珍しく早く目が覚めた。
ベネットはまだ寝ている、起こさないようにそっとテントを出た。
「やはり軍人だね、こんな朝早くに起きるなんて。」
「誰かと思ったらオレンジか。」
「私もいるわよ?」
テントから出てきた俺の前には籠崎ん所の小娘とオレンジがいた。
「何の用だ、こんな朝っぱらから。」
「ちょっと聞きたいことがあってね。」
俺は辺りを見回すと立ち上がってフェンスの方に向かった。
「何だ?聞きたい事ってのは。」
「君の能力について、かな。」
「能力?」
「ええ、私の術式を解いてオレンジの魔法を無力化した貴方の能力。」
「・・・話す必要はないと思うが?」
「気になっただけよ、嫌なら言わなくていいわ。」
「嫌だから言わない、何て返答は僕は望んでいないけれどね。」
オレンジが笑う。
「籠崎、お前は今何か術式を使っているか?」
「う~ん・・・特には使ってないけど。」
「じゃあ・・・この間の姿を消すアレを使ってくれないか?」
「分かったわ。」
そう言うと籠崎は文字通り姿を消した。
「で、これからどうするんだい?」
「さあな、黙って見てろ。」
俺は懐から手瑠弾を取り出してピンを抜いた。
「ほれ。」
そして籠崎のいた方向に放り投げる。
「え!ちょっ・・・・待っ!!」
籠崎は慌てて姿を現した。
「よっと。」
俺は手瑠弾を蹴飛ばした。
そのままゾンビの群れの方向で爆発が起こる。
「ちょっと!何すんのよ!」
「あんた「動揺」しただろ?」
「そりゃ手瑠弾投げつけられたらだれでも動揺するわよ!」
「一体どういう事なんだい?中将。」
「俺の能力は「能力発動中に動揺した人間の使う魔術、及び能力を無効化する」だ。」
「動揺させる?」
オレンジが首をかしげる。
「そうだ、たとえば避けられるはずのナイフが命中したり、たとえ当てずっぽうでも姿を消したのがバレたりとかな。」
「・・・「正義眼(ジャスティス・アイ)」、聞いたことはあるが・・・まさか使い手に出くわすとは思わなかった。」
「はあ・・・ビックリした。」
オレンジは考え事を始め、籠崎は地面に座り込んでしまった。
帰るか。
最終更新:2011年06月28日 10:36