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獲物だ。




男を見定めたゴブリン達は結論付けた。
その男は鞄を背負ってはいるが武器は携えていない。
同行者もおらず、こちらに背を向けている様は完全に隙だらけだ。
対して、こちらは5匹で棍棒も携えている。
どう考えても負ける筈はない。殺して荷物を奪い取ってしまう。

早速ゴブリン達は行動に移った。
声を殺し、物陰から棍棒を振りかぶって飛び出す。
五人がかりで叩き殺してやるのだ。
男との距離はどんどん縮まっていく。

5m。

4m。

…なにか違和感がある。

3m。

…2mまで来たところで気が付いた。


くさい。


この男、とてつもなく臭いのだ。
普段から清潔とは言い難い場所に生息するゴブリンでも思わず一瞬立ちすくんでしまうほどに。


それが命取りになった。


「クゥーン…」

その瞬間、男の身体から突然蒸気が吹き出した。
なんだ!?とゴブリン達が思った時にはそこに人間だった男の姿はなく、代わりに犬を人間の頭身に合わせたかのような不気味な怪物がいた。


超くさい。


その怪物は、臭かった。

「行きますよーイクイク」

鮮血が吹きあがった。
気付いた時には怪物はゴブリンの内一匹を押し倒しており、喉笛にその鋭い牙を深々と突き刺していた。
潰れた断末魔が口から漏れ、そのゴブリンは生命活動を停止した。
残り4匹。

「ヌッ!」

次の行動もゴブリン達より怪物の方が速かった。
五匹中一匹を絶命せしめた怪物は即座に跳躍すると、また一匹のゴブリンの背後に着地した。
振り向こうと思った時にはもう遅く、怪物は両手でゴブリンの頭部を挟み込み、力を加え始めた。

グシャ

と、音が一面に響き、ゴブリンの頭は見るも無残に破裂したものに変わり果てていた。
残り3匹。


ゴンッ、と今度は怪物の後頭部から音が上がる。
残ったゴブリンの内の一匹が、頭割りに集中している怪物の隙を付いて棍棒で殴りつけたからだ。

「アーイキソ」

だが、怪物にまるでダメージは無い。
殴りつけたゴブリンはとても後悔をした。
何故、俺がこの魔物を殴る役目を買ってしまったのか。
あの二人の内どちらかがやればよかったじゃないか。
そんな自分本位な恨みを同胞に抱きながら、そのゴブリンは怪物に頭を掴まれ、そのまま持ち上げられた。
手足をバタバタと振るが、当然空を切るだけで何の効果もあろうはずがない。

「見とけよ見とけよ~」

その哀れなゴブリンの腹部目掛け、怪物は渾身の正拳突きを見舞った。
想像を絶する激痛と、強烈な吐き気が自分を襲ったのをゴブリンは感じとった。
口から血泡が出てくるが、怪物はそんな事で手を止める事は無かった。
一発、二発、三発。次々に正拳突きを打ち込んでくる。
内蔵はもう破裂しているだろう。
怪物は息も絶え絶えになったゴブリンをその場に放った。

「オォン!」

そして、サッカーボールをシュートするかの如く、ゴブリンの頭を蹴り上げる。
とてつもない脚力を見舞われた首の付け根がブチブチと音を立てて引き千切れ、結果、首が中途半端にもげた無残な屍が一つ出来上がった。
残り2匹。

「(野獣の眼光)」

残った二匹は既に逃げ出していた。
ゴブリンも勝ち目のない戦いをするほど愚かではない。

あの魔物はしかるべき準備を用いて殺すべきであろう。
たかだか棍棒を持っただけの自分達で相手をするべきじゃなかったんだ。
お前囮になれよ。
なんだと、お前こそ囮になれよ。
待て、何か来るぞ。

いた。
怪物はすぐそこまで来ていた。
速い。
自分達よりも遥かに足が速い!

「ホラホラホラホラ」

一匹が、捕まった。
そのゴブリンの顔には絶望が浮かんでいた。
自分の生殺与奪権は、今やこの醜悪なバケモノに握られているのだ。
再び鮮血が吹きあがった。
怪物はそのゴブリンの右足に噛り付き、膝から下を食い千切った。
痛みにゴブリンは絶叫するが、怪物は特に動じる事もなく今度は左足の膝下を食い千切る。

だが、ここで怪物は不可解な行動に移った。
脚を食い千切り終えた怪物はゴブリンを放し、どこかへと走り出したのだ。
両脚を失ったゴブリンに対し興味を失ったのであろうか。

とにかく自分は助かった。
あの怪物の気が変わる前に、どこかでせめて止血しなくては…。

混乱した頭を抱えながらも、ゴブリンは匍匐前進で進みだす。

……………………………

………………………

…………………

……………

………



…建物が見えてきた。
ひとまず、あそこに逃げ込もう。

「お待たせ!」

絶望だった。
さっきの場所からは大分離れたと思うのだが、それでもこのバケモノには場所が分かるようだった。
見れば、その手には下半身が千切れ、内蔵がはみ出し、眼球は飛び出し、頭蓋が破れ脳漿を垂らした同胞の死骸が抱えられていた。



残り1匹。




「ホラ行くど~」

怪物はゴブリンに飛びかかり、馬乗りの体勢になった。
最早ゴブリンには抵抗する力さえ残っていない。
怪物は大きく口を開くと、ゴブリンの背中に喰らい付き―貪り始めた。

―喰ってる。

ゴブリンは、泣いていた。
背肉を喰われる激痛もそうだが、糞の擬人化のようなこのバケモノに圧し掛かられる事で、吐きそうな程の悪臭から逃れられない現実がどうしようもなく圧しかかる。
畜生、なんて臭さだ。
そして自分はこのうんこに殺されるのだ。
あまりにも絶望的な現状だった。

「まずっ」

暫く咀嚼していた怪物はそう言って、口の中のゴブリン肉を吐き捨てた。
どうやらお口にめさなかったらしい。
もういい。早く殺ってくれ。早く俺を楽にしてくれ。
そんな絶望的な考えだけがゴブリンの脳を支配していた。

「しょうがねぇな~」

ジーッ。と何かを引き下げる音が怪物から聞こえてきた。
ゴブリンが恐る恐る首だけ振り向くと、怪物は履いていたズボンをずり下げ、己の剛直を露わにしていた。
理解が出来なかった。このバケモノは一体何をしようというんだ。
ゴブリンならば、アレを出すのには二つの用途がある。
一つは放尿。そしてもう一つは…。
そこまで考えてゴブリンは戦慄した。

まさか…このバケモノは俺を「孕み袋」にしようとしている!?
ありえない。ゴブリンは雄しかいない種族なんだぞ。だから他種族に産ませるのだ。
だが、その行為には無論快楽を目的とするものもある。
まさか、まさか…。

「オォン!」

そのまさかであった。
ゴブリンの履いている物は強引に破り捨てられ、怪物の剛直が菊門に深々と突き刺さる。
ゴブリンは叫んだ。
しかし怪物はお構いなしに腰を振る。

痛い痛い痛い痛い痛い臭い痛い!

明らかに怪物のそれはゴブリンの穴に入るサイズのものではなかった。
強引に穴が押し広げられ、ゴブリンは切れ痔になった。
もう滅茶苦茶だ。

「んまぁ、そう、よくわかんなかったです」

そう言い捨て、怪物はいきなりモノを穴から引き抜いた。
無理矢理押し広げられた穴から血が噴き出す。
とても痛い。
だが、ようやく終わってくれたのか。
ようやく楽になれるのか。
ゴブリンは一切の思考を放棄した。
しようとした。

「頭いきますよ~」

えっ、とゴブリンは顔を上げる。
馬乗りになっていた怪物はいつの間にか正面に回っていた。
そしてゴブリンの額に牙を押し当て、顎に力を入れ始めた。
牙は額の皮を突き破り、頭蓋に達する。
更に力が加えられ、嫌な音を立ててゴブリンの頭蓋骨は砕けた。
怪物が牙を引き抜くと、ゴブリンの額には穴がぽっかり空いていた。

「じゃけん脳姦しましょうね~」

先ほどまで己が穴を貫いていた剛直は、今度は額の穴に押し当てられていた。
怪物の両手はゴブリンの頭をがっしりと掴んでいた。
ゴブリンは今や額の激痛の事など完全に忘れ去っていた。

おいやめろ。信じられない事をするな。
こんな死に方は嫌だ。
やめろ。やめてくれ。頼むから。

「オォン!」

やめ















残り0匹。


「Foo↑気持ちぃ~」

怪物は射精していた。
ゴブリンの脳髄から陰茎が引き抜かれ、後には精液が糸を引く。
絶命したその小鬼にはもう興味が無いのか、雑に遺骸は放り捨てられた。
そして冷気を発しながら怪物は人の姿へと戻った。

鈴木浩二。24歳。学生。
彼こそが今ゴブリン達を蹂躙しつくしたこの怪物、「コイヌアマゾン」の正体であった。

鈴木は、オーガズムに達しながらも、しかし満足しきれないでいた。
確かにゴブリンのケツ穴は大して気持ちよくもなく、脳姦でもしなければ性的使用には適さなかった。
それが不満なのだろうか?
否、彼の不満はそれより前、ゴブリンの肉が不味かった事その一点に尽きる。

「んにゃぴ…やっぱり、人間…の方が一番いいですよね」

鈴木は人喰い怪人『アマゾン』である。
人を食べたい。そう思った矢先に遭遇したのがあの小鬼達である。
首輪を付けていない事から彼らが主催者の言う『ゴブリン』である事はすぐに察しがついた。
もしかしたら人肉の代わりになるのではないか…そう思ったから試しに一匹に口を付けてみたのだ。
結果、不味かった。
やはり、ゴブリンでは人間の代わりにはならない。

ならば、食欲の代わりにせめて性欲を満たすしかない。
そう思って脳姦し、それなりの快感は得られたのだが、やはり食人で得られる幸福感には到底及ばない。
性欲では食欲の代わりにはならないのだ。

「肉も不味いしケツも駄目。全く価値の無い生き物だってはっきり分かんだね」

ゴブリンについてはもういいだろう。
それより他の参加者を探さなくては。
何故?決まっている。
喰い殺すためだ。

「じゃけん皆殺しにしましょうね~」

今の自分は性欲よりも食欲の方が上回る存在になってしまった事は鈴木も認めている。
前々からレイプしようと計画していた水泳部の後輩、『七夜先打』を睡眠薬で昏睡させて地下室に連れ込み、事に及ぼうとした瞬間に犯すよりも食べたいという衝動が湧き上がり、今のアマゾンとしての姿を得た。
一体何が原因だったのか。そんな事はどうでもよかった。
七夜を喰い殺した時の満足感と幸福感は、今まで食べたどんな食材よりも、今までしてきたどんな自慰行為よりも、ずっとずっと遥かに素晴らしいものだったのだ。
ならばこの殺し合いの場において鈴木が取るべき行動は一つ。
喰らう事だ。

「(負ける気は)ないです」

鈴木には勝ち残る自信があった。
先程ゴブリンを全滅させたことで分かったが、やはり怪物となった自分は強い。
この怪物の力と空手があれば負ける相手などいる筈がないと思えた。
優勝した暁には、主催者に一生分の食用人間を注文すると鈴木は決めていた。

「(人のいる場所に)ホラ行くどー」

ゴブリンの追跡にも使ったコイヌアマゾンの嗅覚でなら他参加者を探すのも容易いだろう。
クソハゲキモステロイダーは、ゴブリンの死体を一瞥もせずに歩き出した。

【D-1 ふれあい動物パーク跡地/一日目 深夜】
鈴木浩二@当企画オリジナルキャラ】
[状態]: 健康
[装備]: 無し
[道具]: 基本支給品一式、不明支給品×1~3
[思考・行動]
基本方針:全員喰い殺して優勝する。
1:ゴブリンは襲ってきたら殺す。不味いので食べない。

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最終更新:2018年11月29日 23:17