あれから10分が経った。

相変わらず紙は白紙のままで教官は諦めたようにタバコを吹かしていた。

「・・・やめた。」

教官は席を立つとどこかに歩いていってしまったようだ。

やはり教官は書き物の似合わない人である。

塩と胡椒を振りかけた食べかけのフライドポテトを忘れたことを思い出した教官は走って戻ってきた。

「ごめん、やっぱやめる。」

「そうですか、では私は・・・。」

席をはずします、と言いかけたところで教官に襟首をつかまれた。

「ちょっといらっしゃい、行きたいところがあるの。」

元とはいえ上官である。

頼まれたら断れないのを分かって人を容赦無く引き回す、流石は軍のトップである。

「ど、どこですか?」

教官は怪しい笑顔を作ると私を引きずりながら学校を出たのだった。

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最終更新:2011年04月13日 19:03