はじめに

あいさつ


僕がハードコアテクノ(以下、ハードコア)というジャンルに初めて出会ったのは、2010年11月頃だったと記憶しています。レイブやクラブイベントを通じて知ったわけではありません。動画共有サイトで偶然聞いたDJミックスがきっかけでした。気づくともうすぐでこのジャンルに出会ってから6年目(2016年現在)となります。今思えば、今日に至るまでの6年間ずっとハードコアを聞き続けていることを不思議に思います。僕を魅了させるなにかを秘めているのでしょうか。

ところで、もともとハードコアは1990年代初頭に初めて欧米で誕生し、それ以来「成長」→「繁栄」→「衰退」→「成長」・・・といった期間を繰り返し、現在では世界中にDJやアーティストを抱えるほどの巨大なエレクトロニックミュージックジャンルに成長しました。

日本国内では1990年代前半にロッテルダムテクノとして輸入され、新しいジャンルといった位置づけのテクノとしてジュリアナ東京といったクラブなどで繁栄、後に(ジュリアナ東京で盛んにプレイされるテクノに対して名付けられた)ジュリテクと混合されますが、決して普及率は高くありませんでした。その後ジュリテクはジュリアナ東京の閉店と同時に短期間で衰退してしまいます。その後、1990年代後半にハードコアはジュリテクや従来のロッテルダムテクノとは違うジャンルのテクノとして復興し、beatmaniaなどの音ゲーに使われる楽曲の一部に採用されたり、国内のアーティストが海外レーベルにトラックを提供したり、数少ない国内インディーズ系ハードコアレーベルで細々とトラックが発表されるのみとなりました。もともとクラブやディスコなどで大音量の音楽をバックに踊るという文化の乏しい日本でこのジャンルが普及するには無理があったのかもしれません。初期のころから活動していた国内アーティストとしてSHARPNEL.NET、L.E.D.こと角田利之氏、m1dy、GUHROOVY、Nawoto Suzuki、Hammer Bros、Out Of Key等がいます。

その後、転機が訪れたのは2002年ごろのことです。イベント主催レーベルX-TREME HARD(2002年設立)、Superbad MIDI Breaks(2003年設立)や同人音楽サークル兼レーベルHARDCORE TANO*C(2003年活動開始)の台頭です。1990年代ほど海外レーベルへの楽曲提供をする動きは衰えていった一方、初期から活動を続けていたアーティストらはもちろん、HARDCORE TANO*C内のアーティストらが音ゲーへの楽曲提供や独自のレーベルでアルバムを立て続けに発表するようになり、Superbad MIDI Breaksは盛んにクラブイベントを行うようになり、海外、特にアメリカの著名アーティストの来日ライブを積極的にサポートするなど、海外との交流が盛んになり始めました。この時期はちょうど海外でハードコアがニュースタイルハードコアとして復興した時期と重なります。こうしてようやくクラブ文化も定着するようになるとともに、HARDCORE TANO*Cでは新しいアーティストが次々参加するようになり、また独立して新レーベルを立ち上げるアーティストも多くなり、とくにこの時期においてHARDCORE TANO*Cの存在は決して無視できるものではないほどハードコア文化に大きく貢献してきました。

2010年代に突入すると再び国内の複数アーティストが海外のメジャーレーベルへの楽曲提供をするようになり、国内ではさらに盛り上がりを見せるように。クラブイベントの開催も増えていきました。(海外のレーベルでも言えることですが)DJミックスをポッドキャストとしてWebサイトで公開するなどネット上でのコンテンツも充実し、もはや日本はハードコア後進国ではなくなってきています。

こうした中で僕は、ハードコアに初めて出会って以来(各レーベルの楽曲をかき集めているに留まりますが)絶え間なく関わりを持ち続け、今も進化し続けるハードコアを見守りつつ今に至ります。

それにもかかわらず、今も心底から謎に思っている点があります。

現在に至るまでの歴史、具体的な定義、これまでに生み出してきたサブジャンル、そしてこれまでに世界中、とりわけ日本でクラブ/レイヴシーンにおいて与えてきた影響です。

執筆者でありながらこのジャンルについて、言葉は分かっていても理解できていないことも多いです。しかしこれは我が国日本でも言えることで、日本語版WIkipediaやニコニコ大百科の記事はとても内容が充実しているとは思えませんし、アーティストの中には「Wikipediaの記事は役に立たない」と主張している方もいるくらいです。

僕自身がDJでもなければアーティストでもない、しかもイベントにすら行ったことのないただの一人間である以上、こんな僕が項目を執筆する資格もないのではないかと思っています。しかしながら、僕自身すでに約6年間弱(当サイト開設当時)のハードコアテクノリスナーである以上、

そろそろ頭の中にインプットされている情報を整理したい
今まで費やしてきたこの期間を無駄にしたくない
そして僕はこのジャンルになぜ約6年もかけて寄り添ってきたのかを考えたい

これらの思いから、このサイトを設立した次第です。まだまだハードコアは理解を深めたり普及できる余地が残っているのではないのでしょうか。このWebサイト上の交流を通じて情報交換をするとともに、このサイトのコンテンツを充実できればこれ以上に嬉しいことはありません。

HARDCORE WILL NEVER DIE!
最終更新:2017年05月21日 20:20