ちゃらり、ちゃら、ちゃらり。
いい加減聞き飽きた金属のぶつかる軽い音。
私のことを恐れた政府は、私の体中に封印具を付けた。
そんなことをしても意味は無いと、私は直感している。
根拠は無い。ただの直感だが…確信がある。
あぁ、だがそれにしても――――首輪だけは気分が悪い。
ベッドから起き上がりまずすることは、細長い布を首に巻くことだ。
首輪はさすがに、見られるのが嫌なのだ。
布は巻いたまま、着替える。これも政府に支給された、何やら“術”を施された物だ。
まったく、この科学一色なご時世で、“術”など如何わしい物に頼るしかないなど…何とお笑いなことか。
「――――ふっ、」
自分の嘲笑が部屋に吸い込まれた。
後、静寂。…を、破る声。
「コレットー!いないの?そんなわけないよねーヒキコモリだもんねっ!早く出てきなさい!!」
いきなりの失礼な発言だったが、私はその人間の登場に一瞬だけ微笑を浮かべた。
私の唯一無二の友人だ。
「月(ルナ)…、毎回毎回思うんだが…来て早々“ヒキコモリだもんねっ!”はないと思うよ?」
「煩いわねー、どーせあんたのことだから暗いこと考えてたんでしょ、それを打ち破るには最適の頓狂な発言だったじゃん!」
「相手にした私がいけなかった。で、今日は何?」
「あぁ、ちょっと買い物につき合わそうと思って。学校休みだし。」
どうせ荷物持ちにされるだけだが、暇だからついていくことにした。
ついていっていつも思うのが、なるほど確かに小柄な彼女一人で持ちきれる量ではないということだ。
それもそのはず、彼女の家は孤児院を経営している。
地図を使って来るものも必ず途中で迷ってしまうほどの辺境にあるこの村だが、親に捨てられた子供がよく迷い込んでくるから、孤児院は多い。
その中の一つは彼女の家だ。
前述の通り辺境だが、物資も人数も労働力も土地も豊か。子供が多いから将来性も保障されたも同然。
そんなある意味桃源郷的な村。私は政府に孤児として連れてこられた。
「…っ、」
「ほらぁ、また暗い顔して!」
「暗い顔なんかしてないよ。お腹空いたから思わず顔しかめちゃっただけ」
そんなこと言っても騙せないわよ、と言って月は小走りになり、私の手をひいていく。
最終更新:2011年02月25日 22:00