甲板の上で座っているとオレンジが菓子を抱えて歩いてきた。

「まさか君に先見の明があったとは思わなかったよ。」

オレンジは一通りの菓子を俺の前に投げると俺の横に座った。

「先見の明?いや、直感だよ。」

俺は袋の山の中から烏賊の姿揚げを取り出した。

「直感?」

「親譲り、ってヤツさ、親父にも似たような能力があった。」

「前皇帝の「直感」だね、正確に言えば制御不可の未来予知能力だけど。」

「いつどんな未来が見えるかは分からんからな、ある意味不便だと聞いている。」

「いいじゃないか、今後も役に立つ時があるだろうし。」

オレンジは楽天的だ。

「別に能力自体が嫌な訳じゃない、親父と一緒なのが気に食わないんだ。」

「ああ、確かに親父さんと一緒だね、ラルゴ陛下は「悪運」だったけど。」

まあ、悪い気分ではないかな。

俺は不貞腐れた顔をしながら姿揚げを齧った。

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最終更新:2011年10月20日 13:26