611深海の女神
垢版 | 大砲
2024/04/07(日) 00:39:50.95ID:OF1ciHU80
昔々、とある南の島のできごと……ある日、島に女性が流れ着きました。
島の人々は彼女を迎え入れ、共に暮らしました。
彼女は不思議な女性でした。ときどき、ふと皆と一緒に漁に出ては、海で歌を歌うのです。
そういう日は、いつも船は大漁でした。 
それに嵐の日でも、歌を歌えばすぐに海は穏やかになるのです。
島の人は「彼女は海の女神なんだ」と、彼女を大切にしました。

ある日、噂を聞き付けた隣の島の漁師たちがやってきて、一緒に漁がしたいと言いました。
でも、彼らは他の島の魚も獲ってしまう悪い漁師で、海賊でもあります。
だから島の人々は丁寧に断りました。
次の日、隣の島の漁師達は武器を持ってやってきました。
島の人々は必死に抵抗しますが、みんな殺され、彼女も奪われてしまいます。

船の中で彼女は歌いました。泣きながら歌いました。
静かな海は突然暴れ始めます。すぐに船は転覆してしまいました。
沈む船の中で、彼女はまだ歌っていました。
彼女は今も泣きながら歌っているから、あの海はいつも荒れているのです。

ザビーネ「……と、いうお話だったとさ」
セシリー「悲しいお話ね」
シーブック「おとぎ話をザビーネが自分から言うなんて珍しいけど……」
ザビーネ「その『海の女神』様が見つかったのだよ」
シーブック「なんと!?」
トビア「いや、でも沈没船ですよね?話からしても碌なものを積んでないんじゃ……」
ザビーネ「実はこれには裏話がある。
     どうやらこの話にあやかって、とある人物がとんでもないものをこの海域に沈めたらしい」
シーブック「とんでもないもの?」
ザビーネ「最強のMSだ。一説によれば伝説巨神すら越える存在らしい」
シーブック「起こしちゃダメだろ!」
トビア「でも話半分にしても、相当な自信作なことは間違いないよな」
セシリー「それなら、何故そんなところに沈めたのかしら?」
ザビーネ「その謎を含めての女神というものだ。探してみる価値はあると思うが」
シーブック「いやしかし沈没船だろ?深海用のセッティングをするとなると費用も掛かるし……」
ザビーネ「ちなみにこの辺りだ」
セシリー「ここってマンタやイルカと泳げるって噂の海の近くじゃない?水着持っていこうかしら」
シーブック「まあ、ダメ元なら悪い話じゃないか……」

612深海の女神
垢版 | 大砲
2024/04/07(日) 00:41:02.73ID:OF1ciHU80
 『海の女神』海域
アフランシ「指定されたポイントはこの辺りだね。回収の障害になりそうなものは?」
アカハナ「ありません。観光客が何組か、MSで水中ツアーをやってるだけです。
     しかし、すみませんね。社長の特命でこんな事に巻き込んで」
アフランシ「気にすることないさ。それが会社ってものなんだから。
      それにこの海域は海洋生物の宝庫だ。僕にとってもメリットは大きい」
アカハナ「環境型リゾート候補地の調査。あなたが表に出れば安心って奴だ」
アフランシ「そう。表向きは、ね」

トビア「ネオジオンの船がある……厄介だな」
ザビーネ「水中用MSも搭載しているとのことだ。不慣れな我々にとって、交戦は避けたいな」
キンケドゥ「俺たちはあくまでMSを使った水中ツアーのお客さんだ。静かに、楽しんでいればいい」

アフランシ「良くない知らせがある」
アカハナ「何ですか?」
アフランシ「あのガンダムのご一行だ。散策しているようだが、僕たちと同じ場所へ向かっている」
アカハナ「偶然でしょうか?」
アフランシ「それ以外にもいるな。偶然じゃあない。とすれば、何かのきっかけがあったってことだ」
アカハナ「呼びかけますか?」
アフランシ「許可を得て廃棄したとはいえ、一度捨てた物の所有権を語る権利はないさ。
      早い者勝ちだな。MSを出す。だが、近くに自律型MAの反応もある。平和的に行動しよう」
アカハナ「分かりました」

キンケドゥ「ズゴックとアッガイがポイントに向かってる」
ザビーネ「まさか目的は我々と同じなのか?」
キンケドゥ「引き上げのためにはあんな小さな船じゃなくて、もっと大きな専用の船を出すだろ?
      もし同じだとしても調査のためか、表立ってやれはしないってことだな」
ザビーネ「位置信号だけ送ってきて、我々をスルーか」
トビア「出て行けって言われなくてよかったね」
ザビーネ「さて、どうする?」
キンケドゥ「向こうの動きを待とう。興味があるフリをして動きを見て、ネオジオンが帰ってからお宝をもらったって遅くはない」
ザビーネ「もしその場で回収を始めたら?」
トビア「その時は海賊らしく、いただいていく!」

ザビーネ「だが、もっと悪い情報もある」
キンケドゥ「やっぱり嫌でも気づくよな……」
トビア「あそこにあるの……多分ハシュマルだよね……」
ハシュマル「……♪」ダイビングサイコウダワァ
キンケドゥ「三日月から聞いている……近寄らず静かにしていればいいけど、とにかく、刺激しないよう気を付けよう」

613深海の女神
垢版 | 大砲
2024/04/07(日) 00:42:03.47ID:OF1ciHU80
アレックス「ヒャッハー!
ミュラー「お宝、お宝ァ!!」
トビア「うわあ、何あれ……マナー悪いなあ……」
ザビーネ「感情を処理できんゴミはどこにでもいるものだが……向かっている方向を見ると、我々のライバルかもしれんな」
トビア「情報は俺たちだけの物じゃなかったってことか」
キンケドゥ「だとしたら、ああいう輩にお宝を奪われるわけにはいかないな」
ハシュマル「……ピクッ」ブスイダワァ
トビア「今凄く嫌な予感が……」
アレックス「お、あのMAがお宝か?」
ミュラー「分からないが、動けばめちゃくちゃ強そうだぜ。ついでに手に入れよう」
ザビーネ「まずい!」
キンケドゥ「そこのキャンサー!MAに近づくな!!」
アレックス「ガンダムタイプが何か言ってる?」
ミュラー「関係ない!俺たちがポンコツを使ってやろうというんだ!」
ハシュマル「……イラッ」ポンコツデスッテ!?

 ピカッ

アレックス「ビーム砲!?」
ミュラー「うわあああああっ!?」
キンケドゥ「動き出した!!」
アフランシ「そこのキャンサー、無事か!?」
アレックス「くそっ、何だってんだよ!」
アフランシ「そのMAは危険だ!すぐに逃げるんだ!!」
ミュラー「なんで!お宝が目の前にあるのに!!」
アフランシ「そいつは君たちを敵とみなしている。この深海でミンチになって無事で済むとは思えないな!
      僕たちはネオジオン社の水中部隊だ。援護するから全てを諦めてこの海域から離脱するんだ!」
アレックス「大企業だからって独り占めする気か!?」
アフランシ「君たちの身を案じているから言っているんだ!
      君たちはこの美しい海にいる資格がない。正直な事を言うと僕もMAに加勢したいくらいだが、立場があるから守ってやる!」
ハシュマル「……」シュッ
アフランシ「砲撃!?危ない!!」
アレックス「ひっ!?」

614深海の女神
垢版 | 大砲
2024/04/07(日) 00:43:13.78ID:OF1ciHU80
ハシュマル「……!?」ハジカレタ!!
キンケドゥ「ズゴックの言うことには賛成だな。腕は良いらしいが、状況判断が出来なければ無駄死にだ!」
アフランシ「あれは……ただのガンダムじゃないのか!?」
アカハナ「頭のドクロはクロスボーン!怪盗キンケドゥだと!?」
キンケドゥ「有名なのは嬉しいね!」
ザビーネ「名乗りは後だ!こいつを何とかする!!」
トビア「って言っても、ビームザンバーの最大出力でも逸らすのが限界だぜ!?」
キンケドゥ「やるしかないだろ!!」
ハシュマル「……!!」ガンダムサンダワァ
ザビーネ「向かってくる」
キンケドゥ「耐えろ!勝機を見つけるんだ!!」

アフランシ「キンケドゥ、君たちが何故ここにいるのかは聞かないでおこう!
      少しの間、アカハナ……アッガイと一緒にハシュマルを引き付けられるか!?」
キンケドゥ「厳しい注文を言うんだな!見返りはあるのか!?」
アフランシ「勝てる計算がある!」
ザビーネ「なら乗ってやる!」
アフランシ「感謝する……!」

ザビーネ「行くぞキンケドゥ!今こそあれを見せる時!」
キンケドゥ「MA相手にやるのか!?」
ザビーネ「デュアルオーロラウェイブ!キュアブラック!!」
キンケドゥ「……デュアルオーロラウェイブ!キュアホワイト!!」
ザ・キ「「2人はプリキュアッッ!!」」
ハシュマル「……!」ホノモノダワァ…
トビア「めちゃくちゃ見入ってる!?拍手までしてるよ!?」
ザビーネ「フッ、効果は抜群だな!」
キンケドゥ「この後はどうするんだよ!少し時間稼ぎはできたけど!!」
ザビーネ「名乗り続けるか?案外効くかもしれないな」
ハシュマル「……」ツラヌキタイワァ
トビア「くっ!アンカーか!!」
ザビーネ「気をつけろ!掠っただけで機体が抉れるぞ!」
キンケドゥ「どうやら、もう1人の女神はサディストらしいな!」

アフランシ「……着いた!」
アフランシ「正直、実物は初めて見るよ。
      これを実用化してサイコフレームを足したのがネオ・ジオングなんだろ?」
アフランシ「記憶の中の僕が気の迷いで造ったにしては狂気が過ぎる。封印したくなるのも無理はない」
アフランシ「間に合え!!」

アカハナ「うわあっ!!」
トビア「アカハナさん!?」
ハシュマル「……」ジャマモノハキエタワ
ザビーネ「くっ!?なんだこのビームの威力は!」
トビア「スラスターがやられた!」
キンケドゥ「水中で減退しきった上の余波でこれなのか!?」
ハシュマル「……♪」ムシゼメモイイワァ
キンケドゥ「プルーマまで!このままじゃあ……!」
アフランシ「待たせたね!」
ザビーネ「あれは……!?」

615深海の女神
垢版 | 大砲
2024/04/07(日) 00:43:57.58ID:OF1ciHU80
アフランシ「『深海の女神』ゾゴジュアッジュ。これに乗るとは思わなかったよ!」
ハシュマル「……」コイノライバルネ
トビア「プルーマがアフランシさんに!?」
アフランシ「正直、こいつの性能や装備だって全く分かっていない。
      だけど、これが記憶の中の僕の悪夢から生まれたものなら、僕だって同じ夢を見ているはずさ!」
ザビーネ「触手からビーム!?」
キンケドゥ「しかも威力が落ちない!?」
トビア「すごい……プルーマが次々に撃破されていく!」
アフランシ「ミサイルで動きを止める!」
ハシュマル「……!」コノコツヨイワァ
アフランシ「その程度のビームと実弾なら、腕で防げる!そして!」
ハシュマル「……!?」フリマワサレタワァ
トビア「ワイヤーを掴んで叩きつけた!?」
アフランシ「シュート!」
ハシュマル「……!」アブナイトコロダッタワ
ザビーネ「だが、やはりームは防がれるか」
アフランシ「さすがにナノラミネートだ。本体への攻撃は簡単じゃない!でも、腕を3本束ねれば……!」
ハシュマル「……!」ウソデショ!?
アフランシ「君は穏やかな気持ちで海を見ていた。それなら僕と同志のはずだ。
      粛清は僕がやるから、穏やかな心のまま眠っていてほしいな!」
 どかーん


アフランシ「……と、言うことでゾゴジュアッジュの性能まで見せてしまったよ。
      秘密裏に葬り去れと言われていたのに、任務は大失敗だな」
シャア「いや、最終的に私たちの手で回収できたのだ。それ以上は求めないさ」
アフランシ「野生のハシュマルがいたんだ。倒すしかなかった」
シャア「嘘はいけないな。本当は倒してはいない」
アフランシ「気づいていたのか。戦闘不能にしただけで、その内プルーマが直してくれる。
      『ゾゴジュアッジュの棺桶だったもの』の資源を使ってね」
シャア「危険はないのか?」
アフランシ「理解し合えた気がしたんだ。
      暴れたのは怒ったからで、海を愛する心は人も機械も同じはずさ」

 同時刻、人外居酒屋「ざくれろ」
ハシュマル「ダイビングしてただけのに、変なのにやられちゃったわぁ」
D.O.M.E「いや、キャンサー相手ははともかく、無関係のMSにまで暴れたらそうなるでしょ」
ハシュマル「だってガンダムなのよ、見たらもえちゃうじゃない」
スペドラ「若い証拠だねー」
D.O.M.E「そもそもあんな落書きみたいなMSが存在してるのが原因だったんだから、噂になる前に存在消すとか出来なかったのかねえ」
イデ「全力出さないと消せないからヤダー」
結晶鳳凰「消すのえらいからする訳にゃーに」
ハシュマル「それにしてもクロスボーンたちよかったわぁ。今度はジャマのないところでやりたいわぁ……」

シーブック「なんだろう……今悪寒が……」ゾクッ
 おわり
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最終更新:2025年05月02日 16:17