私の隣には人参柄のパジャマと人参の抱き枕を抱えたベネットが寝ころんでいた。

「ねえ、香音さん。」

「何?」

ベネットがこっち向きに寝返りをした。

「私のこの耳、どう思う?」

ベネットの頭からはウサギの耳が生えていた。

「どうって・・・カワイイよ?」

「ホント!おかしくない?」

ベネットがその小さい体を近づけてきた。

「うん、ホント、とってもかわいい。」

「良かった!私いつもこの耳のせいで・・・。」

全て言い終わる前に私は人差し指をベネットの口に当てた。

「言わないで、辛い事は口に出すともっと辛くなるわ、特に忘れたいことは、ね?」

「うん、分かった。」

「お父さんに似ていい子ね、ベネットは。」

「お父さんってパパのこと?・・・そう、ありがとう。」

「でもお父さんには貴方みたいな耳なんて無いわよ?」

「う~ん・・・何でだろうね?」

「私に聞かないでよ、明日お父さんにでも聞いてみたら?」

「うん、そうしてみる。」

そうして夜は過ぎて行く・・・。

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最終更新:2011年03月02日 18:18