロスペラ」
プロスペラ「私に?」
セレーネ「そ。そこにいる水星のお上りちゃんは、トロくて世間知らずで見てるとたまにイライラするけど、私の家族よ。だから、あんたなんかには渡さない」
プロスペラ「まあ、随分ひどい言い草ね。スレッタの意思は無視するっていうの?」
セレーネ「そうよ。さっき自分で言ってたでしょ。子供にちゃんとした教育を与えるのは保護者の務めだって。
だからこそ、アンタには絶対渡せないって言ってんの!」
スレッタ「セレーネ、姉さん…!?」
プロスペラ「あらあら、困ったわね。じゃあどうやって決着をつければいいのかしら」
セレーネ「心配しなくても、決着はちゃんとつけるわ。そっちの流儀でね」
プロスペラ「というと?」
セレーネ「とぼけてんじゃないわよ。決闘してやるって言ってんのよ、アンタと、私で! スレッタを賭けて!!」
最終更新:2025年04月14日 17:02