違う。透き通った瞳は、何もかも見透かされているような気がして目を背けたくなるのに、背けられない不思議な力がある。これが眼力というものなのか、と考えてしまう。
「あ、あの立て看板、なんで雑草含んでるのとか思っているでしょう?あれはね、雑草まみれになると人が近づかなくなるからなのよ。」
「なんで人を近づけないんですか?聖域でしょう?」
「神隠し、だそうよ。ま、そうなんだけど。この世界で苦しんでる人を、ごく稀に別のその人にぴったりの世界に連れて行くの。そのせいでね、こんなことに・・・。でもその稀な人に当たるのは、構わず泉にやってくるから意味無いけど」
そういって女神様は僕のほうをちらりと見た。まさか。
「と、いうことは」
「そういうことね。女神様は何でもお見通しよ。あなたが苦しんでいないと言ってもわかってるから。」
どうして常にくだけた調子なんだろう、この人は。と思いつつも、問い続ける
「僕を呼んだのはあなたで、」
「そうね。ちなみにこれでも真面目にやってるほうだからね」
心が読めるのか、さすがに侮り難し女神!伊達に女神やってない!と心の中で呟いた。
それはさておき。
「僕は神隠しにあう、と。」
「違うわよ。神隠しなんて言い方聞こえが悪いわ。一人の神としてそれは嫌ね。」
いやそれ、あなたの都合じゃないですか。と密かにつっこむ。
「じゃぁ聞きますけど、なんで僕を呼んだんです?どうせ来るのに。知ってるでしょう?」
「なんとなく、なんとなくだけど、あなたがあのまま消えてしまうような気がして。」
なんとなく、ですか。適当なんだか、そうじゃないんだかわからない。でも、真剣なのだろう。
「それにね、こうやって話が出来る人が久しぶりなの。珍しいのよ、あなたみたいな人。」
「どれぐらいぶりなんですか?」
「よくは覚えてないんだけどね・・・確か五世紀かそこらだと思うわ。」
「・・・はっ!?」
五世紀・・あぁ、そんな途方もない時間を一人ですごしてきたのか。
あまりにも長すぎる時間。それを聞いて、僕は普通のツッコミよりもこの感想が先に出てきた。
「別に寂しくはなかったわよ。こう見えて忙しく働いてるんだからね。」
「じゃあこんなところでお茶を濁す前に仕事した方がいいんじゃないですか?」
「なっ!そんな冷めた目で見ないでよ!仮にも女神よ!」
仮にも、ね。
「仮にも、ね」
「声に出てるわよ。」
最終更新:2009年08月20日 00:40