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第2回・法廷(前半) ○ ○ 緑文字 「 8月11日 午後12時 3分 <br> 地方裁判所 被告人第4控え室 」 イモジャ 「うー‥‥今日のことを考えていたら<br>ロクに眠れなかったのじゃ。 」 ギコ 「眠たそうだな。ムリするなよ。 」 イモジャ 「平気なのじゃ! 妹者はこれくらい<br>ダイジョーブなのじゃ! 」 「ギコにぃ! 今日は絶対に <br>杏子殿を助けるのじゃ! 」 ギコ 「ああ、最初からそのつもりさ。 」 イモジャ 「お! 杏子殿が来たのじゃ! 」 (杏子、登場) アンコ 「おはようございます。ギコさん‥‥ 」 ギコ 「気分はどうだ? 」 アンコ 「おかげさまで‥‥はぁ。 」 イモジャ 「ほらほら、そんなタメ息ついたら <br>幸せが逃げていくのじゃ。 」 「ショボ刑事みたいに、 <br>シャキーンとするのじゃ! 」 アンコ 「はぁ‥‥“しゃきーん”と‥‥ 」 イモジャ 「そうじゃ! しゃきーん、と。 」 アンコ 「あの刑事さん、どちらかというと <br>“しょぼーん”としてますけど‥‥」 ??? 「ショボーン‥‥ 」 アンコ 「そう、そんな感じ‥‥‥‥あ。 」 (姉者、登場) イモジャ 「あ‥‥お、おはようなのじゃ。 」 アネジャ 「ふぁ~‥‥おはよ‥‥‥‥ 」 イモジャ 「姉者、眠そうなのじゃ‥‥ 」 アネジャ 「だって、仕事が忙しくて <br>徹夜つづきだし・・・・ 」 イモジャ 「原因は仕事だけではないじゃろう。 」 アネジャ 「なんか言った? 」 イモジャ 「ガクガクブルブル、いや‥‥‥‥ <br>毎日ご苦労様なのじゃ。 」 アネジャ 「なんだかお肌に良くない生活だわ。 」 「それはそうと例の件、 <br>結果があがったわよ。 」 イモジャ 「姉者、すまんのじゃ。 」 (汚れた布・包帯を取り出す) ギコ 「お。すまなかった。 」 アネジャ 「この包帯の血と布に付いた <br>赤いハンテン‥‥人間の血液だわ。」 イモジャ 「血‥‥‥‥ <br>それでいったい誰の血なのじゃ? 」 アネジャ 「血液中のDNAを検査した結果、 <br>一致したの。 」 イモジャ 「‥‥何と? 」 アネジャ 「浅墓 章太郎。 <br>被害者のものと‥‥。 」 ギコ 「(やっぱりそうだったか‥‥) 」 アネジャ 「ただひとつだけ気になることが‥‥ 」 「包帯についてるほうの <br>血液なんだけど‥‥‥‥ 」 イモジャ 「どうしたのじゃ? 」 作者用メモ (参考文献http://www.ne.jp/asahi/osaka/tanchan/bio/b25ketue/bio25ket.htm) 水分が多く蒸発した場所は左のような「こんぺいとう」型のイガイガ赤血球が見られます。 生物学用語で言うと、「赤血球を高張液に浸すと浸透圧により細胞内の水分が細胞外へ吸いだされ、 赤血球はしぼむ」 そこで、今度はスポイトで水をカバーガラスの端に垂らします。 すると、毛細管現象で水はカバーガラスの中を流れ(モニターで見ていると大洪水の様相を見せる ので生徒には大ウケとなります)、水でうすまった場所の赤血球は水を吸い込んで球状に膨らみます。 これを生物学用語で言うと、「赤血球を低張液に浸すと浸透圧により水分が細胞内に吸い込まれ、 赤血球は膨らむ」上の実験をやるといつも「大洪水」によって赤血球が流されていってしまうので、 今回はガラスのゴミや気泡にひっかかって流れていかない場所を探し、30分間にわたって 600倍の観察下で定点観察し、赤血球が本当に膨らんでいく様子をゲットしました。 「洪水」の直後、流れの悪い場所では、水が充分行き渡らない所があります。 極端に水が行き渡らない所は上写真の「高張液に浸した状態」がいつまでも続きます。 その周辺では水が徐々に流れてやがて「低張液に浸した状態」のようになります。 その中間の場所を探して定点観測しました。経過時間は時計を見ていなかったのでだいたいです。 また、約30分後の画像は定点からずれてしまいました。しかし、この定点観測でまあまあ目的は達成 できたように思います。できれば溶血の瞬間を捕らえたいと思ったのですが、水分が行き渡り、 低張状態が進むと細胞膜や赤血球そのものが急激に見えにくくなり、破裂するようすは全くわかり ませんでした。左の「定点観測4」の画像でも、見えにくくなった赤血球がいくつも写っています。 ○ ○ アネジャ 「一部の赤血球に <br>溶血の形跡があったわ。 」 ギコ 「ヨウケツ? 」 アネジャ 「水分が多すぎると赤血球が水を吸い<br>膨らんで最後には破れてしまうの。」 イモジャ 「‥‥‥‥‥どういうコトじゃろう? 」 青文字 「証拠品《汚れた布》の <br>データを書き換えてファイルした。」 青文字 「証拠品《包帯》のデータを <br>書き換えてファイルした。 」 アネジャ 「そのナゾを解くのは・・・・ <br>アナタたちよ! 」 「それじゃあ、やらないといけない <br>検査があるから。頑張ってね。 」 「ふぁ~眠いわ・・・・ 」 ギコ 「すまなかったな。 <br>忙しいトコロを‥‥ 」 イモジャ 「どうせ途中でサボって、 <br>居眠りするから平気なのじゃ‥‥ 」 アネジャ 「なんか言った? 」 ギコ 「(なにげにコワいぞ・・・・) 」 イモジャ 「・・・・姉者・・ムリは禁物なのじゃ‥‥ 」 アネジャ 「じゃ、わたしはこれで・・・・」 (姉者、退場) イモジャ 「そういえば‥‥所長殿に頼んでいた<br>ホーセキはどうなったのじゃろう?」 ギコ 「今、所長が調べている。 <br>分かり次第、すぐに届けるとさ。 」 イモジャ 「間に合うといいのぅ‥‥。 」 アンコ 「ところで今日の裁判‥‥ <br>誰が証人として出廷するんですか?」 ギコ 「板川だよ。 <br>多分あいつ1人だけだ。 」 アンコ 「部長ですか‥‥いったいどんなこと<br>を証言するんでしょうか‥‥ 」 ギコ 「ああ、まったく‥‥ <br>どんな証言をするんだろうな。 」 アンコ 「‥‥‥‥? 」 イモジャ 「もうすぐ裁判が始まるのじゃ。 」 「それじゃあ‥‥行くのじゃ! 」 ギコ 「(板川‥‥あいつこそが <br> この事件の真犯人だ!) 」 「(誰のタメにもならない <br> 自己中心的な事件の犯人。) 」 「(今日の審理で‥‥ <br> 必ずヤツを追いつめる!) 」 「(覚悟しておかなきゃな‥‥ <br> 今日は荒れるぞ‥‥) 」 ○ ○ 緑文字 「 同日 午前10時00分 <br> 地方裁判所 第3法廷 」 (傍聴人) (木槌) モナー 「これより西 杏子の法廷を <br>開廷します。 」 「弁護側、検察側、共に準備は <br>よろしいですか? 」 ギコ 「弁護側、準備完了しているぞ。 」 フサギコ 「検察側、準備完了している。 」 モナー 「昨日の法廷をおさらいしましょう。 」 「被害者は、当初はずっと <br>北墓地にいたと思われていました。」 「ところが、昨日の証人によって <br>それが覆されました。 」 「昨日の証人が回った時、 <br>オバケ役は南墓地にいた‥‥。 」 「問題となるのは、そのオバケ役が <br>誰なのか、ということです。 」 「弁護側は、被害者でも <br>甘楽 育夫さんでもない誰か‥‥ 」 「つまり、第3者が <br>林の中にいたと主張しました。 」 「それに対して検察側は、南墓地にい<br>たのは被害者だと主張しました。 」 「被害者が一時的に南墓地に移動し、<br>のちに北墓地へ戻った‥‥と。 」 「両者の主張は、 <br>今も変わりありませんね? 」 ギコ 「ああ。 」 フサギコ 「‥‥言うまでもなく。 」 モナー 「よろしい。 」 (木槌) モナー 「では、フサギコ検事。 <br>証人を入廷させてください。 」 フサギコ 「キモだめしの参加者、 <br>板川 淳二を入廷させよう。 」 ギコ 「(いよいよだな‥‥) 」 「(ヤツの証言‥‥ <br> 絶対に崩してみせる!) 」 (板川、入廷) フサギコ 「証人。名前と職業を。 」 イタガワ 「板川 淳二って言います。 <br>黒磨日大学の3回生です。 」 「ふつつか者ですが、 <br>どーぞよろしくお願いします。 」 (傍聴席) 「ねえ、あの人さぁ、、顔良くない? 」 「ああいう男性、好みなのよねえ‥‥ 」 「きゃ! 今こっち向いたわ! 」 「あの検事なんかより、 <br>ずっとイケてるじゃない‥‥ 」 ギコ 「(法廷中の女たちが <br> 大騒ぎしているな‥‥) 」 イモジャ 「モテモテなのじゃ。 」 モナー 「静粛に! 静粛に! <br>いい男だからって騒がない! 」 イタガワ 「やだなあ、もう。 <br>皆さんはしゃがないでください。 」 「ねだられても、 <br>サインなんてできませんよ。 」 「‥‥‥‥かけないですからね。 」 右手で髪をかき上げる仕草。その人差し指には包帯が巻かれている。 ギコ 「(・・・・スター気取りかよ‥‥) 」 イタガワ 「恥ずかしいから、 <br>早く終わらせたいですねえ。 」 フサギコ 「心配はいらない。 <br>すぐに終わるだろう。 」 モナー 「ええと、それでこの証人は <br>どんなことを証言するんですか? 」 フサギコ 「もちろん‥‥事件当夜、 <br>南墓地にいたのは誰なのか? 」 「‥‥その答えをだ。 」 モナー 「分かりました。 」 フサギコ 「フサァ! <br>早速、証言してもらおう。 」 「キモだめしの時、証人が林の中を回<br>った時のことを‥‥ 」 (木槌) モナー 「それでは証言をお願いします! 」 赤文字 「 ~キモだめしの時のこと~ 」 イタガワ 1「ボクが林の中を回ったのは、 <br>12時から12時20分までです。」 2「順番で言えば、昨日証言した <br>優子ちゃんの1つ前です。 」 3「2回目に脅かされた時、そこから <br>川が見えたことを憶えています。 」 4「そのオバケ役のことですけど‥‥ <br>あれは間違いなく浅墓くんでした。」 5「布の特徴が、前に見せてもらった時<br>と一致していましたからね。 」 モナー 「ふむう‥‥なるほど。 」 フサギコ 「フサァ! <br>これで問題は解決された。 」 「ごくろうだった、証人。 」 イタガワ 「いえいえ‥‥ <br>お役に立てて何よりです。 」 ギコ“待った!” ギコ 「ちょっと待てよ。 」 「こっちは尋問をしたくて、 <br>さっきからウズウズしてるんだぜ?」 フサギコ 「だ、そうだ。証人。 」 イタガワ 「やだなあ弁護士さん。 <br>そんなにニラまないでくださいよ。」 モナー 「分かりました。 <br>では、尋問をお願いします。 」 ギコ 「(今すぐ板川を追いつめることは <br> できない‥‥) 」 「(地道にムジュンを指摘していく <br> しかないか‥‥) 」 【ゆさぶり】 イタガワ 1「ボクが林の中を回ったのは、 <br>12時から12時20分までです。」 ギコ”待った!” ギコ 「その時間に間違いは無いのか? 」 イタガワ 「間違いは無いでしょう。時計も <br>見ましたし、何より‥‥順番がね。」 ギコ 「順番? 」 イタガワ 2「順番で言えば、昨日証言した <br>優子ちゃんの1つ前です。 」 ギコ”待った!” ギコ 「順番? 」 イタガワ 「キモだめしは各自決めた順番で <br>回っていくんです。 」 「ボクは順番から言って優子ちゃんの<br>1つ前なんですよ。 」 フサギコ 「順番の件については前日の証言者 <br>川岸 優子も、 」 「被告人・西 杏子からも警察が <br>取調べをした結果、 」 「どちらも確かに順番的には証人の <br>証言と一致している。 」 モナー 「順番で言えば、最後から3番目 <br>ですね。 」 「分かりました。では、証人、その後<br>何か変わった事は? 」 イタガワ 「別に変わった事では無いですが‥。 」 イタガワ 3「2回目に脅かされた時、そこから <br>川が見えたことを憶えています。 」 ギコ”待った!” ギコ 「川が見えた‥‥、 <br>(昨日の優子の証言と同じだ。) 」 イタガワ 「えぇ、その通りです。 <br>間違いありません。 」 ギコ 「しかし、昨日の証言でも同じ事を <br>証言していたが、 」 「それでは2人の脅かし役の位置が <br>変化してしまうぞ! 」 (ここでフサギコの“待った”があると良いと思う。) フサギコ 「待っていただこうか、ギコ君。 」 「確かにキミは昨日、被害者でも <br>甘楽氏でもない、 」 「第3のオバケの可能性を示唆した、<br>だがそれはあくまで可能性だ。 」 「例え面倒であったとは言え、 <br>何か理由があって、 」 「脅かし役が位置を変えた可能性も、<br>残っている以上‥‥‥、 「脅かし役の位置の変化の議論など、<br>何の意味も持たない。 」 ギコ 「くっ! <br>(確かに‥。) 」 フサギコ 「フッ、分かって頂けたようだな。 」 モナー 「とにかく‥、 」 「川の見えた場所、 <br>すなわち南墓地で、 」 「一体誰と会ったかを証人は <br>証言してください。 」 イタガワ 4「そのオバケ役のことですけど‥‥ <br>あれは間違いなく浅墓くんでした。」 ギコ“待った!” 」 ギコ 「あ、浅墓だと!? 」 モナー 「つ、つまり証人は、被害者と <br>接触をしたと言うのですか!? 」 イタガワ 「ハイ、その通りですよ。 」 「ボクが通る際にはまだ浅墓君は <br>生きていた。問題ないでしょう? 」 ギコ 「しかし!被害者は北墓地で <br>殺害されていた! 」 「川の見えていた場所、すなわち <br>南墓地で見かけていたなら、 」 「北墓地で死んでいるのはおかしい! 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「ギコ君、何度も言わせるな。 」 「この証人や川岸 優子は確かに <br>川の見える南墓地で目撃している。」 「だが被告人が通る際にも被害者が <br>南墓地にいたかはわからない! 」 「もしかしたら被害者は川岸 優子が<br>通った後に北墓地に戻った、 」 「その可能性を完全に拭い去る事は <br>出来ないのだよ。 」 「“被害者が初めから南墓地に <br>行かなかった”というつもりなら、」 「証拠を提示してもらわねば困る。 」 「証拠無き発言は力を持たない。 <br>そうだろう? 」 モナー 「その通りです。 <br>フサギコ検事の言う通り、 」 「被害者は何度か移動を重ねた後に <br>殺害されたかも知れません。 」 ギコ 「(クソ、かえって裁判長に <br> 印象をつけちまった。) 」 「(なんとかアイツのスキを見つけ <br> なければ。) 」 モナー 「証人、何故あなたはそのオバケを <br>被害者と断言できるのですか? 」 イタガワ 「ええ、それは‥‥。 」 イタガワ 5「布の特徴が、前に見せてもらった時<br>と一致していましたからね。 」 ギコ“待った!” 」 「布の特徴‥‥? 」 イタガワ 「そうです。 」 「キモだめしで使う布を、 <br>以前見せてもらったんです。 」 「その特徴が、2回目に出てきた <br>オバケ役の着ていた物と‥‥ 」 モナー 「一致していたわけですか‥‥ 」 フサギコ 「実に分かりやすい説明だな。 」 イモジャ 「一応、スジは通っているのじゃ。 」 ギコ 「まあ、信じるつもりはないけどな。 」 「(どうしよう? <br> もっと突っ込んでみるか?) 」 別にいい いつ頃見せてもらったのか →布の特徴とはどんなものか ギコ 「布の特徴って‥‥ <br>具体的にはどんなものなんだ? 」 イタガワ 「うーん、そうですねえ‥‥ 」 「特徴といっても、オバケの顔が <br>描かれていただけですけど‥‥ 」 ギコ 「じゃあ‥‥ <br>どんな顔だったんだ。 」 イタガワ 「ええと、確か‥‥ 」 「口を大きく開けて、怒ったような顔<br>をしていましたね。 」 ギコ 「(怒ったような顔‥‥) 」 モナー 「その顔が描かれた布を、オバケ役は<br>着ていたんですね。 」 イタガワ 「ええ、間違いありません。 」 モナー 「どうでしょう、弁護人。 <br>このことは重要だと思いますか? 」 →重要である 重要ではない ギコ 「たぶんそうじゃないかな。 」 イタガワ 「たぶん‥‥か。 <br>自信なさそうですね。 」 ギコ 「とにかく証言は、 <br>詳しい方がいいに決まってる! 」 「証人。布の特徴に関する今の発言を<br>証言に加えてくれ。 」 モナー 「では証人、布の特徴に関する証言を<br>追加してください。 」 イタガワ 「はいはい、分かりました‥‥ 」 」 イタガワ5B「相手が着ていた布に、怒ったような<br>顔が描かれていましたからね。 」 ギコ”待った!” ギコ 「‥‥怒ったような顔って? 」 イタガワ 「言うまでも無いでしょう。変装用の<br>布の事ですよ。 」 ギコ 「間違いないのか?怒った顔って。 」 イタガワ 「えぇ、間違いないでしょう。 」 ギコ 「(どうやら、捕まえたな。) 」 イタガワ5B「相手が着ていた布に、怒ったような<br>顔が描かれていましたからね。 」 →つきつける『変装用の布』or『汚れた布』(※1) (※1)『変装用の布』をつきつけた場合 ギコ 「異議あり! 」 「証人。アンタが見たオバケ役が <br>着ていた布のことだが‥‥ 」 「怒ったような顔が描かれていた‥‥<br>間違いないな? 」 イタガワ 「ええ、そうですけど。 <br>何か問題でも? 」 ギコ 「ああ‥‥大ありだよ。 」 モナー 「いったいどういうことですか? 」 ギコ 「どういうことか‥‥? <br>一目瞭然だ! 」 (ギコ、『変装用の布』を取り出す) モナー 「おや、それは‥‥ 」 フサギコ 「昨日提出された布だな。 <br>被害者が着ていた物だろう? 」 ギコ 「ああ。 」 「さてみんな。 <br>こいつを見て気づいたことは? 」 モナー 「‥‥‥‥‥‥‥‥! 」 「こ‥‥これは‥‥ <br>怒ってない‥‥? 」 ギコ 「そうだよ。誰がどう見たって <br>怒った顔じゃない。 」 フサギコ 「笑った顔‥‥ 」 ギコ 「そういうことだ。 」 「証人。アンタさっき言ったよな? 」 「『キモだめしで使う布を、 <br>以前見せてもらった』って‥‥ 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「証人‥‥ 」 「この布の表情‥‥アンタが見た時は<br>怒っていたというのか! 」 (傍聴人) (木槌) モナー 「静粛に! 静粛に! 」 フサギコ 「弁護人。何が言いたい? 」 ギコ 「証人が言った布の特徴は、 <br>この布と違っている。 」 「それならば! 」 「南墓地にいたのが <br>被害者だという証明にはならない!」 フサギコ 「な、なに‥‥ 」 ギコ 「被害者が着ていたのは、 <br>昨日提出されたこの布だ。 」 「その特徴と違っているということは<br>やっぱり南墓地にいたのは‥‥ 」 イタガワ 「弁護士さん、ちょっといいですか? 」 ギコ 「な、なんだ証人? 」 イタガワ 「どうもその様子じゃ <br>知らないようですね。 」 ギコ 「し、知らないって‥‥何をだ? 」 イタガワ 「決まっているじゃないですか。 」 「変装用の布が‥‥ <br>2枚あるってことをですよ。 」 ギコ 「! 」 モナー 「に、2枚ある‥‥ <br>いったいどういうことですか! 」 イタガワ 「浅墓くん、布を2枚用意していた。<br>そういうことですよ。 」 「ボクが会った時、彼が着ていたのは<br>それではありません。 」 フサギコ 「もう1枚の布だった‥‥ <br>そういうことだな? 」 イタガワ 「ええ‥‥ 」 モナー 「し、しかし‥‥ 」 モナー 「現場からは、その布1枚しか <br>発見されなかったんですよね? 」 フサギコ 「そうだ。1枚しかなかった。 」 イタガワ 「うーん、ボクが思うに‥‥ 」 「彼は何らかの理由で、もう1枚の布<br>を捨てちゃったんじゃないですか?」 「そう、例えば‥‥ <br>あの川にでも‥‥ 」 モナー 「南墓地の近くを流れていた <br>あの川ですか‥‥ 」 フサギコ 「まあ‥‥そう考えれば問題ないな。 」 「物を捨てられる場所といったら、 <br>あの川ぐらいだし‥‥ 」 ギコ 「(もう1枚の布は <br> 被害者が川に捨てた‥‥) 」 「(それは違う! 昨日、優子が <br> 確認したじゃないか!) 」 「(あの証拠品が‥‥ <br> 変装に使われたものだと!) 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「ちょっと待ってくれ! 」 モナー 「なんですかな、弁護人? 」 ギコ 「もう1枚の布は、 <br>本当に川に捨てられたのかな? 」 モナー 「どういうことですか? 」 フサギコ 「現場からは発見されなかった。 <br>それならば‥‥ 」 「どこかに捨てられた。 <br>‥‥そう考えるべきだろう。 」 (ギコ、首を振る) ギコ 「いいや、それは違う。 」 緑文字ギコ 「もう1枚の布は、 <br>川に捨てられてはいない! 」 →『汚れた布』をつきつける ギコ“くらえ!” ギコ 「証人。アンタの言う布‥‥ <br>こいつのことかい? 」 イタガワ 「! 」 モナー 「べ、弁護人! それは‥‥ 」 ギコ 「この証人が言う、もう1枚の布だ。 」 フサギコ 「ど、どこでそれを‥‥ 」 ギコ 「野呂井神社の焼却炉の中から。 <br>石碑の所にあるヤツだよ。 」 フサギコ 「あの中から‥‥ 」 ギコ 「昨日の証人、 <br>川岸 優子も思い出したよ。 」 「これは優子を脅かしたヤツが <br>着ていたものに違いないそうだ。 」 モナー 「では被害者は‥‥ 」 「その布を川ではなく、 <br>焼却炉に捨てた‥‥ 」 「そういうことだったんですね。 」(※2へ飛ぶ) (※1)『汚れた布』をつきつけた場合 ギコ 「異議あり! 」 「証人。アンタの言っている、 <br>怒った顔が描かれていた布‥‥ 」 「ひょっとして‥‥ <br>こいつのことかい? 」 (ギコ、『汚れた布』を取り出す) イタガワ 「ええ! その布ですよ。 」 「‥‥‥‥‥‥‥‥! 」 「べ、弁護士さん。 <br>そいつをどこで‥‥ 」 フサギコ 「弁護人。なんなんだその布は? 」 ギコ 「野呂井神社の焼却炉の中から発見し<br>たものだ。 」 モナー 「焼却炉‥‥? 」 ギコ 「証人。アンタが見たのは <br>こいつで間違いないな? 」 イタガワ 「え、ええ‥‥まあ‥‥ 」 モナー 「いやいやいや! <br>何を言っているんですか! 」 「被害者が着ていたのは、 <br>昨日提出されたこの布でしょう。 」 (モナー、『変装用の布』を取り出す) ギコ 「あれ、でも‥‥ 」 「この布には怒った顔なんか <br>描かれてないぜ? 」 モナー 「あ‥‥ 」 ギコ 「昨日の証人、 <br>川岸 優子も後で思い出したよ。 」 「優子を脅かしたヤツは <br>こっちの布を着ていたんだ! 」 (ギコ、『汚れた布』を取り出す) イタガワ 「べ、弁護士さん‥‥あの‥‥ 」 「その、浅墓くんは‥‥ <br>布を2枚持っていたんですよ。 」 モナー 「にまい‥‥? 」 イタガワ 「そうです。それで‥‥ 」 「ボクを脅かした時には、 <br>そっちの方を着ていたんです。 」 モナー 「あ、そういうことだったんですか。 」 「被害者は変装用の布を <br>2枚持ってきていて‥‥ 」 「あなたを脅かした時には、 <br>この布を着ていた‥‥と。 」 イタガワ 「そ、そういうことです。 」 モナー 「なるほど。 <br>これで問題はなくなりましたね。 」(※2へ続く) (※2) (ギコ、首を振る) ギコ 「残念だが、それでもまだ‥‥ <br>問題が残る。 」 イタガワ 「も、問題‥‥? 」 ギコ 「それはこの布が‥‥ <br>焼却炉で発見されたことだ。 」 モナー 「ど、どういうことですか。 」 ギコ 「難しいことじゃない。 」 「南墓地にいたオバケ役は‥‥ <br>いつ、これを捨てたのか‥‥? 」 フサギコ 「い、いつ‥‥だと? 」 ギコ 「焼却炉があるのは、 <br>野呂井神社の敷地内だ。 」 「当然、捨てるためには <br>野呂井神社まで戻る必要がある。 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「しかし! 」 「被害者はずっと林の中‥‥ <br>墓地で待機していたはずだ! 」 「被害者に‥‥ <br>布を捨てるチャンスはないだろう!」 イタガワ 「うわわわわ! 」 (傍聴人) (木槌) モナー 「静粛に! 静粛に! 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「被害者がずっと林の中にいたという<br>コンキョはない! 」 「恐らく昨日の証人を脅かした後、 <br>捨てに行ったのだろう。 」 ギコ“異議あり!” ギコ 「何故、キモだめしが終わる前に <br>そんなことをする? 」 「ヤツにはオバケ役の仕事があったは<br>ずだ! 」 「それに優子を脅かした後に捨てたと<br>は思えない。 」 モナー 「どうしてですか? 」 ギコ 「考えてみてくれ。 」 「被害者は北墓地で殺害されている。 」 「優子を脅かした後、 <br>神社まで布を捨てに行き‥‥ 」 「その後、北墓地まで行った‥‥ 」 「キモだめしの最中に、布を捨てに行<br>くだけでも不自然なのに‥‥ 」 「さらにその後、 <br>元いた北墓地に戻る‥‥ 」 「これだと被害者の行動‥‥ <br>何だかおかしくないか? 」 フサギコ 「む‥‥ 」 モナー 「確かに‥‥ <br>あり得ないとは言いませんが‥‥ 」 「少しヘンですね。 <br>‥‥そう思います。 」 ギコ 「(よし! <br> 裁判長も納得してくれた!) 」 「(ワレながらいいスイリだったな。<br> これで何とか‥‥) 」 イモジャ 「でも‥‥あいつは平気な顔をしてい<br>るのじゃ。 」 ギコ 「え? 」 イタガワ 「あのー、皆さん。実はですね‥‥ <br>さっきの証言なんですけど‥‥ 」 「あれにはですね‥‥ <br>まだ続きがあるんですよ。 」 ギコ 「え、つ、つづき‥‥? 」 モナー 「続きって‥‥ <br>まだ何か言っていないことが? 」 イタガワ 「そうなんですよね‥‥ 」 ギコ 「な、なんで言わなかったんだ! 」 イタガワ 「いやね、さっきの証言だけでも <br>納得してもらえると思って。 」 「だから‥‥このことは言わなくても<br>いいかな、って。 」 (木槌) モナー 「どうやら聞く必要があるようです。 」 「証人。先ほどの証言の続きとやらを<br>お願いします。 」 イタガワ 「それでは皆さん、 <br>しばしご静聴お願いします‥‥。 」 赤文字 「 ~事件当夜・南墓地にて~ 」 イタガワ 1「南墓地でオバケ役と出会った‥‥ <br>その後のことなんですけど。 」 イタガワ 2「実は彼‥‥浅墓くんと <br>話をしたんですよ。 」 イタガワ 3「話の内容はとりとめもないことだっ<br>たんですけど‥‥ 」 イタガワ 4「話をした後、そのまま神社の境内へ<br>戻ったんです。 」 ギコ 「な‥‥‥‥ 」 「なんだってえええ! 」 モナー 「あなたは‥‥被害者と <br>直接会話を交わしたのですか! 」 イタガワ 「ま、そういうことです‥‥。 」 ギコ“異議あり!” ギコ 「い、いくら納得して <br>もらえるからって‥‥‥‥ 」 「そんな重要なことを、さっきの証言<br>で明かさなかったのはおかしい! 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「事実をいつ明かそうが、 <br>それは証人の自由だ。 」 「この証人が真実を語っていれば、 <br>何の問題もないだろう。 」 ギコ 「くっ‥‥ 」 イタガワ 「すみませんねえ弁護士さん、 <br>迷惑かけちゃって‥‥ 」 ギコ 「(板川のヤツ‥‥ <br> うまく逃げたか‥‥) 」 イモジャ 「でも‥‥絶対に逃がすわけにはいか<br>ないのじゃ。 」 ギコ 「‥‥ああ、分かってる。 」 モナー 「それでは弁護人。 <br>‥‥尋問をお願いします。 」 【ゆさぶり】 イタガワ 1「南墓地でオバケ役と出会った‥‥ <br>その後のことなんですけど。 」 ギコ”待った!” 「オバケ役と出合った。それから <br>どうしたんだ? 」 イタガワ 「弁護士さん。僕はこれからそれを <br>証言しようとしているんですよ。 」 フサギコ 「その通りだ。先ずは落ち着いて聞く<br>事だ。弁護士。 」 イタガワ 2「実は彼‥‥浅墓くんと <br>話をしたんですよ。 」 ギコ”待った!” ギコ 「話‥‥だと!? 」 イタガワ 4「話をした後、そのまま神社の境内へ<br>戻ったんです。 」 ギコ 「待った! 」 イタガワ 3「話の内容はとりとめもないことだっ<br>たんですけど‥‥ 」 ギコ 「待った! 」 「どんな内容だったんだ? 」 イタガワ 「まあいろいろと。 」 「前に脅かした連中の様子とか聞きま<br>したね。 」 ギコ 「へえ‥‥じゃあ、どんな様子か <br>聞いたんだったら‥‥ 」 「俺たちにも教えてくれないか? <br>できる限り詳しく。 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「相変わらず人のプライベートに興味<br>があるみたいだな。ギコ君。 」 ギコ 「そうじゃねぇって言ってるだろ! <br>ゴルァ! 」 イモジャ 「イタい人ってどっちかって言うと <br>ギコにぃの様な気がするのじゃ。 」 ギコ 「グバァッ! <br>(一番言われたくない言葉を‥。)」 フサギコ 「分かって頂けたかな?お嬢さん。 <br>とにかく! 」 「会話の内容など本法廷では不要な <br>ものだ! 」 ギコ”異議あり!” ギコ 「とにかく疑問は小さくても残すべき<br>じゃない! 」 「話の内容が事件と接している可能性<br>だってある。 」 モナー 「ふむぅ。確かに、法廷で疑問点は <br>あってはなりません。 」 「証人。申し訳ありませんが、話の <br>内容を教えていただけますか? 」 イタガワ 「えぇ。わかりました。 」 「女の子たちは結構怖がったみたいで<br>すけど、男は反応が薄かったって。」 「そう言っていましたよ。 <br>‥‥何か問題でも? 」 イモジャ 「相手も用心しているようなのじゃ。<br>そう簡単にはいかないのじゃ。 」 ギコ 「(発言は最小限にとどめておく <br> つもりだな‥‥) 」 モナー 「ふむう‥‥会話を内容に関しては <br>特に問題なさそうですね。 」 イモジャ 「ギコにぃ、裁判長は <br>ああ言っておるが‥‥ 」 ギコ 「(会話の内容‥‥ <br> もっと探るべきか?) 」 引いておく →もっと探る ギコ 「証人。会話の内容について <br>もっと証言してくれ。 」 フサギコ 「フサァ! アキラメが悪いな。 <br>叩いたって何も出まい。 」 イタガワ 「構いませんよ、ちっとも。 」 「内容はほとんどキモだめしのことだ<br>ったんですけど‥‥ 」 「そうそう! 彼、杏子ちゃんを <br>脅かすことに燃えてましたね。 」 モナー 「被害者は被告人の幼馴染みだったと<br>昨日の法廷で聞きましたね。 」 イタガワ 「杏子ちゃんの怖がる姿、 <br>見たがってましたよ。 」 「どうです? <br>こんなものでよろしいですか? 」 モナー 「弁護人。私はこの証言に問題はない<br>と思いますが‥‥ 」 ギコ 「(そうなんだよな‥‥) 」 「(しつこく聞くと、裁判長の心証を<br> そこねるオソれがあるが‥‥) 」 →会話の内容をさらに追求 追求をやめる※1へ ギコ 「だが証人。本当にそれだけなのか?<br>実はまだ何か隠し‥ 」 フサギコ”異議あり!” フサギコ 「いい加減に人の、それも男の <br>プライベートを 」 「嗅ぎ回るのをやめてもらおうか。 <br>変態弁護人。 」 ギコ 「何言ってやがるんだゴルァ! <br>誤解を招くような事言うな! 」 モナー 「ななななななんですってぇぇぇぇっ<br>弁護人!私に近づかないように! 」 イタガワ 「正直、オトコに好かれたのは初めて<br>ですねぇ。 」 ギコ 「ちょ、ちょっと待てぇぇぇぇ! 」 フサギコ 「証言の内容に問題は無い。それでも<br>会話の詳細を聞くなどとは‥。 」 モナー 「プライベートの替わりに、 <br>ペナルティで我慢しなさい! 」(心証ゲージダウン) イモジャ 「‥‥‥‥‥。 」 ギコ 「(チクショウ、本格的な変態に <br>されてしまった。) 」 モナー 「とにかく、諦める事です。 <br>あらゆる意味において‥。 」※1へ ※1 ギコ 「(会話のことを追究してもホコロビ<br> は見つけられそうにないな) 」 「(どうにかしてこの証言を <br> 崩したいなあ‥‥) 」 モナー 「なんだか納得がいかないような顔を<br>していますね。 」 フサギコ 「先ほどから弁護人は、 <br>この証人に対してしつこいようだ。」 「いくら自分に不利だからって、 <br>ムリヤリあらを探そうなんて‥‥ 」 ギコ 「そういうつもりじゃない! 」 「ただ、いろいろと気になったから <br>聞いてみようと思っただけだ! 」 フサギコ 「本当かな? 」 イタガワ 「本当ですかねえ? 」 ギコ 「(ちくしょう‥‥) 」 フサギコ 「やれやれ、全く‥‥‥‥ 」 イタガワ 「どうしても納得してくれないのなら<br>あのことでも‥‥ 」 ギコ 「あ、あのこと‥‥? 」 イタガワ 「メールのことですよ。メール。 」 ギコ 「メール‥‥ <br>(どういうことだ?) 」 イタガワ 「浅墓くんと会話していた時に、 <br>ケイタイにメールが届いたんです。」 ギコ 「アンタの携帯電話にか? 」 イタガワ 「違います。 <br>浅墓くんのにですよ。 」 ギコ 「(浅墓の携帯電話‥‥!) 」 イタガワ 「ボクの前でそいつを開いたんです。<br>送り主はミサくんでしたよ。 」 モナー 「ミサくん? どなたですか? 」 ギコ 「オカルトサークルのメンバー、 <br>狩戸 ミサのことだ。 」 イタガワ 「メールの内容は意味不明でしたけど<br>まあいつものことですし。 」 ギコ 「(いつものことなのか‥‥) 」 イタガワ 「何回か同じようなメールがしつこく<br>届いていたらしくてね。 」 「浅墓くんも流石にキレて"殺すぞ" <br>なんて返信してましたね。 」 「彼の携帯電話を見れば、 <br>ウソじゃないって分かりますよ。 」 イモジャ 「確かに‥‥ミサ殿は被害者に <br>メールを送っているのじゃ。 」 ギコ 「そして1件だけ読まれていたな。 <br>ショボにも確認したし。 」 フサギコ 「なるほど‥‥これで証人が被害者と<br>会ったことが立証されたな。 」 モナー 「そうですね。その“めーる”とやら<br>のことも確認がとれていますし。 」 イタガワ 「やっと決着がつきそうですね。 <br>満足ですか? 弁護士さん‥‥。 」 ギコ 「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 (木槌) モナー 「ではその“めーる”とやらのことを<br>証言に加えてください。 」 イタガワ3B「会話中にミサくんからメールが。 <br>彼はその場でそれを読みましたよ。」 ギコ”待った!” ギコ 「間違いなく”その場”で <br>読んだんだな!メールを! 」 イタガワ 「ええ、間違いなく”その場”で <br>読みましたねぇ。メールを。 」 フサギコ 「間違いなく”その場”で読んだ。 <br>怪しいところなどあるまい。 」 イモジャ 「決まりじゃの。 」 ギコ 「ああ。決定的だな。今のは‥。 」 ギコ 「(後悔するがいいさ。 <br>自分のミスに‥。) 」 イタガワ3B「会話中にミサくんからメールが。 <br>彼はその場でそれを読みましたよ。」 →つきつける『浅墓の携帯電話』 ギコ“異議あり!” ギコ 「狩戸 ミサは事件当夜、被害者の <br>携帯電話にメールを送った。 」 「そのことに間違いはない。 <br>実際、確認がとれている。 」 イタガワ 「ボクの証言が認められたんですね。 」 「それじゃあ、 <br>この裁判もお開きに‥‥ 」 ギコ 「なると思ったか? 」 イタガワ 「え‥‥ 」 モナー 「どういうことですか? 」 ギコ 「問題になるのは‥‥ <br>メールが送られた時刻だ。 」 モナー 「じかん‥‥? 」 ギコ 「被害者は証人との会話中、 <br>届いたばかりのメールを開いた。 」 「さて‥‥そのメールが届いた時刻は<br>というと‥‥ 」 (ギコ、『浅墓の携帯電話』を取り出す) モナー 「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 ギコ 「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 フサギコ 「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 イモジャ 「‥‥何なのじゃ。この間‥‥ 」 ギコ 「(裁判長、使い方が分からないなら<br> 言えばいいのに‥‥) 」 フサギコ 「‥‥もういい。私が見よう。 」 フサギコ 「12時27分‥‥これがどうした? 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「どうしたもこうしたもない! 」 「さっきの証言を思い出せ! 」 (回想開始) イタガワ 「ボクが林の中を回ったのは、 <br>12時から12時20分の間です。」 「順番で言えば、昨日証言した <br>優子ちゃんの1つ前です。 」 (回想終了) ギコ 「もう分かっただろ? <br>そういうことだよ。 」 「ミサのメールが届いたのは‥‥ <br>アンタの番が終わった後なんだ! 」 イタガワ 「お‥‥‥‥ 」 「おおおおおあああああ! 」 (傍聴人) (木槌) モナー 「静粛に! 静粛に! <br>コラ!証人! 」 「これはいったいどういうことか、 <br>きっちり説明して貰いましょう! 」 イタガワ 「そ、それはですね‥‥ 」 「まあそのいろいろと事情がありまし<br>てご理解いただけるかどうか分から」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「アンタはオレが証言を信じないから<br>携帯電話の話を持ち出した。 」 「そして、それが自分が回った時の <br>ことだと、はっきり言った! 」 「しかし! 実際にはアンタは‥‥ 」 「12時20分にみんなのいる境内に<br>一度はもどっているはずだ! 」 フサギコ ”異議あり!” フサギコ 「自分の順番のときに被害者と会い、<br>そして時間が経ってしまった・・・・ 」 「12時27分にはまだ南墓地にいた<br>とも考えられるだろうが! 」 ギコ ”異議あり!” ギコ 「それはあり得ない。 <br>昨日の優子の証言によると‥‥ 」 ~回想~ ユウコ 「あたしの前のイタガワさんが戻って<br>きたのを確認してスタートしたわ。」 ~回想終了~ ギコ 「優子は遅れもなく、 <br>予定通りに出たんだ! 」 「つまり、いったん境内に戻ったあと<br>アンタは被害者に会いに行った‥‥」 「そうとしか考えられないぞ、 <br>ゴルァ! 」 イタガワ 「うう‥‥むぐううう‥‥ 」 イモジャ 「ギコにぃ‥‥ 」 ギコ 「(だんだん読めてきた。 <br> あのキモだめしの裏側が‥‥) 」 「(突き進むんだ! <br> 真実を明かしながら!) 」 (傍聴人) (木槌3回) モナー 「静粛に! 静粛に! 」 「こ‥‥この証人が、回り終えた後に<br>南墓地にもどってきたのですか? 」 フサギコ 「携帯電話は被害者が持っていた‥‥ 」 「当然、被害者も <br>この証人のそばにいたことになる。」 モナー 「そ、そういうことになります! 」 (傍聴人) (木槌) モナー 「ですが、何故この証人は、 <br>南墓地にいたのでしょうか? 」 「その理由は‥‥いったい? 」 ギコ 「‥‥理由! 」 フサギコ 「そうだ、理由だ。 」 「この証人がどうして、 <br>南墓地にいたのか? 」 「その理由が分かると言うのか! 」 (ギコ、頷く) ギコ 「ああ、分かるよ。 <br>‥‥はっきりと、な。 」 「そして証人と浅墓が <br>一緒に南墓地にいた‥‥ 」 「これこそが最大のワナだった! 」 「もし浅墓が勝手に場所を北墓地から<br>南墓地に移動したとしても‥‥ 」 「甘楽の待機場所の前を <br>通過しなければならない。 」 「だが甘楽は見てないんだよ。 」 「目の前を通過する浅墓の姿をな! 」 イタガワ 「な‥‥! 」 ギコ 「(来るところまで来たな‥‥) 」 「(ここから先は、一気にヤツを <br> 追いつめていく!) 」 イモジャ 「どうして板川が南墓地にいたか‥‥<br>考えるまでもないのぅ? 」 ギコ 「(もちろん! ヤツの行動は <br> もう分かっている!) 」 「(ヤツが南墓地へ行き <br> 何をやったのか‥‥) 」 「(その理由‥‥今なら分かる!) 」 (木槌) モナー 「ギコくん、 <br>あなたの考えを言ってください。 」 ギコ 「‥‥分かった。 <br>俺の考えを言おう。 」 「この証人が自分の順番のあと <br>何をしていたかを! 」 「証人。アンタは林を回った後、 <br>境内へ帰り、優子を見送った。 」 「そしてヒマだから散歩でもするとい<br>う口実で境内から消えた。 」 「その後、南墓地へ行った。 」 フサギコ 「フッ、根拠無き言葉など何も <br>意味が無い。 」 「そう主張するのなら!証拠品を <br>提出しろ! 」 緑文字フサ 「証人が南墓地に行った目的‥‥ <br>その証拠を! 」 →『汚れた布』をつきつける ギコ”くらえ!” (ギコ、『汚れた布』を取り出す) ギコ 「この証人、板川は、 <br>間違いなく南墓地に行った! 」 「こいつを着てな! 」 イタガワ 「な、ななななな! 」 フサギコ 「ギコ! キミは‥‥まさか! 」 ギコ 「弁護側は主張する! <br>この証人は‥‥ 」 「南墓地で川岸 優子を脅かした <br>第3のオバケ役だ! 」 (傍聴人) (木槌3回) モナー 「静粛に! 静粛に! 」 「第3のオバケ役‥‥ <br>昨日あなたが言っていたあの? 」 ギコ 「そうだ。 」 「こいつは南墓地に隠れていて、 <br>やって来た優子を脅かした。 」 「最初から待機していた <br>オバケ役のフリをしてだ! 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「べ、弁護側の主張は荒唐無稽だ! 」 「この証人には、 <br>そんなことをする理由なんて‥‥ 」 ギコ 「あるんだよな、実は。 」 フサギコ 「な‥‥! 」 ※1 ギコ 「オバケ役になりすます理由が‥‥ <br>たった1つだけ。 」 モナー 「そ、それは‥‥? 」 イタガワ 「‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 ギコ 「それじゃあ、教えてやろう。 」 「この証人がオバケ役を演じた理由!<br>それは‥‥ 」 →自分もオバケ役になりたかった 自分もオバケ役の1人だとカン違いしていた 板川が真犯人 ギコ 「自分もオバケ役になりたかった‥ <br>違うか! 」 法廷内 「‥‥‥‥‥‥ ‥。 」 イタガワ 「はぁ、‥違いますが何か? 」 ギコ 「え、えぇと。そのぉ‥つまり‥。 <br> 」 ギコ 「(自分でも何言ってるか <br>わからなくなってきた。) 」 フサギコ 「グッ、ギコくん。今のは流石の私も<br>吹きそうになった。 」 「裁判長。今の冗談のような発言は <br>相当な勇気を要したハズだ。 」 「そんな愚かしい弁護士に替わって <br>許してやってくれまいか? 」 モナー 「はぁ‥分かりました。流石に <br>ペナルティをつける気すら 」 「失ってしまいましたからねぇ。 」 イモジャ 「ギコにぃ、流石にそれはあんまり <br>なのじゃ‥。 」 ギコ 「(今すぐ死にたい。) 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「とにかくあったんだよ! 」※1へループ 自分もオバケ役になりたかった →自分もオバケ役の1人だとカン違いしていた 板川が真犯人 ギコ 「自分もオバケ役だとカン違いした。<br>そうだろう! 」 イタガワ 「ちょ、チョット待ってください! <br>何でそうなるんですか! 」 ギコ 「何でって‥。 」 イタガワ 「このキモだめしを主催したのは僕 <br>ですよ! 」 「カン違いしようが無いじゃない <br>ですか!それに。 」 「百歩譲ってカン違いしたと <br>しましょう。それが何ですか? 」 「結局それだけで終わっちゃうじゃ <br>ないですか。 」 ギコ 「いぐっ‥。 」 フサギコ 「フサァ、弁護人。君も学習して <br>貰いたいモノだ。と言うより。 」 「カン違いをしていたのは君の <br>方だったんだよ。ギコ君。 」 「そう。君の立つ位置をね。 」 ギコ 「ど、どういうことだ。 」 フサギコ 「これまでの君が立証してきた事実を<br>覆すかのようなバカな発言。 」 「そんなバカモノは弁護士バッジを <br>捨てて法廷から出て行けェ! 」 ギコ 「あうぅぅぅぅ‥。 」 モナー 「これからは、ちゃんと考えて <br>発言をしなさい!弁護人! 」(心証ゲージダウン) ギコ 「(くそぅ、裁判長のくせに‥。) 」 「と、とにかくあったんだよ! 」※1へループ ○ ○ 自分もオバケ役になりたかった 自分もオバケ役の1人だとカン違いしていた →板川が真犯人 ギコ 「川岸 優子は証言した。 」 「オバケ役は2人いた‥‥と。 」 モナー 「ええ、そう証言しましたね。 」 ギコ 「1人は甘楽 育夫でいいとして‥‥<br>残る1人は誰か? 」 「それがこの証人だとすると‥‥ 」 フサギコ 「被害者がオバケ役として、 <br>現れなかったことになるだろうが!」 ギコ 「そういうことだよ。 <br>分かっているじゃないか。 」 フサギコ 「なんだと? 」 ギコ 「その通り、被害者は‥‥ <br>脅かしに現れなかったんだよ。 」 「脅かそうにも‥‥ <br>脅かせなくなっていたからな。 」 モナー 「な! ギコくん、あなたは‥‥ 」 ギコ 「板川 淳二‥‥ 」 「お前が回ったのを最後に <br>被害者は現れなくなった! 」 「何故なら! お前が浅墓 章太郎を<br>殺害したからだ! 」 フサギコ 「えええええ! 」 イタガワ 「べ、弁護士さん‥‥ <br>アンタ、ボクを‥‥ 」 ギコ 「裁判長! 弁護側はこの証人を‥‥<br>板川 淳二を告発する! 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「浅墓 章太郎殺害の真犯人として! 」 イタガワ 「あ‥‥‥‥ 」 「あああああああああああ! 」 (傍聴人) (木槌3回) モナー 「静粛に! 静粛に! 静粛に! 」 「静かにならない者には、 <br>退廷を命じます! 」 フサギコ 「ギコ! テメェ本気か! 」 ギコ 「ああ、本気だとも! 」 「こいつこそ、 <br>今回の殺人事件の首謀者なんだよ!」 イタガワ 「こ、この‥‥言わせておけば‥‥ 」 モナー 「と、とりあえず‥‥ 」 「いったいどういうことなのか、 <br>詳しく説明してください。 」 ギコ 「よし、いいだろう‥‥。 」 「何故、板川はオバケ役に扮する必要<br>があったのか? 」 「それはズバリ、アリバイのためさ。 」 モナー 「アリバイ‥‥? 」 ギコ 「つまりこういうことだ。 」 「まず、自分の番が回ってきてから、<br>林へ行く。 」 「そして北墓地にて被害者を殺害。 」 「死体を墓石裏に隠し、 <br>一旦境内へ戻ってくる。 」 「その後、優子が出発したのを見て、<br>こっそり南墓地へ行く。 」 「そして、 <br>やって来た優子たちを脅かした。 」 「彼女たちは後で証言する。 <br>『オバケ役は2人いた』と。 」 「つまり板川が回った後も、被害者が<br>生きていたと思わせられるわけだ。」 モナー 「なるほど‥‥。 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「被害者のフリをするなら、 <br>北墓地に行くべきだろう! 」 「何故、南墓地へ行くのだ! 」 ギコ 「見取り図を見れば分かるよ。 」 (見取り図) ギコ 「見ての通り、北墓地側からだと <br>地形が険しく先回りできない。 」 「だが‥‥南墓地側は違う。 <br>だから南墓地へ行ったんだ。 」 モナー 「しかし、南墓地と北墓地の違いが <br>分かってしまうのでは? 」 ギコ 「そうでもないんだよな。 」 「林の中は獣道。オマケに夜だ。 」 「みんな自分がどこを歩いているか、<br>分からない。 」 「実際に優子も気づかなかっただろ? 」 モナー 「見取り図がなければ、川のムジュン<br>にも気づかなかったでしょうね。 」 ギコ 「みんながあの場所に詳しくないこと<br>を知った上でやったんだろう。 」 「‥‥考えたじゃないか。なあ? 」 イタガワ 「く‥‥ 」 フサギコ 「フサァ! 」 「私としたことが、少しばかり <br>取り乱してしまったようだ。 」 モナー 「はあ。 」 フサギコ 「弁護人に1つ聞きたい。 」 ギコ 「何だ? 」 フサギコ 「仮にこの証人がその布を着て、 <br>オバケ役に扮したとしよう。 」 「しかし! だから何だというのだ? 」 「オバケ役に扮したから、 <br>殺人犯というわけではなかろう? 」 「ひょっとしたらデキゴコロで、 <br>仲間を脅かそうと考えたのかも‥‥」 イタガワ 「そうですよ! そういうことも‥‥ 」 「‥‥‥‥いえいえ! <br>別に認めたわけじゃありませんよ。」 「そういう考え方もできる‥‥‥‥‥<br>ってことですよ。 」 モナー 「ふむう‥‥。 <br>それも一理ありますね。 」 「ギコくん。第3のオバケ役が事件に<br>関与していたと立証できますか? 」 ギコ 「(第3のオバケ役が事件に <br> 関わっている証拠、か) 」 (木槌) モナー 「考えるのはそこまでです。 」 「弁護側に立証は可能ですか? 」 (ギコ、頷く) ギコ 「分かった。立証してみせよう。 」 緑文字ギコ 「第3のオバケ役と今回の事件‥‥ <br>その繋がりを証明するものは! 」 →証拠品『汚れた布』 ギコ“くらえ!” ギコ 「証拠は今オレがもっている、 <br>この布にある! 」 モナー 「なんですと!? 」 緑文字モナー「いったい何処ですか?事件と <br>第3のオバケ役の繋がりは! 」 →証拠品『汚れた布』の絵。 赤いハンテンをクリック ギコ 「この布をよく見てくれ。 」 「こいつを見て、 <br>何か気づいたことはないか? 」 フサギコ 「気づいたこと‥‥。 」 モナー 「‥‥‥‥‥‥‥‥む。 <br>そういえば‥‥ 」 「赤いハンテンのようなものが <br>ありますね。 」 ギコ 「何だと思う? 」 フサギコ 「‥‥‥‥う! <br>ま、まさか‥‥ 」 ギコ 「そのまさかさ。 <br>検査の結果は出ている。 」 「こいつは‥‥ <br>浅墓 章太郎の血液さ! 」 (傍聴人) モナー 「被害者の血液が‥‥ <br>何故この布に! 」 ギコ 「単純な話さ。 」 「板川は犯行を行う際、当然返り血が<br>自分に付くことをオソれた。 」 「だからそれを防ぐために‥‥ <br>こいつを被っていたのさ! 」 イタガワ 「ぐほああああああ! 」 フサギコ“異議あり!” フサギコ 「そ、そんな物を被っていたら <br>被害者が不審に思うはず‥‥ 」 ギコ 「これは俺のオクソクだが‥‥ 」 「板川は被害者にこんなことを言って<br>いたんじゃないかな? 」 「『自分も回った後で、 <br>杏子たちを脅かすつもりだ』と。 」 「北墓地で浅墓と会い、 <br>ヤツの前で冗談半分に布を被る。 」 「そしてスキをついて <br>千枚通しで刺した‥ってところか?」 「‥‥まあ、とにかく、 <br>これで分かってもらえたか? 」 「第3のオバケ役が、事件に大きく <br>関わっていることを! 」 (傍聴人) (画面暗転) ギコ 「あの晩‥‥ 」 「予定通りキモだめしが始まり、 <br>1人ずつ林の中へ行った。 」 「やがて‥‥板川の番が来た。 」 「板川は変わった素振りも見せず、 <br>林の中に消えた。 」 「ただ‥‥この時、持参した <br>リュックサックの中には‥‥ 」 「隠し持ってきた千枚通しと、 <br>変装用の布が入っていた‥‥。 」 「そのまま林の中を進み、 <br>板川は北墓地に辿り着いた。 」 「何も知らない浅墓 章太郎は <br>ヤツの前に現れ‥‥ 」 「現れた浅墓を、 <br>板川は千枚通しで刺し殺した! 」 「さて、ここから先が <br>板川の計画における重要な部分だ。」 「まず、浅墓の死体を <br>墓石の裏に隠した。 」 「優子や杏子に死体を <br>発見されないようにするために‥‥」 「そして懐中時計を <br>被害者のポケットから取り出し‥‥」 「12時48分にあわせ、ガラスの文<br>字盤を墓石にたたき付けて壊した。」 「むろん、犯行時刻を偽装する為に。 」 「さらに浅墓の携帯電話を失敬して、<br>偽装工作に使おうとした。 」 「だがそのとき、偶然にもミサから <br>イタズラメールが届いた‥‥。 」 「そのメールに返信することで浅墓が<br>生きていた証拠が残るようにした。」 「そして優子が出発した後‥‥ 」 「近くを散歩するという口実で、 <br>境内から姿を消した。 」 モナー 「そんなことして、他の人たちから <br>怪しまれなかったんでしょうか? 」 ギコ 「他の参加者たちも、終わった後は <br>自由に行動していたらしいからな。」 「どちらにしても、怪しまれることは<br>なかったと思うな。 」 「板川は他の連中に気づかれないよう<br>気をつけて林の中へ。 」 「南墓地へ辿り着くと、用意した布を<br>着て優子を待った。 」 モナー 「だから南墓地に隠れたと <br>言うんですね? 」 ギコ 「それに南墓地にいても、 <br>気づかれる心配はない。 」 「板川は優子を脅かした後、 <br>さらに杏子も脅かした。 」 「そして、杏子に気づかれないように<br>自分も境内へ戻った‥‥。 」 「あとは、みんなと一緒に浅墓を捜し<br>に神社へ戻り‥‥ 」 モナー 「死体を発見すればいい‥‥ <br>ということですか。 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「これで‥‥ <br>事件の全貌は明らかとなった。 」 「何か言うことはないか! <br>板川 淳二! 」 (場面、裁判長席に転換) (続いて、検事席に転換) (最後に法廷全景) イタガワ 「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 」 「く‥‥くくくくく‥‥ 」 「あはははははははは‥‥ 」 ギコ 「な、何がおかしい? 」 イタガワ 「いやいや、とても楽しく <br>拝聴させていただきました。 」 ギコ 「そ、それで‥‥ 」 イタガワ 「うーん、そうですねえ‥‥ 」 「とりあえず、お決まりのセリフを <br>言っておきましょうか。 」 「弁護士さん、アンタ作家になったら<br>どうです? 」 ギコ 「どういうことだ‥‥! 」 イタガワ 「さっきから、自分のスイリを <br>披露していたのはいいんですよ。 」 「でもですね弁護士さん‥‥ <br>ダイジなことを忘れてません? 」 ギコ 「ダイジなことって‥‥? 」 イタガワ 「決まっているじゃないですか。 <br>動機ですよ。ドーキ。 」 「ドーキって分かります? <br>鼓動のことじゃありませんよ。 」 「ボクの叔父も、動悸が激しいって <br>医者から言われてましたっけ。 」 ギコ 「(知るかそんなこと!) 」 モナー 「そうですね。 <br>弁護人の主張によれば‥‥ 」 「これはキモだめしを利用した <br>計画殺人とのことです。 」 「それなら当然‥‥ <br>殺人の動機が存在するはずです。 」 ギコ 「(殺人の動機‥‥) 」 「(もちろんそれは、あのことに <br> 決まっている!) 」 イモジャ 「でも‥‥ <br>昨日、板川も言っていたのじゃ。 」 (回想開始) イタガワ 「言っておきますけど‥‥ 」 「ボクがあの事件の犯人だという <br>根拠はないんですよ。 」 「あくまでも、それはあなたの <br>スイソクに過ぎないんです。 」 イモジャ 「スイソクなんかじゃないのじゃ! <br>おぬしは間違いなく‥‥ 」 イタガワ 「証拠があれば、 <br>とっくにボクは刑務所の中です。 」 「それがないから、今もこうして <br>のんびり暮らしてるんでしょう? 」 (回想終了) イモジャ 「板川があの事件の犯人だという <br>ショーコはないのじゃ。 」 ギコ 「‥‥分かっている。 <br>でも‥‥ 」 「諦めていいのか? このまま。 」 イモジャ 「! 」 ギコ 「諦めたら‥‥そこで全てが終わる。 」 「やるしかないんだ‥‥ <br>それがオレの仕事だから。 」 (ギコ、机を叩く) ギコ 「分かった‥‥立証してみせよう。 」 「板川 淳二が、何故、 <br>今回の殺人を計画したのか‥‥? 」 「そいつを‥‥完璧に! 」 イタガワ 「ほう‥‥そりゃあスゴイ。 」 「今度はどんなスイリが聞けるのか、<br>楽しみですね。 」 (木槌) モナー 「分かりました。 」 「ここで一旦10分間の休憩を <br>とりたいと思います。 」 「動機の立証は、休憩後の審理で <br>言ってもらいましょう。 」 「それではこれより、 <br>10分間の休憩に入ります! 」 (木槌) つづく
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