「さあ!今日もまた無謀なチャレンジャーがやって来たぞ!」
放送席で司会者が大声を張り上げている。
「アンタ、本当にスーツで行くのかい?」
「ああ、これが勝負服なんでね。」
私は扉の前に立った。
「さあ、扉を開けてくれ。」
「戦う教師の恐ろしさを教えてあげようじゃないか。」
目の前の巨大な扉が開く
「さあ!いよいよチャレンジャーが最初の一歩を踏み出す瞬間です!皆さん!盛大な拍手を!」
耳を劈くような歓声と拍手によって私は迎えられた。
「いよいよ登場しました!礼服の狼!マァァァァァァク・・・・ウルゥゥゥゥゥフゥゥゥゥゥゥゥゥゥ!!!」
司会者が巻き舌で名前を叫ぶ。
私は中央のリングのような8角形の場所に立った。
すると、上から網が下りてきた、どうやら逃げ道をふさぐらしい。
「さあ、デスマッチの開始だ!今回の相手は手ごわいぞ!」
「全てを切り裂く鉤爪!鉄爪ゾンビ2体だ!」
「・・・ゾンビだと?」
天井から檻が下りて来た、中には鉤爪を取りつけられたゾンビが入っている。
「成程、そういう訳か。」
ゾンビと人間を戦わせて賞金を掛けさせる、いわゆる賭博だ。
負けた人間はゾンビになりこうやって新たな挑戦者の相手になる。
「上手い事やったつもりか、ならば・・・。」
私はケンタウロスを構えた。
「格の違いを教えてあげるとしよう。」
「制限時間は3分!レディー・・・ゴー!!」
檻が開き、ゾンビが出てくる。
「銃はただ撃つだけじゃだ駄目だ、状況に応じて使い分けなければならない、それがどういう事かお前達には分からんだろうな。」
ゾンビが爪を振りかざす。
「甘いな!」
私はそれを避け、ケンタウロスを腕の付け根に打ち込む。
「これで片方・・・だっ!」
私は腕ごと鉤爪をもう片方のゾンビに投げつけた。
「よし、後一体・・・。」
ケンタウロスをゾンビの脳天に突き付ける。
「これでENDだ、3分もいらないよ。」
引き金を引くと勝負は終わった。
30秒で獲得賞金2000円、まあまあだろうか。
「だが収穫ありだ、ゾンビと戦わせる闘技場とはな。」
私は大歓声を背に出口へと向かった。
最終更新:2011年03月16日 17:35