殺陣祭・オールスターズ_ドラマストーリー
熊蔵の声~ユフダケ登山編~
イベント概要
開始条件: ↓仲間
パーティ: 英明,航,修平,孝允,フレイ,ポーラ
開始場所: ユフシティ
ドラマストーリー
ユフシティの人々で賑わう温泉街──その中に,英明,航,修平,孝允,フレイ,ポーラが居た.6人は示し合わせて来たわけではなく,それぞれが旅の途中でこの街を訪れていた.
修平は土産屋を物色していた.
「中々面白いものがあるな.どれどれ・・・」
どこかの山を模したキーホルダーを手に取って眺めていると,
「皆の衆!集合じゃ!集合!!」
「おわっ!何だ?!」
突然誰かが呼ぶ声が聞こえ,修平は持っていた物を落としそうになった.
「なになに?」
フレイが修平の前に顔を出した.同じ店に居たようだった.
「修平さん?今のはあなたが?」
「いや,これは多分・・・」
修平はそう言って,品物を棚に戻して店の外へ向かって行った.フレイも続いた.
2人が外へ出ると,航,孝允,ポーラの姿が見えた.
「おっ,修平とフレイ.熊蔵の声,聞こえた?」
航が修平達に気付き,声を掛けた.
「うむ.やっぱりそうだよな.」
修平は頷いてからそう言った.その時,
「集まったようじゃの.」
再び熊蔵の声が聞こえた.相変わらず街の人達は平然としており,声は仲間達のみに聞こえているようだった.
「こっちが見えてるのか・・・?」
孝允は驚き,思わず周囲を見回した.
「何か用なの?!」
ポーラは何となく上空に向かって叫んだ.その声に,近くに居た街の人が驚いていた.
「オーブのあるっぽい場所が分かったのじゃ.」
「ほう,やっぱり.」
熊蔵の言葉に,航はそう答えた.
「この近くの山の上にあるはずじゃ.」
熊蔵はそう言って,更に言葉を続けようとしたが,
「この辺りで声が・・・あ,いたいた.」
建物の陰から英明がこちらに向かって歩いて来た.
「英明さん.」
「英明来てたとね.」
ポーラと航がそれに気付いた.その後は皆が気付き,口々に挨拶していった.
「お前ら,さっさと行くが良いぞ.」
熊蔵がそう言った.が,今は誰も聞いていなかった.
「ああ,皆は何で集まっているんだ?」
英明が尋ねると,
「熊蔵さんの呼び掛けで,近くに居た人達が集まったんです.」
孝允が答えた.そして,
「お前ら,聞いているか?」
熊蔵は少し怒ったような口調で言ったが,
「そう言う事か.オーブの場所が分かったのかな.」
英明は孝允に向かって返答していた.
「確かそうだった.」
修平が答え,
「熊蔵,もう一度,説明を頼む.」
少し大きな声で熊蔵に言った.少しの沈黙の後,
「貴様ら!わしを無視しおって!」
怒った熊蔵の声が聞こえてきた.
「私は一応聞いてたわよ.この辺りの山って言ったら,ユフダケの事かしら?」
フレイが少し得意気な顔をして言った.
「きっとそれじゃ!賢いヤツじゃの.」
「終始上から目線なのね・・・」
熊蔵の返答に,ポーラは呆れ顔だった.そして,熊蔵からの声は,もう用は済んだとばかりに聞こえなくなった.
「しかも,言うだけ言って居なくなるとね・・・」
航も,やれやれ,と言う調子で呟いた.
「まぁ,行ってみようか.」
英明はわざと少し明るく言った.こうして,6人はオーブを求めてユフダケに向かった.
「そう言や・・・オーブはどこにあるんだ?山頂か?」
山の麓に着き,修平が皆に向かって言った.
「恐らくそうだと思うが・・・」
英明が答えた.フレイは案内の立札を見ていた.
「登山道は3種類あるのね.」
「って事は・・・」
孝允が少し考えるような仕草をしたが,
「手分けして行った方が良さそうさね.」
航がそう言って走り出すと,
「よし来た!」
孝允も一緒に走り出した.2人は東登山道の方に向かって行った.
「早い・・・何か前にも見たような・・・」
すぐに姿が見えなくなった2人を見ながら,修平は呟いた.
「私達も中央と,ええと,西登山道に別れた方が良いかな?」
ポーラが提案すると,
「そうだね,そうしようか.」
英明は賛成した.修平,フレイも頷いた.4人は相談し,修平とポーラは中央登山道,英明とフレイは西登山道から登る事にした.
「じゃあな.何かあったら引き返すか,山頂に行く.」
修平は英明とフレイに向かって言うと,早速,目の前の道に向かって行った.
「じゃあ,我々も行こうか.」
「ええ.」
英明とフレイも西登山道へ向かって歩き出した.
「うーん,なかなか険しい道だね.」
東の登山道の中腹辺りまで登った頃,孝允の表情に疲れが混じっていた.
「そうけ?全然余裕ばい.」
航は元気良く急な段差を登って行った.階段のようになっていた段差を登り切り,平らな道が見えたとき,大きな木の陰から鳥型のモンスターが現れた.
「大きいな.こいつがオーブを持ってるかも知れないね.」
やっとの事で階段を登り切った孝允が言った.
「うん.何としても倒すさ.」
航は自前のブーメランを構えた.孝允も刀を抜き,臨戦態勢に入った.モンスターは翼を羽ばたかせて飛び上がり,そこから攻撃しようと構えていた.ところが,航が牽制のためにブーメランを投げるとそれがクリーンヒットし,落ちて来たモンスターを孝允が斬ると,それで戦いは終わってしまった.オーブも持っていないようだった.
「先へ進もうか.」
孝允は静かに言った.
「やっぱり,山頂かなぁ・・・」
航は先に続く道を見上げるように眺めた.2人は山頂を目指して歩き出した.
修平とポーラは中央登山道を登っていた.大したモンスターも出現せず,殆ど歩みを止めずに進めていた.ふと,修平が何かに気付き,空を見上げた.
「なんだあの鳥,ずっとついてくるな.」
翼を広げた大きな鳥が,旋回しながらゆっくりと修平達の上を飛んでいた.
「・・・どうやらモンスターみたいね.」
ポーラもその鳥を眺めながら言った.
「俺達を獲物にしようとしてたのか.」
修平はモンスターの態度が癪に障ったのか,剣を構えて積極的にモンスターに向かって行った.ポーラも後方から銃撃して援護したが,モンスターはあまり強くなく,殆ど修平一人で倒してしまった.
「口ほどにもないな.しかもオーブも持ってないか.」
修平は剣を納めながらクールに言った.
「残念ね・・・やっぱり,上に行ってみましょう.」
ポーラはそう言って,2人は登山を再開した.
英明とフレイは,西登山道を粛々と登っていた.かなりの時間を費やしたように思えたが,まだ先は長そうだった.
「ふぅ・・・頂上はまだかしら・・・」
フレイは溜め息をついた.
「あれは・・・モンスターかな?ちょっと倒してくる.」
英明はそう言うと,先の道へ走って行った.
「待って,私も戦う!」
フレイは慌てて英明を追いかけて行ったが,追い付いたときには英明の横には倒れた鳥型のモンスターが居た.
「あまり強そうじゃなかったからな.俺だけで倒せると思って.」
「そ,そう・・・.このモンスターはオーブは持ってないみたいね.」
フレイは少し残念そうに言って,出していた剣を納めた.
「そのようだね.先へ行こうか.」
英明は山の上の方を見た.フレイは小さく返事をして,2人は山頂へ向かって行った.
「この辺が山頂かな?」
急に景色が開けて,遠くを見ながら航が言った.
「ふぅ・・・やっと着いた.」
孝允は息も絶え絶えに,傍の岩に腰掛けた.航も近くの岩に飛び乗り周囲を見回した.
「何も居ないさね.」
「なら,少し休ませて貰おうかな.」
孝允はそう言うと,平らな岩に仰向けになった.別の登山道から登った仲間達もまだ到着していなかったので,航は一人でモンスターを探そうと奥の道に入って行った.道が半分途切れたような茂みの多い部分をかき分けて進むと,すぐに道は開けた.そこに,巨大な獣型のモンスターが寝ていた.
「居た・・・」
航は心の中で小声で呟いた.寝ている相手へ先制攻撃を仕掛けて有利に戦おうかとも考えたが,それよりは仲間を揃えた方が良いと考え,孝允を呼びに道を引き返そうとした.航が振り返ると,修平とポーラの姿が見えた.
「お,孝允はどうした?・・・これがここのボスか?」
修平が割りと大きい声で言った.航は人差し指をたてて静かにするように促した.
「皆が集まってから戦いたいわね・・・」
ポーラは小声で言ったが,
「そうも言ってられんな.」
修平は剣を抜いた.モンスターはこちらを見ながら,のっそりと立ち上がるところだった.航は大急ぎで孝允を呼びに行ったため,少しの間,修平とポーラの2人でこのモンスターと戦う事になった.モンスターはゆっくりと近付いて来たが,急に修平に跳び掛かって来た.修平はそれを剣で弾き,モンスターは一旦は遠ざかったように見えたが,すぐに向きを変えて再び修平に跳び掛かった.あまりのスピードに修平は対応し切れず,持っていた剣は弾き飛ばされた.
「うわぁ,ヤバい!」
モンスターの前脚が,修平の頭を叩き潰そうと迫って来た.ポーラは既に何度か銃撃していたが,少しの攻撃ではモンスターは怯まなかった.その時,モンスターは頭を何かで刺され,慌てて跳び退いた.今到着したばかりの英明の槍だった.
「修平君,大丈夫か?!」
英明は体勢を立て直すモンスターを見据えながら,横目で修平を見た.修平は目を丸くしながら2度頷いた.一緒に来たフレイは,ポーラの傍に行って様子を見ていた.
「急に戦いになった感じね.作戦を練らないと・・・」
フレイがそう言ったとき,孝允を連れた航が戻って来た.
「よし!わてが動きを止めてくるけん.」
航は早速モンスターに近付いた.モンスターが航に狙いを定めた途端,航は逃げ出したり,また近付いたり,急にブーメランを投げたりと,相手を翻弄するような,時間稼ぎになりそうな戦い方をしていた.
「さて,どうするか・・・」
航の様子を見ながら,孝允は言った.
「とは言っても,このメンバーだと接近戦が得意な方が多いな.」
英明は皆を順番に見ながら言った.修平とフレイは剣を使い,孝允は刀,自身は槍を使うため,4人は接近戦向きと言えた.
「ポーラさんは航とサポートに回ってくれるか.後の皆は近付いて戦おう.」
英明がそう言うと,ポーラはすぐに頷き,航もモンスターと距離を取りつつ返事をした.
「よし,承知した!」
修平は軽く跳び跳ねてからモンスターに向かって行った.フレイと孝允もそれに続き,英明がその後ろから付いて行った.
戦いは一進一退だった.モンスターはかなり素早く,近接武器での普通の攻撃は中々当たらなかった.対して威力はあまりないものの,前線のメンバーはモンスターの俊敏な攻撃を無数に受ける事になった.
「もう!すぐ逃げる!」
フレイの斬撃に対し,モンスターは軽々と跳び上がった.しかし,
「この程度の高度なら!」
英明が槍をモンスターの方へ大きく突き出すと,そこから大砲のように何かが撃ち出され,空中にいるモンスターの腹部にそれが直撃した.槍を使った気功の攻撃により,モンスターはそのまま落下した.
「今だ!」
孝允はモンスターに突撃し,渾身の斬撃を放った.通常なら当たらないような大振りの攻撃だが,一時的に動けなくなったモンスターは,安々と直撃を許した.それでもモンスターは何とか反撃しようと暴れ,その上から修平とフレイは剣で叩きまくっていた.やっとの事でモンスターが距離を取ったとき,ポーラによる痺れ作用入りの弾丸がその体に撃ち込まれた.
今度は英明も加わって攻撃すると,流石にモンスターは弱り,動きも鈍くなった.味方が優勢になるに連れて攻撃も当たり易くなり,ついにモンスターは倒れた.
「倒したか・・・」
修平が右手に剣を持ったまま呟いた.
「オーブはあるかしら・・・?」
フレイは恐る恐る動かないモンスターに近付いた.他の仲間達もフレイに続いた.皆でモンスターの周囲にしゃがみ込み,しばらく探していると,
「お?これか.」
修平が手に何かを持って,それを高々と挙げた.鈍く光るオーブだった.
「そのようだね.見付かって良かった.」
英明は仕事をやり終えたとばかりに,槍を納めた.
「疲れたね.街へ戻りましょう.」
ポーラは少しうつむきながら言った.
「そうね.温泉に入りたい・・・」
フレイも同様だった.6人はゆっくりと,街へ戻って行った.
[熊蔵の声~ユフダケ登山編~・終]
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最終更新:2023年11月03日 01:02