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狂戦士の砦


 サンドロスは今から約300年前、いくつもの海を股にかけて活躍した偉大なる海賊王だった。彼は、富める者からは容赦なく取り、力無き者、刃持たぬ者には公平に接した。それゆえ、彼自身は死ぬまでに一つも自分の国を持たなかったのに、いつの間にか市井の者たちから「海の英雄」と崇められ、王として認知されるに至っているのである。
 そんな彼の大いなる業績の一つに、沿岸地域の開拓事業があった。彼は自身の船の寄港地を増やすべく、移民者たちに格安で資材を提供、これにより、小さいながらも豊かな港町が各地に数多く建設された。その一つが、のちに「サンドロスの塔」と呼ばれる彼の作戦基地を有する町である。

 「サンドロスの塔」は彼の死後、周辺地域の衰退と共にさびれ、廃墟となってしまった。中には何があったのか、それを知る者はもう誰もいない。
 ただ、元は海賊のアジトであったことからも想像できるように、うわさでは内部にはさまざまな侵入者避けの罠や仕掛けが施され、容易に陥落させることができない堅牢さを誇っていたと言われている。
 そして現在-邪悪な野望を胸に秘めた「蛮人」隻眼のバズグロアが、この「サンドロスの塔」に目をつけた。ここを拠点にすれば自分の侵略計画を推し進めるのに都合がいい-彼は多くの「蛮人」の手下たちと共に密かにこの塔に住み着いたのだ。


 コンラート伯爵は考えあぐねていた。周辺地域に放っている間諜たちのうちの1人の報告で、よその国で悪事を積み重ねてきたとびっきりの危険人物バズグロアが、領土に潜入したというのだ。彼は今、かつては廃墟だった「サンドロスの塔」に立てこもり、何やら怪しげな動きを見せていた。
 伯爵はさっそく彼らの監視を密偵たちに命じた。しかし、その報告はどれもこれも思わしくないものばかりだった。「サンドロスの塔」は、予想以上に難攻不落の建造物だったのである。

 やがて、配下の兵士たちを正面から向かわせても”お尋ね者”バズグロアを捕らえるどころか塔を攻め落とすことさえ難しいと悟った彼は、別の手段を思いついた。探索とゲリラ戦のプロとも言える冒険者たちを塔に向かわせようと考えたのだ。

 「サンドロスの塔に潜入し、バズグロアを捕らえよ。生死は問わん!」
最終更新:2011年11月30日 01:12
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