「――私は魔法少女を"救済"する。」
救済――何ともまあ、前向きで希望に満ちた言葉だ。だが、その本質はねじ曲がっている。
「……本気で、言ってんのかよ。」
「私がこういう時に冗談を言ったこと、あったかしら?」
「はっ……冗談より100倍タチ悪いぜ。」
その意味するところは、すなわち魔法少女の掃討。
「……でも、良かったとも思っているのよ。」
「はぁ……?」
マミが、手を天に翳す。この座標は、先程まで長きに渡り鈴乃とマミの戦いが繰り広げられていた場所だ。すでに戦場全体に魔力で練られたリボンの糸が張り巡らされている。マミの手の動きに連動し、杏子の足に糸が絡み付く。
「っ……!?」
「最初に、あなたを終わらせることができたなら……」
糸は足に巻き付いたまま、上昇。それに伴って持ち上がる杏子の身体。
「……もう昔のことで迷わなくて済むもの。」
直後、銃声が鳴り響く。杏子の幻惑魔法を絡めた小細工の巧さはマミも知るところ。だったら――下手に行動を許す前に……不意の一撃で仕留める!
「……そうかよ。」
次の瞬間、杏子にしっかりと狙いを定めたマミの眼前に展開されるは、咲き乱れるがごとき閃撃の嵐。
拘束を成していた糸は即時引きちぎられ、自然落下と共に狙い済まされた銃撃は空を切った。
「まだアンタは……そこにいるんだな。」
『――また負けたー! マミさんのリボン卑怯だよ!』
かつて、宙に吊るされながら発したひと言。マミと修行していた、あの時のあたしだったらきっと、この一撃で決まっていたのだろう。
だが、そうはならなかった。
着地と共に射程の差を埋めるため、前進。遠距離から放たれる砲撃の厄介さは分かっている。だが一発限りのマスケット銃を捨て、新たに生成するまでのリロードは必須。それなら、その合間を叩く!
「――あなたこそ、また手加減してもらえる、なんて思っていないわよね?」
その時、銃が動かされる金属音を感知した。音の方角に目をやることはできない。なぜなら、その方向は東であり、西であり、北でも南でもあった。気が付いた時には、足元の草木で覆い隠しながらリボンによって遠隔操作された幾つもの銃口が杏子を狙っていた。
「ぐっ……!」
気付いた瞬間、足元の糸を切断し、背後の銃の操作を裁ち切る。処理しきれなかった分の銃弾は槍をぶん回して受けるも――受けきれなかった弾が胴を撃ち抜く。その痛みの一部を遮断、そして一部を甘受しながら突撃に割く魔力を温存し、殴り込む。
その一撃を受けるは、すでに発砲済みのマスケット銃を横に構えての防御。先の銃撃の痛みで腕に力が入らず、そのような即席の防御であっても受け止められる。
(だが、この射程なら押し勝てる。このまま――)
その時目に映ったのは、マミが背中のリボンを用いて引き金を引かんとしている一丁
咄嗟に防御の構えに入る杏子。相対するは、ふっと口元に笑みを浮かべたマミの姿。直後に、下っ腹に衝撃が走る。
防御を潜り、腹部に打ち付けられたのは魔法でも銃弾でもない、ただの蹴りであった。仄めかされたマスケット銃は使用済みで、弾が込められていないブラフ。それは、鈴乃に対しても一度用いた手だ。
だが、魔法少女として増幅された筋力から放たれた蹴りは、偏食により一般的な少女の体重よりも軽い杏子の身体を吹き飛ばすには十分な威力を持つ。結果として生み出された距離は、新たなマスケット銃を生成するだけの時間稼ぎには十分だった。
「っ……このっ!」
「なっ……ぐうっ……!」
だが、吹き飛ばされる寸前に、鎖鎌状の槍をマミの腕に巻き付け、引っ張り上げる。右肩が外れてもその拘束が緩むことはない。そのまま槍を振り下ろせば、土煙を巻き上げながら、マミの身体は大地に思い切り叩き付けられた。
「はぁ……ちったあ、目ぇ覚めたかよ?」
確かな手応えと共に、土煙の先に向けて問い掛ける。次第に晴れゆく視界に映ったのは、負傷した右腕を庇いながら、のそのそと立ち上がるマミの姿。
「その腕じゃあもう撃てないだろ。この勝負、あたしの勝ちだ。」
「……。」
元より、鎌月鈴乃と戦い続けていたマミに対し、杏子は戦いらしい戦いをしていない。消耗度合いから見ても、この勝負は杏子の側に傾いていた。殺すことなく無力化するという杏子の目的に沿った措置も、互いに全力を出している時には難しかっただろう。
だが、もう利き腕を潰した。この状態では狙いを定めるのも困難だ。だが、その目に諦めの色は宿っていない。
「……あなたは、それでいいの?」
静寂が訪れた戦場で、マミはゆっくりと口を開く。
「もう私たちは普通の人間には戻れない。もしかしたら、周りの人間を巻き込みながら、殺し合わされ続けるかもしれない。」
「……んなもん、元締めとの接触無しには分かんねぇだろ。」
「元締めとの接触って……姫神と世間話でもするつもり?」
そもそも、これは殺し合いなのだ。最後の一人だけしか生き残れないという前提がある。
「それに……どちらにせよ、同じことなのよ。この疑念を抱いたまま、誰かと交流することなんてできない。だったら――」
その瞬間、マミの腕に絡み付いたリボンが、強引にマミの腕を動かした。外れた関節を無理やり動かす痛みに、マミの顔が大きく歪む。痛み自体は魔力で抑えることができるが、残り少ない魔力をそんな事に回す余裕はない。
「――ここでその連鎖の根本を絶つ方がみんなのためだって、そう思っちゃうじゃない?」
杏子の心臓めがけ、引き金が引かれる。
槍はマミの拘束に用いており、防御には使えない。
「……そう簡単に、この命くれてやるわけにはいかないさ。」
しかし硝煙のその向こう、杏子は息絶え絶えながら立っていた。支給された小道具を前面に構え、銃弾を防御。それはただのマンホールであったが、槍で成すことができない、面の防御となる。
「救済とか何とか言ってさあ、結局それ、魔法少女みんな巻き込んでのただの心中じゃんか。」
――いつかの記憶が、頭をよぎる。
あたしの願いが、バラバラに引き裂いてしまった家族の記憶。
あたしのかたちがなくなっていくような、絶望。
――そして。
そんなあたしにかたちを与えてくれた、たった一人の"家族"の記憶。
「そう、かもしれないわね。もちろん、最初からあなたに受け入れてもらえるなんて、思ってないわ。」
マミが口を開く度、いつかのしあわせが段々と、色褪せていく。記憶が、塗り替えられてしまう。
「だから恨みつらみは……向こうで聞いてあげるわ。全部が終わった後に、ね。」
――かたちが、きえてしまう。
■
「はっ……はっ……!」
――渚は、走っていた。
走り込みの訓練を行なったことはある。
だが、ターゲットが殺せんせーである以上、逃げるための訓練は全くしていないではないが、どうしても比重は小さい。元より、身体能力ではクラスでも底辺の渚だ。相手の視界に入ってしまった地点で、追跡者を撒くのは不可能に近い。
「このまま逃げても追い付かれる確率、99%。」
戦況を俯瞰している律が、分析を述べた。だがそれは、このまま逃げた場合の確率。
「しかし私であれば足止めは可能です。一時しのぎにしかならないでしょうが。」
「……分かった。お願い。」
「承知しました。」
その掛け声と共に、支給品を詰めたザックから飛び出た"それ"に、追跡者の二人はぎょっとした様相を見せた。
「何だ、これは?」
「らじこん……!」
カンナの評した通り、それは数台の電動式ラジコン。
しかし、その実は子供の玩具とは違う。超能力集団『爪』の幹部、羽鳥が戦闘用兵器として用いていたものである。
「――対象、参加者:鎌月鈴乃。射撃を開始します。」
笑顔と共に発せられた電子音声に対応するかの如く、搭載された幾多の銃器を惜しみなく撒き散らす。
「なっ……ぐあっ……!」
日本に来て日が浅い鈴乃に、電子機器の心得などない。仮にあったとて、ラジコンと銃器が結びつくはずもないだろう。不意に受けた一斉射撃に、全身を撃ち抜かれることとなった。魔力で生成されたものではないため、魔避けのロザリオの効力もはたらかない。
「スズノ!」
後ろを走っていたため、射撃のダメージ自体は浅かったカンナ。しかし、鈴乃の受けた傷を放置して追跡する選択肢は彼女にはなかった。鈴乃に駆け寄り、その前方に立ち塞がる。
「――続けて攻撃を開始。」
律も渚も分かっている。この程度の射撃で迎撃できる相手ではない、と。それ以上に超次元の戦いを、特に渚は、マミの戦場で目に焼き付けている。しかし、不意を付くことができた今だからこそ、追撃のチャンスがある。
そして再びの、一斉射撃。対象はカンナではなく、初撃で膝をついた鈴乃。仮に庇うのであれば、カンナに確定的に命中させることができる。
「……! あのケータイから操ってる!」
ラジコンを操作しているのが渚ではなく、モバイル律から発せられる電波であるとその能力によって勘づいたカンナ。
「痛っ……!」
だが、その理解においついたとて、射撃を封じるには至らない。避けられない鈴乃の代わりに弾丸を受け、その身におびただしいまでの弾痕を刻んでいく。
「カンナ殿!」
患部を押さえつつ、何とか立ち上がる鈴乃。追撃に備えられた銃器へと改めて対峙する。
そして、放たれた銃声と共に、ひと声。聖法気を、解き放つ。
「――武光烈波!」
大槌より発された聖法気の嵐が、銃弾を纏めて吹き荒らした。
「――っ!」
人工知能の知識と経験の外にあった、エンテ・イスラの魔術。物理法則の通用しないそれを前に、軌道の計算も安易には不可能だ。
「……次の射撃も防がれる確率、88%」
律がはじき出した答えは、渚の心に焦燥を積もらせていく。敵へと続く道は、開け始めている。
だが、律としては次の射撃を放つより他にない。しかしそれは、計算通りにすべて弾かれ――
「――武身鉄光っ!」
ラジコンの中の一機に向けた一閃。破壊力に特化したそれは、元は玩具でしかない電子機器を即座に粉砕した。
「あと二機だ! カンナ殿!」
ロザリオを元に生成した大槌を手に、カンナに呼びかける。
「――攻撃を開始します。」
律――そのフルネームは、自立思考固定砲台という。
その名に集約されている通り自立思考を生業とし、生徒と共に成長していく人工知能である。その学習力たるや、殺せんせーの速度に対しても即座に適応するレベル。その演算力は、この戦場においても発揮される。詠唱から発現までの時間、その威力、狂わされる弾道。エンテ・イスラの魔術という科学にとって未知の領域に対しても、間もなくしてその計算に組み込んだ。
(っ……! 何という精密な操作か……!)
攻撃の隙間を縫って、明確にこちらの弱みに対して密度の高い攻撃を仕掛けてきている。一機落としたからといって、決して弱体化はしていない。
「……電気には……電気!」
直後、カンナの周りに強力な電磁波が発生する。
「む……制御ができません!」
「えっ!?」
律のラジコンの遠隔操作にも干渉するだけの電磁波。それを体内で生成させるカンナの魔法も、やはり科学の想定し得ぬところ。
ラジコンは地に落ち、鈴乃とカンナの行く手を遮ることはなくなった。
「制御を取り戻すまで30秒ほどかかります。そして、30秒後には、渚さんの逃げ道を確保しましょう。……それまで時間を稼げますか?」
「そうは言ったって……。」
鈴乃の身のこなしは、マミとの戦いを観察していて織り込み済みだ。それに付いてきているカンナも、見た目年齢に適さない力を秘めている。
一方の渚は、一般人上がりでしかない。魔力や聖法気といった人間の逸脱性もなく、ただ暗殺の訓練を受けているだけの中学生。そしてそれは、戦闘の訓練とは違う。警戒され、戦いを挑まんとされている今、その素養は大きなアドバンテージとなり得ない。
ラジコンの制御を取り戻すまでの30秒は、この場で戦い続けなくてはならない。
(……いや、やれるかどうかは関係ない。)
律の妨害無しに逃げたところで、すぐに追い付かれるのは間違いないから。
やる以外の選択肢は無い。だったら――殺す気で。
「……仕方ない、か。」
観念したように立ち止まった渚に、一瞬、怯む二人。その眼には、裏の仕事を手に付けてきた鈴乃から見ても、はたまた闘争にすべてを賭けてきたドラゴンを多く見てきたカンナから見ても、底の見えない殺気が宿っていた。
「聖職者、クリスティア・ベルの名において、汝の罪を問う。」
それでも怖気付くことなく、鈴乃は厳かに口を開く。
「何故殺したか……この世界においてそれは愚問だ。その一切を不問としよう。」
力のある者に殺しを命じられた。
殺しに走ってしまった子供に、それ以上の理由なんて必要無いだろう。
「私が問うは、ただひとつだ。……貴様はこれからどうする。」
殺し合いを、促進する者がいる。その認識は、初めから持っていた。
他ならぬ鈴乃自身が殺し合いに乗ろうとしていたことのみではない。この世界に蔓延する悪意のような醜悪な気配。人々を殺し合いに駆り立てている何かが、ここにはある。
そんな悲しみに呑まれてしまった者たちに差し伸べる手が、カンナ勢だ。すでに死者は13人。中には罪を犯した者もいるだろう。カンナ殿の家族を殺した者も――遊佐を殺した者も。
そう、これは――彼らを赦すための、戦いなのだ。
■
辺り一面に撒かれたリボンと糸の罠。それだけ見ても、相当な手数の魔法を用いている。さらにそれだけではなく、生成しては使い捨てられるマスケット銃のひとつひとつも、折れた腕を無理やりに動かす回復魔法自体も――マミを戦いから離脱させる限界というものを、魔力を浪費することで繋いでいるのが現状。
片や鈴乃と戦っていた後であるにもかかわらず杏子とマミが互角に渡り合えている裏には、魔力量においての代償が伴っている。
「なあ、ソウルジェム、濁りが溜まってんじゃんか。もう、限界なんだろ。」
その結果待っている結末を、杏子は言えない。
誰かを守ることを戦う理由に据えているマミに、その根底を揺るがす、魔法少女の真実を伝えるわけにはいかない。それはまさに、願いが絶望へと反転する瞬間に他ならない。
「敵の心配なんて、随分と余裕ね?」
マミには、止まれない理由がある。たとえそこに前提知識の欠落があったとしても、戦うに値するだけの願いを携え今この場に立っている。
「私は選んだの。この殺し合いに勝ち残るべきは、私やあなたじゃない。」
世の中には、誰かを脅かす存在がある。だけど、誰かを守る存在があって、そんな存在に守られる側の人間もいる。
魔法少女は、誰かを守る存在であると、ずっと思っていた。奇跡を信じてキュゥべえに縋ることしかできなかった自分のような、救いを求める誰かに、手を差し伸べられるのなら――あの夜に家族を見捨てて命を繋ぎ止めた意味も、きっとあるだろう、と。
だが、他ならぬ選定者であるキュゥべえが、この力で他者を殺せと言っているのだ。魔法少女に誰かを守る生き方など認めないと、首輪と共にそう叩き付けられたのだ。
「だってそうでしょう? 生きているだけで他者を巻き込んで死なせてしまうなんて……そんなの魔女と同じじゃない。」
「……。」
杏子には、何も言い返せなかった。魔法少女が魔女そのものであることを、すでに知っているから。
「私はそれでも――誰かを守りたいと思う。だったら滅ぼすべきは何かなんて、決まっているでしょ? それが私の選択。それが私の、最後の正義。」
たとえ飛躍した論理であっても、マミの言い分に相応の理を認める真実がある。それは決して、マミには知られてはならないということもわかっている。
真実に力はなく、虚構のみがマミを止める手立てとなる。紗季さんから鋼人七瀬の話を聞いた時、そんな器用な真似は自分にはできないと、そう思った。だが、それを諦めてしまえばマミは救えない。
「納得なんてしなくていいわ。結局は私のエゴだもの。でも――」
一方のマミ。納得も理解も、とうに諦めている。
それを求める相手が仮にいたとして、それはグリーフシードを落とさない使い魔を倒すのをやめてしまった杏子ではない。
「――信念も無ければ、私を殺す覚悟も無い。そんなあなたに、私は負けない。」
力は自分のために使うべきだと、かつてそう謳ったことがある。だが、その信念は現状、曲げられている。彼女自身を守るためのみに行動するのなら、魔法少女を殺そうとしている自分を殺せばいい。
だが、現実はどうか。
杏子の槍に宿るのは殺意ではない。信念を曲げながら、ただ私の前に立ち塞がっている。
私とは違い、何も選んでいない者。選べないとも、言えるだろう。そんな甘さを見せた相手に、負けたくない。負けてなるものか。
――そんな奮起と共にかけた言葉だった。
「……そうかよ。」
返ってきた言葉に纏った感情が何であるのか、マミには検討がつかなかった。
「そうかもしれねーな。アンタから見たあたしは、軸なんて何もなしに、ただ止めに来ただけの奴に見えるだろうよ。」
銃撃を警戒してか、跳躍。木々を伝っての空襲を謀る杏子を前に、マミは魔力の糸を生成し、木々の合間に張り巡らせる。
そのまま空中に留まれば、糸による拘束が。地上に降りれば、着地狩りとばかりの砲撃が、備えられている。
「でも――浅いね。あたしの本質なんざ、ハナから何も変わっちゃいないさ。」
対する杏子――そのどちらの手も、想定済み。第三の択として、足場であったが今や罠と化した木を、一閃にて斬り倒す。倒れた木は銃弾を受ける盾となる。魔力の糸は地に落ち、杏子の進路を阻むことはない。
(ああ、そうさ。あたしがどうしてここにいるか。そんなの、分かりきってんだ。)
――落ちていく。
まるで足場が、最初からなかったかのようにどこまでも、落ちていく感覚。伴うは、喪失。
――ああ。
何もかもが、うまくいかない人生だった。
隣人のために身銭を切ることを厭わない、父さんみたいな。そんな正義のヒーローに、憧れていた。だから、そんな父さんが、少しでも報われてほしくて――手を伸ばした奇跡は、絶望の入口だった。
願った奇跡の分、それが絶望として返ってくる。それが魔法少女のさだめだと謳われるくらいに、必然的な結末だったのかもしれない。
――だけど、それでも。
もしもやり直せるのなら――今度こそはハッピーエンドってやつを目指してもいいだろ?
神様ってやつは皮肉なもんだ。全て投げ打って、その先に与えられた、【やり直し】の機会がそこにあった。
あたしと同じ誤ちを犯そうとしていた魔法少女、美樹さやか。彼女は結局、分かり合うことのないまま魔女になった。救う方法を模索して、だけどそれの叶わないまま、あたしの人生は幕を閉じる。
報われず、奈落へと落ちたままに、かくして終わりを迎えるはずであった。
――しかし、神の祝福は与えられた。
突如として開かれた殺し合い、それには魔女になったはずのさやかも、おそらくは人間として、参加させられていた。これは二度目の挑戦だ。今度こそ、彼女を救えるかもしれない。まだ、あたしの目指すべき道は途絶えていない。
そう、思っていた。なればこその、痛みだった。
期待をすればするほど。登れば、登るほど。
裏切られ、落ちた時の痛みはよりいっそう、大きくて。
定時放送で呼ばれた、さやかの名前。崩れゆく願い。
――ああ、まただ。
かたちを失っていくかのごとき、この感覚。
あたしが、きえてしまいそうなこの剥離に身を委ねてしまえれば、どれだけ心地よいだろうか。
『……ねぇ、マミさん。』
――いや。
『マミさんは、あたしのこといつも友達って言ってくれるけどさ……』
まだだ。まだ、あたしに与えられた神の祝福は、残っている。
『あたしにとってのマミさんは、友達っていうのとは……ちょっと違うっていうか』
かつて失ってしまった"家族"が、目の前でまた、皆を巻き添えに死のうとしているんだ。
贅沢な大円団なんざ、とっくに終わってるかもしれない。これをハッピーエンド、なんて言っちまったら、零しちまったさやかに失礼かもしれない。でも、零したもんばかりに執着して、手の届く範囲にある守れる大切なものをまた零しちまうのは御免だ。
盾代わりの大木の、その向こう。露わになったマミの姿が、視界に映る。
「ティロ――」
「――なっ……!」
自身よりも大きな大砲を前方に構え、こちらへ突き付けていて。
「――フィナーレ!」
いつ、道を間違えたのか。
決別したはずのマミの死を聞いて、その後釜の魔法少女の様子を見に、見滝原に戻った時か。
――或いは。
そもそもマミと決別を選んだ時か。
――或いは。
ハッピーエンドなんて、父さんの夢に縋り始めてしまった時か。
――ああ、落ちていく。
まるでかたちを、失ったかのように。
想い出が、セピア色の中に沈んでいく。
鳴り響くは、割り砕くが如き砲撃音。
『――お願いっていうか……図々しいついでっていうのもなんだけど……。あたしを、マミさんの弟子にしてもらえないかな?』
■
――罪を犯した者が報いを受けるとするならば、それはいつのことだろう。
かつて、ある執事は、虚空に向けてそう問い掛けた。
王として進むべき道を誤った罪を背負った真奥貞夫は、その報いとして今がある。最後まで、王であり続けること。それを責務として、己に課している。
いつ、報いを受けるのか――その答えを鈴乃が答えるとするならば、『常に』である。
赦すと、宣言することは簡単だ。だが、それだけでは禊となり得ない。遊佐が、親の仇である真奥に対し、一時的とはいえ刃を納めている現状。それは、真奥の背負った報いによるものだ。
平常、己の罪と向き合う覚悟を以て、報いと成せ。これは、『カンナ勢』を口先だけの夢物語にしないため、その覚悟を問う審判である。
その言葉の裏に垣間見える鈴乃の境遇など、渚に伝わることはないのだろう。だが、試すが如き鈴乃の瞳。適当にはぐらかせる類のものでないことは、十二分に伝わった。
「……僕、は。」
――罪、か。
誰かを殺すことが罪なのだとしたら、僕たちは、罪のために進んでいる。
恩師に、この刃を突き付けるため。
恩師に、銃弾を叩き込むため。
恩師を――殺すため。
「――選んだこの道を、間違いだなんて思わないし、言わせない。」
もしも、殺せなかったら。
烏間先生が導いてくれた道も、茅野が隣で歩いてくれていた道も、その全てが――欠けた思い出になってしまう。
先生を、殺す。その目的を、果たすため。
「だから、その選択に伴うものは全部、背負っていく。」
たった、40人程度。
この殺し合いにも勝ち抜けない僕が、果たして、殺せんせーを殺せるか?
証明するんだ。僕の力を、他ならぬ僕自身に。
「そうか……。ならば多少、手荒な方法を取らざるを得ない。」
直感めいた確信が渚の中にある。
この人は、僕よりもずっと優れた――暗殺者だ。
伝説の殺し屋"死神"のような、乗り越えられない高い壁。
(でも、今回は殺せば勝ちというわけじゃない。)
カンナは電磁波の維持に精一杯で即座に動けそうにない。普段の、ドラゴンの力をもってすれば電磁波を撒き散らしながら身体能力で敵を圧倒することもできたかもしれないが、パレスに課せられたドラゴンの力の部分的な制限により、精密な力の操作を不可能にしている。
(30秒。ただ、それだけ凌げば、こっちの勝ちだ。)
それは偏に、律への信頼である。
30秒稼げば、カンナの電磁波による電子干渉を突破できると彼女は言った。だったら、信じるのみだ。
「――武身鉄光っ!」
ロザリオを大槌へと変質させる鈴乃の奥義。先ほどまでマミに向けられていたそれが、今度は渚に牙を剥く。
質量という殺傷力の塊を前にして、怖くないはずがない。己が死を忌避するは、避けられない本能。
(集中力を、研ぎ澄ませ!)
だが――見える。
対殺せんせーを想定した訓練、そして実践の賜物か。人間離れした脚力と腕力から繰り広げられるその軌道は決して、見切れないものではない。
「うぐっ……!」
両腕を前面に出し、かつバックステップを挟んで防御。途方もない痛みが腕越しに伝わってくるが、その大部分を軽減する。
腰には、ナイフが備えられている。先ほど二人を殺害した凶器であり、返り血で赤く染まっていることだろう。そして弓原紗季の支給品にも、一本のナイフが入っていた。すなわち武器は二本。クラップスタナーの準備も整っている。
(……反撃、して来ない?)
鈴乃が感じた違和感。
二度、三度、攻防を交わすにあたって、その疑念は確信へと変わる。
(――殺気が、感じられないだと?)
鈴乃もまた、殺さない程度に無力化することを意図し、渚を追い詰め続けた。だが、決定打が入らない。
こちらの攻撃の芯が見切られているかのごとく、一撃の重みを完全に"殺され"ている。
「――お待たせしました、渚さん。」
そしてカンナの電磁波の干渉を無力化する電波を編み出した律が、戦いの終了の合図を唱える。同時に動き出すは、地に落ちていた二台のラジコン。
「ゴメン、スズノ。これムリ……!」
電波を放出し続けて疲れきったカンナが、それでもなおラジコンの制御を奪われた上で膝をつく。
ラジコンの照準が向かうは、明確に隙を見せたカンナ。
「カンナ殿っ!」
即座に聖法気で編み出した嵐がその弾丸を逸らすが、その反動で次の一手は遅れてしまう。
その間に、渚は180度向きを変え、再び走り出した。
「しまっ……」
カンナ殿の無事が最優先であり、この場における最善を打っているのは間違いない。だがその上で、渚の逃走を許してしまう結果となった。
(くそっ……完全に調子を狂わされた……!)
30秒の間、渚はナイフを用いなかった。
仮にナイフを取り出していたならば、それは"殺し合い"となり鈴乃の対応もまた変わっていただろう。
30秒を稼ぐのに、これが鈴乃による"詰問"の体のままでいたこと――たった今、渚が地に両足をつけて立っている要因はただそれだけである。
■
――硝煙のその向こう。
まだ、杏子の命は絶えることなくそこに存在していた。
防いだわけではない。大木に隠し、杏子の隙を突いた一撃だった。
マミが手心を加えたわけでもない。命を奪う覚悟は、決まっていた。
その上で、杏子が今、地に両足を付けて立てているその理由――
「――これは、幻……!?」
魔法少女の魔法の力は、叶えた願いに由来する。
親友との出会いをやり直した暁美ほむらの魔法が、時間操作であるように。
想い人の腕を治した美樹さやかの魔法が、再生の力であるように。
自身の命を繋ぎ止めた巴マミの魔法が、対象の拘束であるように。
杏子の扱う魔法は、幻惑。人を惑わせ、誑かす魔法。その願いの根底がくじかれ、一時期は扱うことのできなくなっていた魔法であったが――今、再び発現した。
ティロ・フィナーレによって撃ち抜かれた杏子は、魔法によって生成された虚像。蜃気楼の奥から現れた、本物の杏子が今、マミへと飛びかかる。
「いい加減――観念しやがれっ!」
槍に紐付られたチェーンは、ティロ・フィナーレの反動で一時的に動きが鈍くなったマミを、即座に捕縛した。
マミは木々に縛り付けられ、最初こそもがく様子を見せるが、間もなくして無駄だと悟ったようで、次第に大人しくなっていった。
「……これで、落ち着いて話ができるな。」
「……。」
「よくわかんねーけど、先走っちゃってさ、アンタらしくないよ。」
「……この殺し合いの裏にキュゥべえがいるってわかった時。確かに驚いたわ。そんなことないって、思いたかった。」
観念したのか、その言葉には先ほどまでとのトゲとは違い、どことなく柔らかさがあった。
「でも、同時に……すごく、しっくりきたの。キュゥべえは……なんというか、根本的に価値観が違うって思ったこと、これまでにもたくさんあったから。」
基本的に魔法少女は、損得勘定で動いていた。
成長したら人々を襲うと分かっていながらも、グリーフシードを落とさないからと魔女の使い魔を放置することなんて、当たり前であるかのような。
キュゥべえにも、それを勧められたことは数え切れない。今にして思えば、他の魔法少女たちにも、キュゥべえはそうやって接していたのだろう。
「だから私は、最初から間違えていたの。あんな悪魔の囁きに乗って……ずっと魔法少女として誰かを守っているつもりだったのに……そしてきっと、これからも、間違え続けるんでしょうね。」
「――違う!」
その気迫に、マミは気圧されてしまう。
「魔法少女のシステムにどんなに醜い裏があったとしてもさ……マミが助けた人たちは、マミが居ないと死んじまってた。そこは曲がらねえんだ。そして――」
それは、かつてのすれ違い。
かつて、己が願いで家族を失って、絶望の淵に立たされた杏子が、それでも魔女になることなくいられたのは。
そんな杏子を気遣い、見守ってくれる存在がいたから。魔法少女だとか関係なく、誰かを救おうと頑張る人間が、周りにいたから。
たった、それだけ。
マミを魔法少女の呪いから解き放ち得るひと言が、交わされていなかったから、二人はここまで、すれ違ってしまったのだ。
――そして、それは。
この場にいる誰もが、予期し得ぬ出来事であった。
「――巴さん!」
ボロボロになりながら駆け付けてきた少年の姿。
拘束されたままのマミは、その姿を見て名前を呼ぶ。その声に現れているのは、若干の焦燥と、また生きてここに現れたことへの安堵。
マミの知り合いであると察しをつけ、拘束を受けたマミに駆け寄ってくる少年に、マミの敵ではないと釈明を始める杏子。
それを受け、少年は落ち着いた表情で立ち止まって小さく笑みを零した。改めて、杏子がマミの方へと向き直り――
「……っ!?」
――次の瞬間、杏子の首筋に一筋の閃光が走った。
首から生えた、一本のナイフ。
「……お……前……まさ、か……!」
潰れた喉で、懸命に言葉を紡ぐ杏子。何とか振り返った彼女が、その眼に映したのは――
「……っ!」
――杏子が置いてきた二人、まどかと紗季さんが持っていたはずの、端末。
あの二人がどうなったのか、想像には難くない。現にこうして――自分は虚をつかれ、首を切り裂かれているのだから。
そして杏子の視界は、黒く、黒く塗りつぶされていった。
その執行者は、たった今、警戒すらされずに二人の前に現れた少年――潮田渚であることは、それを目前にしたマミには分かった。
「なぎ、さ……君?」
だが、その行動が彼と結び付かない。
だって、渚くんは。
魔女のような、誰かを傷付ける存在じゃなくて。
――この殺し合いで生き残ってほしいと願った、守られる側の人で、あるはずで。
「……嘘。」
「ごめんなさい、巴さん。」
渚の手には、もう一本のナイフ。
目の前には、拘束されたままのマミの姿。
首筋に、さらに一閃。
頸動脈を切り裂かれた少女が二人、その現場に出来上がった。
「――渚さん。急いで、この場を離れてください。」
電子音声に導かれるまま、渚は走り去っていく。
■
「――スズノ、まだ息ある!」
「――頸動脈をこれほど深く損傷しているのに信じられないが……」
閉ざされた意識の中に、声が聞こえてきた。
杏子とマミの"死体"を見つけた鈴乃とカンナ。その身体に残された傷跡は、まどかと紗季のやり口と酷似している。そもそも、取り逃した相手が逃げた先。犯人は、考えるまでもなく分かっている。
「……あたし、は。」
死体が起き上がるような光景だった。
まどかと同じ程度に、首をぱっくりと斬られていた赤髪の少女が、何事も無かったかのように――とは言えないが、それでも傷口に対してあまりにも軽傷のように立ち上がった。
「っ……! おい、マミっ!」
弾かれたように、杏子は動き出した。連戦の疲れも、あるのだろう。自分より目覚めるのが遅く、横たわったマミに、手を伸ばす。
死んでいないのは、分かっている。魔法少女の生命を繋ぐコアはソウルジェムだ。首を切られたところで、それが原因で即座に死に繋がることはない。
だが、肉体の再生にも魔力を消耗する。いや、それ以前に、あれが少なからず信頼関係を築いていたように見えた相手からの、裏切りだったのはあたしにも分かる。
だってあの時、消えゆく視界の淵に映った、少年を見るマミの眼は――あの時と同じだったのだから。
嫌な予感がする。一度、掴めなかった経験に裏打ちされた、確かな予感。そして、その予感は――的中する。
「待ってくれ、マミ――」
伸ばした手の先、巴マミの髪飾りに装飾されたソウルジェムが、ドロドロとその色を濁らせていき――そして、砕けた。
「――っ!!」
直後、世界がぐにゃりと大きく歪んだ。
緑が広がる森は、クレヨンでされた子供の落書きのように、不気味に混ざった色に染まっていく。
「何だ……これは……!」
「何が起こってる!?」
「――くそっ……あたしは、また……!」
■
かたちあるものは。
ㅤいつかはこわれて、きえてしまう。
ㅤぴしりと、おとをたてながら。
ㅤぽろぽろと、あふれるままに。
ㅤひびわれて、こぼれて。
ㅤそして、かたちをなくしていく。
ㅤ――ああ、まただ。
ㅤわたしのかたちが、とけだしてゆく。
ㅤこわい、こわいよ。
ㅤだけど。
ㅤわたしがいつか、かたちをなくしたそのあとは。
ㅤ――かたちなきしあわせを、つかめますように。
【C-4/D-4境界付近/おめかしの魔女の魔女結界/一日目 午前】
※D-4境界付近に、『おめかしの魔女の魔女結界』が生成されました。おめかしの魔女(巴マミ)が死亡するまで残り続けます。また、近付いた人物が結界に取り込まれることも起こり得ます。
【おめかしの魔女(巴マミ)@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:魔女化
[思考・状況]
基本行動方針:無差別
[備考]:魔女化に至るまでの状況が原作スピンオフとは異なるため、本ロワオリジナル要素が付与されている可能性があります。
【佐倉杏子@魔法少女まどか☆マギカ】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:なし
[道具]:不明支給品0~2 ジュース@現地調達(中身はマッスルドリンコ@ペルソナ5)ㅤマンホール@モブサイコ100
[思考・状況]
基本行動方針:とりあえず姫神を殴らないと気が済まない
1:現状を何とかする
2:鋼人七瀬に要警戒
※魔女化したさやかと交戦中の時の参戦です
※最初の場のやり取りを大雑把にしか把握していませんが、大まかな話は紗季から聞いています
※紗季から怪異、妖怪と九朗、岩永の情報を断片的に得ました
※モバイル律からE組生徒の情報及び別の世界があるという可能性を得ました。
※パレスの中では、鋼人七瀬が弱体化してる可能性は仮説であるため、実際に彼女が本当に弱体化してるかどうかは分かりません
【鎌月鈴乃@はたらく魔王さま!】
[状態]:ダメージ(大)
[装備]:ミニミ軽機関銃@魔法少女まどか☆マギカ、魔避けのロザリオ@ペルソナ5
[道具]:基本支給品 不明支給品0~1(本人確認済)
[思考・状況]
基本行動方針:皆が幸せになれる道を探す
一.目の前の存在と戦う
二.千穂殿、すまない……。
※海の家に行った以降からの参戦です。
※小林カンナと互いの知り合い・支給品の情報交換をしました。
【小林カンナ@小林さんちのメイドラゴン】
[状態]:健康
[装備]:無し
[道具]:基本支給品 不明支給品0~3(本人未確認)
[思考・状況]
基本行動方針:新勢力、カンナ勢を作ってみんな仲良くしたい!
一.姫神はたおす!
二.スズノをまもる!
※トールとエルマが仲直りした以降からの参戦です。
「……何、これ。」
渚は自分の行動の結果起こった出来事について、詳細を把握していない。鈴乃とカンナに気づかれ、それだけの時間は与えられなかった。律の言う通りの攻撃を行い、言われるままに立ち去った結果、背後の景色が消失したという現状。それは、殺せんせーという常識を逸脱した超生物と関わってきた渚から見ても異常な出来事だった。
『――なるほど。現状は把握しました。向こうで参加者巴マミと佐倉杏子が交戦中なのですね。』
律と手を組み、殺し合いに乗ることを決めて間もなく。二人の殺し屋は大まかな状況を共有し合っていた。
『――でしたら、作戦があります。』
律の提唱した作戦は、以下の通り。
『――作戦その1。二人の戦闘に割り込んで、佐倉杏子と巴マミの両名を殺害してください。おそらくは死にませんが、殺す気で構いません。』
律は、紗季に支給されていた頃、杏子と紗季の情報共有のすべてを聞いていた。その際に、彼女たちの交友関係と、魔法少女とは何であるのかを含め、情報を"学習"していった。
『――作戦その2。その際に可能であれば、佐倉杏子に私のいる端末を見せてください。彼女に鹿目まどか、弓原紗季の死を伝達するにはそれで充分でしょう。』
魔法少女が魔女と化す条件――絶望。
杏子とマミの関係性や、彼女たちの人格を統合して計算した結果、最も最悪の形で彼女たちの絶望を引き起こす計画を、律は導き出したのである。
『――作戦その3。その後、可能な限り素早くその場を撤退してください。それに失敗したら、その時は……死を覚悟した方がいいかもしれません。』
そして渚は、鈴乃とカンナの介入という想定していない自体に遭いながらも、それを実行し、そして成功させた。
それは偏に、渚の才能の結果である。
暗殺の才能のみならず、死をも恐れずに窮地に飛び込んでいけるその胆力。
「上手くいけば二人の魔女が生まれているはずですが……少なくとも一人は成功したようですね。」
「えっと、ひとまず……何が起こっているのか説明してもらってもいい?」
「はい、もちろんです!ㅤでは……どちらに参りましょうか?」
【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカㅤ死亡確認】
【弓原紗季@虚構推理ㅤ死亡確認】
【残りㅤ34人】
【D-4/教会付近/一日目 午前】
【潮田渚@暗殺教室】
[状態]:健康
[装備]:鷹岡のナイフ@暗殺教室
[道具]:基本支給品 モバイル律 不明支給品(0~2) 、鹿目まどかの不明支給品(1~2)、弓原紗季の不明支給品(0~1)、ジュース@現地調達
[思考・状況]
基本行動方針:暗殺の経験を積む
一:どこかで腰を据えて律と詳しい情報共有をする。
二:何ができるか、何をすべきか、考える。
※参戦時期は死神に敗北以降~茅野の正体を知る前までです。
※巴マミと互いの知り合い・支給品の情報交換をしました。
【支給品紹介】
【マンホール@モブサイコ100】
佐倉杏子に支給。何の変哲もないただのマンホール。
【羽鳥のラジコン@モブサイコ100】
弓原紗季に3個セットで支給され、渚に渡ったのちに鈴乃たちによって破壊。
原作では詳細が判明する前に破壊されたが、何らかの武器が搭載されていたものとしている。
最終更新:2022年10月13日 01:06