財やサービスは市場を通して取引される。
競争市場においては家計も企業もプライステイカーであり価格は決定できない。
財の価格と流通量は市場によって決定されるのだ。
その際に用いられる均衡という考え方を含めて紹介する。
- 4つの市場
- さまざまな財
- 需要供給曲線のシフト
- 均衡
△
4つの市場
上や前の項で競争市場では家計と企業がプライステイカーであると書いた。
なぜ家計や企業がプライステイカーであるかは競争市場の定義から導かれる。
競争市場には非常に多くの買い手と売り手が存在する。
したがって一つ一つの買い手や売り手は市場にとって充分小さい存在であるため価格を設定できない。
これが完全競争市場と呼ばれる市場である。
これとは逆に売り手が1つ、あるいは少数で市場を支配しているような市場もある。
このような市場をそれぞれ独占市場、寡占市場と呼ぶ。
独占市場と寡占市場では必ずしも競争が存在するわけではない。
さらに独占市場の売り手は、売り手が財の価格を自由に設定できるプライスメイカーである。
上の3つの市場ではどの売り手も全く同質の財を販売しているという前提があった。
この前提があることによって買い手は売り手を区別せずに価格だけで数量を決定することができた。
この前提を崩し、財の種類自体は同じだが少し異なる財を販売しているという市場が存在する。
例えば、映画の市場がそうだ。
同じ映画という財ではあるが、その内容はそれぞれの映画で異なっている。
この市場では売り手は自らの財に独占力を持っており、価格をある程度自由に設定できる。
このような市場を独占的競争市場と呼ぶ。
現実に存在する財の多くはこの市場に近いと言える。
さまざまな財
一口に財と言っても色々な種類が存在する。
それは本とかアイスクリームだとかという意味ではなく、
経済学的な分類においてだ。
以下にそれを取りまとめて紹介する。
財の種類 |
説明 |
例 |
正常財(上級財) |
所得の増加によって需要が増加する財 |
高級ラーメン |
劣等財(下級財) |
所得の増加によって需要が減少する財 |
カップラーメン |
補完財 |
ある財の価格が低下すると、もう一つの財の需要が増加する際のその2つの財 |
注射器と注射針 |
代替財 |
ある財の価格が低下すると、もう一つの財の需要が減少する際のその2つの財 |
コーヒーと紅茶 |
需要供給曲線のシフト
ある財の市場を見てみると、とある要因で需要や供給が変化することはよくある。
例えばかき氷の市場ならば夏場に需要が伸びるが、冬場にはかなり落ち込んでしまうだろう。
他にもある商品にブームが巻き起こり需要が増加することもあるだろう。
牛肉にBSEなどの問題が発覚すれば牛肉に対する需要は小さくなると予想される。
変化するのは需要側だけではなく、技術革新による供給の増加なども考えられる。
これらの需要や供給の変化は、需要曲線や供給曲線にどのような形で影響を及ぼすのだろうか。
かき氷の市場を例に考える。
夏の暑い時期になれば、買い手はたとえ同じ価格であっても他の季節より欲しいと思う気持ちは強くなるだろう。
逆に寒い時期にはかき氷は敬遠され、他の季節と同じ値段では買おうという気持ちは盛り下がってしまう。
これは同じ価格でも需要量が異なる、つまり需要曲線が移動したというように考えることができる。
需要が増加した場合は需要曲線は右にシフトし、減少した時は左にシフトする。
供給曲線のシフトについても同様に考えることができる。
(グラフ)
均衡
需要曲線と供給曲線を同じ平面上に描くと、その2本の曲線が交わる点が存在する。
その点では同一の価格の下で買い手の需要量と売り手の供給量が一致する。
この状態を均衡と呼び、グラフ上での需要曲線と供給曲線の交点を均衡点と呼ぶ。
均衡状態での価格を均衡価格、数量を均衡数量と呼ぶ。
(グラフ)
完全競争市場では最終的に市場の持つ価格メカニズムによって均衡価格に価格が決定される。
それではなんらかの理由で価格が均衡価格とは異なる場合、どのようにして均衡価格に向かうのだろうか。
これを考えるには、現在の価格が均衡価格より大きいか小さいかによって場合分けをする必要がある。
価格が均衡価格よりも高い場合には、需要量と供給量にギャップが生じる。
均衡数量よりも需要が少なく、供給が多くなる超過供給の状態だ。
この状態では、需要がすべて満たされたとしてもまだ市場に財があふれている状態になる。
売り手はこの状態では財が売れず損をしてしまうので、価格を下げようとする動きが生じる。
この動きは価格が均衡価格に達するまで続けられ均衡が達成される。
(グラフ)
このケースでは上の場合とは逆に超過需要が発生する。
この状態では商品が売れてもまだ欲しい人が存在しており、もう少し高くても買うぞという買い手が現れてくる。
それによってその財の価格は上昇していき、均衡価格に最終的に達することになる。
(グラフ)
最後に、需要曲線と供給曲線のシフトによって、均衡点がどのように変化するかを表にまとめておく。
需要曲線右シフト |
均衡数量:上昇 均衡価格:上昇 |
需要曲線左シフト |
均衡数量:減少 均衡価格:減少 |
供給曲線右シフト |
均衡数量:上昇 均衡価格:減少 |
供給曲線左シフト |
均衡数量:減少 均衡価格:上昇 |
最終更新:2013年12月19日 09:39