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ネギま!バトルロワイヤル10

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匿名ユーザー

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グツグツと水が沸騰する音がする。
あやかのショットガンを構えた明日菜が、窓の外を見張っている。
一方で、あやかは水が沸騰してから時間を計りペットボトルに移し変えた。
そばではネギが水の溜まった流しにペットボトルを入れて冷やしていた。
三人が診療所らしきところに着いて中に入ると、机の上には救急箱が置いてあった。
その他にも、ガスコンロ、鍋など生活用品、台所用品が。
『お疲れ様です。ここで怪我の治療をして下さい。食料も少し置いておきます。』
そんなメッセージカードと一緒に。
「誰かが来た時用に事前に準備されてたのですわね」
「……むかつくわね」
「でも怪我の治療は出来るわけですから。」
幸い、三人とも大きな怪我はしていない。
救急箱の中身を少し残して、あとはそれぞれのデイパックに分けて入れた。

「水が欲しいですわね」
あやかが呟いた。
水がほぼ底をついた。ゲームが始まってまだ一日目だというのに。異常な環境がやたらと喉を渇かせたことは確かだ。
他の生徒たちは、死んでいった仲間のデイパックから水を得た。
だが幸か不幸かこの三人は、未だ他の選手に会わず、戦いも経験していないのだ。
ましてやネギにはデイパックは支給されていないため、三人で二人分の食料と水でなんとかここまで耐えていた。
明日菜が(無断で)持ってきていたクッキーを食べてしまったことも影響した。
口の中がパサパサしてしまい、水を必要としたのだ。
「池の水って大丈夫かなぁ?」
ネギが尋ねる。
「そばの池から水を汲んで、煮沸ってダメかな」
「……ここならその手の道具があるかもしれないですわね」
「ですよね」
そう言ってネギと明日菜は池の水を汲んで水を煮ていたのだ

自然と無言になった。それぞれが、それぞれのことを考えている。
今自分は紙一重の幸運を生きている。生かされている。
多くの生徒が死んだようだ。
明日菜はただじっと耐えるしかなかった。
まだ刹那と木乃香の名前は挙がっていない。
(刹那さんは一人でも大丈夫なのはともかく、木乃香は一人だと心配だわ…)
ずっと考えている。
ふいに、木乃香が血だらけになって草の上に倒れている光景を想像した。
慌てて打ち消す。
(そんなことない。絶対に。)
ずっと、そんなことを考えている。

水の準備ができるとすぐに診療所を後にした。
ここは住宅街のど真ん中のためもっと安全なところを探さなくてはならなかった。
「どうしましょう…明日菜さん、いいんちょさん」
「どうしようって言われても…ねぇ」
「まったく、ネギ先生が困っているのに明日菜さんは何もしてやれないのですか?」
「うるさいわね。」
そんな会話を続けていくうちに町外れの一軒家にたどり着いた。

「ここなんかどう?」
「よさそうですわね」
玄関は鍵がかかっていたため裏口に周ってみた。
「!!」
「…お前!」
「え…エヴァンジェリンさん…」
裏口にはエヴァが(重くて持ってるだけの)日本刀を構えて座っていたのだ。

【残り21人】

「お姉ちゃん大丈夫?眠れなかったんでしょう?」
「……うん」
鳴滝風香と史伽は小山を降りる準備をしていた。姉妹はすぐに合流できた。
合流した後は、見晴らしのいい小山の上で過ごした。すぐ横には大きな人工池がある。
眠気と疲れからくる体の重さに耐えて荷物を肩にかけ、風香は立ち上がった。
ここにいてはこちらからの見晴らしはいいが、同時に下からの見晴らしもいい。
夜の間はいいが、太陽が昇ってみるとそれらがはっきりした。

ゆっくりと、辺りに気を使って北側へと小山を下る。下の方に花壇が見えた。
そして地図にある通り、左手にはバーベキュー広場とログハウスの屋根屋根。
頭の中ではずっと、今朝の放送が繰り返されている。
クラスメイトが死んだのだ。いや、殺されたのだ。同じクラスメイトの誰かによって。
「首輪」
「うん?」
「この首輪ね」
「?」
突然の史伽の話に、風香が中途半端な相槌を打つ。
「本当に爆発するのかな」
「わからない」
「外そうとしただけで、爆発するって話だよね」
「そうだけど…」
「本当かな?」
「……実験する勇気はないよ、ボクには」
史伽は小さくため息をつく。数少ない食料、少ない水。生きて残れるかもわからないのに。
どうして自分がこのメンバーに選ばれてしまったのだろう?
悔しい。そして悲しい。絶望感のようなものが押し寄せてくる。
今まで生きてきた中で、初めてそれを実感した。
学園では明るく振舞ってる姉がこんなにも弱気な人になるとは知らなかった。
昨夜、交代で見張り、寝るようにした時も、幽霊が苦手な風香は眠れなかったらしい。
地図を見ながら坂を下る。左下に見えるバーベキュー広場は、すでに禁止区域になった。
入れば首輪が爆発するはずだ。気をつけなければ。
(最後の一人になれば、生きて帰れる……最後の一人……)
とても想像出来ない。30人いる中で、最後の1人になる。
厳しい。厳しすぎる課題だ。けれどそれをクリアしなければ、ここから出られない。
しかし少なくとも、今、自分には姉という仲間がいる。
もし生き残って二人だけになったら………それはその時考えよう。

「ああぁ!!」
突然、ズザッという音がして風香が声を上げた。
急な斜面で慎重に足を運びすぎて、バランスを崩したらしい。足場を取られたようだ。
昨夜あまり寝ていなかったせいかもしれない。そのまま体勢を崩して坂を転がり落ちてゆく。
「お、お姉ちゃん?!」
慌てて史伽が後を追う。風香は左下、バーベキュー広場の方へと落ちて行く。
「お姉ちゃん!そっちは……!」
追い過ぎては危険。追いかけたいが、体が戸惑う。
その瞬間、ドンッと物凄い力で背中を突き飛ばされた。
「きゃああああああ!!」
前のめりに転がり、前転をするように史伽自身も坂を転がり落ち始めた。鞄が肩から離れる。
体が先に転がってゆく。
(止まって!止まらないと……!!)
もうどっちが前だか下だか空だかわからない。
ふいにどこかでバンッ!という音がした。
えっ?と思った瞬間、史伽の顎の下、喉の辺りで赤いランプが点滅し始めた。
(い、いやあ!!)
首輪が点滅している!
ここはもう立ち入り禁止区域なのだ!
早くここから出なければ!
しかし、体の回転と落下は止まらなかった。
そして。
再びバンッ!という音。
風香と史伽は、身をもって首輪の爆発機能の正確さを知った。

坂の上、小山の中腹で、千雨は下を見下ろしていた。
姉の方は勝手に足を滑らせた。千雨のせいではない。
ただちょっと史伽の背中を蹴り飛ばしただけだ。
「首輪、本当に爆発するんだな……」
無感動に呟いた。
二つデイパックが落ちていた。両方を開けて武器を確認する。
姉は木刀、妹は手術なんかで使うメス。どちらとも当たりとは言いがたい中途半端な武器。
千雨はそれらを捨てるとまた歩き出した。

【出席番号22・23 鳴滝風香・史伽 死亡  残り19人】

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