………
……
…
「……どうですか?」
疲労しきった若い軍人が語り掛ける
「相変わらずだな、破壊本能だけで動いてるようにしか見えない」
短髪の男がもはや歩く者もいない戦場で煙草を吸いながら答える
「そうですよね… 痛覚も危機感も…何より大義を感じません」
「大義か」
「ええ、何かの目的で行動してるとはとても思えません、これじゃあまるで操り人形だ…」
「…それは俺達と何が違う?」
「………」
暫しの沈黙が流れた
「違います!俺達には世界の平静を保つという大義の元、この地へ足を運びました!」
「これは他の誰の意思でもありません! 隊長が仰ってくれた自由意思です!」
「………これくらいにしとこう、ザックが聞いてる」
「………」
傍らには首から上が吹き飛んだ軍人の亡骸が丁重に埋葬されようとしていた
「ザックは優秀な軍人でした!」
「軍人の優秀さは殺した数で決まる物じゃない 護った数で決まるんだ」
間髪入れずに短髪の男は切り返した
「護った数ですか………」
「護るとは、勿論自分自身もそれに含まれる ザックは護りきれなかったんだ」
「しかし……」
そう言いかけて若い軍人は言葉を締めた
「今日は雨が降りますね………」
「ああ… 局地的に降り過ぎだ……」
短髪の男のその声を聞いて軍人達は軍帽を深く被った
「……俺はまた護れなかったのか…」
帰路に付く短髪の男の小声に反応する様に愛剣が鞘の中で少し軋んだ…
最終更新:2013年07月23日 20:36