………
……
…
テントに戻った英雄達は一時の休息を得ようとしていた
しかし、それも直ぐに破られた
「仕事だ」
将校が苦いコーヒーを淹れ始めた軍人達に命令を下す
「俺の部隊は連戦で疲労しきってる、休みが必要だ」
短髪の男が立ち上がり答えた
「知ったことか、進め!ポーンに休息など要らん!」
「………」
短髪の男は無言だった
それは承諾と同価値だと言うことも男は知っていた
………
……
…
「無茶苦茶ですよ、この密林に残党狩りなんて…」
「どう考えても俺達を捨て駒にする気しかないんだ…」
軍人達の嘆きを聞きながら短髪の男は先頭を走る
「…誰も死なせやしない」
密林へと進む短髪の男の小声に反応する様に愛剣が鞘の中で少し軋んだ…
「前方45度、動き有り!」
「硝煙の匂いがそこら中からしてますね、うじゃうじゃいますよ」
「指示をっ!!」
軍人達の声に短髪の男は望まない言葉を選んだ
「円陣を崩すな!! 頭を下げろ!! 撃って撃って撃ちまくれ!!」
そういうと短髪の男は鞘から愛剣を抜き更に望まない指示を続ける
「アングル! アドルフ! 続け! 斬り崩すぞっ!!」
「イエッサー!」
3人…4人…5人…
6人目を斬り倒した時、違和感が短髪の男を襲う
「バカな! ここに来てか!!」
短髪の男の愛剣に罅が少し入っている
「くそっ!! 待ってくれ!! これで終わりなんだっ!!」
「ここさえ乗り切れば…!!」
7人目… 8人目… 9人目…
10人目に差し掛かる時には遂に愛剣の罅は遠目でも分かる量になっていた
「アングル! 剣を貸せ!」
「………」
返事はない
「アングルッ!!」
振り返った短髪の男には血を口から流しながら倒れる部下の姿が映っていた
「エリッヒーっ!!!」
衛生兵を呼ぶ声が爆音に掻き消された時、短髪の男の剣は…折れた… 彼の掲げた大義と共に…
最終更新:2013年07月23日 21:57