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先日の部屋へとクチナワは辿り着いていた
何十と銃弾を浴びその赤い鱗はほとんど剥がれ落ちているが、尚その姿は『真っ赤』に染まっていた
奥には委縮した母親と、その手に抱かれた赤子がこちらを見ていた
…やはり赤子は視得ていないようだ
≪そうだ… アタイが本当に望んでいたのは…≫
少しづつ近づくクチナワの後ろには真っ赤な道が出来た
≪…幕引きだね≫
クチナワはそう呟き、張り裂けん程に口を開けその赤子に向かって突進した!
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≪……ただ忘れられたくなかったんだ そして忘れたくなかったんだ≫
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「今日はこれだけ山菜が取れましたよ、山の神様! 少し置いて行きますね!」
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「どうか、神様… 明日の歌舞伎の主役… 失敗しないように見守ってください…」
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「…おとと、ごめんよ、神様 少し雨宿りさせてくれよな」
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「次はそっちが鬼だよー」
「こらこら、そこで遊んではダメだぞ その大木には神様が宿ってらっしゃるんじゃ」
「かみさまー?」
「そうじゃよ ずっと儂等を見守ってくれてる神様じゃ さぁさぁ、お礼を言うんじゃ」
「かみさま、ありがとー!」
「ありがとー、かみさまー!」
………
夢幻の中クチナワは昔を振り返っていた
記憶の中の者達は、映ることのないクチナワを笑顔で精一杯見つめていた
………あの赤子と同じように
遠い遠い もう赤色しか覚えていない記憶……
最終更新:2013年07月25日 11:06