「良く来たわね、早速本題に入りましょう。」

僕は地下から理科室に戻ってゲルトルートの話を聞くことにした。

「っと、その前に~?」

ゲルトルートは手を差し出して「来い」の仕草をする。

どうやら食べ物が欲しいらしい。

「分かってるよ、これだろ?」

僕は買い物袋を差し出した。

「分かってるじゃないの~、さっすが私のオレンジ君ね~。」

勝手に僕を自分のものにしないでほしいと思うんだけど突っ込むのはやめた。

「で、データの方はどうだい?」

「ばっちり閲覧可能よ、私の腕を舐めないで頂戴?」

ゲルトルートは自分の腕を叩いた。

「よし、で、内容の方は?」

「この島の地下にある研究所の見取り図と研究内容ね、圧縮されてたからどこかに送る予定だったのかもね。」

「研究って・・・何をしてたんだい?」

ゲルトルートが急に真面目な表情になった。

「・・・ゾンビ化ウイルスの研究よ。」

「・・・何だって?」

僕の言葉を無視してゲルトルートが話を進める。

「この島はこのウイルスを軍事転用するための実験場だったのよ。」

「そしてそれには軍が関わってる、それも上層部の方ね。」

「・・・本当かい?」

「ええ、そうね、残念だけど本当。」

「ゾンビよりも救援よりも物資よりも・・・一番嫌なのはこの事実をこの島の外に出せないって事よ。」

「どういう事だい?」

「軍の検閲が入ってるのよ、この島の生存者が発進した情報は全てブロックされてる。」

「生存者はいない事になってるのよ、勿論、貴方や私もね。」

「そして三日後に軍はこの島を空爆して実験の証拠を抹消するんだよ。」

準備室から見覚えのある背広を着た男が出てきた。

「・・・マーク・ウルフ中尉ですか?」

「昔の話だ、今はただの教師だよ。」

薄暗い理科室で、沈黙は続いた。

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最終更新:2011年03月27日 17:18