完全競争市場では通常、価格と数量は均衡点によって決定される。
しかし、政府の政策によってそれが崩れる場合が多々ある。
ここでは、それにどのような場合があり、どのような市場への影響が存在するかを
余剰分析を用いて分析する。
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市場原理によって決定される価格や数量は確かに効率的ではある。
しかし、経済的に効率的でも社会的には何らかの不都合が発生することはしばしばある。
政府はそれを解決するために様々な市場への介入を行うことがある。
ここではその介入の例として価格規制と税を扱う。
価格の上限規制
政府がある財の価格に上限を設定し、その水準以上に価格が上がらないようにすることがある。
これを価格の上限規制と呼ぶ。
均衡価格が規制価格よりも安い場合には、価格の上限規制は市場に何の影響も及ぼさない。
何故ならば、規制があろうがなかろうが市場の作用によってその財の価格は均衡価格になろうとするからである。
その均衡価格よりも高い上限規制を施しても、市場はそれに惑わされることはない。
そのため、以下では均衡価格が規制価格よりも高いと仮定する。
均衡価格が規制価格よりも高いため、市場価格は均衡価格p*ではなく規制価格pcと等しくなる。
消費者と生産者は本来のその市場での均衡価格より低い価格に直面するので、均衡価格の場合より需要が増加し供給が減少する。
すなわち超過需要が発生することになる。
この時の市場の取引量は規制価格pcにおける供給量Scに等しくなる。
規制価格pcによる取引量Scはいずれも均衡価格、均衡数量より安く、少ない。
この時のこの市場における厚生(余剰)はどうなっているだろうか。
まずは生産者余剰を計算する。
生産者余剰は価格線p=pc、供給曲線S、価格軸(縦軸)に囲まれた領域となる。
この時の生産者余剰は明らかに規制を行わない場合よりも小さい。
次は消費者余剰だ。
消費者余剰は価格線p=pc、需要曲線D、価格軸、取引量線q=Scに囲われた領域として計算される。
この時の消費者余剰が規制を行わない時と比べて大きいか小さいかは判断できない。
その市場の性質(需要曲線の形状など)によって異なることが予想される。
次にこの市場全体の総余剰について考える。
最終更新:2014年07月03日 14:07