「エーリヒはまだ帰ってないようだな。」
弾薬の補給のために屋上に戻って来たのはいいのだが、何やらジャージ姿の女性がこっちに向かってきた。
「初めまして、ガーランド中将。」
右手を差し出された。
「どちら様かな?」
「これは失礼、こういう者で。」
女性はカードを差し出した。
「戦車」のタロットカードで絵柄の中には帝国軍旗があしらわれている、つかりこのカードが表す物はただ一つ。
「将軍閣下がわざわざこのような所にいらっしゃるとは、何か用でもあるのか?」
「将軍?ってことはつまり・・・」
ヴォルフはしばらく考えた後、思い出したように叫んだ。
「あの「咲坂」将軍!?」
「その通り、流石オルトロスだわ、カンは鋭いのね。」
「しかし陸軍にいる貴女が空軍に所属する部隊に来ると言う事は・・・何か重要な事のようだな?」
「その通り、来夏に「これ」を渡すように言われてね。」
将軍はポケットから封筒を取り出した。
「「一応渡しておく」ってさ、もしもの時の保険だって。」
封筒の中にはカードが6枚入っていた、丁寧な事に名前付きで。
「分かった、あいつらが帰ってきたら渡しておこう。」
「じゃあ私は帰るわね、あと来夏から伝言。」
「何だ?」
「『いつでも動けるようにしておけ、もしかしたら「万が一」があるかもしれない』だってさ。」
教官はそう言うとフェンスを乗り越えて校舎から飛び降りた。
「ふむ、何か大きな動きがありそうだ、よし、一時招集をかけるとするか。」
俺は無線機のスイッチを入れながら考えた。
来夏は確実に有沢を巻き込むだろうな、と。
最終更新:2011年04月30日 11:28